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老いらくの恋 上

 皺だらけで骨張った手が、和三盆と色水をすり合わせていく。

 淀みなく迷いない動きは、己が培ってきた研鑽の日々で身につけた技術に対する矜持を、言葉無くとも強く強く感じさせた。

 百華堂が誇る和三盆干菓子の特徴は、屋号でも謳うように華を模したその華麗な形と、繊細で細やかな色彩にある。

 数滴単位で調整される色合い。混ぜ合わせる回数。型に押し込む際の力加減。

 その全てが一つずれただけで、完成形が崩れてしまう作業には、常に同一の作品を作り上げる完全なるレシピは存在しない。

 気温、湿度、素材の持つ差異、自らの体調、日々変わる僅かな違いを無意識で計算し、それらに合わせ、作業手順を調整していつでも高いクオリティーを生み出していた。



「お待たせしたのお客さん。9月の新作。単衣酔芙蓉じゃ食べて見ていた」



 型から外した干菓子を、秋をイメージした枯れ葉色の板皿へと移し並べていく。

 朝は白く、日が高くなると共に徐々にピンクに染まり、夕方に紅く染まり、翌日にはしぼんでしまう。

 その色合いの変化が酔っぱらいの顔に似ていると名付けられた酔芙蓉を、香坂老は一つの干菓子の中で表現してみせる。

 花弁の先端は混じりっけの無い純白。

 そこから少しずつピンクに染まり、中心部は色鮮やかな紅となる。

 後から着色したのでは無く、混ぜ合わせる回数、型に押し込む強さ等で微妙に変化を付け、型から外した時には完成している逸品を生み出す。 

 百華堂九代目店主香坂雪道が持つ技術は、名人芸と呼んで間違いが無いだろう。



「おぉ。今月の華もすごいな。よくこんな細かいのが作れるな」



「ほんとほんと。食べるのがもったい無くて、病室に飾っておきたいくらいですね」



『私は腐らないからそのまま保存しているわよ。恵子さんが見るだけでも心が華やかなになるって言っているけどほんとね』



 単調な入院生活を過ごしている西が丘ホスピスの入院患者達にとって、最近月一で行われるようになった一風変わった華のお見舞いは好評の恒例行事となっている。

 院内のイベントホールには患者のみならず見舞客や非番の職員など多くの人達が集まっていた。

 寝たきりとなって部屋から出られない患者には、VR越しにでも参加が出来るようにとカメラと3D立体モニターが部屋のあちらこちらに設置されている。

 だが話題の花を咲かせている観客の中に、この催しを一番に楽しみにしている神崎恵子の姿は無かった。

 体力の衰えで日々覚醒している時間が短くなっている神崎恵子が目覚める事が出来るのは、今では数日に一度、それも1時間足らずとなっていた。











「ノースファクトリーのVR環境システムの導入を優先してはどうか。これがあれば病室ごとに患者さんの要望に合わせた風景をご提供できる上に、リアルタイム連動でご実家に繋いで擬似的な同居や遠方の友人との面会も気軽に行うことが出来ます」



「ですが大檐先生。全病室にそのシステムを導入するには、空調システムの更新、院内サーバーの強化、さらには回線強化などでかなりの設備投資が必要になります。将来的に導入を検討するのは私も反対はしません。ですが来年度の予算枠で考えるならば、大園ソフトウェアから提案がされた休耕状態の病院菜園へのVR作業化工事ならば余力を持っておさまります」  



「予算を考慮した空野先生のおっしゃることも判るが、今年中の受注ならサービス期間中で工費などがかなりの割安になると、担当からも見積もりを貰っています。今行えば将来的にはかなりの予算削減策になりますよ」



「それを言うなら大園の営業さんにも、契約成立で結構な値引きをしてくれるという確約を頂いています。その浮いた分の予算で老朽化した設備の改修や、再来年度以降を見据えたウィンドウシステム予算積み立てにまわしてはどうでしょうか」


 

 初老の大檐先生が押すのは、リアルのままでVRを体感させる改修工事。

 老舗建築メーカーが押す今年の新規提案で、VR規制条例に影響されないVRを売りにした物だ。

 旧来の既存技術であるモニター映像の解像度や環境再現空調機能を極限まで高め、室内環境を限りなく、VR空間へと近づけるというのが売りだ。

 代わり映えしない病室の光景を、風光明媚な映像や、患者本人が望む光景などと差し替えるのみならず、実家の居間などと繋ぎ、離れている家族とも簡単に顔を合わせて擬似的な同居生活を楽しめる。

