231・万竜の山
第231話になります。
よろしくお願いします。
僕ら14人は、『万竜の山』の森を進む。
早朝の涼やかな空気を感じながら、緑の木々に包まれた大地を歩いていく。
と、その時、
コツッ
(わっ?)
僕は、ふと足元の窪みにつまづきそうになった。
おっとっと……と、たたらを踏んで、でも何とか耐える。
(……ふぅ)
一息ついた僕は、なんでこんなところが凹んでいるんだ? と足元を振り返り、
「あ」
その窪みの意味に気づいた。
――それは、足跡だった。
深さは2センチほど。
そのサイズは、僕の両足を合わせたよりも大きくて、等間隔で奥の茂みまで続いている。
(…………)
多分、竜の足跡だ。
この大きさだと体長は10メードぐらいありそう……。
ゴクッ
思わず、唾を飲み込む。
この近辺には、こんなサイズの竜が、普通に闊歩しているということなんだ。
ザワザワ
周囲の森は、吹く風に不気味に梢を揺らしている。
「ん、どったの?」
足の鈍った僕に、隣のソルティスが声をかけてくる。
僕は息を吐き、
「ううん」
すぐに前を向いて、歩き始めた。
◇◇◇◇◇◇◇
ゲルフォンベルクさんの偵察のおかげで、僕らは、竜に出会わずに森の移動ができていた。
でも、森の中には、竜の痕跡はたくさんあった。
例えば、歩いている森の木々には、僕の身長と同じぐらいの高さに、大きな傷のついているものがたくさんあったりする。
幹の固い樹皮が削れて、白くなっていて、
「この傷は何だろう?」
僕の呟きに、イルティミナさんが教えてくれた。
「竜がつけた傷です」
「竜が?」
「はい。この傷によって、『ここは自分の縄張りだぞ』と主張しているんです」
へぇ、そうなんだ?
(ん、ちょっと待って?)
「……ってことは、僕らは今、その竜の縄張りの中にいるってこと?」
「そうなりますね」
「…………」
だ、大丈夫なのかな?
「大丈夫ではありませんが、この森のどこも、何かしらの竜の縄張りでしょう。気にしても仕方がありません」
イルティミナさんは澄まして答える。
(そ、そうですか……)
「ま、なるべく早く進むことじゃな」
会話が聞こえていたのか、キルトさんが気楽そうに言った。
う~ん。
2人とも、さすが金印の魔狩人。
(余裕だなぁ)
そんなことを思っていると、ふと隣の少女が腰をかがめて、地面に落ちている何かを拾っていた。
はて?
「何してるの、ソルティス?」
少女は答えた。
「小遣い稼ぎ」
……は?
ポカンとする僕に、彼女は「ほれ」と手にしたそれを見せてくる。
それは、楕円形をした緑色の円盤だった。
光沢があって、大きさは10~20センチぐらい。
「何それ?」
「竜の鱗よ」
「鱗? 竜の?」
「そ」
少女の手には、それが3枚ほどある。
それをうっとりと眺めながら、
「縄張りの傷をつけようと、竜が、樹に身体をこすりつけた時に、古い竜鱗が剥がれることがあるのよ」
「へ~」
「これ、このサイズだと1枚100リドぐらいで売れるのよ」
おおっ?
(つまり、今、ソルティスは3万円を拾ったってこと!?)
