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【書籍化&コミカライズ!】少年マールの転生冒険記 ~優しいお姉さん冒険者が、僕を守ってくれます!~  作者: 月ノ宮マクラ


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702/825

654・3分間の攻防戦

第654話になります。

よろしくお願いします。

 獣耳と尻尾を生やした僕は、


(やっ!)


 タンッ


 崖の上から跳躍した。


 風圧を感じながら10メードの距離を落下し、着地点にいたクロスボウを持った男に左手の剣を振り下ろす。


 ヒュコン


 クロスボウを持った両手が、手首から切断された。


「は……?」


 両腕を失った男は、呆然とする。


 遅れて自分の状態と激痛を理解したようで、「ぐあああっ!?」と盛大な悲鳴を響かせた。


 ……殺しはしない。


(でも、痛い目は見てもらう!)


 神なる狗の脚力で、悲鳴を上げる男の腹部を蹴った。


 ドコッ


 男は、他の仲間のいる方へと吹き飛ばされた。


「なっ!?」

「何者だ、貴様!?」


 密猟者たちから驚きの声があがった。


 僕は答えない。


 ただ、手にした2つの剣を奴らに向けて構えることで答えとした。


 連中も魔物と命のやり取りをする『魔狩人』だ。その殺気を理解して、全員が表情を改め、それぞれの武器を素早く構えた。


 瞬間だった。


 その上空から、天女のような美女が舞い降りた。


 白い槍が振るわれる。


 シュオン


 同時に、3人の男が膝の辺りから切断されて、「え?」と呆気にとられた表情を浮かべたまま、その身は地面に転がってしまった。


「う……おっ?」


 男たちは、すぐに彼女から離れた。


 円を作るように、王国最強の魔狩人を包囲する。


 イルティミナさんは美貌を動かすこともなく、ただ真紅の瞳にギラギラした殺意の光を輝かせて、男たちを静かに見つめ返していた。


 そして、密猟者たちの内の1人が気づく。


「え……?」


 驚きの表情。


 周囲の男たちは、『何だ?』という風に彼を見た。


 その男は言った。


「嘘だろ……まさか、イルティミナ・ウォン? あの……月光の風に所属する『金印の魔狩人』か!?」


 声は震えていた。


 密猟者たちは『まさか!?』と驚愕の表情だ。


 けれど、


 ヒィィン


 男たちを威嚇するように、彼女の美しい右手の甲に黄金の光を放つ魔法印が浮かびあがった。


 密猟者たちの表情が引き攣る。


「あ……ぁ」

「マジか……」

「なんで……こんな所に?」


 彼らの何人かは、眼前に立つ美しい魔狩人に怯えていた。


 同じ『魔狩人』だからこそ、その頂点に立つ『金印の魔狩人』の常人離れした恐ろしい戦闘力は理解しているみたいだ。


 けれど、動揺しているのは約半数。


 無事な6人の内、3人は、驚きつつも冷静に戦闘態勢を保っていた。


(…………)


 なるほど、修羅場を潜っている。


 恐らくは、彼らの内の2人が『銀印の魔狩人』なんだ。


 もう1人は『白印』だろうけれど、その胆力は『銀印』に劣らないほどのものらしい。


 その3人の1人が言った。


「あの化け物の相手は、俺がする。お前たちは先に、あのガキの方を殺せ」


 その声には覚悟があった。


 仲間の1人が「おい」と声をかける。


 男は不敵に笑い、「何、せいぜい時間稼ぎをさせてもらうさ。ガキを殺したら、すぐに加勢に来てくれ」と言葉を続けた。


 不利を悟りながらも、勝機を諦めない。


 いい度胸だ。


 伊達に『銀印の魔狩人』ではないのだろう。


 でも、だからこそ、このような密猟などを行って欲しくなかった。


(……なぜ?)