 これの肝は現在のVRシステムの根幹であった脳内ナノシステムに一切頼らず、自前の視聴覚でまかなえること。

 西ヶ丘ホスピスの入院患者さんの大半は高齢者で、脳内ナノシステムの基盤が出来る以前の世代がメイン。

 自分の頭に機械を入れる事に、拒否感を覚える世代で有り、寝たきりとなった神崎さんのような方以外は、自由意思で脳内ナノシステムを入れていないって人も多い。

 脳内ナノシステムを使わず利用可能なVR。

 初期的なVR利用方法を、現在の最新技術でブラッシュアップしたのが、ノースファクトリーのVR環境システムであり、VR規制法に接触しない方法の一つの完成形だ。 

 その一方で若手の女医空野先生が押すのは、一部マニアに大ヒットした『THE・盆栽』等、植物育成系の雄である大園ソフトウェアが押す、リアルとVRの結合を売りにした新規案。

 各種センサーを内蔵し、散水機能や各種作業を行うマジックハンドなどが付属したレール型装置を畑の畝に設置。

 病室にいながらもVR越しで植物の育成状態を確認したり愛でたりと、園芸や農作業が出来るというもの。

 制限時間が決まっているフルダイブ時間を極力使わず、ハーフダイブ状態での作業をメインとしたデザインとなっている。

 この両社の提案は、アプローチの方法は違うがどちらもVR規制条例下においての新しい事業形態を模索していったアイデアが、商品として芽を出した物だ。

 ただ新しい物が一定の信頼感を得るには、ある程度時間が掛かるのは世の常。

 信頼を得るには、一件でも多くの実績が必要。

 強烈な売り込みの末に両社の値引き合戦が始まってしまったのは、当然の理だったのかも知れない。

 この熱の入れようから、推薦している両先生が業者からリベートでも貰って、強烈に推薦でもしているだろうかと普通は考えるんだろうが、ここの病院に限ってはそれは無いと断言できる。

 終の棲家となるホスピスを、少しでも居心地が良い物にしようとしている細やかな気づかいが、あちらこちらから感じられるのだから、そんな即物的な事を考えること自体が礼を失っているだろう。 



「はいはい。二人ともそこまで。患者さんのためにどちらの案も捨てがたい。ただ当院の予算にも限りがあるので両方を同時に採用するのは難しいというのは、ここ何回かの会議で明らかになっています」



熱が入ってきた両先生の間に、西が丘ホスピスの院長である西ヶ丘沙紀先生が割って入る。

 大手医療法人西ヶ丘財団の創始者に連なるという、結構良い家柄のご婦人なんだが、ぱっと見と口調は保健室のおばさんという気さくな人だ。

 ただし気さくだからといって、一筋縄でいく人じゃ無い。

 看護師連中から聞いた所じゃ、拡大、利益優先なグループの後継者レースからとっとと離脱してはいるが、暗いイメージを持たれやすい終末医療へのイメージ改善が認められ、理事会でも一定以上の発言権を得ている。

 それのみならず、表現は悪いかもしれないが、誠心誠意の終末医療は患者さんにも好意を持って受け止められており、自らの死後、医学の発展のためにと献体を希望なされる方の割合が西ヶ丘ホスピスは極めて高く、業界内でも独特の立ち位置を確保しているとのことだ。

 

  

「ここは餅は餅屋と言うことで専門家に意見を聞かせて貰いましょう……では三崎君。それを踏まえた上で君の妙案を聞かせて貰えるかしら。予算関連でいちいち五月蠅い理事会を黙らせることが出来るのが最低条件ね」



 公私にわたり借りを作っている俺としては、この人がやり手だってのは諸手を挙げて賛成させて貰う。



「それクエストだったら完勝条件です。ではお手元の資料をご覧ください。頂いた資料からの推測ですが今回の両社の予測利益率になります。一目瞭然ですが今回両社とも採算度外視で受注を取りに行っています。おそらく宣伝効果と西ヶ丘グループ全体への売り込みを目算に見込んでいると思います。ですから今回は足元を見つつ、両社の案を同時採用する折衷作戦を私からは………………」



 俺にしたって神崎さんのお見舞いをかねて香坂さんの新作干菓子をVRデータ化させる為に月一で訪れていたはずなのに、いつの間にやら西ヶ丘ホスピスの来年以降の設備投資会議へ何回もオブザーバーとして強制参加をさせられているのだから。






















「二社の営業さんも本社に持ち帰って検討をしてくれるって事になったわ。たぶん通るだろうって予想コメントつきよ。後はこっちの理事会を動かして追加予算を承認させればいけるわね」


 

