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変態独逸レーベンスラウム事情―クリスマス開戦編―


「信じられん、撃ってきやがった。今日はクリスマスイブなんだぞ!?」

「イワンの連中にクリスマスなんて関係無いんだろ」

「おまえら、愚痴っている暇があったら1発でも撃ち返せっ!」


 1927年12月24日午前9時30分。

 クリスマス気分に浸っていたドイツ兵たちを正気に返したのは怒涛の如き砲声であった。


「な、なんだあれは!?」


 戸惑いの声を上げるドイツ兵。

 大口径砲を搭載した戦車らしきものが、発砲しながら接近していたのである。


「ぐわぁっ!?」


 直後に至近弾の爆風で吹き飛ばされる。

 生身の兵士に76mm砲弾は、完全にオーバーキルであった。


 ドイツ兵が垣間見たものは、SU-18自走榴弾砲であった。

 ソ連側は今回の攻勢に大量投入しており、ドイツ側の塹壕陣地へ向けて雨あられと砲弾を撃ち込んでいたのである。


 SU-18はT-16(軽戦車)を改造したシロモノであるために携行弾数はそれほど多くない。やがて、砲弾を撃ち尽くしたのか戦場に静けさが戻ってくる。


「「「Ураааааааа!」」」


 頃合いとばかりに、タンクデサント兵の雄たけびをBGMに戦車隊が突撃を開始する。ここまではソ連側にとって理想的な展開であった。しかし……。


「な、なんだ?」


 激しい衝撃音と共に戦車が急停止し、タンクデサント兵たちも投げ出される。

 慌てて確認して見れば、キャタピラがコンクリートに乗り上げていた。


 ドイツ帝国陸軍は、TOG2に塹壕を蹂躙された悪夢を忘れていなかった。

 戦車の開発を進めるのと同時に、戦車の侵攻を効果的に妨害する方法を開発することに心血を注いでいたのである。


「くそっ、これじゃ進むことが出来ねぇ!」


 塹壕陣地に敷設されていたのは、史実の『竜の歯』であった。

 鉄筋コンクリートで作られた四角錐の障害物を密に並べたものであり、その見た目が名前の由来である。


 竜の歯を戦車が乗り越えようとすると、底部が先端部に乗り上げて動けなくなる。勢いで歯が倒れたり移動しないように土台は地中に埋められており、しかも複列配置されていた。戦車での突破は不可能であった。


「おまえら何をしている!? 前進だ、前進せよっ!」


 政治委員が怒鳴る。

 今まで順調だったのに、ここにきて立ち往生である。敵を目前にしているという状況も相まって、その焦りは相当なものであった。


「進めないなら迂回すれば良いだろうが!? 急げっ!」


 幸いと言うべきか、竜の歯が配置されていない場所はすぐに見つかった。

 切羽詰まっていた戦車部隊は、疑う事無く突っ込んだのであるが……。


「今度は何だ!?」


 絶叫する政治委員。

 迂回ルートを進んでいる戦車隊の先頭で爆発が起きたのである。


 迂回ルートには対戦車地雷が埋設されていた。

 対TOG2を想定した重地雷であるため、軽戦車が踏んだらどうなるかは言うまでもない。


「ぐわぁっ!?」

「畜生、何処から撃ってきてる!?」


 大爆発で思わず足を止めてしまった戦車隊に、機関銃陣地からの弾幕が集中する。戦車はともかく、タンクデサント兵はタダでは済まない。MG08の8mmモーゼル弾で無慈悲に薙ぎ払われていく。


 竜の歯は戦車の移動を阻害するだけでなく、戦車を誘い込むトラップであった。

 意図的に竜の歯を設置しないことで、敵戦力の誘引が可能なのである。


「あの音は……地雷原に突っ込んだか」


 赤軍の混乱ぶりを冷静に観察するのは、塹壕陣地の指揮官であるクルト・ゲプハルト・アドルフ・フィリップ・フォン・ハンマーシュタイン=エクヴォルト大佐であった。


(イワンどもは混乱しているな。今が退き際だろう)


 すぐさま撤退の算段をするあたり、彼は優秀な将校であった。

 現状では満足な迎撃が出来ないことを理解していたのである。


「大佐殿、先ほどの砲撃で回線が切断しております」

「速やかに信号弾を撃ちたまえ。事態は一刻を争うぞ」

「ヤヴォールっ!」


 ハンマーシュタイン=エクヴォルトは、信号弾を打ち上げることで友軍の撤退を支援した。まざに絶妙のタイミングであり、彼の英断のおかげで第1線に詰めていたドイツ兵の大半が追撃を受けることなく第2線に撤退することに成功したのである。


 赤軍が懲罰大隊を駆使して地雷原を突破したときには、既に塹壕陣地はもぬけの殻であった。通常であれば陣地を確保してから進撃したいところである。しかし、赤軍に停滞している余裕など無かった。


 数キロ後方の第2線からはドイツ軍の反撃の砲火があがり始めており、足を止めることは死に直結した。赤軍が取れる選択肢は、速やかに敵陣地を粉砕することのみだったのである。







「待ち伏せだと!?」


 驚愕する人民空軍の隊長機。

 完全に不意を突いたと思っていたのに、相手は高高度で待ち伏せしていたのである。


 1927年12月24日午前10時過ぎ。

 フランス・コミューンは、人民空軍を主力にした部隊で西部国境から侵攻を開始した。


 音響探知で敵機の接近を察知したドイツ帝国空軍は、万全の体勢で待ち構えていた。ソ連の東部国境侵攻に乗じて、一気にベルリンを目指す思惑は初っ端から破綻したのである。


「よーし、いいぞっ! やれやれーっ!」

「はっ、カエル喰いなんぞに負けるものかよ!」

「圧倒的ではないか我らが空軍は……!」


 次々と落ちていく敵機に歓声をあげる地上の基地要員たち。

 ドイツ側のアラド Ar 80Eは、人民空軍側のニューポール・ドラージュ NiD 29Vbisに対して100km/h以上優速であった。例えるならば、史実ゼロ戦でP-47(サンボル)に挑むくらいに無茶な性能差なのである。


 鉄十字を付けた機体は我が物顔で大空を飛び回り、敵機を駆逐していく。

 キルレシオは圧倒的であり、ドイツ側はこの時点で勝利を確信していた。しかし、そうは問屋が卸さなかった。


「なんだ貴様らは? ぐわぁっ!?」


 飛行場に接近する不審車両に誰何(すいか)した歩哨が問答無用で射殺される。

 装甲車を先頭にしたトラックの車列は飛行場内で停止、トラックからは続々と兵士が降車していく。


「飛行場の制圧を急げ。抵抗する者は皆殺しにしろ!」


 命令を受けて、イデアル部隊の兵士たちが動き出す。

 史実の某サバイバルホラーゲームに出てくる〇イ〇ントの如く、スキンヘッドでマッチョな巨漢兵士たちが基地内への侵入を開始したのである。


「……」


 軽機関銃を片手で軽々と保持しながら掃射するイデアル部隊の兵士。

 およそ尋常ではない光景であるが、骨延長手術と非合法の筋肉増強剤によって強化された改造人間である彼らにとっては些事であった。


「ぎゃぁぁぁぁっ!?」

「くそ、撃たれた!? 助けてくれ……」


 遮蔽物ごと撃ち抜かれる守備隊の兵士たち。

 イデアル部隊兵が使用している8mmルベル弾は、いわゆるフルサイズ弾薬である。装甲板でも持ってこない限り防ぐことは不可能であった。


「滑走路及び格納庫の制圧が完了しました」


 わずか30分で飛行場の大半が占拠された。

 フランス・コミューン側の攻撃が巧みだったこともあるが、ドイツ側が空に意識を向け過ぎていたことが最大の原因であろう。


「燃料タンクは無事だな?」

「はい。無事に確保したとのことです」

「よし、友軍を迎え入れる準備を急げ」


 飛行場を使えなくするだけなら、空爆すれば事足りる。

 それをしないのは、後で人民空軍(友軍)が使用するからである。


「頭を狙えっ! 身体に当てても奴らは簡単には止まらんぞ!」

「簡単に言うな……ぐわぁっ!?」


 当然ながら守備隊も無抵抗だったわけではない。

 しかし、彼らが使用するMP18はサブマシンガンであった。


 サブマシンガンは拳銃弾を使用する小型機関銃である。

 取り回しと火力に優れるために、屋内戦闘に適する。


 しかし、麻薬中毒者(ジャンキー)と化しているイデアル部隊兵を止めることは出来なかった。史実のモロ族、あるいは1990年代アメリカの麻薬常習犯罪者に9mmパラが通用しなかったのと同じことが起きていたのである。


