第83話 ダチとして確認
お待たせ致しましたー
ひとーつ、気になることがあるんや。
「……なんだ、クレハ」
あちきは今、里で店に必要なもんを買い出しに来とる。
一人ちゃう。スインドと一緒や。
別に一人でもええねんけど……食材に色々詳しいこいつがええねんとヒロが言うからや。実際助かっとるし。
そのこいつなんやけど!
買い出しをひと段落させてから……アヤカシらがあんま居らん場所に連れて来たんや!
「……聞きたいことあんねん」
あちきと言うより……あちきの大事なダチであるヒロについてや!
「……なんだ?」
「……あんさん。どない思っとるんや? ヒロんこと」
「…………どう、とは」
あ、これほぼ確定やわ。
「回りくどいのはやめとくわ! ヒロを『女』として好きなんやろ!?」
「…………いきなり、だな」
「ちゃうん?」
「…………否定は、しない」
せやな、せやな!
そうでなきゃ、あん時ヒロを抱きしめるとかせぇへんもんな!! なんとなくそんな気がして……今日聞いてみたかったんや!!
「せやったら、ちゃっちゃと言いや」
ヒロを見とる目が……なんとなく優しいのはわかっとったけど。ほんまもんに……ヒロを『好き』なんやなあ?
今もめちゃくちゃ顔赤いし……言うか、首まで真っ赤でおもろいけど。
あちきが提案すると……何故か、スインドは首を左右に振ったんや。
「……やっと店が始まったばかりだ。邪魔……になるだろう」
「そうは思わんけどなあ? なんや、ヒロに断られると思っとるん?」
「…………それは、ある」
意気地なしな部分もあるんか。
まあ、ヒロは見目だけで相手を決めるような人間ちゃうし……断るかどうかはわからんけど。スインドのことは……あちきとは別に信頼はしとると思っとるよ。
そうでなきゃ……気を許した笑顔を見せはしないと思うわ。
「せやけど。ヒロ可愛ええやん? これから、アヤカシの客が増えるで? 手ぇ出す連中も居なくはないはずや。そんなアホンダラにヒロを取られてもええん? あんさんは、店がひと段落したら帰ってまうやん」
「…………そう、だな」
焚き付けはこの辺にしといて。
あちきらは、とりあえず店に帰ることにした。
店の資金とやらは、売り上げっちゅーのが出るまではあちきが肩代わりしとる。
あちき自身の……オトンらがいつか使うため、と寄越してきてた金はたんまりあるからなあ? ちょっと高い食材を買っても痛くもかゆくもない。
大事なダチのヒロのためなら……喜んで使うわ。
六角ボアから馬鹿に逃げてたあの人間と……ここまであちきを行動的にするアヤカシにさせたんは、ヒロしか居らん。
そんなヒロんことを……好き思っとる奴がスインドとくれば、あちきは協力したいわ。ザックはちゃうようやったし……背丈の凸凹はあるけど、この二人似合いやねん。
番になるんなら、あちきは全力で応援するで!!
んで、ずーっとずーっと……この里で店を続けられるように子孫を作るとか!!
人間はあちきらと違って……ほんの一瞬しか生きられん。
ヒロがいくら異世界からの人間やからって、そこは同じだろうし。
「……ん?」
あとちぃっとで店に着くと言うところで、気配がぎょーさんあるのがわかった。
先に雪のだけは呼んで、ヒロの事情を話すとは聞いとったけど……ありゃ、おじぃも入れて長老全員居るようやんな?
スインドにも伝えて、ヒロを手伝うのに急いで戻ることにしたわ!!




