第67話 青い卵おじや①
お待たせ致しましたー
まずは、スインドさんのお店で購入出来た……『昆布』こと『リアン』って言う食材を鍋の中に水と一緒に浸しておくのだ。
「ヒロ〜? この板なんなん? 買うた時、えらいはしゃいどったけど」
クレハの言う通り。
出汁の定番である昆布が格安で市場では売っていると、スインドさんに教えてもらった時には。
私は思わず……子供のようにはしゃいでしまったのだ。実に大人気なかったが……昆布のある無しで料理の幅がぐんと違うもの。
クレハには、今回は釜戸で炊くご飯の様子を見てもらってる。昨日、スインドさんメインでレクチャーしたのを覚えてくれたんだって。
「えっとね? 串焼きの時も言ったかもだけど……食事の時は『味付け』が大事なの。それにひと手間加える下ごしらえもね?」
「ほーん?」
「で、米に塩味だけだと物足りないから……ちょっと味を加えようと思うの。リアンは、それだけで味の深みって言うのが、全然変わるわ」
「要は……めちゃくちゃ美味くなるん?」
「朝ご飯とか、濃い味付けの後には最適な料理になるわ」
「え〜〜? 濃いのやないん?」
「んー? 胃もたれしない?」
「せぇへん!」
「けど。とりあえず食べて欲しいの」
居酒屋とも違うけど、全部が全部濃いめの味付けでは……お客さんによっては飽きが来てしまうかもしれない。
そうならないように……まずは試作も大事だ。
米が炊けたら、それは蒸らしを終えたら軽く冷まして……次はだし汁の仕上げ。昆布は取り出してから、短冊切りに。あとで佃煮を作る予定だ。
出汁はうっすら緑色になっていたので……ゆっくり沸かして、軽く醤油を垂らしてから味を見ると。
「……ヒロがええ顔しとるわ」
「……これよ。これが『出汁』よ!」
見事に昆布出汁に醤油を加えた澄ましのような味わい。
まさか、異世界でも作れるとは思わなかったわ!!
これなら……美味しい卵おじやができるはず!
クレハにも味見してもらったが、わからないという風に首を傾げてしまった。
「にゃー? よぉわからん味やわぁ」
「これに米と卵……あともう少し、サイシで味を整えれば……美味しいものになるの!」
「ほーん? 卵どんくらい必要なん?」
「そうね? とりあえず……このお鍋の半分くらい」
「あいなー」
ただ、具材が卵だけだと物足りないので……小ネギこと『ピトネギ』を刻んでいく。これだけで、彩りも鮮やか……と前なら思うが。
(青に緑だから……インクぶちまけた色合いになっているわ)
ふんわり卵……でおじやの中にかき卵を作ったけど。
元が青い食材なので……薄青に緑を散らした不思議な出来上がりになったわ。
けど! 匂いはすっごく良いのよね!!




