野菜炒めと太陽系の秘密
冷蔵庫の扉をあけて中を確認。中途半端に減った調味料とビールとは名ばかりの発泡酒がほぼメイン。
腹がふくれそうな物といったら、食材と呼べるか微妙なラインを漂っているもやしなどの野菜類がちょこちょこあるだけか。
「うわ……シンタ。食生活が貧しすぎない? しかもこのカラフルな缶ってアルコールでしょ。玄関にあった缶も山積みだし飲み過ぎじゃない」
一人暮らし用の小型冷蔵庫の上には、最後に使ったのがいつだったのか曖昧なラップやら、何となく捨てられない近所の出前をやっている店やらのクーポンなどが乱雑に積み置きされている。
それらをすり抜けて冷蔵庫の上に着地し正座気味に腰掛けた半透明なアリスは体を前に倒して冷蔵庫の中身をのぞき込み、若干引き気味な声で我が家の食料貯蔵庫に対し率直な感想を漏らす。
すぐに戻ってくると言いつつも、二時間以上が経ってもローバーさんは戻ってこず、とりあえず今のうちにリアルに一時的に戻って食糧補給やら生理的欲求の解消をしようとしていたのだが、それになぜかアリスがついて来やがった。
しかも地表にばらまいているというナノセルを結合して作った虫サイズの超小型立体映像投射機で構成したホログラムという無駄に凝っているというか、簡単に地球の科学技術を超えてくれやがるおまけ付きで。
「ほっとけ。ここの所まともに帰ってなかったから補充してないだけだっての。つーかアリス。人の家の冷蔵庫まじまじ見るのもアレだが、内容に触れるのはマナー違反だっての」
たまに生存確認に来た姉貴やらお袋とほぼ同じ台詞なあたり、地球と宇宙のメンタル的違いって少ないのかと、くだらない事を思いつつ、残っていたまだ食べられそうな野菜を全部取り出す。
泊まり込みが続いていない時との違いなんぞ野菜の鮮度くらいだが、仕事が忙しいと言い訳をしつつ扉をパタンと閉めて、続いて下の冷凍庫を開ける。
こっちに安売りの肉類やら炊いた米やらがまだ残っていたはずだ。材料を鍋に放り込んで、水とコンソメいれて醤油で味付け、お手軽かつ野菜類も取れる独身男御用達な雑炊でいいだろ。
「心配してあげてるのに。それに食品を原型で保存しているのってこっちだと珍しいんだもん。よっぽど物質構成が複雑な物じゃない限りは基本的に合成食品だから」
心配より興味の方が強いだろ。
俺の注意なんぞどこ吹く風。アリスはそのまま冷凍庫の中を物珍しげに見ている。
「合成ってあれか………乗員の肉体やら排泄物の再利用までするってやつか。出てくるのは緑色のクラッカーだけとかじゃねえだろうな」
これから飯を作ろうって時に、何とも食欲がなくなりそうな映像が脳裏をはしる。
古典SFな想像をしてゲンナリとする俺を見て、アリスはあきれ顔を浮かべた。
「公表的にはプランクトンってやつ? そんな悪趣味じゃないって。第一倫理的面で問題大あり。基本的な元素を種別で集めたタンクがあるからそれから作るの。カロリーコントロールやらアレルギー物質の除去とか簡単だから。そういう例えで来るならどっちかって言うと空中元素固定装置かな……あ、これ美味しそう。ねぇシンタこれにしようよ。どんなのかあたしも食べてみたいし」
見ているだけでは我慢できなくなったのか。冷凍庫の中を俺の許可も無くがさがさと漁りながら答えるアリスは、チーズがとろっとあふれ出たウィンナーがパッケージに印刷された袋をつまみ上げた。
「…………」
「ん? シンタどうかしたの。唖然とした顔して」
立体映像のくせに物に触れるのかよやら、食べるってどうやってだよとやら、手間とかコストじゃなく問題は倫理面だけかよと、気になる部分が多々あるのだが、それ以上にアリスの発言には気になった突っ込み所がある。
