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【書籍化&コミカライズ!】少年マールの転生冒険記 ~優しいお姉さん冒険者が、僕を守ってくれます!~  作者: 月ノ宮マクラ


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番外編・転生マールの冒険記20

番外編・転生マールの冒険記20になります。

よろしくお願いします。

「もちろんでございます、女帝陛下」


 女帝アメルダス陛下の所望に、ロベルト将軍は、深く頭を下げた。


 そして、彼は語った。


 自分たちは『神霊石』という物を求めて、長い距離を旅してきたこと。


 その『神霊石』を、このトルーガの大地で探す許可が欲しいこと。


 また『神霊石』に関して、何かしらの情報があれば、教えてもらいたいこと。


 可能ならば、『神霊石』探しに協力して欲しいこと。


 女帝アメルダス陛下は、シュムリア王国の代表が伝えるそれらの要望を、一言も口を挟まずに聞いていた。


 そして全てを聞き終え、


「そうか」


 短い一言をこぼした。


 青いアイシャドーの奥にある煌めくような赤い瞳が、真っ直ぐに僕らを見つめる。


 そして、


「お前たちは、それほどまでに、なぜ『神霊石』とやらを求める?」


 と聞いてきた。


 ロベルト将軍は、即座に答えた。


「世界の危機を回避するためです」

「ほう?」


 彼女は、興味深そうに瞳を細める。


「世界の危機、とな?」


 そう訊ねる声には、どこか面白がるような響きがあった。


(…………)


 もしかしたら、彼女はその『世界』の中に『トルーガ帝国』が含まれていないと思っているのかもしれない。


 僕は、女帝陛下を強く見る。


 視線に気づいて、彼女は、こちらを見返した。


 そこで、


「『黒の巨人』の再来する可能性があります」


 と、僕は言った。


「……ほう」


 女帝陛下の微笑む表情は、変わらなかった。


 けれど、その瞳の奥にあった光は、確実に変わった気がした。


「なるほど。かつて、わたくしたちの『トルーガ帝国』を滅亡の淵に追いやった『黒の巨人』か。それは確かに世界の危機だ」

「はい」


 僕は、大きく頷いた。


「そして『神霊石』は、『白の巨人』を呼ぶ力があるんです」


 女帝陛下は、何も言わなかった。


 代わりに僕の青い瞳を見つめたまま、


「童よ。お前の名は?」


 え?


「マール」

「そうか。良き眼をしているな」


 そう言った。


(えっと……)


 話が変わってしまって、戸惑ってしまう。


 そんな僕の表情に、女帝アメルダス陛下は、小さく愉快そうに笑った。


 そのまま、彼女は、ひじ掛けに体重を預け、


「しかし、ずいぶんと勝手な話だ」


 そう低い声で告げた。


(!)


 その声には、滲み隠された怒りの炎が宿っていた。


「400年前のかつて、タナトスの愚者どもは、自らの招いた『黒の巨人』によって自国を崩壊させた。のみならず、わたくしたち『トルーガ帝国』さえも壊滅させかけた」

「…………」

「そして今、またタナトスの残した災いが世界を滅ぼしかけている」


 その美しい瞳に、冷酷な光が生まれた。


 その白い指が、蛇が鎌首をもたげるように、ゆっくりと僕らに向けられる。


 ゾクリッ


 僕の背筋に、寒気が走った。


 そして、女帝アメルダス陛下は、厳かに告げる。


「『タナトスの亡霊』よ。世界を滅ぼしかけた愚者の末裔どもよ。そんなお前たちが、わたくしたち『トルーガ帝国』に協力せよと言うのか?」


 ガシャッ


 同時に、謁見の間の壁際に控えていた『トルーガ神民』の戦士たちが、一斉に武器を構えた。


 明確な殺意がぶつけられる。


(っっ)


 もし襲われたなら、僕らは確実に死ぬ。


 それがわかった。


 トルキアは蒼白になっており、ソルティスも表情が強張っている。


 僕も、肌が泡立つ。


 イルティミナさん、アミューケルさん、ポーちゃんの3人は、周囲の戦士たちへと視線を送る。


 けれど、代表の4人は変わらなかった。


 キルトさん、ロベルト将軍、レイドルさん、アーゼさんの4人は、女帝アメルダスの視線を受け止めたまま、彼女の顔を真っ直ぐに見つめ返している。


「その通りです」


 落ち着いた声で、ロベルト将軍が答えた。


 空気が張り詰める。


「…………」


 やがて、女帝陛下が、片手を軽く上げた。


 ガシャン


『トルーガ神民』の戦士たちが武器をしまい、直立不動の姿勢に戻った。


 殺意が消えていく。


 女帝アメルダス陛下は、楽しそうに笑っていた。


(……あ)


 その表情で、彼女が、僕らを試していたのだと気づいた。


 陛下は、長く息を吐く。


「まさか400年も前の遺恨を、国も変わった今のお前たちに求めるつもりはない。しかし、そうか……世界の危機か」


 愁いを帯びた眼差しと声。


 そのまま彼女は、しばし考え込む。


 …………。


 僕らは、大国トルーガを支配する女性の決断を待った。


 やがて、


「そうだな」


 彼女は呟いた。


 その青いアイシャドーにある赤い瞳が、僕らを射抜く。


「わたくしは、お前たちのいう『神霊石』とやらについて、心当たりを持っている」

「!」


 僕らは驚いた。


 そんな僕らに、女帝陛下は更に言葉を続けた。


「しかし、それをお前たちに伝えるには、条件がある。ここは聖なる『トルーガ』の大地だ。自身の『強さ』を証明する者にのみ、求めるものは与えられる」


 条件……?


 僕らは、視線で問いかける。


 女帝アメルダスは、椅子から立ち上がると、その美しい瞳で僕らを睥睨しながら、大きく両腕を広げた。


「3つの試練だ」


 彼女は笑った。


「お前たちには、3つ試練を受けてもらおう。そこで『強さ』を証明してみせた時、わたくしは、お前たちに『神霊石』の心当たりについてを教えよう」

ご覧いただき、ありがとうございました。


※番外編・転生マールの冒険記は、終了まで毎日更新の予定です。どうぞ、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です(^_^ゞ 不完全とはいえ女帝にまで通用するマールの吸引力! ダイソンも驚きの能力ですね(笑) [一言] 少なくとも助力を得る為の機会を設けてもらえただけO.Kなのでしょう…
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