第98話 フルボッコ
とにかく……まずは、この建物を壊そうと舎弟らに指示を出そうとしたんだが。
「……何、阿呆なことしようとしとるん?」
ネコマタの孫が……いつのまにか、俺の前に詰め寄っていた!?
速すぎて、目で追う間もなく……俺は、何故か身体を浮かせられ……床に叩きつけられた!!?
「「「「兄貴!!?」」」」
「阿呆な事言うからやでぇ?」
孫の足が、俺の背を強く踏んだ。
ギリギリと……術だけじゃなく、自分の足にまで重さをかけ。
骨に到達しそうなくらいの激痛を感じたのだ!
(い……でぇ!?)
女だからって。
ネコマタだからって……甘く見ていた!
さらに……その上から、さっき対峙しようとしていた雪の長老が何かを落としたのか。冷てぇもんをドカドカ顔に乗せてきやがった!!?
「……阿呆であれば、これくらい痛くも痒くもあるまい?」
めちゃくちゃ痛いし、冷てぇんだけど!?
「ほっほ! 冷たいのであれば……妾の焔で溶かそうぞ?」
「ま……て!?」
こんな攻撃食らってたら、焔の長老も手加減しねぇだろ!?
「あいや、焔の。加減はするのじゃ。ヒロの店が焼け落ちる」
「無論じゃ、ネコマタの」
と言ったすぐ後に。
顔が焼けるような熱さを感じやがった!!?
止めろと叫ぼうにも声が出ねぇ!!
口の中にまで火が入ってきやがる!?
「おーい? 何してんだ?」
「む? 斑の?」
後ろから、今度は雷と草の長老まで来やがった!?
舎弟らは何してんだ……とも思ったが、戦闘狂で有名な雷の長老を見て怖気付くのも仕方ない。
「おお、雷の。この阿呆が……ここを壊すと抜かしおっての?」
「いま、折檻しとるんやー」
「……助力願う」
長老らが事情を説明すると……見えねぇのに、雷が起こった音で、俺はとんでもない喧嘩を吹っ掛けたのに……後悔しそうになった。
雷の音は……どんどん勢いを増して、舎弟らに当たって倒れていく音が聞こえてきたんだ!!?
「……この店をぶっ潰す?」
不機嫌が最高潮に達した……最強の長老を、本気で怒らせてしまった!!?
「ヒロ。直すから、ちぃっと暴れんぞ!!」
そして次の瞬間。
俺は痛みのせいで、気を失ってしまったのだった……。
次回はまた明日〜