1世紀近く昔のSF映画作品の小ネタに素で即応できる宇宙人を見て、呆然とするなっていうのは一種のイジメだろ。
っていうか空中元素固定装置ってなんだ。言葉の意味的には何となく判るが作品が判らない。
ハリウッドか。それとも国内……映像化していない小説って線もあるのか……ダメだ思い当たる作品がない。
だが俺がイメージしやすいって事は地球の作品であるはず。こうなったらキーワードで検索を掛けるか……いや。それは負けだ。地球産のSF作品のことで宇宙人のアリスにやり込められたままってのは気にくわない。
こうなりゃ宇宙人から見りゃ失笑物なコメディーで攻める。
「シンタ。なんかバカなこと考えてない? そんな事より早くご飯を作って戻ってきてよ。こっちじゃ動きにくいんだから」
SF好きとしての沽券に関わる問題に悩む俺に対して、アリスは実に馬鹿馬鹿しいとばかりのため息をはき出しつつ、言葉とは裏腹に軽やかに冷蔵庫の上から離れると低い天井すれすれでクルリと回って俺の横に着地して、俺の手の中にチーズ入りウィンナー(特売一袋100円)を押しつけた。
「…………アリス。実は社長でなくてドジな二等技術士だったりするかお前」
「誰がドジよ。シンタさっきも思ったけど古いよ。あとその配置だとあたしはシンタのことゴキブリ呼ばわりするよ」
即答でネタ返しやがったよこいつ。っていうかなんで知ってんだよお前は。
知り合ってから6年。よく見知っているはずだった相棒の底知れ無さに俺は戦慄する羽目になった。
「シンタ次。その白いやつ。根っこみたいの。もやしだっけ?」
簡単に一緒くたに煮込もうとしたんだが、アリスの要望でウィンナー野菜炒めに、インスタント味噌汁、さらにバター醤油味チャーハンインツナ缶と別々に作らされた。
作る手間はそう変わらないんだが、洗う器具やら食器が増えるのが地味に面倒だ。
「へいへい。もやしだな。ったく調理法所かなんで食べる順番までお前に指図されないといけないんだよ」
飯ぐらい自由に食いたいと思う反面、家で人と食卓を挟みながら食べるってのが久しぶりで少し楽しいってのもある。
なんやかんやで文句を言いつつもアリスの要望に添って、テーブルの上の野菜炒めカレー風味からもやしだけをつまんで口の中に放り込む。
調理前は少しへたって臭いが気になったが、スパイシーなカレー粉の風味が打ち消してくれているのでまぁまぁ美味い。
ただちょっと薄めすぎたか。もう少し塩、胡椒くわえても良かったかもしれない。
「ん。あんまり味ないねこれ。色的にもっとお砂糖みたいな甘いの想像していたんだけど」
今現在俺の味覚はアリスによって強制的に共有されている。
アリスの食べるとは俺の味覚を通して、味を楽しむことだったらしい。
さすがに立体映像で食事可能となるほど非常識ではなかった事に安心しているが、冷静に考えれば、脳内ナノシステムの反応拾って人様の味覚を共有してくるのも十分非常識なんだが、どうにも今日だけでもアリス達の技術差によって相当に感覚が麻痺しているようだ。
地球の食べ物と呼ぶには些か……かなりおざなりでアレな出来だが、それなりにアリスは楽しんでいるようだ。好奇心旺盛なのは相変わらずのようだ。
「んな気持ち悪い食いたくねぇよ。次ビール飲むぞ。感覚共有切っとけ」
「シンタさっきから一口食べちゃ飲んでばかり。地球人のアルコール耐性ってよくわかんないけど飲み過ぎじゃない?」
「この程度水だ水。脂っこい野菜炒めと合うだろうが。それにウィンナーにチーズときたら相手はビールしかないだろ」