「制圧が完了しました」

「捕虜は?」

「抵抗したため、全員射殺しました」

「そうか。敵ながら天晴であるな」


 情報源の確保に失敗したというのに、全く気にする様子の無い指揮官。

 エラン・ヴィタール思想に骨の髄まで浸かっている彼は、情報の大切さを理解していなかった。


 個々の兵士の精神が武器よりも勝利に重要である――というのが、エラン・ヴィタールである。史実フランス軍でも取り入れられた思想であるが、要するに精神主義である。


 第1次大戦序盤の大敗に懲りて、当時のフランス軍の教条からは削除されていた。しかし、人民陸軍では金科玉条の如く未だに信奉されていたのである。


「よし、コントロールタワーに白旗を掲げろ。これでドイツ野郎(ボッシュ)共は逃げ去るだろう」


 序盤こそ劣勢であったが、最終的に人民空軍は数で圧倒した。

 駄目押しで飛行場の占拠を見せつけたことで、ドイツ側の士気は崩壊したのである。


 遁走したドイツ軍には目もくれず、人民陸軍の兵士たちは友軍を迎え入れる。

 燃料弾薬を補給して次の攻撃目標に向かって飛び立つ人民空軍の姿は、イナゴの大群のようであった。







「この野郎、喰らえっ!」


 塹壕越しに、マウザー M1915(ツヴァイ)を水平撃ちするドイツ兵。

 発射された50mmグレネードは、狙いたがわずキャタピラを吹き飛ばしてT-16を擱座(かくざ)させた。


「「「ぎゃぁぁぁぁぁっ!?」」」


 慌てて飛び降りたタンクデサント兵は、塹壕からの弾幕でハチの巣にされてゆく。這う這うの体で飛び出た戦車兵も、同じ運命を辿ることになった。


 赤軍の奇襲から始まった東部国境での戦闘は、既に3時間が経過していた。

 しかし、第2線に後退したドイツ軍は未だに抵抗を続けていたのである。


「くそっ、なんで後続が来ないんだ!?」


 辛うじて生き残ったロシア兵は、擱座した戦車を盾にしながら怨嗟の声をあげる。その声に応えたのは、言葉ではなくMP18(サブマシンガン)の猛射であった。瞬時にボロ雑巾と化して絶命するロシア兵。


「貴様らナニをやっている!? 早く戦車を進ませんかぁっ!」


 政治委員が怒鳴るが、それで事態が解決すれば苦労はしない。

 第2線を攻撃中の兵士たちが悲惨な目に遭っている最中、その後方でもアクシデントが発生していたのである。


「そうはいっても、あまり負荷をかけるとまた橋が落ちてしまいますぜ?」

「ぐぬぬぬぬっ!?」


 工兵の反論に歯噛みする政治委員。

 実際、無茶をして架けた橋を落としてしまったので何も言えなかった。


 戦車の超壕能力は、およそ全長の4割程度が目安となる。

 T-16の全長は5mなので、2m弱ほどの高さなら越えられるのであるが……。


「ったく、まさかこんなに深くて広い塹壕を作りやがるとは。ゲルマンスキーの考えることは分からんぜ……」


 工兵は、目の前の光景に思わずぼやいてしまう。

 眼前には、日本風に言うならば空堀が広がっていたのである。


 TOG2に蹂躙された悪夢をドイツ帝国陸軍は忘れてはいなかった。

 当然ながら、対戦車豪に求めるスペックもTOG2を想定していたのである。


 幅も深さも4mに達する空堀を、赤軍の戦車は突破出来なかった。

 止むを得ず歩兵部隊を先行させたのであるが、あっさりと壊滅してしまったのである。

 

 泥縄的に架けられた橋は負荷に耐えられずに崩壊、通過中の戦車数両が落下して屑鉄と化した。こういう状況で活躍するのが架橋戦車なのであるが、赤軍は架橋戦車を保有していなかった。


 無論、全ての塹壕が巨人サイズになっているわけではない。

 戦車で通過出来そうな場所は多数見受けられるのであるが、そういった場所は竜の歯や重地雷、果ては機関銃陣地のクロスファイアが待ち受けていた。


「よし、いいぞ! ゆっくり前進しろ」

「おい、ミシミシ言ってるが本当に大丈夫なんだろうな!?」

「他に手は無いんだ。どうせ、落ちても死にはせん」


 赤軍側には、新たに橋を架けなおして戦車を通過させるしか選択肢は無かった。

 しかし、有り合わせの木材で作り上げた橋であるためスムーズな通過は望むべくも無かったのである。


「……イワンの連中、橋をかけて戦車を通してやがる」

「凄く危なっかしいっすねぇ」


 戦車の通過に四苦八苦している様子を覗いていたのは、二人のドイツ兵であった。偵察中に偶然確認して、物陰から見張っていたのである。


「とはいえ、これは見逃せんなぁ」

「では、やりますか?」

「やらいでか!」


 言うが早いか、背負っていたマウザー M1915Ⅱのストックを地面に接地させる。


「距離120、風向東から西、そよ風」


 スポッター役の片割れの報告を参考に砲身の角度を調整する。

 タイミングを見計らってトリガーを引くと、気の抜けたような音と共に50mmHEATが天に向かって放たれた。


「よし、ずらかるぞ!」

「命中は確認しないので?」

「俺は満州帰りだぞ? この程度なら外しはせん」


 背後で聞こえる爆発音。

 先輩格のドイツ兵の言う通り、狙いたがわずハッチを撃ち抜いて戦車ごと橋を崩落させたのであった。


 東部国境のいたるところで、同様の光景が繰り広げられることになる。

 ドイツ側にも相応の被害が出たが、赤軍の戦車運用に多大な制約を課すことに成功したのである。


 赤軍側としては、全ての戦車を通過させて戦力を集中的に運用したいところであった。しかし、第2線に立てこもるドイツ軍は容赦ない砲撃を浴びせてきたのである。


「こうなったら止むを得ん。橋を渡った戦車から突撃させろ」

「なっ!? そんなことすれば各個撃破されてしまいまぞ!?」

「悠長に戦車隊を集結を待っていたら、その前に全滅しかねん」

「ですが……!」


 指揮官の理不尽な命令に副官は反論する。

 しかし、他に選択肢が無いのも事実であった。


 全ての戦車が塹壕陣地を渡り切るのを待っていては、撃破されてしまう恐れがあった。橋を渡った戦車から順次第2線へ突撃させるしか無かったのである。


 赤軍は戦力の逐次投入というタブーを侵した。

 万全の体勢で待ち受けるドイツ軍に、戦力を小出しにするという愚策中の愚策を取ってしまったのである。







「音源探知。飛行機のエンジン音と思われる。こちらに接近中!」


 空中聴音機が敵機の接近を告げる。

 複数の巨大なパラボラマイクによって捉えた音は、機械的に処理されて敵機の位置と高度を割り出した。


「来たか。射撃用意!」


 防空部隊側の動きは早かった。

 国境近くに布陣していた友軍が壊滅した報を既に受けていたのである。大まかな方位と高度は既に設定済みであり、あとは微調整するのみであった。


「なっ!? 何処から撃ってきた!?」


 突如、爆散した僚機を視認して驚愕する人民空軍のパイロット。

 運悪く、高射砲(アハトアハト)が直撃したのである。


「くそ、なんて密度だ!?」

「助けてくれ!? 落ちる、落ちるーっ!」


 主力爆撃機であり、空挺輸送も兼ねるファルマン F.60 ゴリアトは鋼管帆布張りで防弾性能皆無であった。たとえ至近弾でも、炸裂した破片でたやすく引き裂かれていく。


「敵機視認! 撃ちまくれっ!」


 敵機を目視出来る距離となり、射撃を開始する高射機関砲。

 4連装銃身から猛然と撃ちだされる火線は、弾帯に混ぜられている曳光弾によって炎の舌のようにも見える。


「しまった!? 尾翼が!?」

「エンジンが火を吹いた!?」


 空を薙ぎ払う勢いで振るわれる炎の舌は、編隊飛行している敵機をまとめて捉える。圧倒的に優速な味方機で厳しい訓練をしている照準手からすれば、人民空軍の機体は鴨撃ち状態であった。


