表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

85/108

第85話 ヒロの自覚?

お待たせ致しましたー



「早朝より失礼する。馳走の匂いがした故、邪魔を致す」



 かしこまっているけれど……草の長老様はお腹が相当空いているようです。



「おはようございます。いらっしゃいませ。お席にてお待ちください」



 とは言え、お客様に変わりないからおもてなしはしますとも。



「ヒロ、手伝うことはあるか?」



 長老様とご一緒に来られたスインドさんは、すぐに手伝いを申し出てくれた。連日連夜……本業の方をほとんどお休みしているのに、働き者さんの姿勢はクレハにも見習ってほしいわ。



「大丈夫ですよ? ちょうど私とクレハの朝ご飯用を作っていたので……試食で良ければ、草の長老様にもお出し出来ますが」


「む? 試食とな!」


「カツやで〜!!」


「すぐ準備出来ますので。スインドさんもゆっくりされてください」


「……仕上げを見て良いか?」


「あ、はい」



 圧をかけられたので、つい返事をしてしまう。


 ちょっとびっくりしたけど……頷いてしまったので、一緒に厨房に行くことに。中途半端にしていたカツ達を……スインドさんは興味津々に見てくれたわ。



「……肉に衣をつけて、そのまま揚げたのか」



 私の持つ、日本での調理法をだいぶ見慣れたせいか……ちょっとだけ彼も詳しくなっている。その真剣な横顔を見ると……なんだか、心が少し早鐘を打つように鼓動が早くなっていくのだ!



(な……なんでも、ない! 気のせい!!)



 ユキトさんに……誰か好きな相手が居ないか聞かれた時。ふいに、スインドさんの顔が思い浮かんだ。ザックさんは、ユキトさんが気にかけているから違う……とすぐに納得出来たからとは思っていたが。


 スインドさんと……関わり合う時間が増えるにつれて、その……ちょっとずつ、意識してしまうのだ。顔以外にも、仕草とか体付きとか。


 まるで、ストーカーじゃないかと思いかけたりもしたので……極力、意識しないようにしていたけれど。


 それも……誤魔化しきれないかも。頭を撫でてくれる以上に、抱きしめてくれたあの瞬間も思い出す頻度が増えてきたから。



「……これも、醤油(サイシ)で食べるのか?」



 雑念を追い払えないでいると、彼からの質問があったので切り替えることにした!



「はい! サイシでも美味しいとは思いますが……『ソース』と言う単体の調味料が作れれば、もっと美味しいとは思います」


「その言い方だと……ヒロが作るのは難しいのか?」


「手間暇と、仕込みが…………あちらでも見習いでしたし。師匠達も仕入れたものを使っていました」


「……どのようなものだ?」


「どろっとしていて……野菜や果物の甘味と酸味。香ばしさに加えて、独特の味わいもありますね」


「……すぐには出来るものではないようだな」


「なので……こちらには岩塩もありますし。今回はそれとサイシにしましょう」



 カツだけだと物寂しいので、ご飯に……味噌もないから野菜スープで定食風に仕上げ。


 カウンターで待っててくれてる草の長老様とクレハの分も、持っていくことに。



「…………にゃ」


「……ほぉ?」



 カウンターでは、クレハは特に……長老様に突っかかっていなかったわ。むしろ……恋する女の子のようにしおらしくなって。長老様も苦笑いされているし……この二人、自覚有りなのに付き合っていないだけ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