 院内会議終了後にそれぞれの営業担当と行った打ち合わせの手応えが上々だったそうで、院長室へと戻ってきた沙紀先生は上機嫌だ。

 といっても俺の提案は何のことは無い。

 ノースのVR環境システムをハードに、大園の十八番である園芸系をソフトとして導入するいいとこ取り折衷案。

 窓に映る光景が自分オリジナルの庭園で、量は限られるがそこで育てた草木や野菜がリアルでも育成可能。

 人を招いてVRで散策してもよいし、VRウィンドウ越しでリアルでの花見など、やり方次第でいくらでも手は広がる。

 肝心要の見積もりは、ノースの見積もりより4割ほど高目で提案をしている。

 西ヶ丘ホスピス側の負担は増す上に、予算を二分する二社にかなり泣いて貰う事になるが、西ヶ丘側の本気度を示す目的もある。

 代償に沙紀先生が理事会や業界へと働きかけて、長期入院設備を持つグループ系列医院のみならず、同様のホスピスを経営する他グループへの売り込みもサポートするという物。

 沙紀先生の人脈やら政治力、影響力をフル活用の、他力本願な何時もの手だ。

  

 

「ノースも大園もVR関連企業といっても専門分野が微妙に違いますから、競合相手ではなく協力相手という形には嵌めやすいです。しかも西ヶ丘グループのみならず医療機関全体への売り込みが出来る可能性が高くなれば、勝算はありましたから」



 応接テーブルを借りて香坂さんの新作『単衣酔芙蓉』のVRデータ化を行っていた俺は、手を休め凝っていた肩をならしつつ、テーブルの上の冷め切った紙コップのコーヒーを一口飲む。

 味その物の元データはあるのでともかくとして、繊細かつ大胆な干菓子の外見データを完全再現させるとなれば、結構細かい調整作業が必要になる。

 従来ならこんな細かい物は本社に持って帰って、スキャナに放り込んで立体取り込みをかければすぐに終わる作業なんだが、スキルアップの良い経験になるからと、須藤の親父さんから、手制作を課題に出されているので地道に行っている次第だ。

 神崎さんが目を覚ましたときに、がっかりさせないためにも手を抜くつもりなんて微塵も無い。   



「問題は理事会への交渉手段だけど、そちらは三崎君の方で何か案があるんでしょ」



「あー……まぁアリスに頼ります。あいつの所で低負荷目的の改良ナノマシーンネットワーク構築システムが構築されたらしくて、モニター絶賛募集中だそうです。西が丘の最新医療研究班なら興味を持ちそうでしょ。定着とネットワークの再構築に必要な時間を短縮したタイプだそうです」



 丁度タイミングよく出来上がったと装いつつも、今回の為に用意した仕掛けを俺は明かす。

 目立たず、でも地道に。

 アリスが率いる地球側のディケライア社は、PCOのβテスト準備を進める傍らで、限定的なVR関連分野において技術提供や開発協力で人脈を作り上げている最中だ。

 医療用に限らず常駐型ナノマシーンは一定期間で寿命を迎え役割を終える。

 役目を終えたナノマシーンがそのまま残るといわけでも無く、生体タイプなら肉体に吸収されたり、非吸収タイプなら老排泄物として排出されたりという仕様になっている。

 だから一定期間で追加のナノマシーンを注入してシステムを維持する必要がある。

 初期なら大がかりな設備が必要だったそれも、今じゃ点滴一つでオッケーなお手軽仕様だが、異物への拒否反応ってのはまだまだ克服できていない。

 拒否反応を低減させるために、いくつかの対免疫剤を注入するんだが、これが人によっては効きづらく、幻覚やらめまい、かゆみ、発疹など様々な副作用が出ることもあったりと、入れ替えをなるべく嫌がる原因にもなっていたりする。

 対免疫剤の使用量を減少させる低負荷タイプや、入れ替えその物の回数を減らす目的で長期常駐タイプ等が、世界中で今も研究されており、西が丘グループも医療技術の一環として研究している分野だ。  



「三崎君のお相手ってディケライアの社長さんだったわね。最近話題だしグループのいくつかから繋ぎを頼まれてたけど、丁度渡りに船で乗ってきそうね。いいわ。後で詳しい資料回しておいて…………でもほんと残念だわ」



「何か問題がありましたか?」



 俺の案に乗り気を見せていた沙紀さんが、何故か急に浮かない顔になる。

 ……なんかミスったか。アリス側のルールに接触しないように、地球の技術レベルで開発可能なレベルに縛っているが、提供技術が少し地味すぎたか。

 


「問題っていうかね。三崎君にお相手がいなかったら、ウチの娘とお見合いでもして婿に来ないって誘おうって思ってたから」



「っと。今時見合いって……冗談ですよね」



 言葉の意味は判るんだが何故いきなり見合い話。しかも婿入り前提って。

 沙紀さんのいきなりな無茶振りにびっくりし、紙カップを落としそうになり、慌てて掴み直す。

 半年前のプレゼン最中の成り行きから、一応の名目上だが、アリスとは結婚を前提とした婚約関係という認識が周囲にはされている。

 俺ら二人からすれば、そんな名目上の関係なんぞいつでも解消してもいいんだが、PCO完成前に婚約解消っていう形になれば、周囲が気を使うは、下手すりゃPCOの完成にすら影響するかも知れないからって理由で、そのまま放置しているだけだ。

