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孤島オンライン  作者: 西谷夏樹
ギルド結成
13/102

アイテム考察

 拠点に戻り、俺はアイテムボックスの前に立った。


 昨日の時点で一台しかなかったアイテムボックスは二台に増えていた。たぶんアイテムが入りきらなくなってマルボロが追加で設置したんだろう。


 ひとまず中になにが入っているのか確認しておくか。


【アイテムボックス 1】

・木材 x354

・石材x60

・火打ち石 x22

・繊維 x17

・鉄鉱石 x2

・羽毛 x211

・獣皮 x48

・キチンx16

・弓 x1

・矢 x31

・投石具 x3


【アイテムボックス2】

・木材 x132

・石材 x10

・繊維 x5

・羽毛 x44

・シャノミの実 x31

・グランドバードの生肉 x6

・アングリーライノの生肉x13

・腐った肉 x67

・ライノの白角

・パラの種 x2

・ゴリンの実 x1

・モンスターの糞(中) x3

・獣皮の服(胴体) x2

・獣皮の服(腰) x2


「おお、なんかいろいろ増えてる!?」


 つい声が出てしまった。初めて見るアイテムをそれぞれ見ていく。


【火打ち石&鉄鉱石】

解説文を見るに、これらは木材や石材と同系統の素材系アイテムらしい。


【腐った肉】

昨日モンスターから剥ぎ取った生肉は一日経ってほとんど腐っていた。これだけ南国な気候だと仕方ないのかもしれないけど、ちょっともったいない。


【獣皮の服x2】

マルボロが俺とフューネス用に作ってくれたんだろうか。あとで聞いてお礼を言っておかないと。


【モンスターの糞】

こいつはちょっといただけない。なんでモンスターの糞をアイテムボックスに入れたんだ嫌がらせか。別に匂わないけど気分的に嫌だ。犯人は三姉弟の双子?


【パラの種】

コスニアでは農業ができるらしい。


 特別レアリティの高いアイテムが増えたわけではないみたいだ。ただ、それにしてもアイテムの種類が多い。まだまだほんの序盤で、それも海岸から動いていない状況でこれとなると、今後はもっとたくさんのアイテムが登場するのかもしれない。


 黙って考えていると、背後で人が起き上がる気配がした。


「こんにちは」

「お!フューネスさん」


 フューネスがログインしてきた。長い藍色の髪を揺らしながら、フューネスは俺のことを見上げて言った。


「何してるの?」

「昨日マルボロさんが集めたアイテムを見てただけだよ」

「へえ、何か珍しいものでもあった?」

「マルボロさん、俺らがログアウトした後で俺たち用の服を作ってくれてたみたい。2セット上下であるし。ほらそっちで寝てるマルボロさんが着てるやつ」

「ああ、ほんとだ。ゲーム内とは言えさすがに下着姿で歩き回るのは抵抗あったから助かるね」


 俺もフューネスもほとんど素っ裸だ。フューネスは割と平然としているが、ゲーム慣れしていない女性は抵抗を覚えるかもしれない。


 まあ……VRゲームを渡り歩いていれば派手な衣装(スキン)は日常茶飯事ではある。俺も別ゲーではふんどし姿で街中を歩くくらいはしたことがあるし、フューネスもそういったVRゲーム特有の諸々には順応済みなのだろう。


 と、ふと俺は三姉弟のことをフューネスに話していないのに気付いた。


「そういやさっき拠点が襲撃にあってたんだけど」

「え、大丈夫だったの?」


 フューネスは拠点をあちこち見回し始めた。


「壁は壊されてないよ。現行犯で押さえたから」

「あ、そうなんだ。相手は?」

「小中学生の三人組。とっちめた後で説教してさ。で、なんか色々あってギルドに加入させたんだけど……あとで挨拶してもらっていい?」

「え、加入させたって本気?大丈夫なの?」


 さすがのフューネスも襲撃者を加入させたことには難色を示した。その反応は理解できる。誰だって現行犯で捕まえた泥棒と仲良くするのはおかしいと思うだろうしな。


 でもこれはゲームだ。そしてサービス開始からまだ一日しか経過していない最序盤。少しくらいの悪事には目を瞑っても戦力増強に努めたい。


 俺はフューネスに三姉弟の事情を話し、加入させたあとでルールを決めて教え込んだことを説明した。ついでに初日に俺が外国人プレイヤーに襲われたことも話しておいた。


「――とまあ、ちょっと厄介かもわからんけど、小学生って昼過ぎからログインできるじゃん?そういうメリットがあるし、フィールドの限られたこの島では味方を増やしたほうがいいからさ。あと、えっと……」


 三姉弟を加入させる利点を説く俺に、フューネスは頭痛を堪えるような仕草をしつつ言った。


「まあ……大丈夫。リオンさんがマスターのギルドだし気にしないことにする。外国人プレイヤーのことも了解。でも新規で入れるなら体験入隊とか、そういうワンクッションみたいなものを入れてみても良かったんじゃない?」

「たしかにね。しかしまあこのギルド結成二日目だからさ。もうちょっとギルドが続いてから体験入隊制は導入するよ」

「……わかった」


 意見が合わないのは心苦しいけれど、それも仕方がない。昼間も授業中に考えたが、やはりコスニアで攻略を進めるには大人数のギルドが必要不可欠だと思う。せっかく作ったギルドだ。運営するのならより安全に、より効率的にプレイしたいし、そうするには人数がもっと欲しい。

 

 現在のメンバーは六人。これではまだ足りないように思う。最低でも二十人から三十人程度のメンバーはいたほうがいいんじゃないだろうか?ログアウト中の拠点を襲う「空き巣行為」がある以上、メンバーは多いほうがいい。


「そういえば今日ってフューネスさんのお友達が来るって話だったよね?」

「そうだね。ログイン前に一緒にボイチャで話してたから、すぐ来ると思う」

「お、じゃあ今頃ポッドで射出されてくる頃かも。せっかくだから出迎えてあげようよ」


 キャラクリは一瞬で終わるだろうしな。


 俺たちは三姉弟についての話は切り上げて拠点を出た。空を見上げると、昨日と変わらぬ紺碧の空には無数の赤点が光っているのが見える。


 フューネスはあまり興味もなさそうに言う。


「ふうん、最初の大気圏突入って下から見るとああ見えるんだ」

「俺、絶叫苦手だからあれけっこうキツかったんだよな。友達はどう?」

「どうだろう……ジェットコースターとか大声上げて楽しむタイプだから平気だと思うけど」


 一緒にジェットコースターに乗ったことがあるくらい仲が良いのか。オフ会でテーマパークや遊園地ってのはあんまり聞かないよな。


「リアフレなんだ?」

「まあね、私とは正反対な性格だからリオンさんは驚くかも」

「ええ……それは会うのがちょっと怖いな」

「どうして?優しい子だけど」

「フューネスさんって礼儀正しい感じするし、それの真逆ってかなり不安だよ」

「それはいらない心配だから」


 フューネスはクスりと笑って、再び空を見上げた。


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