表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

77/108

第77話 ヒロのトラウマ

お待たせ致しましたー

 扉が壊れるんじゃないかって勢いだったけど。すぐに、焔の長老様が指を向けて……パンっと音が立つと。扉がひとりでに開いたかと思えば。


 扉の向こうには……何故か地面なのに雷雲のような光景が!?



「な、なになになに!?」



 びっくりして、思わずクレハに抱きついてしまうわ!?



「……こりゃぁ」



 クレハから、ゴクっと唾を飲み込む音が聞こえた。と言うことは……クレハにとっても対処しにくい相手?



「……雷のか」



 草の長老様まで、同じようだった。けど、言葉を聞く限り……これって多分。



「……長老、様?」



 また新しい……長老様が来たってこと?


 複数居るとは聞いていたけど、何人いるわけ!?



「…………ほぉ? 話がわかるやつが居んじゃねぇか?」



 雷雲がパチパチ、バチバチ音が鳴っていくにつれ……だんだんと形が変わっていく。


 草の長老様の時のように……人型になったのだ。日本風の酒瓶を肩に担いだ、随分とだらしない服装の……けど、スインドさんとかに負けないくらいのイケメンさんに!


 髪は黄色、目は好戦的な青い瞳だった。耳は毛に覆われているけど、エルフのように尖っていたわ。



「ほっほ。雷の……やはり来おったか」



 焔の長老様はおかしそうに笑っているけど!?


 面倒なことって、この人ってことですか!?



「焔の……俺との喧嘩止めてまでここに来るたぁ、どう言うことだ?」


「ほっほ。美味なる馳走の匂いがしたからよ」


「ほぉ? ま、たしかに……いい匂いはするが」



 すんすんと鼻をひくつかせる様子は、人間じゃなくてモンスターぽいけど……私はなかなか落ち着くことが出来なかった。


 私は……雷が怖い。


 あの事故に遭った時に、まるで雷に撃たれたかのような衝撃を感じたのだ。だから……一応のリハビリに使われた、電気治療器も酷く怯えるほど拒否してしまった。


 今は美女神様のお陰で元通りになっても……植え付けられたかのような、あのトラウマについてはどうしようもない。


 まだ、雷の長老様の周りでピリピリしている雷のようなものが……怖かった。



「……ヒロ? 顔真っ青やで?」



 だから……クレハがびっくりするのも仕方がない状態になってしまうわ!



「…………あの長老殿が恐ろしいのか?」



 スインドさんに聞かれえると、左右に首を振った。そう、イケメンさんを差し引いても……雷の長老様が怖いわけではない。あくまで……『雷』が怖いだけで。



「あ? 人間?」



 その言葉が近くに聞こえたと思ったら……いつのまにか、雷の長老様が至近距離に立っていた!?


 びっくりし過ぎて……さらにクレハに抱きついてしまい、彼女が苦しいと言い出したが、離れるのは無理だった。


 間近で、あのパリッ、パリって音が聞こえるんだもん!?



「やめんか、雷の」


「そうじゃ」



 草と焔の長老様お二人が……雷の長老様の肩を掴んで、私から離そうとしていた。



「あ?」


「ネコマタのが言っておったであろう? その者はここで『店』を開く店主だ。(それがし)はまだ口にしておらぬが……美味を我らに振舞ってくれるヒトの子である」


「そうじゃ。かなりの美味……お主との手合わせを辞めてまで来たいと思わせる。その雷電……少し収めぃ。ヒトの子供には酷なものでしかない」


「…………ふーん?」



 お二人の説得を聞くと……聞き入れてくださったのか、雷の長老様は軽く肩を動かして……帯びていた雷を消してくれた。


 その動作を見て……私は腰が抜けたのか、床にペタンと膝をついてしまったわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