一応断ってから二本目の缶ビールを開けて、胃へと流し込む。暖かめの暖房をつけた部屋で冷えたビールを飲む。貧乏サラリーマンとしちゃささやかだが十二分な贅沢。
しかしこのゴールデンコンビをどうもアリスは苦手なようだ。
一口目でずいぶんと顔をしかめてすぐに感覚を切ったくらいだ。アルコール系というかビールのほろ苦さがお気に召さないようだ。お子様舌め。
「んで……ローバーさん……からいつくらいに……連絡が来ると思うよ?」
俺一人ならとっとと栄養補給メインの飯をかっくらって戻っていた所だが、アリスが楽しんでいるので、何時もよりかなりペースを落としながら食事をしつつ、打ち合わせを続ける。
「たぶん今夜中には決めてくると思う。ローバー専務のことだから、単純で一筋縄じゃいかない考えないといけない課題だと思う。あ、シンタ次ご飯と一緒にお野菜。でお味噌汁ね」
野菜炒めを適当にチャーハンと一緒に食べてから味噌汁とアリスの指示通りに口に運ぶと、アリスは満足げな顔を浮かべている。
時間がもったい無い気もするが、結構リラックスできているようだから、まぁアリか。とりあえず現状の味方はアリスとリルさんくらいだと思っておいた方がいいだろう。ご機嫌取りに専念しよう。
「……考えろね…………どういう人だよあの人? ずっ……つーか人なのかあの人。リルさんみたいなAIとかか?」
ともかく情報。どんな条件を出されるか判らないのだから、まずはその性格やらを少しでもほしい。
こういうときに相手をよく知っているのが、信頼する相棒ってのは心強い限りだ。
「近からず遠からずって所かな。シンタやあたし達が炭素系生命だけど、ローバー専務は別系統。ほらケイ素生命体って地球でも存在の可能性を議論してたでしょ? ローバー専務はその種族の出身で、種族特徴的として論理的な思考を好むって感じがあるかな」
まぁこれもお馴染みだな。しかしケイ素生命体って発生確率が相当に低かったよな。しかも意思疎通が出来るような……というかそれを言ったら、アリスと食卓挟んで語り合っている状況ってのもかなり無茶苦茶な状況なんだが。
「論理的ね……それって物事を順序立てて考える思考パターンって事でいいのか? ハグ……地球と宇宙じゃ言葉の意味が違うって可能性もありそうだし、まず精神構造そのものが異質すぎるって事もあるんだろ」
適当に食べつつアリスとの話を進める。
ちと行儀は悪いが、今更そんな事を気遣うような関係でもない。
年下の妹といった感じか……アリスの方が何倍、下手すりゃ何十倍も年上の可能性が極めて高いが、精神年齢的には俺の方が上だと信じたい。
「う~ん。違いはそう無いかな……基本的に極一部な特殊な種族を除いて、知的文明創造レベルの種族ならちゃんと翻訳さえ出来れば意思疎通は可能だと思って間違いないよ。現にあたしとシンタの会話ってリルがリアルタイムで翻訳してくれているけど、齟齬は感じないでしょ」
リルさんが翻訳してるのかよ。
アリスとの会話ってのは三年前までは日常生活の当たり前の1シーンだったから、気にもしていなかったんだが、言われてみりゃそりゃそうだ。日本語を喋る宇宙人なんぞいるわきゃない。
見た目的にはアリスは頭のウサミミだけを除きゃ西洋人といった外見だが、腐っても異星人。発声器官が異なる可能性だってあるんだろうし。
しかしそうなると気になるのが、なんで同じような思考系をしてるかだ。
間にリルさんが入って翻訳しているにしても、なんというかアリスとはフィーリングが合いすぎる。
それ以外にも味覚やら外見やらも似かよりすぎだ。現にアリスは俺が適当に作った食事とはいえ地球産の材料、味付けに満足している。
アリスが地球の所有者ってことは、こいつが地球人類の生みの親って可能性もあるのか?