 問題はウチの姉貴がどこから聞きつけ、家族に了承も無くどういう事だとねじ込んできてるうえに、査定するから本人を連れてこいと早々と小姑精神を発揮していることか。

 実に面倒なことばかりなんで早々に決着を付けたい所だったんだが、今回は偽装婚約に逆に助けられた形か。 

 


「本気よ。うちの子って見てくれや頭は旦那に似て良いんだけどアレなのよ。なんていうかマッドサイエンティスト気質ってやつかしら。三崎君なら扱えると思うけど。ほらこの子」



応接テーブルに埋め込まれたモニターに、西が丘の医療系私立女子中学の校門を前に撮影された入学記念写真が映される。

 沙紀さんの親目線を除いても、中学入学したばかりのまだまだ子供ではあるが、確かに見てくれは良いと思える。

 さらさらな髪と可愛らしい顔立ちの美少女は、印象的な大きな瞳の右目には時代がかったモノクルを付け天真爛漫な高笑いを浮かべている。

 三島由希子ブランドの真新しい制服の上に、その華やかさを全てを台無しにする黒マントと、コスプレ、それもかなり悪趣味な以外の何物でも無い。



「………………痛いですね。これは本気で」



 ぱっと見の見た目が良いだけに、この趣味思考は残念過ぎる。

 映像越しでもウチの相棒に似た空気を感じるから、本人はおそらく……いや確実に嬉々としてやっているな。


    

「中学に入ればそのうち周囲を見て恥ずかしくなって治ると思っていたんだけど、年々悪化していく一方で、今年で卒業なんだけど、成績は主席でも周囲への悪影響が強すぎるんで内部進学を拒否されたくらいよ。本人は医療経営系よりも機械工学系に進学希望しているから大喜びだけど」



 学年主席を取った上に経営者一族のお嬢だってのに進学を断られるって。どれだけはっちゃけってんだこの娘は。

 っていうか。こんなのを押しつける気だったのか沙紀さん。



「機械工学系って、まさかロボット作って世界征服とか本気で言ってませんよね」



「……そっちの方がましね」



 俺の冗談にたいして重い重いため息が返ってくる。

 これがマシって。

 どん引きしかけている俺を見て、沙紀さんが微かに笑う。



「あぁごめんなさい。マシってそんな巫山戯た理由なら有無を言わせず叱ってどうこうできるからって意味なのよ。ちゃんとあの子なりの考えがあっての進学希望だから。ほら……ウチは完治が目的じゃ無いでしょ。だからどうしてもお別れが多くなる。あの子も小さいときからここによく出入りしていて、可愛がって貰ったお年寄りの患者さんや、同い年のお友達とか、何十人も見送ってるのよ」



「……それなら医療系の道に進むと思うんですけど、違ったんですか。あたしが病気を無くしてやるとか」 



 沙紀さんの言葉は重い。

 自身がその何倍、何十倍もの人達を見送ってきたからだろうか。

 先ほどまではただのアレに見えていた写真の子が、少し違うように見えてきたのは気のせいだろうか。



「最初はね。でも今の医療限界とか、長期治療で苦しむ患者さんも見てきて考えが変わったのよ。今じゃ、全人類電脳化してVRで暮らせば、病気も怪我も無く幸せな一生が過ごせるって極端な方向に暴走してるの。その為には現実を任せられる完全機械が必要だとか何とかいって、いろいろやってるわ」



 沙紀さんの説明にすとんと合点がいく。

 患部を除去するために身体に何度もメスを入れ、副作用の強い薬を日々服用し、何とか生きながらえていく。

 それならいっその事、肉体を捨て去れば良い。

 幼い少女の目にはVRが全ての苦しみから逃れる希望にでも見えたのだろうか。

 格好はともかくとして、本人は本気で信じているのが、沙紀さんの話からは伝わってきた。



「そっちですか……そういう事情なら判らなくも無いですね」


 

「ほら三崎君はそうやって、すぐに理解してくれるでしょ。その上で交渉力はあるし、あくどい手も考えられる。結婚してうちの子のサポートでもしてくれれば、安心出来ると思ったのに。本当に残念だわ」



 買ってくれるのはありがたいが、さすがに女子中学生に手を出す気は、



「……………とりあえずお見合いだけでもしてみない? 世の中には孕んだ勝ちって言葉もあるのよ。その気にさせる薬とか排卵誘発剤なら処方するから」



 それ見合いで決めるつもり満々じゃねぇか。

 あんた娘に何する気だ。

 