「……どれくらい落とした?」

「全体の1割に満たないかと」


 敵機が飛び去った空を睨む防空部隊の指揮官。

 未だに臨戦態勢を解かない上官に、副官は戦果を報告する。


「意外と少ないな」

「落とした数だけなら大したものだと思いますよ? それ以上に連中が大所帯だったというだけです」


 人民空軍の編隊は、まさに雲霞(うんか)の如しであった。

 迎撃に取れる時間を考慮すると、これでも破格の戦果なのである。


「そうか、まぁ、残りは後続に任せるとしよう」

「では?」

「うむ、我々は『本命』を迎撃する。杞憂に終わってくれれば良いのだがな……」


 指揮官はため息をつく。

 一瞬、逡巡するが覚悟を決めたのか声を張り上げる。


「総員聞け! 我々はこれよりコミュストの陸軍を迎撃する」


 唐突な指揮官の言葉に兵士たちは困惑する。

 声には出さないものの、『なぜ我々が?』と目が如実に語っていた。


「壊滅した友軍の最期の通信では、防空戦の最中に奇襲を喰らったらしい。上空に意識を向けている相手には上手い手ではある。敵ながら、なかなかやる」


 友軍が奇襲攻撃で壊滅したという事実を知らされて動揺する兵士たち。

 しかし、そんなことは意に介さず言葉を続ける。


「問題は、この戦法が我らに向けられる可能性があることだ。同時攻撃でなかったからと安心は出来ない。何らかの手違いで攻撃タイミングがズレただけの可能性がある」


 指揮官の予想は的中していた。

 彼らが知る由は無かったのであるが、不測の事態によってコミューン軍による空陸同時立体攻撃は不発になってしまったのである。


「もちろん、杞憂の可能性はある。しかし、最悪に備えるのは軍人の務めである。不幸にして、わたしの言葉が事実であったら……」


 再び、指揮官は言葉を切る。

 その表情には悲壮感が漂う。


「……1分でも、1秒でも奴らを遅らせることが出来れば友軍の支援になる。すまんが、全員命をくれ」

「「「ヤヴォールっ!」」」


 死んで来いという命令に、兵士たちは一糸乱れぬ敬礼で応える。

 空軍に鞍替えしたとはいえ、鉄の規律を誇るドイツ帝国陸軍の誇りは未だ健在であった。







「急げ急げっ! 可能な限り早く到着して友軍を支援するんだ!」


 装甲車を先頭にした人民陸軍の部隊が、ドイツ領内を疾走する。

 本来ならば、空軍と協同して防空部隊を叩くはずだったのである。


(くそっ、空軍の連中を優先し過ぎだろう。我らだってガソリン無しでは動けないのだぞ!?)


 攻撃のタイミングがズレた原因は、ガソリン不足であった。

 制圧した基地内の燃料だけでは足りず、周囲のガソリンスタンドから徴発することで賄ったのである。


 軍事常識的に考えるならば、攻撃タイミングを合わせるために時間調整をするべきであろう。しかし、奇襲攻撃の効果を最大限発揮するために速さが優先されたのである。


「……コマンダー、この先の防空部隊は無視するのですか?」

「当然だろう。友軍が戦闘中ならばともかく、我らの最優先目標は敵の飛行場奪取だ」

「了解です。飛行機の無い空軍なんぞ、案山子も同然ですからね」


 ファーストアタックが成功したせいか、人民陸軍側には余裕があった。

 彼らは、街道沿いに布陣する防空部隊をスルーしようとしたのであるが……。


「何が起こった!?」

「て、敵襲です!? 例の防空部隊からの攻撃と思われます」

「奴ら正気か!?」


 戦車数両がまとめて吹き飛ばされて、たちまちのうちに混乱する人民陸軍サイド。しかし、相手は待ってくれなかった。


「200で撃つ。照準急げ」

「「「ヤヴォール!」」」

「距離250……240……」

「距離200!」

「ファイエル!」


 アハトアハトの水平撃ちで、またしても戦車が消し飛ばされる。

 100mm近い貫徹力の前には、軽戦車の装甲なんぞチリ紙以下であった。


「兵を展開させろ! こうなったら殲滅したほうが早い!」

「りょ、了解です!」


 至近弾による爆風で横転した装甲車から這い出てきた指揮官が怒鳴るように命令を下す。車列が止まり、トラックから続々と兵士たちが降車する。


「させるかいっ!」


 高射機関砲の照準手が吠える。

 人民陸軍の兵士たちが反撃しようとするのを見て、機先を制するべく銃弾を叩き込む。


「ぎゃぁぁぁぁっ!?」

「ひっ、喰らっただけでバラバラにっ!?」


 高射機関砲は、史実の『挽肉製造器(ミートチョッパー)』よりも大口径大威力である。

 その20mm砲弾は、人体相手に凶悪過ぎる威力を発揮していた。


「がぁぁぁぁっ!?」

「……!?」


 特に悲惨だったのは、人民陸軍の切り札たるイデアル部隊兵たちであった。

 図体がデカくて目立つうえに、被弾面積も大きいので集中砲火を喰らうハメになったのである。


 分厚いコートと筋肉で9パラに耐えることが出来ても、20mm砲弾に耐えられるはずもない。一発で胴体に大穴が空き、あるいは四肢がもぎ取られていく。


「敵は少数だ。散開して回りこめ!」


 混乱状態に陥った人民陸軍であったが、指揮官がすぐに立ち直ったのがドイツ側の不幸であった。圧倒的な数の差を活かして回り込まれると、どうにもならないのである。


「み、味方ごと撃つだと!?」

「こいつら正気か!?」


 それでも、防空部隊側は最後まで降伏しようとはしなかった。

 防空部隊は全滅するまで戦い、人民陸軍の部隊の侵攻をわずかながらでも遅らせることに成功したのである。


「……思っていた以上に兵と時間を浪費してしまったな。遅れた分を取り戻すぞ。出発を急がせろ」


 生死確認のために、手近に伏しているドイツ兵に拳銃を撃ち込む指揮官。

 じつは、腹いせも兼ねていたりするのであるが。


 この時点では、人民陸軍側にはまだ余裕があった。

 不意を打たれて思わぬ犠牲を強いられたものの損害は許容範囲内であった。


 奇襲は失敗してしまったが、プランBの強襲作戦を遂行するには問題無い。

 生じた遅れもタイムテーブルの修正も効く段階だったのである。


 しかし、彼らは知らなかった。

 進む先に布陣する全ての防空部隊が、死に物狂いで遅滞戦術をしかけてくることを。防空部隊のゾンビの如き抵抗によって侵攻に遅延を生じさせ、累積した遅れは作戦全体を破綻させることになるのである。







