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【書籍化&コミカライズ!】少年マールの転生冒険記 ~優しいお姉さん冒険者が、僕を守ってくれます!~  作者: 月ノ宮マクラ


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142/825

140・元凶の魔

第140話になります。

よろしくお願いします。

 ルド村の出入り口である洞窟を通り抜け、僕は森に出る。


(!)


 瞬間、凄まじい臭気に襲われた。


 ――生臭い。


 緑色に包まれた森の景色は変わらないのに、そこに、たくさんの魔物の臭いが充満していた。


(……オルティマさんたちは?)


 鼻に神経を集中し、大きく息を吸う。


 ――いた。


 たくさんの種類の臭いの中で、彼らの匂いが、かすかに見つかる。


(こっちだ!)


 僕は、そちらへと全力で走りだした。


 草を蹴散らし、枝を折りながら、5分ほど森を突き進むと彼らの姿を発見した。


 崖の上に、3人の狩人が集まっている。


 彼らは皆、崖下の方を見ていた。


「オルティマさん!」

「!」


 気づいて彼は振り返る。


 すぐに手を上げ、何かを押さえる仕草をした――『気配を殺せ』だとすぐに気づいた。


 慌てて速度を落とし、足音をできる限り減らす。


 しゃがんでいる彼の隣に、身を潜めて近づいて、片膝をついた。


 オルティマさんを含めて、3人の狩人は、仲間を見るような視線を僕に送ってくれた。


「来てくれたのか、マール」

「うん」


 僕は頷き、


「状況は?」


 彼は答えずに、崖下の方へあごを動かした。


 僕は姿勢を低くして、崖下へと顔だけをこっそり覗かせる。


(……うわ……ぁ)


 恐ろしい光景があった。


 眼下に見える森の木々の間を、大量の魔物が闊歩している。


 狼のような『白牙狼』。


 角を生やした大熊の『魔熊』。


 狐の顔と猿の胴体をした『邪虎』。


 他にも、見たことのない蛇のような魔物や、虎みたいな魔物もいた。


 20~30匹じゃない。


 恐らく、その10倍、200~300匹はいると思えた。


 そして、その魔物の群れの中に、白い仮面と黒ローブをまとった人間たちの姿が数人、紛れ込んでいるのが見えた。


(神血教団ネークス……っ!)


 彼らの手には、奇妙な形の杖が握られている。


 魔物の中にあっても襲われていない様子を見ると、本当に魔物たちを操れるようだ。


 そして彼らは、まだ崖上の僕らに気づいていない。


 僕は息を吐き、


「……壮観だね」


 思わず、皮肉を漏らしてしまった。


 狩人2人は苦笑する。


 そして、オルティマさんが何かを言おうとして、その時、別の気配が近づいてきた。


「!」

「戻ったか、ドーマ、ザウリー」


 反射的に剣の柄を握ってしまったけれど、やって来たのは、オルティマさんの仲間の狩人2人だった。


 僕に気づいて、彼らは驚き、


「マールも来てくれたのか」

「うん」


 嬉しそうな彼らに、僕は、曖昧に笑顔を返す。 


 すぐにオルティマさんが急かすように訊ねた。


「どうだった?」

「駄目だな」


 答えたのは、ドーマさん。


「北と西の森も、魔物で溢れてる。どう考えても、村全体が囲まれてるな」


 どうやら2人は、偵察に動いていたようだ。


 そして、その報告内容。


(つまり……もう、ルド村の位置がばれてる?)


 そう思った。


 多分、オルティマさんたちもそう考えただろう。


 リーダーである彼は、決断した。


「全ての魔物を駆除することは、もはや不可能だ。このまま村に戻るぞ」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」


 僕と狩人4人は、頷いた。

 彼は続ける。


「そして村の出入り口である洞窟で、迎え撃つ。あそこならば、数で圧倒されずに戦える」


 うん。

 あの洞窟の狭さなら、多くても2~3体が横並びになるので精一杯だ。


(少数の僕らにとっては、戦い易い地形だね)


 僕らを見つめて、


「そこで抑え込めるなら、よし。だが、それも不可能ならば、()()()()を使う」


 と言った。


(……最後の手?) 


 怪訝な僕に対して、4人の狩人は神妙な顔で「わかった」と頷いた。


 オルティマさんも頷き、


「よし、村に行くぞ」


 彼は立ち上がると、森の中へと先頭に立って走りだした。


 他の4人もあとを追う。


 僕も続こうとして、


「…………」


 ふと崖下を見る。


 森の中で蠢く、たくさんの魔物の姿。


 かつて、ディオル遺跡の最下層で、1000体のスケルトンたちを見た時のような絶望感があった。


(……これが村に辿り着いたら)


 その想像に、きつく唇を噛む。


 僕は、未来のために、ルド村を見捨てるべきなのか、それとも……? 


