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22ダブルデートって初めてですが〜3

雅也さんは大人だ。

いろいろ社交辞令で持ち上げてはくれるけど、佐々木くんとは違って私にそういう好意を持っていないから、だから、安心。


きっとがっかりされたりしないから。


この笑顔がうわべだけで、中身は数真へのコンプレックスにどろどろの嫌なヤツの私を見ても、驚いたりはしないだろう。


だって昔の私を知ってるし。


にこにこしてる空っぽの私へ…どうしてだか好きだと言ってくれた佐々木くんとは違う。


女の子みんなに無視されて泣いてた子供の頃の私を知っているんだから。


ああ…なんか。

フラフラするな。頭に血が行ってない感じ。


レモンソーダを眺めたり雅也さんと楽しげに話したり。私は忙しい。数真たちの会話なんか耳に入らない。

知りたくない。


数真の顔。

今は笑ってるのにさっきは私を見て怒ってた。


あれは何。


邪魔なモノを見る目。

そうなのかな…私、邪魔なのか?


だめだ。


震える。


胸が上手く呼吸できない。

雅也さんが私をじっと見つめて黙り込んでしまった。

変に思われたのかな。

何を話せばいい?


雅也さんが喜びそうな話題。

話せ。


話さなきゃ。



その時、優しい手が伸びてきて、私は情けないことに…悔しいことにそれを嬉しいと思ってしまった。


「和音ちゃん」


数真。


「ちょっと御手洗いに行っておいで」


「…はい…」


雅也さんは私の頭から手をそっと下ろすと、また笑って促した。


しょうがないな、って感じの苦笑。


「ちょっと行ってきますね。映画、時間は…」


「大丈夫。数真たちは先に行かせとくから。ゆっくりしておいで」


「…すみません」


頭を下げる私。


「はいはい、待つのは好きだからね。ぼーっと待ってるからそのうち帰っといで?」


雅也さんの気遣いに甘えさせてもらおう。


生ぬるい水で満たされたみたいなぼんやりした頭を抱えて私はトイレへ向かった。


雅也さんの気だるげな風情に救われる。

こういう時に騒がず知らん顔しながら、そっと気遣いしてくれる、大人の態度。


…あれ。


なんで。



目が…


胸が痛かったはずなのに、目が熱い。


あ…


なんで泣いてるなんで泣く?


ばかみたい。


洗面所の鏡に映る。


目を大きく見開いて。


涙だらけの私。


わけわからない。

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