夏の推理小説部合宿・徘徊する殺人機篇part4 “文月の家にて集合„
次の日。文月の家に朝早くから集合になっていた。
文月の家は滅赤市にある。それも豪邸が立ち並ぶ住宅街の一角にあり、
おそらく水篶の家より大きくまた、洋風な邸である。
俺は何回も来たことがあるので分かるのだが文月の家は別の土地に
ガレージを保有しており、そこには様々な車がある。
今回は別荘のある島に行くために港に向かうからだろう、
文月の家の前まで来ると高級ワゴン車が2台停まっている。
「うーすっ、睦月。おせえぞ」
文月が俺を見て言う。そう、もう俺以外は全員揃っているのだ。
「おいおい、皆張り切りすぎだろ。まだ集合時間より早いんだけど」
「いやあ、何故だか皆早く来ててね。ちなみに水篶っちゃんなんて...」
「わーっ!!!ストップストップ!!」
文月が何かを口走ろうとした時、秋葉と話していた水篶がこちらに
急いでやって来る。
「まぁ、水篶。1時間も前に来たらそれは早すぎだよな」
俺は文月が口走ろうとしていたことを何も知らない筈なのに平然に言う。
「うっ...。もぅ睦月くんはふつーに傷つくことを平然に言うよね...ハァ」
「んな、落ち込む程じゃないって水篶っちゃん」
「そうだぞ。早起きは三文の徳って言うじゃないか。何か良いことあるかもよ」
「むぅ...。睦月くんに言われると余計凹む...」
「睦月は今は黙っとけ」
「仕方ない。じゃあ皐月もとりあえず挨拶しとけ。
あとそこの壁の後ろに居るの分かってるぞ...斬月」
「いやあ、流石ですね神代先輩...」
「斬月、お前も皐月と一緒に挨拶はしとけ」
俺がそう言うと皐月と斬月が横に並び、言う。
「えーと文月とか秋葉ねえちゃんは知ってたりするかもだけど
このバカアニキの妹をやっている神代 皐月です。宜しく」
「えーと初めまして。霜凪先輩と山吹先輩、神代先輩は分かるとは
思いますが木枯 斬月って言います。宜しくお願いします」
その後お互いの自己紹介が始まり、時間は元々の集合予定時間に
なった。そこで文月の家から運転手らしき使用人が家の玄関から
2人出てきて文月に「時間です。文月様」と耳打ち。
文月も俺達に合図を送り、高級ワゴン車に乗り込む。
車は2台。1台目には俺と秋葉、水篶と斬月。2台目には文月と山吹さん、
皐月が乗っている。そしてこの2台の車は港に向けて走り出した。