な、なんて美味しい……。
少女は「ムフフッ♪」と笑いながら、それをリュックにしまっている。
後ろで見ていたラプトが、呆れたように呟いた。
「自分、がめついのぉ」
「ふ~ん、だ」
ソルティスは鼻で笑う。
「神界で暮らしているアンタたちにはわかんないでしょうけど、人の世は世知辛いのよ。こういう『もったいない精神』が大事なの」
「さよか」
「そうなのね」
ラプトとレクトアリス、2人の『神牙羅』は苦笑している。
キョロキョロ
僕もつい、傷のある木の根元を注視してしまう。
と、
「マール殿、気持ちはわかるが、ここは危険な森だ。足元ばかりを気にするのは、いかがなものかと思うのだが」
うぐ……っ。
黒騎士のお姉さんに、困ったように注意されてしまった。
「ご、ごめんなさい」
は、恥ずかしいよぅ……。
そんな僕に、みんなも苦笑いしていて、1人、竜鱗を回収したソルティスだけはケラケラと大笑いしていた。
◇◇◇◇◇◇◇
森の中を進みながら、数時間が経過した。
僕らは今、3~4メードほどの崖の上を歩いている。
崖下には河原があって、小川が流れているんだ。僕らはその川に沿って、崖の上を進んでいる感じだね。
(ん?)
ふと、先頭を歩いているゲルフォンベルクさんが立ち止まった。
僕らに向かって、手のひらを下に抑える仕草をする。
全員、姿勢を低くする。
僕もしゃがんだ。
(……どうしたんだろう?)
そう思っていると、
ツンツン
背中をつつかれた。
振り返ると、唇に人差し指を当てているコロンチュードさんがいて、反対の手が崖下の方を示している。
見れば、彼女の隣のポーちゃんも、そっちを見ていた。
(?)
僕は伏せるようにしながら、崖下を覗く。
崖下にあるのは、草と砂利の河原と流れる小川だけだ。
小川の近くに、5メードほどの大きな岩が転がっているぐらいで、何の変哲もない景色だった。
と、その時、
ガサッ
(あ……っ)
奥の草むらをかき分けて、体長2メードほどの2足竜が、3頭も姿を現した。
『ギュア』
『グアア』
『ギギュイイ』
鳴き声を交わしながら、小川に向かう。
その姿を見つめていると、
「灰竜ですね」
後ろにいたイルティミナさんが、小さな声で教えてくれた。
あれが灰竜。
名前通りに灰色の皮膚をした、小型の竜だった。
2本足で歩くからか、両足はとても太く、そこから生える爪は30センチ近くもある。
逆に、腕は細めだ。
でも、親指のような指もあって、器用に物とかを持てそうな感じだった。
そして、
(3頭とも、怪我をしてる……)
長い尻尾だったり、太ももだったり、顔だったりに裂傷があったんだ。
そこからは、紫の血が流れている。
(もしかして……ガルンさんが追い払った灰竜なのかな?)
そう思った。
「はぐれ竜でしょうか」
イルティミナさんが呟く。
「はぐれ竜?」
「群れからはぐれたり、追い出されたりした竜のことです」
「…………」
「あの竜たちは、怪我を負ったせいで、足手まといとして、群れから追い出されたのかもしれません」
ふぅん。
(竜の世界でも、そういうことがあるんだ?)
3頭の灰竜は、僕らに気づいた様子はなかった。
どうやら、水を飲みに来たのかな?
傷ついた足を引き摺ったりしながら、灰竜たちは小川へと近づいていく。
2頭が周囲を警戒しながら、1頭が顔を水面に降ろしていき、
ピチャ ピチャ
長い舌で水を飲む。
その瞬間だった。
突然、そばにあった5メードほどの大岩が動いて、3頭の灰竜にぶつかった。
(えっ?)
一瞬、何が起きたのかわからなかった。
でも、すぐに大岩に手足が生えていて、その両腕が2頭の灰竜を踏みつけ、岩のような頭部が、水を飲んでいた灰竜に噛みついていることに気づく。
(な……っ!?)
岩じゃない、あれは竜だ!
まるで岩のような外皮をした、巨大な竜だったんだ!
