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【書籍化&コミカライズ!】少年マールの転生冒険記 ~優しいお姉さん冒険者が、僕を守ってくれます!~  作者: 月ノ宮マクラ


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399・海辺のホテルにて

第399話になります。

よろしくお願いします。

 その日は、漁業ギルドが用意してくれた宿泊施設に泊まることになった。


 立派なホテルだ。


 全室から、美しい海岸線が眺められるらしくて、僕らの部屋には露天風呂もついてるんだって。


(贅沢だなぁ)


 泊まったのは、ホテルの最上階。


 眺めも最高。


 階段を登るのは大変だったけど、荷物は、ポーターさんが運んでくれた。


「今夜だけは、ゆっくりするが良い」


 とキルトさん。


 明日の討伐クエストに備えて、今日は英気を養えということみたいだ。


 僕らは、思い思いに時間を過ごす。


 キルトさんは、早速、ルームサービスでお酒を頼み、ソルティスは大量のスイーツを頼んだ。


「ほら、ポーも食べていいからね」

「…………」


 コクッ


 食いしん坊少女は、珍しく、ポーちゃんにもスイーツを分けてあげた。


 2人して、モグモグ。


 その光景は、ちょっと微笑ましくて、僕は自分の奥さんと顔を見合わせて、つい笑ってしまった。


 それから僕ら夫婦は、部屋のバルコニーに出た。


「うわぁ……」

「いい景色ですね」


 シュールの町並みや、夕日に赤く染まった海と砂浜が一望できる。


 とても綺麗だ。


 涼やかな海風が、イルティミナさんの長い髪をさらっていく。


 彼女は、それを片手で押さえる。


(…………)


 イルティミナさんって、本当に美人だなぁ。


 そういうちょっとした仕草も、絵になる人だった。


「……ありがとね」

「え?」


 僕の言葉に、イルティミナさんは驚く。


 僕は微笑み、


「僕と結婚してくれて。僕の奥さんになってくれて。……イルティミナさんと一緒になれて、僕は、凄く幸せだよ」


 そう伝えた。


 イルティミナさんは真紅の瞳を見開き、それから瞳を潤ませる。


「マール……」


 熱のこもった視線だ。


 僕は、ちょっと照れ臭くなってしまった。


 誤魔化すように、また景色を眺める。


 そんな僕へと、イルティミナさんが身を寄せてきた。


「私も幸せです……」


 トンッ


 僕のこめかみ辺りに、軽く額を押しつけてくる。


 そのまま、


 チュッ


 頬にキスを落とされた。


 心が、とても温かい。


 きっと僕の奥さんも同じ気持ちなんだろうな、と思った。


 そうして僕らは、しばらくの間、2人で一緒に寄り添いながら、シュールの町と海が夕焼けに染まる景色を眺めたんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



「わぁ、美味しそう!」


 その夜、僕らの部屋には、ホテルの料理が運び込まれた。


 海鮮料理だ。


(さすが港町だね)


 どれも鮮度が高くて、見た目からして綺麗だった。


 刺身、煮魚、焼き魚、揚げ物、他にも、しゃぶしゃぶなんかもあって、どれも美味しそうだ。


 それ以外にも、貝類のスープ、海鮮シチュー、あとは、魚の身をほぐした炊き込みご飯などもある。


「うひょお~♪」


 食いしん坊少女のソルティスは、両手を組み合わせ、瞳をキラキラさせている。


 その仕草を、隣でポーちゃんも真似していた。


(あはは……)


 そうして僕らは、食事を開始する。


「うん、美味しい!」


 予想通り、味は抜群だ。


 イルティミナさんもキルトさんも、満更ではなさそうな顔で食べている。


 ハグハグ


 ソルティスも、頬を膨らませて豪快に咀嚼中だ。


 口からこぼれた食べカスを、世話焼きなポーちゃんはせっせと拾う。


「むぐっ?」


 あ……ソルティス、喉を詰まらせた。


 ドンドンと胸を叩く。


 すると、即座にポーちゃんがお茶を用意して、それを少女に渡す。


 ゴクゴク プハッ


「あ、あんがと、ポー」

「…………(フルフル)」


 ソルティスの感謝に、首を横に振る金髪幼女。


 う~ん。


 ポーちゃん、まるで小間使いみたいだけど、本当は『神龍』って呼ばれる神の眷属なんだけどなぁ。


 ちょっと遠い目になる僕である。


「もう……もっと落ち着いて食べなさい、ソル」


 僕の奥さんも、妹を叱る。


 ソルティスは「へ~い」と答え、それでも、また大きく口を開けて、美味しそうに料理を食べ始めた。


 イルティミナさんは、ため息だ。


 その様子を眺めながら、キルトさんは、1人酒瓶を傾けながら、苦笑していた。


 それから、


「今の内に話しておくか」


 と呟いた。


(ん?)