 答えは、まだ出ない。


 それを振り切るように頭を強く左右に振って、僕はオルティマさんたちを追いかけ、森の木々の中へと飛び込んだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 洞窟の中に入った僕らは、迎撃のための準備を進める。


「ミル、お前は村まで戻って、ありったけの矢を持ってこい」

「わかった!」


 オルティマさんの指示で、1人の狩人が奥へと駆けていく。


 僕が森で合流するまでにも、彼らは戦闘を行っていたのだろう、背負っている矢筒には、もう数本しか矢が残っていなかったんだ。


 僕らがいるのは、洞窟内でもかなり狭い区画。


 ここなら、1度にたくさんの魔物が襲ってくることは不可能のはずだ。


 カンッ カンッ


 洞窟内は暗いため、上部の岩壁に楔を打ちつけ、そこに蝋燭を設置して灯していく。


(……魔法の発動体があればなぁ)


『光鳥』の魔法で、簡単に光源を生み出せた――作業を手伝いながら、魔法の便利さを再認識してしまう。


 でも、蝋燭でも周囲は明るくなる。


 ただ、光は揺らめき、不安定だ。


「これでも弓で狙えるの?」

「問題ない」


 オルティマさんは頼もしく頷く。


 光源の設置が終わると、僕は、足元に落ちている小石を拾い、遠くに投げていく。


「何をしているんだ?」


 狩人さんの1人が問いかけてくる。


「足場の確保。戦ってる時に、踏んで足を滑らせないようにしてるんだよ」

「ははぁ、なるほどな」


 頷いて、彼らも手伝ってくれる。


 やがて、ミルさんも、山のように矢筒を抱えて戻ってきた。


「…………」

「…………」

「…………」


 僕らは、しばらく待った。


 全ての準備が終わってから、15分ぐらい経過しただろうか?


(……来た)


 生臭い獣臭。


 僕は、ゴブリン退治の時に教わったように、洞窟の床に指を触れさせる。


 振動が伝わってきた。


(……すぐそこまで近づいてる)


 僕は立ち上がって、『妖精の剣』を鞘から抜き放った。


 それを見て、みんなも気づいたようだ。


 それぞれ、狙い易い岩場へと移動していく。


 戦い方は単純だ。


『僕が足止めして、その間に、5人の狩人が弓で仕留める』


 それだけ。


(まだ、迷いはあるけど……)


 でも、今は忘れて剣を振ろう。


 心の中では、アークインが『やめろ』と叫んでいるけど、あえて無視をした。


 そして、


 ギャッ グワァ ガォオオッ


 魔物たちの騒がしい声が、洞窟内に反響しながら聞こえてきた。


 ギュウッ


 剣の柄を握りしめる。


 圧力を伴ない始めた洞窟の闇に向かって、僕は美しい剣先を、ゆっくりと正眼に構えた。



 ◇◇◇◇◇◇◇



「やぁああっ!」


 ガッ カヒュンッ


 飛びかかってくる『邪虎』の動きに合わせて、僕は、カウンター剣技で腕を斬り飛ばす。


 魔物の悲鳴が洞窟内に反響し、紫の鮮血が舞う。


 シュドドッ


 直後、5本の矢が『邪虎』の頭部、心臓、腹部を貫いて、絶命させた。


「次、来るぞ!」

「はい!」


 乱れた呼吸を戻しながら、オルティマさんの声に叫び返す。


 魔物たちの猛攻を、僕は必死に防いでいた。


 こちらからは攻めない。


 牽制を繰り返し、たまにカウンター剣技で押し返す。時間を稼いでいる間に、オルティマさんたちの弓が魔物を倒してくれる。


 その繰り返しだ。


 かつてディオル遺跡で経験したスケルトンとの集団戦が、凄い役に立っている。


(でも、きついね……っ)