 それが悔しい。


 けれど、今更、どうしようもない。


 僕らはすでに、お互いに向けて剣を構えてしまっているのだ。


 チラッ


 イルティミナさんの視線が僕を見る。


 神体モードであるとはいえ、僕1人で5人を相手にしなければいけない。しかも、その1人は同格の『銀印の魔狩人』だ。


 僕は『大丈夫』と頷いた。


 僕も時間稼ぎをしてみせよう。


 イルティミナさんが相手の『銀印の魔狩人』を仕留め、僕の加勢に来てくれるまで。


 僕は彼女を信じている。


 あの男は時間稼ぎができると思っているけど、僕はそう思わない。


 イルティミナさんなら、きっと。


 彼女に、そう信頼の瞳を向けた。


「…………」


 コクッ


 彼女は決意の表情で頷いた。


 すぐに倒して、必ず貴方を守りに向かいます――そう強い覚悟が伝わってきた。


 ジャリッ


 僕らは武器を構えて向き合う。


 同じ『魔狩人』でありながら、僕らはお互い人間相手に戦おうとしていた。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 イルティミナさんに向かって『銀印の魔狩人』の男が襲いかかった。


 武器は両手剣。


 キルトさんの大剣ほど太さと幅はなく、けれど長さだけは同等にある武器だった。それも『銀印』の武器らしく使い込まれた業物に見えた。


 そして、速い。


 恐らくは『魔血の民』であり、その身体能力を限界まで駆使した速度だった。


 ガギギィン


 連続した金属の衝突音がした。


 空中に火花が散り、お互いの武器が霞むほどの神速の攻防が重ねられていた。


(あの人、強い!)


 その実力は間違いなく『銀印』だとわかる。


 イルティミナさんでも簡単に倒せる相手ではないと、その一瞬のぶつかり合いを見ただけでも理解ができた。


 …………。


 一方の僕にも、5人の男が殺到していた。


 仲間のあの男を助けるために、自分たちの悪事を露見させないために、己の命を守るために、決死の覚悟で僕へと挑んできていた。


(っっ)


 その攻撃を必死にかわし、防ぐ。


 5人の内、1人は別格。


 恐らく、この男がもう1人の『銀印の魔狩人』なのだろう。


 残りの4人は、似たり寄ったり。


 でも、冒険者として1流と認められる『白印の魔狩人』らしく、その実力は高く、野盗などにあるような戦いの隙はどこにも見られなかった。


 結構、厳しいかな……?


 戦いながら、そう弱気が掠める。


 僕が『神狗』でいられる3分間、それが過ぎた瞬間、僕は殺されるだろう。


 その前に、


(きっと、イルティミナさんが来てくれる)


 そう信じて待つしかない。


 ガッ キィン


 何度も激しい火花が散る。


 2つの剣を駆使して相手の攻撃を受け流し、『神狗』の反応速度と身体能力で回避を繰り返した。


(……?)


 攻撃の緩い方に逃げながら、ふと違和感を覚えた。


 何だ……?


 何か嫌な予感がする。


 瞬間、相手が『魔狩人』であることを思い出して、僕はハッとなった。


(まずい!)


 負傷覚悟で、攻撃の激しい方へと突っ込んだ。


 ザシュッ ガィン ビシュッ


 旅服が裂け、肌が斬られた。


 鎧にも直撃して、衝撃音と火花が弾けた。


 それでも、連中の「ちっ」と悔しそうな表情を見つけて、自分の行動が正解だったとわかった。


 誘われていた。 


 攻撃の強弱をつけることで、相手を誘導する。


 自分たちの戦い易い地形に、あるいは、自分たちの戦法に合った形になるように……そうして、そこで一気に相手を仕留めるのだ。


 それは『魔狩人』として魔物を狩る戦い方だ。


 危なかった。


 気づくのが遅れていたら、気づいても、もうどうにもできなくなっていたと思う。


(……気が抜けないぞ)


 僕は改めて、自分の気を引き締め直す。


 そこからは、向こうの攻めも苛烈になった。


 罠が通じないならば、時間がかかっても正攻法で押し潰す方が、結局は短時間だと理解したのだ。


「う……くっ」


 何度か肌が斬られた。


 手甲や鎧に直撃して、辛うじて身を守れた場面も多々あった。


 耳飾りの『護光の輝石』も使った。


「はっ、はっ、はっ」


 呼吸はとっくに乱れて、休める瞬間は1秒だってなかった。


 死の予感。


 それが何度もあった。


 5人の男たちが、僕を殺そうと鬼の形相で襲いかかってくる――その圧力に、僕は必死に耐え続けた。


 その時だった。


 ガギィン


 相手の振り下ろした戦斧を辛うじて受け止めた。 


 ズルッ


 瞬間、踏ん張った足が滑った。


(!?)


