第61話 裏方決め
お待たせ致しましたー
まずは仕入れについてだ。
長老おじいちゃんは、卵焼きを食べてとりあえず満足したのか帰って行った。下手に、自分が加わると若い世代の邪魔になるだろうと言って。
たしかに……クレハはともかく、私達は二十二歳。
スインドさんとザックさんは自分でお店開いているし、色々アドバイスは聞ける。
モンスターであるクレハには、この里でだとどんなものが仕入れられるか……若い世代ということで残ってもらっているわ。
「……えーっと。まずは材料の仕入れですね」
調味料関係は、スインドさんにもちろん決定。
彼のお陰で、いろんな調味料が手に入るんだもの。これは絶対に外せないわ。
「俺んとこはぁ、道具とかー?」
「そうですね。私のいた世界での道具……それをいくつか製作してほしいんです」
即席おろし金だけじゃなく、すりこぎとかを作ってもらうことは決定済み。異世界の知識を知ってもらえる機会を、ザックさんは快く受け止めてくれた。
ここ最近は、決まったものしか作れずに飽き飽きしていたらしく、私の持つ知識はとても有り難かったらしい。
役に立てたのなら、私も嬉しかった。
「……肉はクレハがいるから、なんとかなるが。野菜は……里に出入りする行商で事足りるか?」
「ひとまずは、そうしてみます」
まず、お客のターゲットは……この里で生活しているモンスター達だ。人間もいないわけではないが……常駐しているわけでもないらしい。
その、常駐する人間となるのが……この私だ。
過去はともかく、現在では……クレハ曰く、私だけだ。
なら、お店を開く上で……きちんと相手のニーズにも応えたい。
「にゃぁ? ヒロの料理やったら、皆すぐに群がるでー?」
「だよなぁー?」
「……そうだな」
「……ありがとうございます」
ほとんど、スナックに近い料理しかしていないのに……ここにいる皆さんには喜んでもらえた。
まだ数人でも、『美味しい』と言ってもらえる料理を作れたのなら……嬉しいわ。治った腕で、きちんと料理が出来るんだもの。
「ところで、メニューてなんなん? なんか必要なん?」
「クレハには絶対お願いしたいことよ?」
「にゃー?」
「クレハには、出来れば『お運び』をお願いしたいから」
小料理屋だけど、従業員が私とクレハしかいない。
クレハには、調理よりも……配膳や注文取りをお願いしたいのだ。これだけだが……お店を営業していく上では、とても重要なのだから。
「……クレハが慣れるまでは、俺も居ようか?」
「スインドさんが?」
「スイはいいんじゃなぁい? 親父さんらに昔はあちこち連れてかれてぇ、接客とか学んだし」
「……と言うことだ」
「是非、お願いします!」
接客マナーがあるないで、非常に助かるわ!
私もずっとクレハについているわけにいかないし……手助けになる人が居れば、安心出来る!!
とりあえず……分担とかは決まったから、今度こそはメニュー決めだ。