「……そろそろ時間だな」


 ドイツ側指揮官は腕時計で時間を確認する。

 時刻は午前8時半であるが、未だに夜が明けていなかった。


 バルト海沿岸の独ソ国境。 

 クリスマス開戦以来、赤軍が攻撃してドイツ軍が耐えるという図式は他の戦線とは変わらない。


「えぇいっ、あの鬱陶しいのを撃ち落とせ!」


 政治委員の言葉を命令と受け取ったのか、ロシア兵たちは手持ちのPPSh-25(サブマシンガン)をぶっ放す。しかし、その火線は敵機にかすりもしなかった。


 違う点があるとすれば、ドイツ側は航空援護を受けられたことであろう。

 夜が明けると同時に、赤軍の陣地に対して艦載機による銃撃が加えられたのである。


 爆弾を搭載していない艦載機による銃撃は、さほど有効とは言えなかった。

 しかし、相手の神経を逆なでするには十分であった。


「くそっ、馬鹿にしやがってぇぇぇぇっ!?」


 激昂する政治委員であったが、これが最期の言葉となった。

 不幸なことに彼の居た周囲が、砲撃で吹き飛ばされたからである。


「観測機より報告。有効射と認む」

「よし、続けていくぞ。弾薬庫が空になるまで撃ちまくれっ!」

「ヤヴォールっ!」


 バルト海沿岸に展開した戦艦『マッケンゼン』『プリンツ・アイテル・フリードリッヒ』『グラーフ・シュペー』『フュルスト・ビスマルク』の4隻が全力砲撃を開始する。


「装填急げ!」


 砲撃の主役である主砲塔内は戦場と化していた。

 砲撃音と将兵の怒号が飛び交っていたのである。


「砲弾揚げるぞ!」

「固定の再チェック急げ!」


 弾薬庫から砲弾が引っ張り出され、揚弾筒で砲塔内部へ移送される。

 他の戦艦と違うのは、横置きではなく縦置きで揚弾されることであろう。


 マッケンゼン級に採用されているペーネミュンデ矢弾は、既存の戦艦の常識を覆す全長2mの超ロング弾である。そのため、横置き出来ずに縦置きで移送し、砲塔に入る直前で角度を変更して挿入するという特異な構造を採用していたのである。


 特異な構造は、射撃間隔に悪影響を与えた。

 マニュアルによると、1門辺りの砲撃間隔は60秒である。


「クリップ解除、挿入確認!」

「装薬挿入確認! 尾栓閉鎖!」


 しかし、この艦に採用された垂直2連砲がデメリットを打ち消した。

 2連砲なため、装弾はクリップで固定された2発をまとめて行うのである。実質的は砲撃間隔は30秒となり、運用上は許容範囲内であった。


「照準データ良し、電路接続!」

「ファイエルっ!」


 準備が完了したことを伝えるブザーが鳴り、砲術士官がトリガーを引く。

 装薬マシマシで発射された砲弾の初速は1700m/sに達した。これは史実21世紀のAPFSDS並みの数値である。


「何処から撃ってきた!?」

「この威力は艦砲だぞ!?」

「そんな馬鹿な!? ここは内陸なんだぞ!?」


 驚異的な初速と砲弾に組み込まれたロケットアシストによって、ペーネミュンデ矢弾の最大射程は150kmに達する。内陸120kmに位置する赤軍陣地は完全に射程内であった。


「……観測機より入電。『イワン ハ ゼンメツ』とのことです」

「よし、母港へ帰投する。艦載機の回収を急げ」

「ヤヴォールっ!」


 4隻合計で4000発近いペーネミュンデ矢弾を叩き込まれた赤軍は、文字通り地上から消滅した。その活躍は大いに喧伝され、マッケンゼン級は世界的に知られた艦となったのである。


 マッケンゼン級の活躍は中華民国の民を熱狂させた。

 現地では『英霊艦』と呼ばれ、寄港した『マッケンゼン』は盛大な歓迎を受けることになる。







「進路と速度は変わらず。とんでもないデカブツですよこいつは」

「そうか。ドイツまではどれくらいかかるんだ?」


 クイーンエリザベス(QE)改型戦艦『エイジャックス』のCICでは、艦長がレーダー士官とターゲットの位置を確認中であった。薄暗い室内であったが、二人の顔はブラウン管の照り返しではっきりと映し出されていた。


 事の始まりは、フランス・コミューンがドイツへ侵攻したときであった。

 対空監視中のチェインホームレーダーが、巨大な反応を探知したのである。


 この反応は、北海を北上中のジャンヌ・ダルク級航空戦艦であった。

 被膜に酸化鉄とアルミ粉を使用していたために、レーダーに捉えることが出来たのである。


 エイジャックスはユトランド沖海戦に参加した歴戦の艦である。

 しかし、大規模近代化改修(FRAM)が適用されて対空レーダーと射撃レーダーが装備されていたために、今回の追跡に投入されたのである。


「このままだと5時間ほどです。夜明けと共に攻撃するつもりでしょう」

「了解した。通信手、予想進路と速度を打電しろ」

「アイアイサー!」


 エイジャックスから打電された航空艦隊の進路は、外交ルートでベルリンへ伝えられた。首都防空を担当する戦闘機と防空部隊は、万全の体勢で待ち受けることが出来たのである。


「捉えた、そこぉっ!」


 ベルリン上空を疾駆する紅いAr 80EA(戦闘機)

 マンフレート・アルブレヒト・フォン・リヒトホーフェン空軍少将は、愛機を駆って敵機を叩き落としていく。


 エース専用機としてチューンアップされた機体は、通常の3倍の速度では無いものの僚機を置き去りに出来るだけの性能はあった。ただでさえ、敵機よりも性能で優れているというのに、チューンアップされたことによって一騎当千の活躍をしていたのである。


「そこかっ!」


 紅い機体に劣らぬ動きで、白い機体が撃墜スコアを重ねていく。

 リヒトホーフェンの副官であるヘルマン・ヴィルヘルム・ゲーリング中佐の機体である。


 彼の機体もエース専用機としてチューンアップされていた。

 ベルリン上空は、紅白コンビの独壇場となっていたのである。


「隊長たちに続けぇっ!」

「「「おおおおおっ!」」」


 2大エースの奮戦に、部下たちも奮い立つ。

 来襲してきた圧倒的多数の敵機を相手に、一歩も引かない空中戦を繰り広げたのである。


「本命が来たか!」


 リヒトホーフェンの優れた視力は、ベルリン上空に侵入してくるジャンヌ・ダルク級を捉えていた。対空砲火をあっさりと避けつつ、速力差を活かして間合いを詰めていく。


「ターゲットインサイト! 喰らいやがれっ!」


 必中を確信してトリガーを引く。

 プロペラ軸内に装備された20mmモーターカノンが咆哮する。


「だ、第3エンジン被弾!? エンジンブロックごと脱落しました!」

「馬鹿な!? エンジンは装甲板で防御されていたはず。そう簡単に破壊されるはずが……!?」


 ジャンヌ・ダルク級のエンジンは、厚さ10mmの装甲板が追加されていた。

 流れ弾やバードストライクでエンジンが損傷することがあったために、その対策として取り入れられたものである。


 しかし、当時の主流であった7.7mm機銃の防御には十分な厚さであったが、至近距離で放たれた20mm焼夷徹甲弾相手には無力であった。


「おらおらおらぁっ!」


 上昇しながらモーターカノンでエンジンを撃ち抜き、飛行船の上空を占位するやいなや、逆落としで反対側のエンジンを撃ち抜くという超絶技を披露するゲーリング。リヒトホーフェンの影に隠れがちであるが、彼も間違いなくエースパイロットであった。


「畜生!? 速過ぎてかすりもしねぇっ!」

「あの弾幕の中を突っ込んでくるとか正気の沙汰じゃねぇぞ!?」


 飛行船が速いといっても、時速換算すれば100km/h以下である。

 死に物狂いの対空砲火も、リヒトホーフェンとゲーリング相手には虚しく空を切るだけであった。


「推力低下。風に流されます!」

「前部ガスバッグ被弾! このままだと浮力が損なわれて艦が直立してしまいます!?」


 反撃の20mmモーターカノンはエンジンを破壊し、あるいはガスバッグに大穴を空けた。

 空中を舞い踊る紅白コンビによって、人民空軍はジャンヌ・ダルク級全艦を喪失したのである。


 その後、フランス共和国軍が南仏に上陸したことによりコミューン軍は撤退。

 激戦だった東部国境も、ソ連側から白紙和平の提案が出されたことで停戦することになった。


 しかし、現状をヴィルヘルム2世(カイザー)は認めるつもりはなかった。

 第1次大戦によって海外植民地を全て失ったドイツ帝国には、新たな生存圏(レーベンスラウム)が必要だったのである。


『世界は対ソ共闘へ動いている。イワンどもが世界の悪役となるのだ。で、あれば領土を切り取っても文句を言われることはあるまい』


 ――とは、当時のカイザーの言葉である。

 しかし、この言葉はドイツ国民の声を代弁しているとも言えた。


 史実でレーベンスラウムが言及されたのはヒトラーの『我が闘争』であるが、ゲルマン人に十分な領土が与えられていないという考えはそれ以前から存在していた。中世期に推し進められた東方植民も、レーベンスラウムの一種と言える。


