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【書籍化&コミカライズ!】少年マールの転生冒険記 ~優しいお姉さん冒険者が、僕を守ってくれます!~  作者: 月ノ宮マクラ


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207・暗殺の夜

第207話になります。

よろしくお願いします。

 僕らのいる控室に、大きな地図が運び込まれた。


 ヴェガ国の地図だ。


 それは目の前のテーブルに広げられる。


「『聖神樹』の位置を国外の者に教えるのは、お前たちが初めてだ」


 アーノルドさんは、そう笑った。


 僕らは頷き、改めて地図を見る。


 ドル大陸の西方にあるヴェガ国は、逆向きの大きな二等辺三角形をしていた。


 僕らのいる首都カランカは、海に近い南西。


「『聖神樹』は、ここだ」


 毛に覆われたアーノルドさんの指が示したのは、国のほぼ中央だった。


 首都からの距離は、縮尺から見て、多分1000キロぐらいかな?


(かなり遠いんだね)


 彼の指は、街道を追いながら、


「俺たちの『獣車』で、およそ2週間かかる」

「ふむ」


 キルトさんは頷いた。


 それから、彼女の白い指が、地図の上を示して、


「ここは通れぬのか?」


 と訊ねた。


 それは街道ではなく、どこかの渓谷のようだった。


 書かれた文字は読めないけれど、地図の図柄から、僕にも渓谷だとわかったんだ。


 そして、それは最短ルート。


 街道は、その渓谷を大きく迂回するように敷かれている。


「『魔獣の渓谷』か」


 アーノルドさんは難しい顔をした。


「魔獣の渓谷?」

「あぁ。かつて、俺たちもここに街道を通そうとしたんだがな。ことごとく失敗した。ここには、多数のキメラたちが棲みついているんだ」


 キメラ?


 僕の様子に気づいて、イルティミナさん――もといイルティミナ先生が教えてくれる。


「キメラとは、400年前のタナトス魔法王朝時代に創られた、魔法生物の総称です」

「へ~」

「様々な生物の特徴を組み合わせた生命体で、タナトス時代は、魔法で制御されていましたが、現在はその方法もわからなくなり、完全な自立行動をしています」


 ふむふむ。


「その強さも脅威で、クエスト難度としては『銀印』、あるいは『金印』に相当するでしょう」


(え、金印のクエストなの!?)


 僕は唖然となった。


 その反応にアーノルドさんは苦笑して、


「正直、ここを通過するのは、俺もお薦めはしないぞ」


 と続けた。


 僕らの視線は、リーダーであるキルトさんに集まる。


 キルトさんは、少し間を置いて、


「通ろう」


 そう告げた。


「『闇の子』の言葉は、どこまで信用できるかわからぬ。可能な限り、時間は節約したい」


(…………)


「それに、こちらには『金印の冒険者』が3人いる。通り抜けることは、充分可能であろう」


 地図から顔を上げ、同じ2人の『金印』を見上げた。 


 イルティミナさん、コロンチュードさん、2人も頷く。


(頼もしいなぁ)


 その3人の姿は、僕には、とても眩しく見える。


 ふと見たら、ソルティスも同じ表情だ。


 アーノルドさんも獣の瞳をかすかに細めて、それから頷いた。


「わかった。お前たちが望むなら、そうしよう」

「うむ」

「ヴェガ国からも、俺たちの信頼する兵士500人を用意する。活用してくれ」


 彼はそう提案し、


「いらぬ」


 キルトさんは、即答で却下した。


(え?)


 目を丸くする獣人さんに、彼女は答えた。


「わらわたちは冒険者であって、兵士ではない。少数で動く方が慣れている」

「しかし……」

「案ずるな。それよりも可能ならば、その人員は、現地の人々の避難誘導やデモの鎮静化のために回してくれ」


 と言って、


「『聖神樹の悪魔』と戦えば、現地一帯は、間違いなく火の海となるぞ」


 と警告した。


 黄金の瞳に見つめられて、アーノルドさんは息を呑む。


 そして、


「わかりました」


 と答えたのは、今まで黙っていたシャマーン陛下だった。


「全ては、シュムリアの守護者と神の御子たちの望むままに致しましょう」


 と柔らかに頷いて、


「ヴェガ国の民を気遣って下さること、本当に感謝します」


 と頭を下げてくる。


(……本当に、物腰の低い王様だね)


