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【書籍化&コミカライズ!】少年マールの転生冒険記 ~優しいお姉さん冒険者が、僕を守ってくれます!~  作者: 月ノ宮マクラ


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572・レクリア王女よりの説明

第572話になります。

よろしくお願いします。

 街長さんに頼んで竜車を用意してもらい、僕らは、その夜の内に王都ムーリアを目指して出発した。


 雨風が激しい。


 視界が悪いせいで速度は出せいないけれど、御者さんにはできる限り早く走るようにお願いしていた。


「…………」

「…………」


 窓の外は真っ暗だ。


 窓ガラスには、絶え間なく雨粒が叩きつけられている。


 出発してから、僕とイルティミナさんの間には、重苦しい空気が漂っていた。


 そんな中、


「……どういうことなんだろう?」


 僕はポツリと呟いた。


 イルティミナさんが、こちらを見る。


 僕は言った。


「グノーバリス竜国が獣国アルファンダルに戦争をしかけるかも……って話だったんだ。それなのに、その獣国の方がどうしてエルフの国に戦争をしかけたの?」


 意味がわからないよ。


 僕らに届けられた情報が間違っていた?


 でも、王家からの手紙でそんなミスがあるなんて、ちょっと想像できない。


 エルフの国には、知っている人も大勢いる。


 ティターニアリス女王様、3大長老のアービタニアさん、ベルエラさん、そしてシャクラさんのご両親、エルフの戦士ティトテュリスさん……。


(みんな、無事なのかな?)


 ギュッ


 僕は、両手を強く握り合わせる。


 そんな僕の肩に、イルティミナさんの白い手が優しく添えられた。


「今は、あまり考えすぎないように……。まずは王都に戻ることだけを考えましょう? 詳しい事情を聞き、考えるのはそれからですよ」

「……うん」


 僕は唇を噛み締め、頷いた。


 そんな僕の頭を、イルティミナさんが抱きしめてくれる。


 トクン トクン


 弾力のある柔らかな胸の向こうで、確かな彼女の鼓動が感じられた。


 それに、少しだけ心が落ち着く。


 そんな風にして、僕らは雷雨の夜を、一路、王都を目指してひた走ったんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 5日後、僕らは王都ムーリアに辿り着いた。


 空も晴れて、美しい青さが広がっている。


 王都の門前では恒例の大渋滞が起きていたけれど、イルティミナさんが『金印』の権限を使うまでもなく、僕らの竜車は最優先で入都の手続きをしてもらえた。


 そうするように、すでにシュムリア王家からの指示が出されていたんだって。


(…………)