 一方的に東西から挟撃された被害者――というのが、現在のドイツ帝国の立ち位置である。国際世論もドイツに同情的であり、世界中から支援が殺到した。


 このような悲劇を二度と繰り返さないという名目で、ドイツ帝国は軍拡を推進した。ドイツ帝国軍は、来るべき時に備えて牙を研いでいたのである。






以下、今回登場させた兵器のスペックです。


SU-18 自走榴弾砲 


全長:5.00m(車体のみ)  

全幅:1.74m  

全高:2.5m  

重量:13.5t  

速度:30km/h(整地)

行動距離:50km 100km(外部燃料タンク併用時)

武装:M1902/25 76mm野砲(固定戦闘室) 

装甲:60mm(戦闘室)

エンジン:液冷W型12気筒ガソリンエンジン170馬力

乗員:4名


赤軍の主力軽戦車T-16の派生モデル。

砲塔を固定戦闘室化することで大口径砲を搭載することに成功している。


76mm野砲の威力は充分だったものの、狭い車内で砲手が装填と照準、射撃まで兼任していたために時間当たりの発射速度はかなり低いモノであった。


固定戦闘室化したことで前面は60mmの重装甲となったが、速力は犠牲にされている。行動距離延伸のために外部燃料タンクが追加されたが、ガソリンタンクのために狙撃されと容易に炎上してしまい、早々に撤去された。



※作者の個人的意見

史実のルノー FT 75ですね。

あれよりは長砲身ですけど。


ただでさえブラック車畜な車両なのに、さらに酷くなっています。

この戦車の車長兼砲手兼無線手にはなりたくないですねぇ…。






T-16


全長:5.00m  

全幅:1.74m  

全高:2.14m  

重量:6.8t  

速度:60km/h(整地)

行動距離:70km

武装:PS-1 37mm戦車砲(砲塔) 

装甲:30mm(最厚部)

エンジン:液冷W型12気筒ガソリンエンジン170馬力

乗員:2名


赤軍の主力軽戦車。

フランス・コミューンから提供されたルノー FT-18Aがベースになっている。


FT-18Aとの最大の違いはエンジンである。

オリジナルが直4エンジンを2バンク化してV8エンジンのところを、3バンク化してW型エンジンにしたことで大幅な出力向上を果たしている。


有り余る馬力は戦車の高速化に貢献しており、履帯の幅広化によって悪路走破性も向上している。車体後部にはタンクデサント用の手すりも設置されているが、史実同様に生存性はよろしくなかったようである。


ソ連版〇作戦とでも言うべきパビェーダ計画の中核となる戦車であり、戦車生産委員会特別顧問に就任したヘンリー・フォード直々に陣頭指揮を執ることで短期間で量産までこぎ着けている。


現在は、フォードの現地法人を接収したトラクター工場で生産されており、その圧倒的な生産量で従来の主力軽戦車T-24を完全に置き換えるまで時間はかからないと思われる。



※作者の個人的意見

朝鮮事変で甚大な損害を出してしまったT-24に代わる主力軽戦車です。

火力と速力で、1号戦車相手なら楽勝です。今回はそれ以前の問題でしたけどw






MG08


種類:重機関銃

口径:8mm

銃身長:720mm

使用弾薬:8mm×57mm

装弾数:250発(布ベルト使用時)

全長:1390mm

重量:14.0kg

発射速度:480~600発/分

銃口初速:900m/s

有効射程:2000m


第一次世界大戦時のドイツ軍の標準的機関銃。

戦後になっても、改良が続けられて未だに主力重機関銃の座にある。



※作者の個人的意見

拙作で描写したのは、MG08/18です。

空冷化と軽量化がされたタイプで、しばらくは現役でしょうね。






アラド Ar 80E


全長:10.3m   

全幅:10.2m   

全高:2.65m     

重量:1980kg

翼面積:20.2㎡

最大速度:430km/h

航続距離:800km

実用上省限度:10500m

武装:7.92mm機銃×2

エンジン:ユンカース ユモ 210C 倒立液冷V型12気筒エンジン 680馬力

乗員:1名


ドイツ帝国空軍の制式戦闘機。

史実では1935年に完成した機体であるが、この世界では技術陣の奮闘により10年早く完成している。


第1次大戦序盤の航空戦や、末期のベルリン上空で英軍に好き勝手されたドイツ帝国は深刻な危機感を抱いた。幸いにして、この世界では敗戦国にはならなかったので航空技術が断絶することはなく、史実よりも技術開発が進んでいったのである。


開発において、何よりも優先されたのは速度であった。

第1次大戦時に圧倒的に優速な英軍機相手に何もできなかった教訓を無視出来なかったのである。


同時期に同業他社もライバルとなる機体を開発していたのであるが、降着装置周辺の問題を解決出来ておらず、早期配備の観点から制式採用となった。


史実オリジナルとの違いは、機体構造の全面的見直しによる機体軽量化と、翼端の縮小による高速化、搭載エンジンの変更である。機体構造の軽量化は戦時中に鹵獲した英軍機を解析した結果であり、合わせて翼端を縮小したことによる高翼面荷重化も加わって速度向上を果たしている。



※作者の個人的意見

英国を除けば、この時代ならチート級の機体。

数が少なすぎて袋叩きにされましたが、じつはかなりの戦果をあげています。






ニューポール・ドラージュ NiD 29Vbis


全長:6.49m

全幅:6.0m   

全高:2.53m     

重量:780kg(空虚重量)

翼面積:16.6㎡

最大速度:290km/h

航続距離:610km(ドロップタンク使用時)

実用上省限度:8600m

武装:7.7mm ヴィッカース機関銃×2 (前方固定式)

エンジン:イスパノ・スイザ HS-8Fc 水冷V型8気筒エンジン 330馬力

乗員:1名


フランス・コミューン人民空軍の主力戦闘機。

ベース機体となったNid 29のレーサー仕様を戦闘機に再設計した機体であり、翼端を縮めたことにより高速発揮を可能にしている。


木製モノコック構造のおかげで生産性は劣悪だったのであるが、フォードシステムを取り入れることで強引に解決している。密閉式風防を採用しており、空力的成形の効果もあって速度試験では330km/hを越える速度を叩き出している。



※作者の個人的意見

オリジナルの風防がなんであんな変なデザインになったのかと思っていましたが、下方視界の確保だと思えば納得出来なくも無いのですよね。飛行機にとって、前方視界と同じくらいに下方視界は重要なのです。


ちなみに、史実日本の戦闘機はあまり下方視界を重要視していなかったりします。

同時代の欧米の機体は胴体に深く切れ込んだ風防を持つのに対して、日本の機体は胴体に風防を載せただけのデザインに終わっています。






FM Mle 1915EA軽機関銃


種別:軽機関銃

口径:8mm

銃身長:470mm

使用弾薬:8mmルベル弾(8mm×50R)

装弾数:30発(バナナ弾倉) 200発(ベルト給弾)

全長:1143mm

重量:9070g(弾薬除く)

発射速度:毎分250発前後

銃口初速:700m/s

有効射程:200m


史実では第一次世界大戦勃発直後の大敗を受け、攻撃戦術を転換したフランス軍の要請で急遽開発されて実戦投入された軽機関銃。一般的な呼び名はショーシャ軽機関銃。


この世界ではフランス軍が最後まで脳筋思考だったために、本格的な生産は戦後までずれ込んでいる。少数の試作品が戦争末期に実戦投入されており、そのときに発生しまくった不具合を潰すために、アメリカの銃器メーカーに改良を依頼している。一説には、あのジョン・ブローニングも関わったと言われているが真偽は不明である。