 シュムリア王国の王様は、ちょっと怖い武人さんだった。


 アルン神皇国の皇帝は、美しく神々しい貴人さんだった。


 ヴェガ国の王様は、物腰の柔らかな賢人さんみたいだ。


 国を統べる人にも、本当に色々な違いがあるんだね……と、つくづく思ったよ。


 シャマーン陛下の言葉に、キルトさんも頷いて、


「わらわたちも、全力を尽くすことを誓いましょう」


 返礼を返した。


 その後ろで、シュムリアから来た僕ら5人も、大きく頷いた。


 シャマーン陛下は瞳を細めた。


 その息子のアーノルドさんは、


「すまないな」


 感じ入った声で、僕らにそう謝意を伝えた。


 それから僕らは、というか、主にキルトさんがなんだけれど、アーノルドさんと詳細についてを詰めていく。


 出発は、明日の朝。


 僕ら以外に同行するのは、アーノルドさんのみ。


 という話になった。


「今夜は、王宮殿でゆっくりと休んでくれ」


 話し合いが終わると、アーノルドさんはそう笑った。


「食事も用意しよう。こちらの酒も堪能してくれ」

「おぉ、それは楽しみじゃ」


 キルトさんの表情も輝いた。


 僕らは苦笑する。


(アーノルドさん、キルトさんのことわかってるね?)


 と、イルティミナさんが軽く手を挙げて、


「1つ、よろしいですか?」

「ん? なんだ?」

「ヴェガ国には、『金印の冒険者』はいないのでしょうか?」


(え……?)


「もしその者たちの協力が得られるならば、『魔獣の渓谷』を抜けるのもより容易くなると思うのですが」


 と質問した。


 僕らは、アーノルドさんを見る。


 彼は、獅子のたてがみの様な髪を、長い爪のある指でかいて、


「……お前たちには話しておくか」

「?」

「実はな、ヴェガ国には『金印の冒険者』が2人いる」


 おぉ。


「だが、3ヶ月前から行方がわからんのだ」


(……え?)


「なんじゃと?」


 僕らは唖然となった。


「俺たちも捜索をしているが、見つからん。2人とも、煙のように消えた。これも市井には秘密の情報だからな、誰にも漏らすなよ?」


 …………。


 思わず、他のみんなと顔を見合わせてしまう。


(金印が2人とも行方不明って……なんで?)


 その疑問はアーノルドさんたちの方が、より強く感じていると思うけど。


「……『金印』が、か」


 キルトさんは、小さく呟いた。


 控室の窓から吹き込んできた風は、妙に冷たく感じた。


 そうして話し合いは、今度こそ終わった。


 それから僕らは夕食をご馳走になった。


「わぁ、美味しそう!」


 ブタのような生き物の丸焼きや炒めたお米、柑橘系の果物と共に作られた肉料理などがテーブルに並んだ。


 あと銀色のボールには、水が入っている。 


「この祝い料理は、手掴みで食べる」


 アーノルドさんは、そう言って実演してみせた。


 凄く美味しそうな顔だ。


 ちょっと僕も、涎が出ちゃいそう……。


 そして彼は、ボールの水で指を洗った。


(なるほど。そのためのお水なんだ)


 そうして、僕らも手掴みで食べていく。


 行儀が悪そうなことを、思いっきりやって良いというのは、凄く新鮮で、料理も本当に美味しかった。


「ふふっ、こういう食事も楽しいですね」

「うん!」


 イルティミナさんと一緒に笑い合った。


 ソルティスは、もう両手を使ってバクバク食べている。


 コロンチュードさんの頬には米粒がついていて、ポーちゃんの小さな指がそれを摘まんで、そのままパクッと食べた。


 キルトさんは、アーノルドさんと酒ジョッキを何杯も空けていた。


 明日からの過酷な旅を思ってか、今夜は、とても賑やかな食事会となったんだ。


 やがて、食事も終わる。


 そうして僕らは、明日に備えて、早めの就寝をすることとなった――。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 あてがわれた寝所の窓から、紅白の月が輝いて見えた。


 それに気づいた僕は、


「ドル大陸でも、見える月は変わらないんだね」


 と呟く。


 お風呂上がりの艶やかな紫髪を、ベッドに座って櫛で梳かしていたソルティスは、呆れた顔をする。


「当ったり前でしょ? マールって本当、馬鹿ね」

「うぐ……」


 そ、そんな風に言わなくてもいいじゃん。


 しょんぼりする僕に、イルティミナさんとキルトさんが笑う。


 ここは王宮殿の客間、その寝室だった。


 この客間にいるのは、僕とイルティミナさん、キルトさん、ソルティスの4人。


 コロンチュードさんとポーちゃんは、別室だ。


 就寝前の寝酒を楽しんでいたキルトさんは、酒瓶の蓋を閉める。


「さて、皆、今夜はもう寝るとするかの」

「うん」

「はい」

「へ~い」


 僕らは返事をする。


 そして、イルティミナさんは白いシーツに横になると、たおやかな手を僕へと揺らして、


「さぁ、いらっしゃい、マール」


 と美しく微笑んだ。


(は~い)