「あれは……岩石竜です」
イルティミナさんも驚いたように、紅い目を丸くしていた。
ベキ ボキキッ
噛みつかれた灰竜は、すでに絶命しているみたいで、骨の砕ける音をさせながら、岩石竜の巨大な口へと飲み込まれていく。
『ギャオオッ』
『グアア』
踏まれている2頭の灰竜は、逃げようと必死に暴れている。
ガキンッ ギギィッ
けれど、長く鋭い爪は、岩石竜の外皮に弾かれて、鈍い音と火花を立てるのみだった。
メキメキ……
その巨体の体重がかけられて、2頭は口から血の泡を吹いた。
動きが鈍る。
その瀕死の1頭へと、岩石竜は噛みついた。
バキッ ボキン
口内へと飲み込まれる。
やがて、残されたもう1頭も、最初の2頭と同じ運命を辿ってしまった。
「…………」
「…………」
「…………」
僕らは息を殺して、その光景を見ていた。
やがて、岩石竜はその場で手足を丸めて、頭部も引っ込めて、動かなくなる。
岩のような皮膚にあった小さな眼球が、ゆっくりと閉じられた。
まぶたも、まるで岩みたいだった。
(…………)
そこにあるのは、ただの大きな岩だった。
今まで動いている姿を見ていたのに、それが竜であったことが信じられないぐらいなんだ。
とんでもない擬態能力。
「あのようにして近づいた獲物を捕食する竜です」
イルティミナ先生が言う。
「竜の中には、あのように樹や岩などに擬態するタイプもいるのです。マールも不自然な岩や樹を見つけたら、気をつけてくださいね?」
「…………」
うん……。
でも正直、見分けられる自信ないなぁ。
(竜って、本当に恐ろしい……)
僕は、つい身体を震わせる。
やがて、周囲の気配を確認して、また移動が再開された。
――この竜だらけの森を抜けるまでは、もう少し時間がかかりそうだった。
◇◇◇◇◇◇◇
その夜は、朽ちて空洞になった大きな倒木の中で野営をすることになった。
焚火を起こして、携帯食料をかじる。
と、
「まさか、ここまで順調に進めるとは思わなかった」
黒騎士のフレデリカさんが、そんなことを言った。
みんなの視線が集まる。
彼女は僕らを見返しながら、
「正直に言えば、もう少し竜たちとの戦闘があると思っていた。貴殿らの実力を侮っていたことを謝罪したい」
と頭を下げてくる。
僕は、ちょっと驚いてしまった。
でも、確かにこの森に入ってから戦闘になったのは、ガルンさんが灰竜を追い払った一戦のみだ。
立ち止まったり、迂回したり、隠れたりはしたけれど、
(それ以外は何もなかったね)
僕の視線は、ある1パーティーへと向けられる。
ゲルフォンベルク・リドワースさんと、その仲間である3人の女冒険者さんたち。
ここまでの平穏な行程は、彼らの功績が最も大きいと思うんだ。
迷宮のプロである『真宝家』の彼は、優れた方向感覚で道に迷うこともなく、見えない場所にいる敵の気配も察知して、僕らを正しいルートに導いてくれた。
彼がいなかったら?
(……僕らは、何回も竜と戦闘になっていたかもしれないね)
彼は瞳を細めて、
「いやいや、愛しいフィディのためなら、これぐらいなんてことはないよ」
と甘く笑う。
けれど、その両手で仲間の3人の女性を抱いたままで。
…………。
(確かに、『金印』に相応しい凄い人なんだけどなぁ……)
見習うかは、ちょっと悩ましいです。
フレデリカさんも微妙な顔になっている。
キルトさんは嘆息する。
それから顔を、倒木の外にある森の方へと向けて、
「しかし、明日からはこうはいかぬであろうな」
と呟いた。
(え?)