原型が無くなるほどに改良された本銃は、EA型と呼称された。

なお、Aはアドバンスではなく、アメリカを意味している。


弾倉はバナナ型に変更され、ベルト給弾にも対応している。

バレルの交換も簡単に出来る構造に変更されている。



※作者の個人的意見

史実のM60軽機関銃よりも軽量だったりするので、ランボー撃ちが捗ります(オイ


ロングリコイルで連射速度が抑えられているので弾幕を張るよりも点射して精密狙撃するのに向いていると思います。






MP18


種別:短機関銃

口径:9mm

銃身長:201mm

使用弾薬:9mmパラベラム弾

装弾数:20発ボックスマガジン

全長:818mm

重量:4350g

発射速度:毎分350~450発/分

銃口初速:380m/s

有効射程:100m


史実では浸透戦術を実現するために開発された世界初のサブマシンガン。

この世界では、早期に第1次大戦が終結したために戦後の制式採用となった。


史実との最大の違いは、ルガーP08用のスネイルマガジンではなく、最初から専用のボックスマガジンが採用されていることである。装弾が楽になり、軽くなったことで携帯性は増したが、その分反動を吸収しづらくなって命中率に悪影響が出ている。


1928年の時点で、全ての部隊に配備されている。

従来のモーゼルは予備兵器として保管するか、スコープを付けて狙撃銃として運用されている。


※作者の個人的意見

塹壕戦や屋内戦闘が多いこの世界では大活躍出来そうですが、そのしわ寄せでアサルトライフルの開発が遅れそうです。






マウザー M1915Ⅱ


種別:重グレネードランチャー

口径:50mm

銃身長:680mm

使用弾薬:グレネード、HEAT、ガス弾、信号弾など

全長:1380mm

重量:10.8kg

有効射程:使用する弾薬によって異なる。

最大射程:80~1500m(最大仰角~水平撃ち。グレネード使用時)


戦後にドイツ帝国陸軍が制式採用した軽迫とグレネードランチャーの中間とでも言うべき存在。ドイツ帝国陸軍では、重グレネードランチャーのカテゴリーに入れられている。


第1次大戦後にマックス・ヘルマン・バウアーによって開発された。

当時のバウアーは新しい毒ガス戦術の模索をしており、彼の目に留まったのが大戦中に日本軍から鹵獲した三年式重擲弾筒であった。


小型軽量でありながら、800gもの重量弾を遠距離に投射出来る三年式重擲弾筒であれば、敵陣へ毒ガス入りの小型ガスボンベを直接投射することが可能と見積もられた。これが実現出来れば、従来の毒ガス戦術よりも作戦の柔軟性と効果の確実性が狙えると彼は考えたのである。


試作した小型毒ガスボンベを三年式重擲弾筒で発射する実験は見事成功したのであるが、実際に運用するとなると問題が山積みであった。これは日本、ドイツ両陸軍のドクトリンの違いによるものが大きかった。そこで、バウアーは擲弾筒の要素をそのままに再設計を行い、完成したのがマウザーM1915Ⅱである。


名称にⅡの名がついているのは、ベースとなったマウザーM1915(史実M1918)の部品を流用しているためである。史実M1918から、銃身を引っこ抜いて50mm径の軽迫撃砲を載せたような外観をしている。


銃身にはライフルが刻まれており、回転によって弾体を安定させる機構になっている。ストックを地面につけて角度をつければ迫撃砲となり、2脚を使用すれば水平射撃が可能である。


迫撃砲にしては高い命中精度と、至近から遠距離まで対応出来る歩兵の火力投射手段として大いに期待されており、より洗練されたモデルが現在開発中である。


使用弾薬は最初は毒ガス弾のみであったが、重量弾を遠距離まで高精度で投射出来る性能を買われてグレネード弾やHEAT弾も開発された。結果として、化学兵器部隊が歩兵支援能力と対戦車戦闘能力を獲得してしまい、兵科間の縄張り争いの原因となった。


特筆すべき点としては、この世界で最初のHEAT弾採用例であることが挙げられる。理想的な条件ならば80~90mm程度の装甲板を貫徹することが可能であったが、砲身のライフルで弾体が回転してメタルジェットが拡散、威力低減を起こしていることが判明したために、後期生産タイプのHEAT弾にはスリップリングが装着されている。



※作者の個人的意見

状況に応じて直射と迫撃砲の使い分けが出来るので今回は大活躍しています。

個人的には早めにパンツァーファウストを出したいのですが、現状だと使いどころがないんですよねぇ。






8.8cm FlaK 25


種類:高射砲

口径:88mm

砲身長:4938mm

全長:5791mm

全高:2100mm

重量:7407kg

旋回角:360°

発射速度:15~20発/分

最大射程:11900m(対空目標)


ドイツ帝国空軍師団直轄の防空部隊が装備する高射砲。

戦争末期のベルリン上空でのロイヤルエアフォース無双に衝撃を受けた技術者が以下略。


フランス・コミューンの国境とベルリンを結ぶ線上に、後述の高射機関砲と共に独立した防空部隊として大量に配備されている。


史実オリジナルとの違いは、敵機の探知に聴音ラッパではなくパラボラマイクを採用していることである。遠距離の音を拾うためにパラボラが大径化することになるが、それでもラッパ聴音よりは早く正確な照準が期待出来た。



※作者の個人的意見

本業よりも水平撃ちで戦果を挙げてしまったので、対戦車戦力化待った無しになってしまいました。ティーガーの実用化が捗ることでしょうね。






ファルマン F.60 ゴリアト(初期生産型)


全長:14.77m

全幅:26.5m   

全高:4.90m     

重量:2850kg(空虚重量)

翼面積:153㎡

最大速度:154km/h

航続距離:1200km

実用上省限度:4200m

武装:7.7mm機関銃×5 

  :爆弾搭載量1040kg or 空挺隊員10名

エンジン:ノーム・ローン ジュピター 空冷星型9気筒エンジン 480馬力×2

乗員:4名


フランス・コミューン人民空軍の主力爆撃機。

第1次大戦中に完成していたが、戦場に投入されることなく人民空軍に接収されて使用されている。


エンジンは第1次大戦中に英国から提供されたものを使い続けている。

密かにコピーしようとしたのであるが技術不足で頓挫してしまい、自前のエンジンを搭載した後期型は性能が低下している。


空挺部隊の母機としても使用されているが、ジャンヌ・ダルク級の搭載量と比べると大幅に見劣りするうえに運用上の制約も多いので少数にとどまっている。



※作者の個人的意見

戦闘機だけじゃ戦争にならないので登場させましたが、性能的に微妙過ぎて活躍させようが無かったです(;´∀`)






2cm Flakvierling26


種類:対空機関砲(4連装)

口径:20mm

銃身長:1300mm

使用弾薬:20x138mmB弾

装弾数:ベルト給弾(非分離式)

全長:4080mm

重量:1509kg(本体のみ)

仰角:-10°~ +100°

旋回角:360°

発射速度:1200発/分(最大システム速度)

銃口初速:900m/s

有効射程:2200m


ドイツ帝国空軍師団直轄の防空部隊が装備する4連装対空機関砲。

戦争末期のベルリン上空でのロイヤルエアフォース無双に衝撃を受けた技術者が以下略。


敗戦国にならなかったために、メーカーが健在で開発そのものはスムーズに進んだ。なお、ベースとなった2cm Flak25は、史実ではFlak30に相当する機関砲であるが、この世界ではモーゼル社によって開発されている。


史実オリジナルとの違いは、発射速度の遅さとベルト給弾化である。

史実のFlakvierling38よりも砲の性能が低い分、総合的な発射速度は低下している。ただし、ベルト給弾化によって長時間弾幕を貼ることが可能になっているので、総合的な戦闘力は勝るとも劣らないものに仕上がっている。



※作者の個人的意見

ミートチョッパーとして今回は大活躍しました。

その昔、バイオハザードのCG映画(タイトル忘れた)で、巨大タイラントにA-10が30mmをぶち込む描写がありましたが、今回のイデアル部隊兵もそんな感じです。さぞかし、スプラッタなことになったことでしょう…((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル






フォード・フランス モデルTT


全長:5.50m(装甲車)

ホイールベース:4.00m(トラック・装甲車共通)  

全幅:1.74m  

全高:2.31m  

重量:3.5t(装甲車)  

速度:40km/h

行動距離:200km

主砲:Mle1922 軽機関銃(7.5×54mmフレンチ弾使用)