 抱き枕マールの出番です。


 ポフッ


 すっかりしつけられてしまった僕は、子犬のようにご主人様の横で丸まった。


「ふふっ」


 嬉しそうにイルティミナさんが抱き着いてくる。


 いつもの甘やかな匂い。


 お風呂上がりだからか、爽やかな石鹸の香りもする。


 背中に押しつけられる弾力が心地好くて、首筋に流れる彼女の長い艶髪もくすぐったくて、


「灯りを消すぞ」


 キルトさんの声と共に、部屋は暗くなった。


 紅白の月明かりだけが、窓から差し込んでいる。


「おやすみなさい、私のマール」


 チュッ


 僕の茶色い髪にキスをされる。


 僕は笑って、


「おやすみなさい、イルティミナさん」


 そう大好きな人に伝えると、まぶたを閉じていく。


 温かな暗闇。


 旅の疲れがあったのか、僕の意識は、すぐに眠りの世界へと落ちていった。


 …………。


 …………。


 …………。


 どれくらい眠っていたのだろう?


(……ん?)


 ふと違和感で目が覚めた。


 まぶたを開ける。


 就寝前の寝室の景色があるだけで、何も変わらない。


 でも、


 クンクン


(ほんのかすかにだけど、変な刺激臭がする)


 僕は、身体を起こした。


「ん……マール?」


 気配に気づいたのか、イルティミナさんが目を覚ました。


(あ、起こしちゃった?)


 イルティミナさんは、長い髪をこぼしながら、上半身を起こす。


 タユン


 重そうな乳房が、白い寝着の布地の向こうで揺れる。


(う……)


 ちょっと赤くなる僕。


 それに気づかず、イルティミナさんは、軽く目をこすりながら、


「どうしました、マール? トイレですか? もし怖いのでしたら、一緒に行きますよ?」


 と聞いてくる。


 いやいや。


 僕は苦笑しながら、


「ううん。ただちょっと、変な臭いがしてるから」

「変な臭い?」


 キョトンとなるイルティミナさん。


 と――次の瞬間、彼女は、ハッと何かに気づいた顔をした。


 タンッ


 ベッドを蹴り、僕を抱きしめながら、床に転がる。


(ふえっ!?)


 突然のことに混乱する。


「キルト、敵襲!」


 イルティミナさんは、そう叫んだ。


 叫びながら、妹の寝ているシーツをグイッと引っ張り、少女ごと床に落とす。


 ゴトン


「ぐえっ?」


 ソルティスは、変な悲鳴と共に目を覚ました。


(え? え?)


 混乱しながら立とうとする僕の頭を、イルティミナさんの手が上から押さえる。


「顔を上げないで! ベッドの陰に隠れていてください」

「う、うん」


 答えている間に、キルトさんも起きていた。


「ぬ?」

「吹き矢です!」


 イルティミナさんの警告。


 それが終わるか終わらないかという間に、キルトさんはバッと、何かを払うように毛布を振るった。


 チリリン


(?)


 かすかな金属音がした。


 見れば、毛布が振るわれた床に、長さ3センチほどの小さな針が2本、転がっている。


(え……?)


 その針の先端は、何かの液体で濡れていて、月光に妖しく煌めいていた。


 そこから、あの刺激臭がする。


「毒針か」


 キルトさんの一言。


(毒!?)


「マール、ソル、2人ともここから動かないで」


 ベッドの陰に僕らを押しやり、そう言い残してイルティミナさんは走りだした。


 タンッ


 床を蹴り、窓の外へと飛び出す。


「あまり深追いするな!」


 キルトさんは、そう言いながら、イルティミナさんのあとを追う。


 寝室に残されたのは、僕ら2人。


「な、何? 何があったの?」


 僕の腕を掴みながら、ソルティスが不安そうに訪ねてきた。


 僕は、床に落ちている針を見つめる。


 毒の針。


 よく見たら、イルティミナさんが僕を抱えて転がった床にも、何本もの針が刺さっている。


「わからない。……わからないけど、なんか僕ら、襲われたみたい」

「…………」


 ソルティスは渋面になった。


 それから僕らは、窓から死角になる場所に隠れながら、それぞれ『妖精の剣』と『大杖』を手に入れる。


 ドキドキする。


 緊張で心臓が痛いぐらいだ。


(なんで? なんで襲われたの?)


 しかも、ここはヴェガ国の王宮殿の中なのに……。


 混乱している。


 そして、ふと気づいた。


「もしかして、コロンチュードさんとポーちゃんも……?」 

「あ……!」


 ソルティスの表情も青ざめた。


 僕らは頷き合うと、周囲の気配に気をつけながら、移動を開始した。


 なんとか客間の扉まで辿り着く。


 かすかに廊下への扉を開いた。


(人の気配はないね)


 あの毒の臭いもしない。 


 僕はソルティスに頷き、ソルティスも頷きを返してくる。


 キィィッ


 扉を抜けて、僕が前になって2人で廊下を進む。


 すぐに隣室の扉だ。


(!)


