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4電車にて

翌日。


私は痛む身体を引きずるようにして学校に向かった。


先に行ったかと思ったが、駅の改札口で私を見つけると微笑を浮かべて近付いてきたソレは遠目にも際立つ容姿だった。


色素薄めのサラサラとした髪、目を逸らしたくなるほど整い過ぎた顔、バランスの良すぎる体格。


やっぱりいたか…。


数真。


「出たな…」


思わず呟く。

改札を通り、背後に気配を感じながらいつものようにホームへ向かう私。


学校まで乗り換えありで40分。


はー…。


昨日のコトを考えると赤面してしまう…いや、うん、毅然としなくては。


しかし一緒に学校に行くのか…。いつもそうしてきたんだからまあ今日別々なのもかえっておかしいだろうけど。

なぜかわからないがヘンな胸騒ぎがする。


これって羞恥心なんだろうか?それとも条件反射的な反応なのか?


まぁ…だいじょうぶ。


うん。何処から見たってわからない。今朝も鏡で何度も確認してきたし。見た目に、私にはなんの変化も無かった。なんか拍子ぬけするぐらいちっとも変わらない。いやみかけ変わってても困るんだけど。


ただ…。


「和音」


うう…コイツ、なんとかならないの…。


「ずいぶん疲れてる」


誰のせいだ誰の!


慣れ慣れしく、数真は私の肩に手を置いてきた。


それはいつもの、姉を気遣う優等生の仕種に変わりはない。


だけど。


「数真くん、喋りがヘンだ」


数真の手を肩からべりっと剥がして私はにこりと爽やかに笑ってみせた。


ホームは混み合っている。入ってくる電車に乗って仕舞えば満員だからもう余計な話をする余裕もなくなるだろう。


「あのね、あなたはもうちょっと賢いのかと思ってたけど?」


「へえ…」


数真の瞳が興味深げに輝く。

「つまり?」


「言葉に気をつけてねってこと。いくら姉弟でもケジメは大切だよ」


にっこり押すように告げる。

言外に伝わったと思う。


〜昨日の件は無かったことにしましょうね?私たちは姉弟、いいわね〜?


…同意以外は否認とす。賢い数真は理解したはずだ。


「…ふぅん…まあ…面白いね」


鮮やかに流し目をくれると数真は車両からホームに溢れた人波をやり過ごすと、電車に乗り込んだ。


「和音ちゃん」


数真に腕を掴まれてぎゅうぎゅう詰めの車両に乗る。


…私、バカ?


なんで女性専用に乗らなかったんだ…

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