「……だから俺にはもう相手がいますから。それにお嬢さんがまず見合いを嫌がりますよ。10才も上なんておっさんでしょうが」 



「10才差なんて20年もすれば気にならないわよ…………知り合いにアラブ系のお偉いさんがいるから口利きできるあっちの国籍とかとらない? 男の夢のハーレムが出来るわよ」  



 冗談なのか本気なのか今ひとつ評価しづらい真顔な沙紀さんに実に嫌な予感がする。

 下手に冗談で流したら、まじで外堀を埋めかねないこの人からあくどいって評価されるのは、実に不本意だ。



「二人も相手にするそんな疲れる生活したくありませんって、ただでさえ仕事、仕事で忙しいんで」



 とりあえず話を打ち切るために、仕事を再開するふりをして仮想コンソールを叩き俺は援軍要請メールを送る。 



(セッさん。一度確認して貰えるか。ついでに余裕あったら何個か持ってきてくれねぇ? 一息入れたい。場所は院長室)



 相手は今院内のホールで実演をやっている香坂さんの助手として一緒に来ている、香坂さんの孫で同じ和菓子職人の香坂雪治。

 年齢が近いこともあってか、神崎さんのお見舞いやらで何度か顔を合わせている内に、今では見舞い前日に恒例となった飲み会の良い飲み仲間の一人だ。



(あいよ。シンさんの分だけでいいのか?)



 気っぷの良い返事を即レスで返してくれるのはありがたい。

 祖父である香坂さんのように方言混じりでないのは、中学くらいまで東京育ちだからだそうだ。



(沙紀院長分も。出来たら早めに)



(なんだまた無理難題でも押しつけられたのか? シンさんお人好しだからな)



 ここの所は相手をしているのが一癖も二癖もある連中ばかりなんで、セッさんの裏表の無い職人らしい気質は付き合いが楽で安心が出来るのが正直な感想。

 それを我が相棒に言ったら、同性が癒やしって大丈夫かと心配されたのは、実に思い出したくない記憶だ。




















「だから見合い話が嫌ならシンさんはとっとと結婚しちまえって。かみさん、子供は良いぞ。ほらこれ見てみろって。二人とも可愛いだろ。気力が湧くぜ」



 救援相手だと思っていたら、敵が二倍になりました。

 セッさんが、赤ん坊を抱っこした奥さんのスナップ映像を見せつけてくる。

 しまった……セッさんこの間、子供が産まれたばかりで親ばか状態だった。

 セッさんが持ってきてくれた干菓子をつまみに休憩を兼ねた笑い話でさっきの沙紀さんからの話を済ませようと思ったら、まさかのマジレス。

 一緒に菓子を摘んでいる沙紀さんもうんうんと頷いていて、実に居心地が悪い。

 


「だから今やってる仕事が大詰めで忙しいんだっての。セッさんとこの奥さん美人だし、娘が可愛いのは認めるが、人に結婚を勧めんな」   



 憮然とした顔で俺は拒否しつつ一緒に持ってきてくれた茶を啜る。

 アリスとの結婚が周囲の中で確定路線になっているような気がするのは、俺の思い違いじゃ無いはずだ。

 これもあの野郎のロープレモードのデレッぷりが原因だろう。

 後で悶えるほどに後悔するくらい恥ずかしいならやるなって言いたいが、クロガネ様に対抗するためにあの演技をやらせた原因は俺にある訳で、さすがにそれをいうのはどうよと、黙っている。

 しかしどうにかアリスと円満に別れるシナリオを組み立てないと、PCOが完成しても、友人知人なんかの人間関係が終わりそうな予感がひしひしとする。

 また難題が一つ。気の休まる日々は遠いようだ。



「んな事より出来映えはセッさんの目から見てどうよ。半端なモノにオッケーを出したら香坂さんにどやされるぞ」



 旗色が悪いのを察して俺はあからさまに話題をそらす。

 元々こっちがセッさんに来て貰った理由の本命なんだから間違っちゃいない。

 いきなり香坂さんに持っていかず、まずはセッさんに判断して貰っているのは、香坂さんからの依頼。

 孫である前に、弟子の1人。

 菓子の出来映えを見極める目を養う修行の一環らしい。



「爺ちゃんここに来ると気合いが入ってるからな…………接続。ハーフダイブと」



 でれっとしていた顔を引き締めて、セッさんが俺が作り上げたVR化した『単衣酔芙蓉』を確認するため、俺の持ってきた端末から伸びていたケーブルを首筋に繋いで確認を始める。