 それだけ深刻な事態なんだ。


 僕らの竜車は、そのまま王城前にある聖シュリアン大聖堂へと向かった。


 大聖堂に到着すると、


「マール、イルナ!」


 その門前で、キルトさんがすでに待ち構えていて、僕らも竜車を降りて彼女に駆け寄った。


 僕は、すぐに問う。


「キルトさん、どういうことなの!?」


 その剣幕に、彼女は驚く。


 けれど、僕の両肩を手で押さえて「落ち着け」と師匠の声で言った。


「詳しい話は、レクリア王女がしてくれる。旅から帰ったばかりですまぬが、このまま王城へと登城してもらうぞ?」

「うん!」

「はい」


 僕らは大きく頷いた。


 キルトさんに案内されて、大聖堂の中を移動する。


 登城の手続きをするための部屋に入ると、そこには見慣れた2人――ソルティス、ポーちゃんの姿もあった。


「やっほ、イルナ姉、マール」

「…………(ペコッ)」


 2人は笑いかけてくる。


 それに、焦燥に駆られていた心が少しだけ緩んだ。


 話を聞けば、2人も翼竜便の連絡をもらって、昨夜遅くにクエストから帰ってきたばかりだったんだって。ついさっきまで、別室で仮眠をしていたんだそうだ。


「なんか大変そうね」


 ソルティスは、そうぼやく。


 危機感が薄い……というよりも、あえて軽い口調で話すことで緊張を和らげようとしてるみたいだった。


 手続きはすぐに終わった。


 そして僕ら5人は、大聖堂の裏門を抜けて、神聖シュムリア王城への階段を登っていった。



 ◇◇◇◇◇◇◇



「皆様、よく来てくださいましたわ」


 王城に辿り着くと、いつものように王女の侍女フェドアニアさんに連れられて『空中庭園』へと案内された。


 そこで待っていたのは、やはりレクリア王女。


 僕らは跪き、


「あの……翼竜便に書かれていたことは、本当なんですか?」


 不躾かもしれないけど、僕はすぐに問いかけた。


 キルトさんが「これ」と窘めてくるけれど、僕は真っ直ぐにレクリア王女を見つめ続けた。


 レクリア王女は頷いた。


「はい、間違いありません。『獣国アルファンダル』が『エルフの国』に侵攻し、現在は両国間で交戦状態に入っているようですわ」

「…………」


 そんな……。


 わかっていたけど、はっきり口にされると心に刺さる。


 僕は項垂れる。


 そんな僕の様子を見て、イルティミナさんが顔をあげた。


「確認しますが、我々の警戒していたグノーバリス竜国ではなく、獣国アルファンダルが戦争を開始したのですね?」

「そうです」


 王女様は認めて、


「これより、詳しい事情を説明いたしますわ」


 とおっしゃった。


 全ての始まりは、11日前のことだった。


 王都にある『冒険者ギルド・草原の歌う耳』の地下室には、『エルフの国』と通じる転移魔法陣がコロンチュードさんによって構築されていた。


 そこから突如、エルフの人々が300人ほど現れたのだ。


 率いていたのは3大長老の1人、中立派のベルエラさんで、彼は『エルフの国は獣国アルファンダルに突如、侵攻された』と、驚きの事実を口にしたのだそうだ。


 転移してきたエルフたちは、戦火を逃れるため、シュムリア王国まで避難してきた人々だったんだって。


 ギルド長のフォルスさんは、とても驚き、すぐにシュムリア王家にも連絡が届けられた。


 彼らエルフの一団は、とりあえず王国によって保護され、そして、大長老のベルエラさんからは、更に詳しい事情を聞くことになった。


 …………。


 エルフというのは、皆、精霊使いであり、実は戦う力を持った戦士ばかりなんだ。 


 彼らは、侵攻してきた獣国アルファンダルの獣人たちに対しても、果敢に抵抗を試みたらしいんだけど、


「やはり、人数差が大きすぎたようですわ」


 とレクリア王女。


 エルフの国の人口は、たったの15万人しかいない。


 対して、獣国アルファンダルの獣人たちは、その国の総人口を上回る20万の軍勢で侵攻してきたのだそうだ。


 当時、戦闘に参加できたエルフは、3万弱。


(多勢に無勢だ……)


 その事実には、僕だけでなく、キルトさんたちも顔をしかめていた。


 ティターニアリス女王も前線に立ち、エルフたちは奮戦したけれど、獣国の軍勢に押し込まれ、森を焼かれて多くの領土を奪われてしまった。


 エルフの国の中心である『聖なる森』。


 そこが陥落するのも、時間の問題だった。


 そこでエルフの女王ティターニアリス様は、戦えぬ非戦闘員をシュムリア王国へと避難させることを決断し、その引率を大長老の1人、ベルエラさんに任せたのだそうだ。


 キルトさんが呟く。


「そこまで、エルフたちの戦局は悪化しておりましたか」 


 重い声だ。


 ティターニアリス女王の決断は、ある意味、エルフの国が滅びる可能性を感じ取り、それでも自分たちは最後まで抵抗するという意思の表れでもあった。


 僕らは、その覚悟の重さに黙り込む。


 レクリア王女も吐息をこぼす。


 それから顔をあげ、


「戦ったエルフたちの話によれば、アルファンダルの獣人たちは、強い力を秘めた『魔法の武具』を装備していたそうですわ」


 と言った。


(魔法の武具?)


「それは通常の武具ではなく、古代タナトス魔法王朝時代の武具であり、アルファンダルの獣人たちは、それを量産品として使用していたらしいとのことですの」

「…………」


 僕は、ポカンと呆けた。


 待って。


 タナトスの魔法武具って、キルトさんの『雷の大剣』やイルティミナさんの『白翼の槍』、僕の『大地の剣』とかだよね?


(それを量産?)


「……ありえないわ」


 ソルティスが呟いた。


 この場で誰より古代タナトス魔法王朝に詳しいだろう少女は、そんなこと、現代の魔法技術では不可能だと訴えた。


「けど、それは事実らしいですの」


 レクリア王女は、そう断じた。


 そして、


「その事実から、わたくしは、この獣国アルファンダルの蛮行の裏には、グノーバリス竜国の暗躍があったのではと考えておりますわ」


 と、おっしゃったんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



(は……?)