装甲:5~8mm

エンジン:液冷直列4気筒ガソリンエンジン50馬力

乗員:4名


人民陸軍で制式採用されている輸送トラック&装甲車。

フレームを共用化で6割近い部品の互換性を確保した結果、生産性と整備性が異様に優れた車両になった。


エンジン回りに関しては、トラック、輸送車、FT-18Aで9割近い互換性があった。前線で故障しても、そこら中に部品があるために早期復帰が可能であり、人民陸軍の電撃戦を支えた陰の立役者であった。


共通フレームに、トラック&装甲車のボディを架装しているだけなので、修理に出したらトラックが装甲車になってたなんて珍事もあったようである。


圧倒的な信頼性は前線の兵士に愛されたものの、トラックとしては平凡な性能であり、装甲車としてもパッとしたものが無かったために戦力外になるのも早かった。



※作者の個人的意見

史実フォード モデルTTのマイチェン版です。

ギア周りは弄って高速化してます。さすがに、オリジナルのままだと遅すぎるし(汗


古くはロールスロイス装甲車があるように、普通の車を装甲車に仕立てたのって意外とあるんですよね。フォードのモデルTを装甲車に仕立てた例があるくらいですし。だから、モデルTTを装甲車にしても問題無いわけですw






PPSh-25 


種別:軍用短機関銃

口径:9mm

銃身長:196mm

使用弾薬:9mmパラベラム弾

装弾数:32/50発(箱型弾倉)

全長:762mm

重量:3680g

有効射程:100m


赤軍の制式サブマシンガン。

第1次大戦時に、英国から大量供給を受けたステンガンの改良モデルである。


主な改良点は、ストックの木製化とフォアグリップの追加である。

ストックを木製化することで鉄資源の節約に成功しており、フォアグリップの追加によって射撃精度も向上している。


ベースとなったステンガンは構造が極めて簡易でコピーは容易であった。

しかし、英国産ステンガンは高い部品精度によって信頼性を確保しており、コピー品の作動精度は酷いものであった。


この問題は、パビェーダ計画の一環で生産工程の全面的な見直しによって解決が図られた。取り回しの良い本銃は歩兵の主武装のみならず、戦車兵や空挺兵、海兵用などあらゆる兵科に採用されることになる。



※作者の個人的意見

史実のSTEN Mk5仕様です。

ストックの木製化は、寒冷地で頬付けして貼りつくのを防止する意味もあります。サブマシンガンでそんな射撃することがあるかは疑問ですが。






マッケンゼン


排水量:33000t(常備) 

全長:227.0m 

全幅:30.4m

吃水:8.7m

機関:重油専燃缶32基+パーソンズ式ギアードタービン4軸推進

最大出力:92000馬力

最大速力:29ノット

航続距離:14ノット/8000浬 

乗員:1227名

兵装:70口径31cm連装垂直2連砲3基

   45口径15cm単装砲12基

   45口径8.8cm単装砲8基  

   航空機20機(ハンザ・ブランデンブルク W.12 索敵・弾着観測・防空兼用)

装甲:装甲帯100~300mm

   主甲板30~80mm(後部飛行甲板除く)

   主砲塔270mm(前盾) 230mm(側盾) 230mm(後盾) 80mm(天蓋)

   主砲バーベット部270mm(最厚部)

   司令塔300mm


ドイツ海軍が建造した超フ級戦艦の1番艦。

同型艦は『プリンツ・アイテル・フリードリッヒ』『グラーフ・シュペー』『フュルスト・ビスマルク』


当初の計画では15インチもしくは16インチ砲を搭載した真っ当な巡洋戦艦になるはずであった。しかし、搭載する予定の砲は未だに設計段階であった。建造が急がれる状況で、新型砲の完成をいつまでも待つわけにもいかず技術者達を悩ませていた。


技術者達の救い?となったのが、テッド・ハーグリーヴスが描いたSF同人誌であった。生前に架〇機の〇で見た『フ〇ン・デ〇・タン 〇ァハ〇』が忘れらずに描いてしまったシロモノなのであるが、それがどういうわけかドイツにまで流れていたのである。


『連装垂直2連砲』『ペーネミュンデ矢弾』のアイデアは、ゲルマン技術者達を大いに刺激した。特にペーネミュンデ矢弾は、詳細な形状まで描かれていたために労せずに完成にまでこぎ着けた。ライフリングを廃した滑腔砲であるために製作が簡単だったことも原因である。


砲身は28cm砲をボーリングして31cmに拡大された。

ライフリングを廃して、内部はクロムメッキでピカピカに磨き上げられた。この砲を垂直に束ねたのが垂直2連砲である。この砲を連装するので砲塔につき4門、3基合計12門の火力を発揮可能であった。


ペーネミュンデ矢弾は、全長2mというこれまでの砲弾の常識を覆す長さである。

砲弾の径は100mm程度であるが、砲弾の中ほどにあるサボと後端のフィンによって砲身内で支持されている。


この砲弾はロケット推進が組み込まれており、発射されて数秒後に点火して推力を発揮した。


極めて細長く、空気抵抗の少ない形状のペーネミュンデ矢弾は、1400m/sという驚異的な初速とロケットアシストにより最大射程150kmという空前絶後の長射程を達成することに成功している。


全長は長いものの、細長く容積が小さいペーネミュンデ矢弾は艦内に大量に搭載することが可能であった。長射程と大量に搭載出来ることは、陸軍から求められた支援砲撃能力に合致するものでもあった。


本命の対艦船においては、その長射程を活かしたアウトレンジ戦法が求められた。

アウトレンジするためには敵を早期に発見すること、相対距離を維持するための速力が必要となるが、速力はともかくとして150kmという射程は見通し距離を遥かに超えており、目視以外の索敵手段が必要となった。


当時のドイツにはレーダーの概念すら存在しておらず、索敵手段は航空機に頼ることになった。本級の艦体後部には大型格納庫設けられており、マッケンゼン級は水上機母艦として20機程度の運用が可能であった。


速力があって偵察・通信機能も充実していたことから旗艦として運用されることが多く、良くも悪くも非常に目立つ艦であった。その特異な形状は各国から様々な憶測を呼ぶことになる。



※作者の個人的意見

想定された戦場に投入されたので、今回は大活躍しました。

味を占めて後継艦の建造まで決まってしまいましたが、艦隊戦になったら苦労するどころじゃ済まないだろうなぁ…南無ぅ( ̄人 ̄)ちーん






ハンザ・ブランデンブルク W.12


全長:8.69m   

全幅:9.6m    

全高:3.3m     

重量:967kg    

翼面積:36.2㎡

最大速度:160km/h

実用上昇限度:5000m

武装:IMG08機関銃×1(操縦席前方) パラベラムMG14軽機関銃(後部銃座)

エンジン:メルセデス D.IIIa 液冷エンジン 160馬力

乗員:2名


マッケンゼン級で運用されている水上機。

艦後方の甲板に縛止されているのに加えて、艦内の格納庫に収容されている。



※作者の個人的意見

弾着観測ついでにやった嫌がらせ銃撃が高評価だったものの、火力不足は否めないので爆装可能な機体の開発が推進されることでしょう。






ジャンヌ・ダルク


排水量:182.8t(空虚重量) 

全長:240.0m 

直径:40m

全高:44.7m

機関:ファルマン12We 水冷12気筒550馬力8基推進(水素+プロパン混合ガス使用)

最大出力:4400馬力 

最大速力:45ノット(巡航速度) 78ノット(最高速度)

航続距離:45ノット/3000浬(最大搭載時)

乗員:65名

兵装:50口径8mm重機関銃25基

   空挺隊員400名+投下用武装コンテナ(最大搭載時)

   装甲:5mm(前部操舵室、後部操舵室) 10mmエンジン


人民空軍が、アメリカ企業の協力を受けて建造した大型飛行船。

同型艦は『ラ・イル』『ジル・ド・レ』『シャルル・ド・ヴァロワ』『ジャン・ド・デュノワ』


来るべきドイツとの再戦で、フランス・コミューンの軍関係者の頭を悩ましていたのが、立ちはだかるであろうドイツ軍の塹壕陣地であった。塹壕を見ただけで戦意崩壊してしまうほどのトラウマと化していたのである。