みんなの視線もキルトさんに集まる。
「明日の内には、この森を抜ける。そうなれば、山頂までは隠れることのできぬ山肌のみじゃ」
「…………」
「空を飛ぶ竜どもからは、わらわたちはよく見えるであろ」
……あ。
(そっか)
森があるのは、『万竜の山』の麓部分だけ。
それ以降は、木々も減っていき、剥き出しの土と岩の斜面となるんだ。
そういえば、
(森に入る前に見た空には、いっぱい竜が飛んでたね)
…………。
森を抜けたら、あれに襲われることになるんだ。
想像したら、気が重くなった。
「戦うだけなら構わぬでござるが、そこに『不殺』の条件が加わると厳しいでござるな」
ガルンさんも重々しい声で頷く。
イルティミナさんとソルティスも、難しい表情をしている。
「だが、やらねばならん」
キルトさんは、鉄の声で告げた。
彼女は、2人の女性を見る。
「レクトアリス、コロン、防御に関しては、そなたら2人の『神術の結界』が一番の頼りじゃ。任せたぞ」
「えぇ、わかったわ」
「……がんばる」
『神牙羅』と『金印の魔学者』の美女たちは頷いた。
ラプトも「頼むで」と、レクトアリスの背中を叩き、ポーちゃんも「…………」と無言のまま、コロンチュードさんの肩をポンポンと励ますように叩いていた。
…………。
そうして僕らは食事を終え、就寝する。
(明日からが本番だ……)
そう覚悟を決めて、僕は、巨大な倒木の中で眠りについた。
◇◇◇◇◇◇◇
翌日は、土砂降りの雨だった。
雨粒たちは、集まった葉の傘を突き抜けて、地上まで落ちてくる。
僕らはその中を、雨除けのローブを羽織りながら進んだ。
(視界が悪いね)
森の中は、雨のカーテンで灰色に染まっていた。
しかも地面までぬかるんでいる。
更に、枝葉に当たる雨音が、周囲の音をかき消してしまっていた。
(大丈夫なのかな?)
先頭を歩くゲルフォンベルクさんの背中を見つめてしまう。
案の定、その日のペースは、昨日までの倍以上に遅くなっていた。
「偵察を」
彼は何度も足を止めて、3人の仲間に指示を出す。
彼女たちは、前方の様子を確かめては彼に報告し、その上で彼は、前方へと進んでいく。
慎重だった。
正直、じれったいぐらい。
でも、そのおかげなのか、これほど雨で周囲の気配がわからないという状況なのに、竜と遭遇することは決してなかった。
(凄い)
まさにプロの仕事だ。
そしてキルトさんは、ふと頭上を見上げて、
「ふむ。これは恵みの雨かもしれぬな」
と呟いた。
(恵み……?)
この雨が?
僕には、その意味はわからなかった。
やがて、昼が過ぎた頃、森の木々がなくなった。
全くないわけではないけれど、背は低く、土がむき出しの地面が多くなっている。
森を抜けたんだ。
ドキドキしながら、ふと空を見る。
(……あ)
そこで気づいた。
雨が降っているからか、空に竜が飛んでいない。
もしかしたら、上空の雨雲の中に紛れているのかもしれない。
でも、どちらにしても、これだけの雨だ。
(竜からも、僕らの姿が見え辛くなっているかもしれないぞ!)
そこで気づいた。
そうか、キルトさんの言っていた『恵みの雨』って、こういうことか。
ゲルフォンベルクさんも、フードを軽く持ち上げて、雨の降りしきる空を見上げながら、
「ありがたいね」
と微笑していた。
「よし、では行くぞ」
キルトさんの号令で、僕らは『万竜の山』の斜面を登り始めた。
◇◇◇◇◇◇◇
(ふぅ、ふぅ)
空気が薄まって来たのか、息が切れる。
森を抜けてから、およそ2時間。
あれからも竜に襲われることはなく、僕らは、順調に山を登っていた。
(もう6合目は過ぎたかな?)
と思う。
ただ雨足も強まっていて、視界は悪く、昼なのに薄暗い。
ガガァン
しかも雷だ。
時折、空が光っている。
(……何もない山肌で雷って、まずいんじゃなかったっけ?)