 この戦争の裏に、グノーバリス竜国の暗躍があった?


 僕とソルティスは、ポカンだ。


 ポーちゃんは無表情。


 イルティミナさんも「まさか」とかすかに驚きの表情を見せていたけれど、キルトさんはすでに予想していたのか、その金色の瞳を細めるだけだった。


 レクリア王女は言う。


「おっしゃる通り、本来、タナトス魔法技術の量産など不可能ですわ。――けれど、その不可能を可能とした人物に1人、わたくしたちは心当たりがあるでしょう?」


 心当たり?


 そう思った瞬間、


(!)


 僕の脳裏に、あの黒い髪と肌の少年の姿が思い出された。


「……闇の子」


 思わず、呟く。


 ソルティス、ポーちゃんはハッとして、イルティミナさんも眼差しを少し厳しくする。


 レクリア王女は頷いた。


「かつてタナトス王も支配下に置いた彼の者ならば、古代タナトスの魔法技術も量産が可能でしょう。そしてグノーバリス竜国には『魔の気配』があるという……これは無関係でしょうか?」


(…………)


 確かに、そう言われると関係ありそうに思える。


 そうなると、この戦争は、竜国によって引き起こされたものなのか?


 ギュッ


 僕は拳を握り締める。


 それが本当なら、許せない。


 僕は、レクリア王女の顔を見上げた。


 彼女の蒼と金の美しいオッドアイも、僕のことを真っ直ぐに見つめてくる。


 王女様は頷いて、


「魔の存在とは、世界の災厄。わたくしは、レクリア・グレイグ・アド・シュムリアの名に置いて、この戦争に介入することを決断いたしましたわ」


『!』


 その一言に、僕らは雷に打たれたみたいに硬直した。


 それは、大きな決断だ。


 戦争に参加すれば多くの人々が死に、けれど、そうしなければそれ以上の人々が死んでしまうという判断なのだ。


(それほどの事態なんだ)


 その意味を、僕は改めて噛み締める。


 僕も覚悟を決め、


「僕らは、どうしたらいいですか?」


 と聞いた。


 レクリア王女は、2つの瞳を閉じていく。


「すでに1つ、手を打ちましたの」


(……手?)


「コロンチュード・レスタ――の『金印の魔学者』を、わたくしは戦時下の『エルフの国』へと送り込みましたわ」


 え?


 あのハイエルフさんを?


 その意味に驚き、ソルティスも「コロンチュード様を!?」と悲鳴のような声をあげた。


 ポーちゃんも珍しく表情をしかめている。


 最近は、エルフの国への使者として、何度も転移魔法陣で訪れていることは知っていたけれど……。


(でも、戦争中の今も……?)


 その事実には、驚いてしまった。


 ソルティスは「どうしてですか!?」と人見知りの彼女には珍しく、王女様に喰ってかかっている。キルトさんがそれを「ソル、やめよ」と片腕で押し止めていた。


 そんな無礼な行いも、けれど、レクリア王女は寛容に受け入れる。


 片手を上げ、


「おっしゃりたい気持ちはわかります。ですが、そうしなければいけない理由がありますの」


 と告げた。


 理由?


 僕らの視線に対して、王女様は答えた。


「――転移魔法陣ですわ」


 と。


 ◇◇◇◇◇◇◇



「全ては『転移魔法陣』を構築するため、危険を承知でコロンチュード・レスタには、エルフの国に行ってもらいましたの」


 レクリア王女は、そう繰り返した。


 そして、教えてくれる。


 獣国アルファンダルとエルフの国の戦争は、遥か遠いドル大陸で起きている出来事だ。


 本来、片道でも2~3ヶ月もかかる距離。


 これでは介入したくても、あまりに時間がかかり過ぎる。戦況に対応しながら、シュムリア兵たちを送り込むこともできない。


 でも、それを可能にする唯一の方法がある。


(それが転移魔法陣、か)