 中で起きている人の気配がする。


 まさか!?


 僕は慌てて、扉を壊すような勢いで開いた。


「ポーちゃん!」

「コロンチュード様!」


 部屋に飛び込み、それぞれの武器を構える。


 その先にいたのは、


「……あ。……やっほ、マルソル・コンビ」

「…………」


 ベッドに腰かけている猫背のハイエルフさんと、床に立っている幼女の姿だった。


 ジジジッ


 そして、2人の間の地面に、光の網が広がっていた。


(…………)


 その中には、黒ずくめの格好をした男の人が3人、重なるように倒れている。


 ジジジッ


 光の網は、雷の力があるようで、3人とも感電していた。


「ぐ……」

「ガガガ……」

「ジビビィ……」


 手には、あの毒の塗られた短剣があった。


 僕とソルティスは、その予想外の光景に、思わず立ち尽くしてしまう。


「……襲われたから、2人で倒しちゃった」


 あっけらかんと言うハイエルフさんと、


「…………(コクッ)」


 パシパシッ


 小さな右拳を左手のひらにぶつけながら頷く幼女。


(さ、さすが『金印の魔学者』と『神龍』だね) 


 侮るなかれ。


 彼女たちも人類最強クラスの存在だったんだ。


 やがて、イルティミナさんとキルトさんも戻ってくる。


 彼女たちも、気を失った黒ずくめの男たちを3人、連れ帰ってきていた。


 ドサドサッ


 彼らを床へと転がし、


「もう……部屋から動かないでと言ったのに。マールは悪い子ですね?」

「ご、ごめんなさい」


 叱るイルティミナさんと、慌てて謝る僕である。 


 やがて、キルトさんが王宮殿の人に連絡し、すぐにアーノルドさんが駆けつけてくれた。


「すまん!」


 事情を知った彼は、すぐに謝罪した。


「恐らく、『聖神樹』の切削禁止の反対派である貴族連中の仕業だ。まさか、王宮殿内で仕掛けてくるとは……」


 えぇ……。


 キルトさんは肩を竦める。


「まさかだからこそ、であろうの」

「そうだな……。本当にすまない。警備体制はすぐに厳しく立て直す」

「うむ、頼むぞ」


 こちらに被害がなかったからか、鬼姫様も寛容だ。


 アーノルドさんは頷き、黒ずくめの男たちから首謀者など詳しい内容を聞きだすために、王宮殿の兵士たちと連行していった。


 一連の出来事に、僕は、しばし呆然だ。


「……なんで?」


 僕らを殺したからって、悪魔の復活が止まるわけでもないのに。


『聖神樹』の切削を続けたら、悪魔が復活しちゃうのに。


 僕には、意味がわからない。


 キルトさんは言った。


「信じたくない物事は、全て虚言として、現実を見ようとしない者もおる」

「…………」

「…………」

「…………」

「これまでの日々を失うぐらいなら、破滅する時まで、その心地好さに浸ろうとする者もおるのじゃよ。愚かしいことにの」


 …………。


 僕は、なんだか泣きたくなった。


(僕らは、みんなを救おうと必死にがんばっているのに……)


 なのに、その相手から恨まれることがあるなんて。


 うつむいた僕を、イルティミナさんが優しく抱きしめる。


「マール、大丈夫ですよ」

「…………」

「全てがそのような者ではありません。アーノルドのように、シャマーン陛下のように、私たちの味方もおりますよ?」


 ……うん。


(うん、そうだね)


 僕は、顔を上げた。


 人間に絶望する必要はないんだ。


 目の前にだって、希望となる大切な人たちがいる。


「…………」


 ポンポン


 ふとポーちゃんに、慰めるように肩を叩かれた。


(……ポーちゃん)


 かつて人に裏切られた彼女は、けれど、この出来事があっても人を信じてくれているようだった。


「うん」


 僕は、ポーちゃんに頷いた。


 ソルティスは肩を竦める。


 キルトさんは、そんな少女の頭を軽く撫でてやり、彼女はびっくりしていたけれど、その手を振り払うことはしなかった。


 イルティミナさんが笑った。


「さぁ、マール。明日も早いですから、また眠りましょう」

「うん」


 僕も笑った。


 コロンチュードさんは、ぼんやりと空中を見上げて、


「……私は、ちょっと夜食でも食べたい……な」


 と眠そうに呟いた。


(魔法を使って、お腹が空いたのかな?)


 マイペースな彼女の言葉に、僕らは呆れ、みんなで笑ってしまった。


 その笑い声は、紅白の月が輝く夜空に吸い込まれていく。


 ――そうして、僕らの王宮殿での一夜は過ぎていった。

ご覧いただき、ありがとうございました。


※次回更新は、明後日の金曜日0時以降になります。どうぞ、よろしくお願いします。

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