 菓子を手にした瞬間、目つきが鋭く変わる辺り、香坂さんの血をしっかりと受け継いでいるのだと実感する瞬間だ。



「今月のお菓子も綺麗ね。香坂さんには毎月新作をお持ちいただいたうえに、実演までしてもらって感謝の言葉もないわ。患者さんからも好評なのよ……それだけに神崎さんが今日は眠ったままなのがしょうが無いけど残念だったわね。ものすごく楽しみにしていらしたから」

 


 宝石のような出来映えの菓子に顔をほころばせていた沙紀さんが、心底残念だと顔を曇らせる。

 神崎さんの状態は同窓会のあった今年初めからみて、徐々にではあるが確実に体力を失っている。

 特に今月に入ってからはほとんど意識が戻らない日が続き、親友であるユッコさん達も覚悟を決めているそうだ。

 ただご本人は目が覚めている間は、変わらず明るいままなのが幸いと言って良いのだろうか。 

 


「爺ちゃんも何も言わないけど、残念がってます。ここに来るの毎月楽しみにしてますから。店用の新作デザインよりも見舞い品の方が気合い入っているくらいっすよ」



「そうそれならよかったわ。ご迷惑じゃなかったならよかったわ」



「迷惑所か喜んでいます。爺ちゃんなんつーか神崎さんに惚れたみたいなんで。老いらくの恋って奴ですか……子供の時に食べた菓子の味を覚えててくれて、食べられなくても買っててくれたなんて職人としちゃ最高の誉れって奴っすよ。しかもVRとはいえ、十数年ぶりに食べられて、目の前でうれし涙まで流してもらえたんじゃ惚れるなってのが無理です」



「それをいったら神崎さんもね。香坂さん達が来る前には、三島先生に服を選んでいただいているのよ。今月もご一緒に楽しそうに選んでいたのに」



「地元でも今いろいろあるんで、爺ちゃんも何日も留守に出来ないから起きるまで待ってるって出来無いっすからね」



 しんみりと話を進める2人を横に俺は無言で茶を啜る。

 あのお二人の精神的な交流は俺が知っているようなモノとは違うだろうが、一種の恋愛だってのは俺も判っていた。

 神崎さんがいつまで持つのか。

 たぶん沙紀さんにそれを聞けば、今の医学でならかなり具体的な数字で判るだろう。

 だからこそ聞けない。聞けば確定してしまうような気がしているからだ。

 


「……シンさん。オッケだ。寸分の狂い無く再現が出来てるって11代目予定の俺が保証する」



 細分まで検分したセッさんが小さくしかし自信を持って頷く。

 香坂雪道渾身の作『単衣酔芙蓉』のVR化が出来上がったと。



「了解。じゃあ香坂さんに最終確認とるか」 



 自分でも完璧に出来たとは考えている。

 考えてはいる。だが俺はこの瞬間いつも思う。

 VR化で満足しているのは他に手段が無いからであり、香坂さん本人は手ずからのリアルで作り上げた菓子を、神崎さんに渡したいと考えているのでは無いかと。

 丹精に心を込めて作られた新作菓子をVR化するたびにその思いが募る。

 そして俺の手の中には、香坂さんの願いを叶えるための手段がある。

 あるが使えない。

 それこそ地球全人類の運命を引き替えにするかも知れない選択肢。

 チート存在である相棒の所属する宇宙文明が持つ技術ならばと。

 救える手はあっても、使えないことに俺は罪悪感を覚えていた。


















『……タ……ンタ……もうシンタ起きなってば。あと2つで降りる駅でしょ』



 脳裏に響く聞き慣れた声に俺は目を覚ます。

 あくび混じりに目を擦ってみてみると、仮想ウィンドウの向こう側に透けるように帰宅ラッシュで混み合う満員電車の車内が目の前にあった。

 どうやら西が丘ホスピスの帰りの車内で時間があるからと、仕事関係の資料を目を通していたんだが、寝落ちしていたようだ。

 睡眠時間が少ないからなのか、それとも歳でもとったか。昔なら貫徹の2、3日余裕だったのが、修羅場の連続で疲れ切っていたせいかあまり無茶がきかなくなっているようだ



(悪いアリス。助かった)