 僕は、ようやく理解した。


 僕らがこの戦争に介入するために、生命線となっているのが『転移魔法陣』の存在なんだ。


 王女様は言う。


「ベルエラ様の話では、エルフの国の中心『聖なる森』にも獣国の軍勢が押し寄せるのも時間の問題だそうですの。そうなる前に、わたくしたちは動く必要がありましたわ」


 現在の転移魔法陣は、その『聖なる森』にあった。


 大樹の中に隠してあるんだ。


 4年前には、それで僕らも『エルフの国』を訪れたっけね。


 そして、転移魔法陣は諸刃の刃。


 もし獣国アルファンダルの軍勢が『聖なる森』を占拠し、その転移魔法陣を発見してしまったら、シュムリア王国に直接、獣国の軍勢を送り込まれる可能性もあるんだ。


 ゆえに、


「コロンチュード様には、その『聖なる森』の転移魔法陣を破壊してもらいましたの」


 とのこと。


 そうすることで、シュムリア王国への脅威は消える。


 けど、そうなると今度は戦争に介入するための手段がなくなってしまうので、コロンチュードさんには別の安全な場所で転移魔法陣を再構築してもらう予定なんだそうだ。


(なるほど)


 それで、コロンチュードさんがエルフの国に送り込まれたんだね。


 もちろん、このことはエルフの国も了承済み。


 エルフたちの中には、人間を嫌う保守派の人も多いけれど、その説得もコロンチュードさんはしてくれたみたいなんだ。


 いや、それだけじゃない。


「そもそも、この案を最初に出してきたのがコロンチュード様でしたの」


 と、レクリア王女。


 ああ見えて、コロンチュードさんはエルフの国の3大長老の1人。


 遠い異国で暮らしているけれど、故郷のことは大事に思っているし、エルフの未来を考えていることは前からわかっていた。


 そんな彼女だからこそ、命の危険を伴ってでも、戦時下のエルフの国に行ったのだろう。


 ソルティスは泣き笑いで、


「……コロンチュード様らしいわ」


 そう呟いた。


 そんな少女のそばに、その義娘であるポーちゃんも寄り添っている。


 キルトさんは何とも言えない顔をし、イルティミナさんは静かに瞳を伏せて、そのハイエルフさんの勇気ある決断を受け入れているみたいだった。


(コロンチュードさん……)


 僕も唇を引き結ぶ。


 そんな僕らを、レクリア王女は見回した。


 その眼差しは王女のそれで、


「マール様、そして皆様にも、エルフの国へと行ってもらいますわ」


『!』


 僕らはハッとした。


 シュムリア王国の王女様は、凛として告げる。


「王国よりの派兵には、時間がかかりますわ。その前に、マール様たちには現地に赴き、情報を集めておいて欲しいのです。実際の戦況、エルフたちの状態、獣国軍の武装、そして、その裏にグノーバリス竜国がいるかどうか」


 僕らは『はっ!』と頷いた。


 それに彼女は微笑み、


「危険な任務ですが、かつて『闇の子』の脅威を祓い、世界に光をもたらした皆様ならば、必ず成し得るとわたくしは確信しておりますわ」


 そう信頼を寄せてくれた。


 ……うん。


 僕も笑った。


 レクリアという少女は、人を危険な目に遭わせることが平気な子ではない。けれど、為政者としてそうしなければいけないことも知っている少女だった。


 だから、その心を少しでも軽くしたくて、僕も笑ったんだ。


「…………」


 王女様の瞳に、少しだけ安心が芽生えた。


 それから僕らは、コロンチュードさんは今、エルフ軍と行動を共にしていて、場所を確保できるだろう7日後ぐらいに『転移魔法陣』が構築される予定だと聞かされた。


 つまり7日後に、僕らは戦場に立つんだ。


 正直、怖くもある。


 でも、振り返れば、そこにはイルティミナさん、キルトさん、ソルティス、ポーちゃんの姿があった。


(……うん)


 みんなと一緒なら、僕はきっとがんばれる、そう思えた。


 ――レクリア王女の話は、そうして終わった。


 それから僕ら5人は、神聖シュムリア王城をあとにして、それぞれの7日間を過ごすための帰路についたんだ。

ご覧いただき、ありがとうございました。


※次回更新は、3日後の月曜日を予定しています。どうぞ、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様ですヽ(´▽`)/ 何故グノーバリス竜国ではなく獣国アルファンダルが戦端を拓いたのかが憶測込みですが朧気ながらも判明した感じですね。 しかしそうなると獣国アルファンダルもグノーバ…
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