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第48話 改装作業①

 長老おじいちゃんにも、料理の出来栄えを認めてもらえたので。


 次は、ザックさんにお店となる例の建物を見てもらうことになったわ。


 半壊された他の建物を見るたびに、キョロキョロとしてはいたけど……クレハがツクモにお願いして直した場所を見ると、感心したのか口笛を吹いたのだ。



「ふぅ〜ん? 悪くないじゃん」


「中はなーんもあらへんでぇ?」


「んじゃ、外側だけぇ?」


「はい、中は家財道具などもありません」



 鍵は特にないので、中に入っても伽藍堂状態の部屋があるだけ。


 仕切りなども何もなく、ただ広々と空間があるって感じだ。



「…………何もないのに、造りはいいな」



 スインドさんから見ても、この建物は良いものだとわかったようだ。対するザックさんは……と見たら、いつのまにかいなくなっていた。けど、すぐに見つかり、あちこちを点検するように眺めていたのだ。



「……うん。うん! いいねぇ? 揃え甲斐があるー」


「……すぐ出来そうか?」


「おぅよ。皆ぁ、ちょいと離れててぇ」



 ザックさんは私達にそう言った後……魔法使い収納の入り口、宙に切れ目を入れて……手を入れて何かを探していた。


 見つかると、取り出したのは……真っ赤で綺麗な丸い石だった。


 それを、部屋の真ん中に置くと……また口笛を吹いた。


 と同時に、収納から細い棒のようなものが出てきたわ。



(……指揮棒?)



 オーケストラとかの、指揮者が持つような細長い棒。


 色は白じゃなくて、真っ黒だったけど。ザックさんはそれを持つと、本当に指揮者のように構えをした。



『……奏でよ』



 大きく指揮棒と手を振ると……部屋中が、真っ赤に染まった!?



「な、なに!?」


「にゃー?」



 私もだけど、クレハもびっくりしちゃった。


 隣にいたから、思わず抱きついちゃったけど。クレハもぎゅーぎゅーに私を抱き締める。


 ただ一人、スインドさんは驚かずにザックさんを見ているだけだったわ。



「……大丈夫だ。落ち着いて、見ているといい」



 顎でザックさんの方を見るように言うと……ザックさんは、相変わらず指揮棒を振っているだけ。


 なんにもないのに……と思っていると、置いてあったはずの赤い玉がないのに私は気づけた。



『……揃え、揃え。揃えよ、ここに』



 歌うように、呪文を唱えていくザックさんは……とても楽しそうだったわ。


 何をしているのか、いまいちよくわからなかったが……指揮棒を縦に強く振ると、ポンっと大きな音が立った。


 その音と同時に出てきたのは……なんと、『釜戸』。


 一個、二個と出てきたら……その釜戸達は、奥の方へと飛んで行ってしまったのだ。

次回はまた明日〜

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