 最初は驚いたが、アリスが脳内ナノに侵入してきて俺の脳神経に直接声を飛ばしてくるのはもう慣れた物。

 慌てる事も無く、俺は太ももの上に展開した仮想コンソールを叩いて、礼をチャットで送っておく。

 WISで送るとなると、満員電車内でぶつぶつ言っている迷惑な乗客になるんで、最低限の常識だ。



『別に良いよこれくらい。それより聞いてよ。クロガネの奴から、またβテストの募集告知での問題点の指摘が来たんだけど…………』



 俺の礼は軽く流して、憤ったアリスは一方的に自分の話を始める。

 当初の目的通りというか、目的以上にクロガネ様のテストプレイヤー抜擢は上手くはまったといえる。

 何せ相手は隙あらば俺を潰そうと思っているほどに敵対的かつVR命のゲーマーなクロガネ様。

 ダメ出しが容赦ない上に、多岐にわたり、その上実にいたいところを突いてくれやがっていた。

 まぉおかげでウチの佐伯さん率いる開発部が本気になって、たった半年足らずで当初の予想を半年以上繰り上げての、オープンβテスト決定へとこぎ着けたんだから、御の字だろう。

 まぁそれで和解できるなら良いんだが、相変わらず敵対状態中。

 事ある毎にアリスと女性版クロガネ様はゲーム談義でぶつかり合うわ、時折顔を出す男?クロガネ様は切れ味抜群の鋭い意見をぶち込んでくれて、徹夜改修にひた走ったりと修羅場には事欠かない状態だ。



『……………って聞いてるの!? シンタ。さっきから気の抜けた返事ばっかなんだけど……なんかあった?』 


 どうにもテンションが落ちている所為か、相づちを打つだけで生返事を繰り返していた俺に、真面目に聞けと一瞬怒りかけたアリスだったが、どうも俺の様子に何かを感じ取ったのか、心配げに問いかけてきた。

  


(あーちょっと考えごとしてた悪い)



 俺の考えごと。

 それは昼間に西が丘ホスピスで考えていたこと。

 今の宇宙文明では肉体のクローン化。精神体の移植。要は魂を移すことも出来ると前にリルさんからは聞いている。

 神崎さんを救う事なんてアリス達からすれば、朝飯前なんだろう。

 だがアリス達の銀河文明は、未開惑星への過干渉を禁じている。

 俺達が打つのはその隙間を縫って、学術目的を名目としたPCO計画。

 リルさんにルールを確認しつつ案を立て、さらには会社的には中立という立場を固持しながらも、プライベート時間で多少なら協力してくれるというサラスさんに精査して貰いつつ、出来る事、出来無い事を1つずつ確かめて、地球への仕掛けを施している。

 思っていた以上に出来る事は少なく、思っている以上に技術干渉は困難ってのがここ半年の感想だ。

 だから神崎さんを救うための技術をこちら側に送れるかなんて、アリスに聞かなくても結果がわかる程度には、勘が働いていた。



(なぁアリス。そっちの技術なら…………悪い何でも無い)



 だが一人で悶々と悩んでいた所為か、つい答えのわかっている問いかけをしようとして、我に返り俺は断念する。

 アリスは良い奴だ。

 そんなこいつが世話になっているユッコさんの親友を助けられるかなんて聞いて、出来無いなんていうはずが無い。

 だがアリスは1つの会社の最高責任者で有り社員を率いる社長。

 そして地球の命運すらも握っている。

 PCOの裏の目的である暗黒星雲調査計画にもようやくめどが付いてきた矢先に、今までの道筋をぶち壊しにするかも知れない、選択肢をアリスに呈示するのは酷な話だろう。

 だから途中で黙ったんだが、

   


『そっか。今日お見舞いだったよね……………ごめんね。シンタ。ユッコさんには何時か一緒にあやまろ』



 だけどこいつは勘が良い。

 中途半端な俺の言葉からでも、今日の予定から俺が何を考えているのか察したのだろう。

 声でも判るほどに落ち込んでいる様のアリスが想像できる。頭のウサミミも力なく垂れ下がっている事だろう。



(いや俺こそ悪い。無理だっての判ってて聞いたんだから……お前はあんまり気にするな。第一に信じられる話じゃ無いだろうが。お前が宇宙人で、しかも魂を新しい肉体に移せますなんて。地球文明からすればあり得ないっての)



 あまり意味は無いと判りつつも茶化すような文章をコンソールを叩く。

 まだチャットでよかった。

 文章だけならともかく、表情まで作れるわけが無い。



(昔のSFじゃないが、俺自身だったらコピーだけど本人ですなんていわれても、自分は自分なのかって葛藤して、気が狂うか、全部の記憶消去したくなるっての)



『うん。実際今もよくあるから。クローニング後の自己アイデンティティの損失とか。カウンセリングも盛況だよ。一回受けてみる? シンタの場合は自分の悪行を見つめ直して反省した方が良いだろうし』 