 まずい!


 体勢を崩した僕に、一瞬の隙が生まれてしまった。


 この5人の『魔狩人』たちは、それを見逃すような実力ではなかった。


 その1人。


 恐らく『銀印の魔狩人』が手にした長剣をこちらへと突き出した。


 鋭すぎる刺突だった。


 かわせない――見た瞬間に、それを悟る。


 ところが、


 ジ、ジガァア


 同時に僕の左腕の『白銀の手甲』の魔法石から、白銀の肉体を持った『精霊獣』が飛び出した。


 バキィン


「!?」


 巨大な狼の精霊獣は、その鉱石の巨体で長剣をへし折り、そのまま奥にあった男の頭部に噛みついて、その首をブチンと噛み千切ってしまった。


 残された4人は、愕然となった。


 何が起きたのか、わからない……そんな顔だ。


(精霊さん!)


 一方の僕は、歓喜の表情だ。


 僕の前に立ち、4人の密猟者を威嚇するように立つ『白銀の精霊獣』は、咥えていた頭部をベッと地面に吐き出した。


 ドスッ ゴロゴロ


 頭部が転がる。


 動きを止めた4人は、それを呆然と見つめていた。


 そして、


「よくやりました、精霊」


 その美しい声が、彼らの背後から響いた。


(あ……)


 僕の表情が輝く。


 逆に4人は、まるで死神の声を聞いたように蒼白になった。


 僕らの方へと歩みを寄せるのは、その『白翼の槍』の刃を赤い血で染めた美しい『金印の魔狩人』の姿だった。


 遠くの地面に、もう1人の『銀印』の男が倒れている。


 ヒュッ


 槍を振るって、ついた血を地面に払い捨てた。


 その美しい眼差しが、負傷した僕の姿を見つめて、


「さて……私の大切な、とても愛しいマールを傷つけた愚か者たちには、どのような苦痛を与えて己の罪を理解してもらいましょうか?」


 氷点下の声で呟いた。


 4人の男たちはガタガタと震えた。


 まるで森の奥深くで強大な竜種にでも出会い、襲われる寸前みたいな様子だった。


 それを見つめ、


「――さぁ、覚悟なさい」


 彼女は、その唇に美しい微笑みを咲かせた。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 数分後、密猟者たちは全員が地面に倒されていた。


 全員、酷い怪我だ。


 でも、辛うじて生きている。


「マールに感謝なさい」


 とイルティミナさん。


 どうやら僕の前での殺生を嫌って、殺さないように加減してくれたみたいだ。


 僕らは、彼らがそのまま死んでしまわないように応急処置を施してから、全員を動けないようにロープで縛ってやった。


(ふぅ……)


 僕は大きく息を吐く。


 それから自分の手当ても開始して、イルティミナさんも手伝ってくれた。


 僕の奥さんは、包帯を巻きながら、


「このような怪我をさせてしまって……助けに来るのが遅くなり、申し訳ありません」


 と謝ってきた。


 僕は驚き、


「ううん」


 と、微笑んだ。


 相手は『銀印の魔狩人』、それもかなりの手練れだった。


 しかも、向こうは時間稼ぎに徹していて、いくらイルティミナさんでも簡単に倒せる相手じゃなかったはずだ。


 それでも、3分以内に来てくれたのだから、それで充分だろう。


 ちなみに、神体モードは解除してある。


 精霊さんも頭を撫でたら嬉しそうな様子を見せて、そのまま『白銀の手甲』に帰っていった。


(ありがとね)