この問題を解決するために考案されたのが、飛行船を使った浸透戦術であった。


夜間に飛行船を無音航行させることで塹壕を飛び越え、空挺部隊を降下させて速やかに司令部を無力化を完了させる。その後は、後続の陸軍のために塹壕を破壊して道を作るまでが任務であった。


設計と建造はアメリカ国内で行われた。

フランス・コミューン側は、建造資金と(ドイツから奪った)超ジュラルミンの製造技術を提供している。この超ジュラルミンをアメリカの技術陣が、史実超々ジュラルミンレベルにまで強化したものが骨組みに採用されている。


ちなみに、フランス・コミューン側から提供されたドイツの技術は多岐に渡っており、第1次大戦に関われなかったアメリカにとっては貴重な技術習得の機会であった。


浮力を発生させるガスは、水素とヘリウムを併用している。

水素は安価なので気軽に放出することが可能であり、その分浮力の調整がやり易くなっている。船体に設置された雨水回収システムと風力発電による電力で水を電気分解して水素を発生させて再充填する装置を装備しているが、実際にどの程度役に立ったのかは不明である。


船体後方の広大な格納庫は空挺部隊の装備コンテナ置き場であるが、肝心の空挺部隊員の居住スペースは存在しなかった。短距離侵攻しかしないと割り切ったのか、空いているスペースに適当に雑魚寝するなり、骨組みにハンモックを吊るすなりしていたようである。


1927年のスペイン共産党のクーデター支援に投入されたが、バードストライクでエンジンを損傷したので対策としてエンジン周辺に装甲が追加された。


1928年1月のベルリン侵攻作戦に投入されたが、帝国空軍の二大エースであるリヒトホーフェンとゲーリングによって全艦撃墜されている。


ジャンヌ・ダルク級の拡大発展型の建造が進められていたのであるが、フランス・コミューン降伏によって建造は中断している。その後どうなったかは不明である。



※作者の個人的意見

いくら無音で闇に紛れようとも、英国のレーダーの前には無力でした(哀

ジュラルミンの骨格なうえに、被膜は酸化鉄とアルミ粉でコーティングされてるわけで、RCSが酷いことになるのはどうしようもありません。レーダーの存在を知らなかったのが敗因ですね。






HMS エイジャックス(FRAM適用艦)


排水量:38500t(常備)

全長:220.8m 

全幅:29.1m

吃水:8.9m

機関:大型艦船用デルティック16基4軸推進

最大出力:240000馬力

最大速力:31.5ノット

航続距離:16ノット/15000浬 

乗員:1100名

兵装:45口径38.1cm連装砲4基

   45口径15.2cm単装砲16基

   45口径7.6cm単装高角砲6基 

   12.7mm4連装機銃4基

装甲:舷側330mm(水線部主装甲) 152mm(艦首尾部)

   甲板130mm

   主砲塔330mm(前盾) 279mm(側盾) 114mm(天蓋)

   主砲バーベット部330mm(砲塔前盾) 254mm(甲板上部・前盾) 178mm(甲板上部・後盾) 152mm(甲板下部・前盾) 101mm(甲板下部・後盾)

   76mm(艦橋) 200mm(CIC) 

レーダー:79型1基(射撃用) 281型1基(対空用)


QE改型戦艦の3番艦。

この世界ではQE型高速戦艦として完成したエイジャックスに、大規模近代化改修(FRAM)が適用されたものである。


司令塔が撤去されてスペース効率重視の箱型艦橋となり艦容が一変している。

その他にも舷側のケースメイト砲塔も撤去されたことで、見た目は完全に別物と化している。


主砲は重量砲弾(SHS)対応にするために砲塔ごと交換されている。

ちなみに、旧砲塔は要塞砲として転用される予定である。


バルジを装備したことで全幅が増えているが、艦首の延長と中速、最高速で効率の良いバルバスバウの装備、さらに大型艦船用大出力デルティックの恩恵で、現時点では世界最速の戦艦となった。


レーダーを本格的に運用した艦としても、本級は特筆すべき存在である。

後の改装で、より高性能なレーダーが多数搭載されることになる。


エンジン換装により、浮いたボイラーのスペースにCICが設置されている。

舷側装甲に加えて、独自に200mmの装甲があり艦内で最も安全な空間となっている。



※作者の個人的意見

ついに出て来てしまったFRAM適用QE型です。

足は速いし長いわで神出鬼没、SHSで火力も充実と敵に回したらすげー嫌な艦になることでしょうw


全てのQE型にFRAMが適用されるわけではありませんが、それでも10隻くらいは改装の対象になるかと。残りは植民地独立のお祝いとして押し付けるか、他艦種への改装用となります。






アラド Ar 80EA


全長:10.3m   

全幅:10.2m   

全高:2.65m     

重量:1980kg

翼面積:20.2㎡

最大速度:440km/h

航続距離:800km

実用上省限度:11000m

武装:7.92mm機銃×2(機首) 20mmモーターカノン(プロペラ軸内)

エンジン:ユンカース ユモ 210C改 倒立液冷V型12気筒エンジン 720馬力

乗員:1名


ドイツ帝国空軍の制式戦闘機アラド Ar 80Eをカスタムした機体。

少数であるが、エース専用機として量産されている。


Ar 80Eとの最大の違いは、プロペラ軸内に装備された20mmモーターカノンである。当時としては驚異的な火力であり、大物狩りに威力を発揮した。



※作者の個人的意見

量産機をカスタムしてエース専用機にするのは、戦記物のお約束です(断言

今回は決定的な場面で大暴れしてくれたので、今度のドイツ空軍ではエース専用機が流行る……かもしれませんw

この世界のドイツも史実と同様に共産主義への防波堤として期待されているので、多少のヤンチャは英国は見逃してくれるでしょう。大手を振ってソ連の領土切り取りが出来ると言うものですw


穀倉地帯のウクライナと油田のあるバクーは絶対欲しいところですね。

カイザーの野望はこれからも止まりませんよっ!( ゜д゜ )クワッ!!


>「「「Ураааааааа!」」」

ロシア兵言えばウラー!です。

とりあえず書いておけばロシア兵と分かるので便利(オイ


>竜の歯

最近のウクライナ情勢では、ロシア側がウクライナの反抗を恐れて竜の歯を設置しているとのこと。何時の時代でも戦車の天敵なんですねぇ。


>政治委員

この時代だとまだ政治委員です。

今回の大敗北に激怒したスターリンが大粛清を発動したら政治将校に……いや、この状況でさすがにそんなことしないはず。多分、きっと。


>〇イ〇ント

見た目はRE2のほうです。

あんなのが、わらわら突撃してきたら怖いなんてもんじゃありませんね(;´∀`)


>エラン・ヴィタール思想

ヴィタール→バイタル→Vit(RO民


>超壕能力

戦車が塹壕を越える能力のことです。

電撃戦を重視した戦車では重要視されませんでしたが、今回は塹壕戦だったのでとても困ったと言うお話でした。ちなみに、鈍足として叩かれることの多い史実のチャーチル戦車ですが、超壕能力は4m近くあります。歩兵が行ける場所ならどこにでも行ける歩兵戦車の傑作なのです。


>「俺は満州帰りだぞ? この程度なら外しはせん」

関東軍と死闘を繰り広げたドイツ帝国陸軍遠征軍の生き残りです。

この世界だとベトナム英雄帰還兵みたいな扱いになっているかもしれません。


>『挽肉製造器(ミートチョッパー)

史実だと12.7mmでも悲惨なことになったのに、それを上回る20mmの大口径をぶち込まれたら五体満足で死ねるはずもありませんね…(-∧-;) ナムナム


>通常の3倍の速度では無いものの

赤く塗っただけで3倍の性能が出せりゃ苦労はしないんだよっ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「対空砲で戦車を撃つのは、卑怯ですな」 [一言] 8.8cmFlakは良い物ですね。 皇国にも欲ちい。。。
[良い点] ロシア正教のクリスマスは1月だからセーフ!え?ソ連だからそもそも関係無いって? [一言] 重量制限の厳しい陸上では、超壕能力や不整地走破能力と引き換えに小型化して重量を節約して、戦闘能力を…
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