 新たに現れた『魔熊』に対して、剣先を走らせながら、思う。


 防具がない。

 回復魔法がない。


 決して、怪我を負えない。


 そして、次々に襲いかかってくる魔物。


 切れ目がない。


 更に厄介なのは、洞窟の狭さだった。


 狭いからこそ、一斉に多方向から襲われないメリットはあるけれど、相手の攻撃をかわすスペースも少ないのだ。


 ドォン


「く……っ」


 辛うじて、振り下ろされた『魔熊』の巨碗を、背中を洞窟の壁にぶつけながらかわす。


 爪先まで、ほんの数センチだった。


 ドシュシュッ


 5本の矢が、『魔熊』を絶命させる。


 倒れてくる巨体をかわしながら、僕は、足場を確認して叫んだ。


「3メード、下がります!」


 大量の血液で足の踏ん張りは悪くなり、たくさんの魔物の死体でまともに動けるスペースもなくなっていた。


 オルティマさんが「わかった!」と叫ぶ。


 僕は、後方にステップを踏む。


 そんな僕めがけて、洞窟の闇から、新たに『白牙狼』が襲いかかってくる。


 ドシュシュッ


 2本の矢が刺さり、魔物の動きが鈍る。


 5人の狩人の支援を受けて、僕は、なんとか動ける場所まで退避した。


「やっ!」


 ガヒュッ


 傷ついた『白牙狼』の頭部を切断。


 その死体を蹴り飛ばし、服の袖で刃についた血を拭って、もう一度、正眼に剣を構える。


 蝋燭の炎に照らされる洞窟内。


 闇の奥から、その揺らめく光の範囲内へと、次々と魔物が出現してくる。


(負けるもんか……っ)


 ヒュ シュオッ ヒュン


 無我夢中で剣を振る。


 けれど、いつまで経っても魔物の出現は止まらない。


 もう確実に50体以上、倒している。


「はぁ、はぁ、はぁ」


 肩で息をする。


 奇跡的に怪我はしていないけれど、危ない場面は何度もあった。


 ――これ以上は、厳しいかもしれない。


 そう感じた。


(どうする……っ?)


 ヒュコン


 蛇のような魔物の牙を斬り、返す刃でその頸部を切断しながら、僕は焦りを覚えていた。


 その時、


「……限界だな」


 オルティマさんが呟いた。


「マール、下がれ! このまま洞窟の外まで退避する!」


(……え?)


 ドシュッ


 驚く僕の背後、接近していた『邪虎』に矢を打ち込んで、彼は言った。


()()()()を使う」


 最後の手? 


 狩人4人は、オルティマさんを見つめる。


「いいのか?」

「仕方あるまい。未来の心配よりも、まずは今ある命の方が大事だろう」


 彼らは神妙に頷いた。


「急げ、マール!」

「う、うん」


 オルティマさんの声に弾かれるように、僕は、狭い洞窟内を村の方向へと走りだした。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 魔物の追撃を牽制しながら、僕らは洞窟の外に出る。


(うっ……眩しい)


 太陽の光に、一瞬、目を焼かれる。


 それが収まれば、すぐに草原の緑と青い空が視界いっぱいに広がった。


 ガウッ グガァ


 でも、僕らと一緒に、足の速い『白牙狼』2体まで外に出てきてしまった。

 これはいけない。


(狩らないと!)


 剣を構える僕。


 でも、


「もっと下がれ、マール! 巻き込まれるぞ!」


(え?)


 意味を計りかねつつ、後方へバックステップ。


「キュアリズ、やれ!」


 それを見たオルティマさんは、仲間に叫んだ。


 洞窟の出口脇にいたキュアリズさんは、その手に巨大な木槌を握っていた。


 大きく振り被り、それを出口の枠木にぶち当てる。


 バキッ ゴガァン


 枠木が砕けた。


 当然、重量に負けて、洞窟の天井が大きく歪み、そして壁の一部が崩れた。


 ゴガン ゴゴン ガガァン


 音が連鎖しながら、洞窟の奥へと続いていく。

 そして、


 ドパパァアアアン


「!?」


 一際大きな轟音がした直後、凄まじい熱風が洞窟内から、衝撃波となって噴き出してきた。


(あ、熱っ――うわぁ!?)


 吹き飛ばれた僕は、ゴロゴロと草原を転がる。 


 体勢を立て直し、慌てて顔を上げる。


(…………)


 僕は呆けた。


 洞窟の出口は完全に崩れていた。


 もうもうと砂埃が舞う中、巨大な岩と岩の隙間から、焦げ臭い黒煙が何本も空へと昇っている。


 ――火薬の臭い。


(まさか、洞窟に爆薬をセットしていたの?)


 そう気づいた。


 ドシュシュッ


 オルティマさんたちの弓が、同じように吹き飛ばされていた『白牙狼』2体を仕留める。

 外に出た魔物は、他にいない。


 そして、洞窟内の魔物は、


「全滅……?」


 洞窟の崩落に巻き込まれれば、幾ら強靭な魔物といえども生存は難しい。仮に生きていても、脱出は不可能だ。


 呆ける僕に、オルティマさんが手を差し出した。


「立てるか、マール?」

「あ、うん」


 手を借りて、立ち上がる。


 他の狩人4人は、崩れた洞窟の方に、しばらく弓を構えていた。けれど、そこから何も気配が現れないことを確認して、構えを解く。


「ふぅ……」

「終わったな」

「あぁ」

「…………」


 それぞれに、大きく息を吐いた。


 僕は、オルティマさんを見た。


 彼の真紅の瞳は、静かに崩れた洞窟の方を見つめていて、


「村と外を繋ぐ唯一の道だった」

「…………」

「これで魔物の脅威は大丈夫だろう。だが、蓄えた食糧が尽きる前に、新たな道を掘らねばならん」


 重そうな吐息。


 これは、ルド村にとっても大きな痛手となる手段だったんだ。

 まさに()()()()


(でも、未来よりも、まずは今の皆を守ったんだね)


 その決断に、敬意を表する。


 僕と5人の狩人は、しばらく洞窟前の草原で佇んでいた。


「…………」


 これで、ルド村を襲った悲劇は回避されたのかな?