 僕は手甲を見ながら微笑んだ。


 それから、ふと見れば、地面には1人だけ首無しの死体が転がっていた。


「…………」


 たった1人の死人。


 彼だけは、殺すことになってしまった。


 向こうはこちらを殺す気だったし、自業自得とは思う。


 けど僕は、できるなら殺さずに捕まえたかった。


 密猟はいけないことだ。


 でも、どういった理由でそのいけないことをしようと思ったのか、それを知りたかったし、できるなら改心して欲しかった。


 だから、その死が悲しかった。


 そんな僕の肩をイルティミナさんが抱く。


「気にしてはいけません」


 そう優しく言う。


 この森全体は、シュムリア王国が指定する保護区だった。


 言い換えれば、王家の管理下にある。


 そこでの密猟は、つまりシュムリア王家の所有物を盗むに等しく、その罪は重大だ。


 処罰は厳しくなる。


 最悪、極刑。


 そうでなくても、労働奴隷としての終身刑となるそうだ。


(……そうなの?)


 だからこそ、彼らも目撃者である僕らを消そうと懸命だったんだ。


 イルティミナさんは、


「どちらにしても、彼らの罪は王国に生きる者として許されるものではありません。その死に、貴方が何かしらの責任を感じる必要はないのですよ」


 そう言ってくれた。


(……うん)


 僕は青い瞳を伏せ、頷いた。


 しっかりと納得できた訳じゃない。


 それでも、彼らを捕まえれば結果としてその人生を奪うことを知っていながら、僕はそちらを選んだのだ。


 その事実は受け止めなければいけない。


 そんな僕のことを、イルティミナさんはいつまでも抱きしめてくれていた。


 …………。


 気持ちの整理は、ここまでだ。


(今は――)


 自分のやるべきことを思い出して、僕は『古老の青鹿』の子供の元へと向かった。


 その子は、地面に倒れていた。


 もう悲鳴も上げていない。


 ただ紫色の血液だけが地面に流れて、痛みと疲労、そして絶望で動けなくなっているみたいだった。


(……あぁ)


 その姿に、胸が痛い。


 僕は「ごめんね」と謝りながら、この子の肉体に刺さったクロスボウの矢を抜いていく。


 ブシュッ


 血が噴き、その身体が痙攣した。


 抜く時の痛みで覚醒したのか、その身体が暴れ出した。


 イルティミナさんと一緒に押さえながら、


「大丈夫」


 そう声をかけ、全ての矢を抜いた。


 その『古老の青鹿』の子供は、再びの激痛に驚き、混乱したのかもしれない。


『フッ……フギッ!』


 鼻息荒く、瞳孔を開いて、


 ガブッ


 僕の左肩へと思いっきり噛みついたんだ。


(っっ)


 肉を裂け、骨に食い込む痛み。


 イルティミナさんが「マール!」と叫び、慌てて白い槍を構えようとするのを笑顔と右手で制した。


 僕は右手で剣を抜く。


 その先端で、空中にタナトス魔法文字を描いて、手首にある『魔法の発動体』の腕輪を輝かせた。


 ポウッ


 魔法石から緑色の回復光が溢れる。


 その輝きで『古老の青鹿』の傷ついた身体を、ゆっくりと撫でた。


「大丈夫」


『フッ……フッ……』


 興奮した息が首筋に当たる。


 僕は目を伏せ、


「怖かったよね、痛かったよね……ごめんね。でも、もう大丈夫だよ」


 そう言葉を重ねた。


 魔法の光が、魔物の傷を癒していく。


 流れる血が止まり、毛皮の奥に開いた肉の穴が塞がっていき、『古老の青鹿』の子供の目に驚きの色が滲んだ。


 戸惑いの表情。


 僕は「ごめんね」「大丈夫だよ」と言葉を繰り返した。


 肩が痛い。


 でも、それ以上に心が痛くて、この子の傷を癒したかった。


 イルティミナさんは「マール……」と心配そうな顔をしていたけれど、黙って見守ってくれた。


『…………』


 やがて、肩に噛みついていた口が離れた。


 痛みが消えていく。


 それを理解したのかもしれない。


 その瞳が僕を見た。


(……綺麗だな)


 人間にはないような純粋な輝きがあって、その瞳の美しさに、僕は少し魅入られてしまった。


 やがて、治療が終わる。


 傷は全て塞がった。


 もう痛みはないはずだ。


(ふぅ……)


 僕は息を吐いた。


 すると、そんな僕の頬を『古老の青鹿』の子供はペロッと舐めた。


 わっ?