ちょっと不安だ。
みんなの歩くペースも少し落ちている。
「わ?」
隣のソルティスが、濡れた地面で滑った。
「いった~」
「大丈夫?」
僕は手を貸して、彼女が立ち上がるのを手伝った。
とても冷たい手。
雨で冷えてしまってるんだ。
「ごめん。あんがと、マール」
「ううん」
意地っ張りな彼女が、素直にお礼を言うあたり、少女の疲れを感じてしまう。
…………。
(休憩した方がいいのかな?)
でも、恵みの雨がやんでしまったら、きっと竜に襲われてしまう。
やっぱり急ぐべきか。
でも、正直、僕も疲労を感じていた。
(このペースで頂上までもつのかな?)
今はまだ大丈夫だけれど、この先、もしも何かあったなら、それに対処するだけの体力は残っていないかもしれない。
どうしたらいいんだろう?
迷いを感じながら、進んでいく。
顔をあげて、頂上を見る。
まだまだ遠くて、山頂部分は、真っ黒な雨雲に隠れてしまっている。
大きな雨粒が、僕の顔を濡らしていく。
と、その時だ。
ガガァン
空で、また雷が光った。
その光の中に、何か大きな影が見えた気がした。
(ん?)
一瞬だったので、よくわからない。
「どうしました、マール?」
足の止まった僕に、イルティミナさんが声をかけてくる。
僕は前方の空を指差して、
「あそこに、何かいた気がしたんだ」
「え?」
イルティミナさんも顔をあげる。
雨のカーテンと灰色の分厚い雲があって、指の先には、何もないように見える。
でも、
ガガァン
また雷が走って、空が光った。
(あ)
間違いない。
そこに巨大な何かが飛んでいた。
同じものを目撃したのか、イルティミナさんの表情が強張った。
「キルト! 暴風竜です!」
突然の大声。
全員の足が止まった。
「何じゃとっ!?」
キルトさんもフードを外して、黄金の瞳で空を睨む。
みんなも空を見た。
ガガァン
雷が走り、空が光る。
そこには、先ほどよりも大きく見える巨大な飛行物体の影があった。
(でっかい!)
まだ距離があるはずなのに、かなり大きく見えた。
20メード?
いや、それ以上のサイズかも?
「……しまった。雨雲に紛れて接近されたね」
ゲルフォンベルクさんが、見たこともない悔しげな表情で言う。
キルトさんも「ぬう」と唸った。
「皆、急げ! このまま山頂まで急ぐのじゃ!」
そう全員に叫ぶ。
イルティミナさんが叫び返した。
「無理です! すでに私たちは、あの竜に捕捉されていますよ!」
切迫した空気だ。
ソルティスも青ざめている。
「暴風竜って、まずいの?」
僕は、訊ねた。
少女は固い声で答えた。
「まずいわよ。飛竜の中でも最上位種よ。討伐を依頼された『金印の魔狩人』が返り討ちにあった例もあるんだから」
『金印』が返り討ち!?
唖然となる僕。
フレデリカさんが叫んだ。
「来るぞ!」
もはや、雷光がなくても、その巨体がわかる。
ゴゴォオオオウ
(うわっ!)
僕らの上空を通り抜ける。
その翼が巻き起こす突風に、危うく吹き飛ばされそうだった。
(あれ、翼も入れたら、30メードはあるぞ!?)
強く風が舞っている。
あの竜の周囲だけ、突風が吹いているみたいだ。
その暴風竜は、上空を旋回して、また僕らへと接近してきた。
ガガァン
空が光る。
そこに映し出されたのは、黒い外皮に銀色の斑模様が描かれた美しく巨大な飛竜だった。
その威容には、神聖ささえ感じる。
(あれと戦わないといけないの!?)
それも、殺してはいけないというハンディ付きで……っ?
僕は、呆然だ。
「また来ます!」
イルティミナさんの叫び声が木霊する。
『万竜の山』の頂きを目指す僕らの前に、その猛き巨大な暴風竜は、荒れる雨空から襲いかかってきた――。
ご覧いただき、ありがとうございました。
※次回更新は、明後日の金曜日0時以降になります。どうぞ、よろしくお願いします。