自分たちの種族と同様の生命体に成長するように、古代から宇宙人が人類の進化や文明に関わってきたとかってのはちょくちょくある話だ。
……まぁ古典SFに詳しいウサミミ創造神少女ってのは、日本国内なら白い目で見られるくらいだろうが、世界で見りゃ全宗教家から異端審問に掛けられても文句は言えない巫山戯た妄想だな。
「なぁアリス。実はお前が猿の頃に干渉して地球人になったとかあんの? ほれ思考形態とか肉体的進化の共通点が多すぎなんだけど」
そこらを気になってアリスへと尋ねてみると実に剣呑な視線が返ってきた。
訂正。異星人から見てもずいぶんと巫山戯た話だったようだ。
「……そんなわけないでしょ。地球人類の分岐ってホモサピエンスでしょ。その発生の頃なんてあたしのひいお爺ちゃんのお爺ちゃんくらい前。あたしの事いくつだとおもってんのシンタは」
再訂正。巫山戯ているのはお前らだ。
アリスが不満ありありといった顔を浮かべて年寄り扱いするなと憤慨するが、思った以上に近いな当時の血縁者。
人類の派生って確か30万年かそこらくらい前だろ。それが7代前って世代交代遅すぎるだろ宇宙人共。
「第一法律で禁止されてるから。自然発生種族への監視……調査以上の介入は原則禁止って……あの世代の人たちって悪戯好きだけど……そこの辺の重要規則は守ってるはず……だと思う……一応今度あったら確認するけど」
腕を組んで悩む素振りを見せるアリスのウサミミはたれている。どうにも自信なさげだ。
「いやそこまでしなくていいけど、つーか生きてるのかよ。30万年前に活動してた連中が」
前の説明で肉体の再生や精神体の移植も自由自在で不老不死みたいな状態になっているとは聞いていたが、こうやって具体例を挙げられても時間単位が長大すぎて荒唐無稽なお伽噺のようにしか聞こえない。
「生きているっても一応だけど。たいていの人達は1万年単位くらいで今の人生に飽き覚えて、それまでの記憶をほとんど封印して別の人生を歩むの。シンタに分かり易く言っちゃえばゲームを新しく始めるみたいな感じかな。スキルと財産だけ残して強くてニューゲーム状態とか、全部リセットしてニューゲームは人それぞれだけど」
「分かり易すぎるぞおまえの例え……不死を得て人生そのものがゲーム感覚って事か。羨ましいんだか、どうなんだか」
ゲームをやって金をもらえるという感覚で今の仕事を選んだ俺が言えた義理じゃないが、アリスの説明はなんだかしっくりとこない。
ゲームのキャラならともかく、自分の人生に飽きるって感覚を理解できない所為だろうか。
100年生きるのすら大変な地球人の感覚で、その長大な時間を想像しろってのは土台無理な話だ。
「あたしはあんまり好きじゃないかな……血が繋がっていても、リセットしたら全くの他人みたいな関係にしちゃう人も多いから。親子とかでも……あたしの場合は、当時開発した惑星の事とか業務上の関連でたまに確認することあるから、他の人達より繋がりあるけど」
少し寂しげな顔を浮かべたアリスがウサミミを丸める。その表情と耳にこの辺りに地雷が埋まっていそうな予感を覚える。
あまり触れてほしくない話題かもしれない。
「んじゃ……はむ……結局、俺とお前らの相似性って単なる偶然って事か?」
アリスの仕草には気づかないふりをして飯をかき込みながら、話の方向を少し変える。
「え、あー……あたし達にも正直、判ってないの。いくつかパターンはあっても収斂進化で片付けるには似すぎているってのは昔から言われてるし。それこそ神様の仕業やら、記録も遺跡もない先史文明があったんじゃないかとか、異世界からの来訪者があったとか、いろいろな可能性を真面目に研究しているけど、結論はまだ出てないよ」
「神様。謎の古代文明。異世界ね……ホントによく似てるな」