 僕は驚く。


 その子は、頭を擦りつけるように僕へと押しつけたんだ。


(……許してくれるの?)


 君を傷つけた同じ人間の僕を……?


 …………。


 なんて優しい子なんだろう。


 その子の僕に示した友好的な反応には、あのイルティミナさんも驚いたように目を見開いていた。


「あは」


 僕は笑った。


 この優しい魔物の子の首を抱きしめ、何度も撫でる。


『古老の青鹿』の子供も気持ち良さそうに、嬉しそうに瞳を細めて、僕のすることを受け入れてくれた。


 困ったな……。


 僕はもう、この子の親や仲間を殺すことはできない。


 今回のクエストをしたくない。


 そう思ってしまった。


 イルティミナさんもそれを察してしまったのだろう、少し困った顔をして、でも『仕方ないですね』という風にため息をこぼし、苦笑を浮かべていた。


 ごめんね、イルティミナさん。


 そう思いながら、僕は彼女を見つめた。


 その時、


(……え?)


 そんな彼女の奥、縛られた密猟者の1人が3センチほどの小刀でロープを切っているのが見えた。


 腕の皮膚が裂けている。


 皮膚の下に隠し持つ暗器――その小刀でロープを切っていたんだ。


 そして、その男は自由になった手で即座に腰ベルトに提げられていた『魔法の小杖』を取り、イルティミナさんに向けて構えていた。


 先端の魔法石が輝いている。


(あ……)


 世界が、まるでスローモーションのように見えた。


 僕の反応でイルティミナさんも気づいた。


 振り返り、けれど、その瞬間には、もう避けるには間に合わないのを悟って、その美貌がかすかに強張っていた。


 駄目だ。


 あの魔法が放たれれば、彼女が死んでしまう。


 イルティミナさんが死んでしまう。


 そんなの駄目だ。


 でも、止められない。


 この距離では、もう僕にはどうすることもできない。


「イルティミナさん……っ!」


 僕は泣きそうな思いで叫んで、


 ドゴン


 瞬間、『魔法の小杖』を構えた密猟者の男は、巨大な足に蹴り飛ばされて、頭部を破裂させながら横に吹き飛んでいった。


 …………。


 ……え?


 何が起きたのか、わからなかった。


 イルティミナさんも目を見開いていた。


 男の死体は、15メード近くも遠くに飛んでしまっている。


 そして、その男がいた場所に、巨大な魔物たちが立っていた。


 体長6メード。


 小山のようなサイズに、青い体毛から様々な植物が根を生やした巨大鹿の姿をしていて、その頭部からは青いクリスタルのような巨大な角が雄々しく広がっていた。


 その角の内部には、キラキラした魔力の光が散っている。


 美しく、神々しい。


 そんな魔物が、僕らの前に5体も集まっていた。


 ズシン


 蹄が地面に重い音を立てる。


 僕とイルティミナさんは息を呑み、僕の手から離れた魔物の子供は、嬉しそうにそちらへと駆けていく。


 僕の口が開き、


「……成体の、古老の青鹿……」


 そう震える声がこぼれた。

ご覧いただき、ありがとうございました。


※次回更新は、来週の月曜日を予定しています。どうぞ、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様ですヽ(´▽`)/ 『白銀の精霊獣』のお陰で九死に一生を得たマール。 いざという時にはホントに心強い存在ですね。 コレにはイルティミナもニッコリ!Σd(^_^o) 結果的に全員…
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