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第74話 ネコマタの幼馴染み


 ドーン ドーン!!



 さあ、食べようと思ったら……玄関から太鼓を叩くような勢いで何かぶつかった!?



「な、な、なに!?」


「襲撃か!?」


「なになになに!?」



 いきなりの事だったから……驚くのも皆当然だと思ったが。


『一人』だけ、違ったのだ。



「……ちっ。やかましい奴が来たわ」



 クレハが……思いっきり嫌な顔をして、舌打ちした?


 私が声をかける前に、彼女は軽く床を蹴って扉前に移動して……まだ叩かれていた表側に向けてなのか、思いっきり扉を開け放った!?



「い゛!?」


「飯の邪魔すんな、ワレぇ?」



 野太いが、物凄く痛がっている声に……クレハは相手に怒りを向けていた。知っている相手なのかな?



「…………ネコ、マタの孫か」


「なんやねん? 草の長老」


「「「長老!?」」」



 また長老様の一人が来た!?


 なにがきっかけで来られた……のかな?


 もしかして……ユキトさんのように、『匂い』を嗅ぎつけてきたのだろうか??


 どんなアヤカシさんなのか、気になって駆け寄ると……クレハの向かいには、草の塊しか見えなかった。茂み……よりは、もっと大きな。



「えっと……長老、様?」


「いかにも。(それがし)は草の長老と呼ばれておるもの。此奴の祖父殿……ネコマタのに比べればまだまだ若人だが」


「あちきにとって、古馴染みにゃー」


「……幼馴染みさん?」


「ヒトで言うなら……おそらく、それが正しいだろう」



 そして、塊が横に何度か揺れると……だんだんと小さくなっていき、けど、スインドさんくらい体格の良い……黒の眼帯をつけた、渋めの男性へと変身したのだ。雰囲気としては……お侍さんの感じ?



「……なんや。なにしに来たん?」


「…………そう、やっかむでない。クレハよ」


「飯の邪魔したからや!!」


「その『メシ』について……この建物について知りたいと思ったまで」



 と言って、何故か私の前で鼻をひくひくさせた。



「? あの……?」


「クレハは、料理が出来なかったはず……そして、雪のにも聞いたが、今里にはヒトがこの区域に出入りしているとも。であれば……お主の仕業か? この(かんば)しい香りは」


「あ、はい。……まだ試作ですけど」


「是非とも、それが」


「阿呆!?」



 し、と言おうとしていた草の長老様に……クレハは思いっきり跳んでチョップをかました!?



「ぐっ!?」


「あちきらの昼飯にタダで食いにきたんか!?」


「……そ、の」


「あちきより大喰らいのあんさんに、『カバヤキ』は渡さんで!?」


「く、クレハ……」



 仲良いの? 悪いの? って感じだけど……食い意地張っているとこに乱入者来たら、怒っているのかも。


 今聞こえたけど、クレハからぐーぐーってお腹の音鳴ってたわ。



「む……無論。タダ……とは言わん。ヒトの金の用意……もしてきた。であるから……某にも、その『カバヤキ』とやらを!!」


「あか」


「良いですよ?」


「ヒロ!?」


「だって……お客さんってことで来てくれたなら」



 ちゃんと理解して……この建物に来てくれたのなら、きちんとした定価はつけるためにも、アヤカシさんには食べてもらいたいもの。


 ましてや、長老様相手なら……無碍にできない。クレハは嫌そうな顔したけど……ここはきちんと対応したいもん!!

次回はまた明日〜

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