アリス達の文明レベルでも判らない事や電波的な与太議論があるのか。なんかそれを聞いて少しだけ安心する。
安心と言ってもつけいる隙がありそうだと思う辺りはアレだと思うが。
「シンタは巫山戯た推測って感じるかもだけど、あたし個人としてはそういったのもあるかなって思うよ。誰かがなんかしたんじゃないかなって。文明種族が自然発生した星域って惑星の配置とか資源の埋没分布とか出来過ぎなんだよね。太陽系を見ていると特にそう思う」
「ん? そりゃどういうことだ」
「太陽系の場合だと核融合炉に使えるヘリウム3が衛星の月から採取可能で、現に今採掘実験やってるはずでしょ」
「あぁルナプラントって奴か。そういえばやってるな」
月の開発は各国のしがらみやら利害関係で大もめに揉めていたが、10年前に紆余曲折の果てに国連主導各国共同で月面に恒久実験施設を作る形で落ち着いた。
当時のニュースじゃ、すぐに民生用核融合炉発電が可能になって電気代が半分以下になると騒いでいたもんだが、思うように採掘できずいまだに電気代は高いまま。
明るい未来とやらは、まだまだ先の話となりそうだがやっていることは間違いない。
「核融合炉ってあたし達から見れば化石みたいに古い技術になっているけど、でもコストとか整備の面で優れてるから今でも星系内専用航行船に使われてるの。今の地球の技術レベルなら核融合炉が安定供給可能になれば、火星とか小惑星帯の開発もすぐに出来るようになると思うよ」
「無理矢理火星に飛ばしたりして事故ってからタブーになってんだけど、技術革新が起きればアメリカやら中国辺りがやりそうだな。それにヘリウム3の分配でなんかまた揉めるんじゃねぇかな。そうそう上手くいくか?」
どっちが主導権を取るかでかなり無茶をしそうな未来図が容易く想像できる。
核融合炉の平和利用は遠い気がするんだが。
「それはそうかもだけど、それも含めて怪しいんだよね。木星圏にいけば、高出力な縮退炉用マイクロブラックホール生成に使える未発見粒子が採れるし、地球でオールトの曇って呼んでる外縁部衛星群には、超空間跳躍用の空間崩壊誘導レアメタルを含んだ衛星も存在してるの……段階的に外に外に行ける。でも争いに利用すれば一気に全滅しかねない危険性がある技術が開発可能だったりするんだよ」
「……………マジか?」
一気に近未来から超未来へ飛んだアリスの話に、若干ついて行けない俺は返す言葉を無くす。
アリスの話が真実なら実によく出来た、出来すぎた環境だ。
「星間文明に到達した、あるいはその途上で滅んだとしても到達する可能性があった生命体が発生した恒星系の物質分布って、距離とか埋没量の違いはあっても、この徐々に遠くにってパターンだけなんだよね。偶然っていう名の必然だって言う人もいるけど、なんか意図的だと思わない?」
「なんつーか古き良きRPGを思い出す話だな」
勇者パーティは次の街や地域へ行けば新しい装備等が手に入り一気に戦闘能力も上がる反面、敵モンスターも同時にレベルアップし全滅のリスクも高まる。
「言いたい事は何となく判るけど……シンタってとことんゲーマー脳だよね」
自分の中でかみ砕いた上で理解して出した結論だったんだが、ゲームに例えた事にアリスはあきれ顔だ。さっき自分もやった癖に。
「理解できる宇宙人にだけは言われたくねぇよ」
どうにも理不尽なアリスの評価に俺は憮然としながらビールをあおる。
ローバーさんについての情報収集を進めようとしつつも、脱線しまくった雑談になるあたり、フィーリングが合うというのはこういう時は厄介だ。
結局の所、ローバーさんが出してくる条件が判らない事には対処も方針も考えられないと言い訳じみた結論を出して食事を終えた俺とアリスは、再び創天のVR空間へと戻ることになった。