 俺の下手な冗談にアリスも悪態混じりで返してくるが、その声には何時もの元気は無い。

 こっちの罪悪感を相棒にまで感染させちまったのは失敗だ。

 俺自身も含めて、どうやって気分を向上させるか……



「何してるか! この痴漢!」



「な、何を言っている! 私が痴漢だと! し、失礼じゃ無いか! しかも人を足蹴にしてどういうつもりだ」



「ふっ! あたしの正義のモノクルはごまかせないわよ! この子に痴漢してたでしょ。あんた!」



 やたらと人聞きの悪い声が車内に響く。

 どうやら隣の車両で何か騒ぎがあったようだ。

 声の感じだとまだ若い女といい年したおっさんなんだろうが、女の方はなんかやたらと芝居がかっていた。

 俺がいる車両も突然の騒ぎにざわついているが、ぎゅうぎゅう詰めな車内では隣の車内の様子はうかがい知る事が出来無い。

 気分が沈んでいたところでアレだが、ちょっと気になるのは野次馬根性なんだから仕方ないと思いたい。



『車内監視カメラをクラックした映像あるけどシンタも見る? うわ。がっつり痴漢だよこの人。これでやってないなんて、よくしらを切れるね。おぉ良い蹴り。助けに入った子、服装の趣味もいいし、ドラマみたい』



 相棒。お前もか。

 っていうか満員電車内で蹴りって?

 アリスが良い趣味って、それ絶対悪趣味だろ。

 なんつかー妙に気になる感想に好奇心が刺激される。 



(送ってくれ)



『うい。仮想ウィンドウに送るね』  



 先ほどまで資料を展示していた仮想ウィンドウが切り替わり、満員電車内を天井から撮影した映像へと切り替わる。

 ぎゅうぎゅうに押し込められた人の群れの中から一部がクローズアップされる。

 アリスの編集か? 仕事早すぎだろお前。

 ドア側に押し噛まれた中学生らしいおとなしそうな娘に、その前にいた40代くらいのリーマンが人に押されたふりをしながら、時折接触するついでに尻やら胸をもみしだいている様がしっかりと撮影されている。

 周囲からは見つけられないようにしている辺りが、実に手慣れた風だ。

 被害に遭っている子も気が弱いのか、それとも偶然なのかわざとなのか判らず何も言えずに泣きそうな顔を浮かべているだけだ。

 その瞬間画面の端を黒い何かが通り過ぎた。

 それは制服の上になぜか黒マントを纏うという、じつにアレな服装の少女だ。

 痴漢の存在に気づいたらしき少女は、その場で跳び上がりつつ、つり革を支えに使って間にいた乗客の頭を飛び越す。

 そのまま痴漢をしているおっさんへと跳び蹴りをぶち込みつつ、被害者少女と痴漢のおっさんの間に無理矢理に割って入りやがった。

 運動神経が良いとか以前に、なんつー常識の無さだ。一歩間違えれば目の前の無関係な乗客ぶち倒しかね無い攻撃に躊躇なさすぎだろ。

 画面に非常識少女の顔が映し出される。

 意志の強そうな溌剌とした顔には分かり易い怒りの色を込めている。

 その怒りを浮かべる右目にはアンティークを通り越して失笑ものなモノク…………いや待てこの顔。しかも時代錯誤のマントにモノクル。

 


「沙紀さん苦労してるな」



 娘の将来が心配になる沙紀さんの心労の一端だが判った気がする。

 昼間見せて貰った映像より美少女度は5割増し。そして聞いていた話よりも、3倍近くアレな行動に俺は同情を覚えたくなる。

 いやお嬢さんがっつりパンツが見えてたけど、自分のは良いのか。

 あんた一応西が丘グループのご令嬢だろうが。

 なんだろう。ここまで突っ込みが追いつかない存在はアリス以来だ。



『シンタ知ってる子?』



(あー、知ってる。つーかこの子の親が知り合いだ。放置するけどな。下手に助けると面倒が再燃しかねない)



 知らないふりをして、このまま鉄道警察に任せるのが一番だろう。

 疲れている時に余計な心労を重ねる趣味はない。

 沙紀さん辺りに運命だなんだと理由を付けられて、見合い話をふられたらしゃれにならん。

 リアルタイムに切り替わった映像では、隣から聞こえてくる怒声にあわせておっさんとマントアレが言い争いをしているが、どう考えてもアレが勝ち……今のおっさんの動き。

 言い争いに夢中になっているマント少女とおろおろしている被害少女を尻目に、おっさんの手が目立たずに動いた事を俺は捉える。

 周りも気づいた様子は無い。

 ……まじで手慣れてやがる。あの野郎。常習犯か。



『シンタ今の』



(判ってる。アリスちょっといってくる)

 


 当然同じ映像を見ていたアリスも気づいていたようだ。

 せっかく座れていたのが、ちと残念だが後どうせ二駅で乗り換え。

 今日中の帰宅は諦めた俺は電車から降りると、同様に隣の車両から降りてきた騒がしい一団へと近づいていった。 

予想より長引いたので、上下編に分けます。

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