 頬を赤らめながらも、キルトさんは、少しだけ表情を引き締める。


「ジャイアント・シザーズの討伐についてじゃが、明日の早朝、その巣があるという小島に『漁業ギルド』の用意した船で向かうつもりじゃ」


 その言葉に、僕らの食事の手も止まる。


 コトッ


 キルトさんは、盃をテーブルに置いて、ガラス戸の方を見た。


 そこからは、シュールの町の美しい夜景、そして、夕闇に黒く染まった海原と、そこに黒く点在する島々の影が見えていた。


「あの島の1つが目的地じゃ」

「…………」

「しかし、正面の海域から近づくのは、漁場にいるジャイアント・シザーズの襲撃を受ける可能性がある。ゆえに、北方より大きく迂回して上陸することになる」


 ふむふむ。


 キルトさんは、僕らを見た。


「奴らの巣は、恐らくは、島にある海辺の洞窟じゃ。まずはそれを探す」


(うん)


「見つけ次第、狩りを始める。じゃが、足場は濡れており、最悪、足元は水に浸かっておるかもしれぬ。波もある。海中では、奴らの方が有利じゃ。決して海には落ちるな」


 その声には、強い警告が込められていた。


 僕らは頷く。


 キルトさんも頷いて、


「慎重に動き、必ず地上戦で殲滅する。そう心得ておけ」

「うん!」

「はい」

「わかったわ」

「ポーは、了承した」


 僕らは大きく返事をして、明日の魔物との戦いに覚悟を高めていったんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 食事も終わり、僕らは就寝することにした。


 キルトさん、イルティミナさんは、食器をまとめて、テーブルの片隅へ移動させている。


 ソルティスは、お腹を膨らませながら、


「もう食べれないわ~」


 と、ベッドに仰向けになっていた。


 僕とポーちゃんは、なんとなく同じソファーに座って、みんなのことを眺めていた。


 チラッ


 僕は、隣の幼女の横顔を窺う。


 彼女の青い瞳は、その幼い外見に反して、とても大人びた優しさを宿して、みんなを見つめている。


 見た目は、幼女。


 でも、実際の年齢は、誰よりも長く生きた『神の眷属』だ。


「?」


 僕の視線に気づいて、彼女がこちらを向いた。


 僕は笑った。


「ポーちゃん、料理、美味しかった?」

「…………」


 コクッ


 ポーちゃんは頷いた。


「とても美味。味は覚えたので、今度、義母に作ってやろうと思った」


(え?)


 僕は、ちょっと驚いて、


「ポーちゃん、料理できるの?」

「できる」


 彼女は、当たり前のように答えた。


「……義母の料理が特殊だったので、一緒に暮らしている時には、ポーは必然的に料理をする機会が多かった」


 ちょっと遠い目である。


(……あはは)


 コロンチュードさんの素材そのまま料理は、毎日、食べるのは大変だもんねぇ。


 ポーちゃんは瞳を伏せて、


「それにポーは、孤児院出身。そこで、炊事、洗濯、掃除、裁縫など、人間たちの生活に必要な家事は、一通り覚えた」


 と、少し懐かしそうに続けた。


(そっか)


 ちなみに、冒険者になってからの収入の何割かは、その孤児院に寄付してるんだって。 


 ポーちゃんは、元、神の眷属。


 でも、今は人の世界で暮らすことを決め、人としての生活を送っているんだね。


 それを知って、僕は、ついつい微笑んでしまった。 


「ポーちゃん」

「?」

「これからも、よろしくね」


 僕の言葉に、彼女は目を瞬いた。


 そして、


「もちろんだ、とポーは答える」


 そう柔らかな表情と声で、頷いてくれた。


 ――そうして、その夜は、穏やかに更けていったんだ。


 そして、翌朝。


 シュールの町の港で、水平線から顔を出した朝日に照らされながら、僕らは『漁業ギルド』の用意してくれた中型船舶に乗り込んでいた。


 空気は少しひんやりしている。


 でも、風は穏やかで、波も高くはない。


 海の移動には、最適な状況だ。


 渡ってきた海風に、僕が青い瞳を細めていると、  


「よし、頼むぞ」


 キルトさんが、船の乗組員たちに声をかける。


『おう!』


 彼らは大きな声で返事をすると、マストには帆が張られ、魔導機関にも火が入り、船体はゆっくりと桟橋から離れていく。


 そのまま、洋上に出ると、ゆっくり北へ。


 ――こうして僕ら5人は、ジャイアント・シザーズ討伐のため、シュールの町を出港したのだった。

ご覧いただき、ありがとうございました。



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挿絵(By みてみん)

巻末の書き下ろしでは、ウェブ版にはないイルティミナ視点(1巻)、ソルティス視点(2巻)のお話も描かれています。もし気になられた方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひ『書籍マール』を手に取ってやって下さいね!


また、すでにご購入下さった皆さんは、本当にありがとうございます!


皆さんの応援は、作者にとって本当に励みになっております。これからも皆さんに楽しんでもらえるよう、精一杯、頑張りますね~!



※次回更新は、明後日の金曜日0時以降になります。どうぞ、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です(^_^ゞ ポーちゃんが居て、いつも以上にはしゃいでいる感じのソルティス。 ソルティス的には大切な友人であると同時に、妹分でもあるのでしょうね(´∇`*) [一言] やは…
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