 ……わからない。


 僕は、まだ生きている。


 ここに存在している。


 歴史が変わったなら、僕は消えてしまっているはずだと思った。でも、ここにいる。 


(まだ……終わってない?)


 不安を覚えていると、


「マール君! 父様!」


 その声にハッとした。


 振り返ると、そこにルド村のみんながいた。


 それぞれの手には、鍬や鋤、包丁やすり棒など、武器ともいえない武器が握られている。彼らは緊張した顔で、僕らを見ていた。


 轟音に気づいて、皆、集まってきたようだ。


 村人の中には、少女のイルティミナさんもいた。


 その手には、木彫りで使う小さなナイフ。


 近くのフォルンさんの腕には、眠そうな幼女ソルティスが抱かれている。少女は、2人を守るようにその前に立っていた。


 皆、状況を見つめていた。


 そして、村長さんが前に出てくる。


「終わったのかい、オルティマ?」

「はい」


 頷くオルティマさん。


 数瞬の間があって、村人たちは歓喜に沸いた。


 僕らは、一斉に囲まれる。


 頭を撫でられ、背中を叩かれ、口々に感謝を与えられる。


(…………)


 その嵐のような祝福の中で、けれど僕は、13歳となった少女のイルティミナさんをずっと見ていた。


 彼女は、嬉しそうな顔をしていた。


「――――」


 けれど、不意に額を押さえた。


 まるで頭痛を感じているような、恐怖を思い出しているような、そんな表情――それは、あの人が失踪する前に見せていた表情に、とてもよく似ていた。


 この先に起きる未来。


 その悲劇を、まるで思い出しているかのような顔。


(イルティミナさん……っ)


 僕は、そちらに駆け寄ろうとして、


 バヒュウウウッ


 上空からの凄まじい突風に弾き飛ばされそうになった。


(!?)


 慌てて姿勢を低くする。


 見れば、村人の何人かは吹き飛ばされて、地面に転がっていた。


 世界が陰る。


「……え?」


 巨大な飛竜ワイバーンが、村の上空を飛んでいた。


 今までのような遠い距離ではない、その黒い鱗1つ1つが視認できるような至近距離で。


「なんだと!?」


 オルティマさんの驚愕する声。


 翼を広げた飛竜は、15~20メードはありそうな巨体だった。


 全身が黒く、固そうな鱗に覆われている。


 血のような赤い眼球が、矮小な人間ぼくらを睥睨し、


 バフッ


 巨大な飛膜を羽ばたかせ、ルド村の上空を旋回すると、その巨体が一気に急降下してくる。


「! 危ない!」


 僕は慌てて、イルティミナさんに覆い被さった。


 ブワァア


 少女の髪が舞い、服が暴れる。


 一緒に地面に倒れながら、僕の青い瞳はそれを捉えた。


 村を囲んだ岩山の一角。


 そこに、巨大な黒い飛竜が、頭から突っ込む。


 ズガガァアアン


 凄まじい衝突音と破砕音が、草原に響き渡る。


 ひび割れ、崩れゆく岩壁。


 僕らは全員、その光景を呆気に取られながら見つめていた。


 ルド村の天然の要害。


 それが壊された。


 まるで計画されていたように、その崩壊部分から、ロープが落ちて、何人もの白い仮面と黒いローブの集団が降りてくる。


 神血教団ネークス。


 魔血根絶を願う恐ろしい人間たちが、このルド村に侵入してくる。


(…………)


 崩れた瓦礫の上で佇む、黒い飛竜。


 その巨体が、ゆっくりこちらを振り返った。


 驚くべき光景は、けれど終わらない。


 その舞い上がる粉塵の中で、巨大な飛竜の姿がメキメキと変化し、小さくなっていく。


(……は?)


 僕の青い瞳は、限界まで見開かれた。


 黒い飛竜は、人になった。


 全裸の美しい女性だった。


 そして、その白い肌には、全身を包み込むように、淡く発光する奇妙な刺青がある。


(あれは――あの刺青は!)


 愕然と震える僕の前で、刺青の女は、その美貌にあの『闇の子』の三日月のような笑みを、嫌らしく浮かべたのだった。

ご覧いただき、ありがとうございました。


※次回更新は、3日後の月曜日0時以降になります。よろしくお願いします。

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