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第47話 再び里へ

お待たせ致しましたー

 けど、どうやら過信していたのは私だけのようだ。



「……き、もち……悪りぃ……っ!」


「…………俺も、だ……」



 私は慣れたけど、いきなりの移動の魔法に揺られた男性二人なのだが。


 吐くことはしなかったが、かなり酔ってしまったようだ。河童兵士達には不思議がられたけど、落ち着くまで待つことにしたわ。



「なーんや。人間はヤワやんなあ?」


「……クレハ。私達も説明しないの悪かったから」


「にゃー?」



 たしかに、ざっくりとしか説明せずにいきなり連れてきたら……こうなって仕方ないもの。私も最初の移動の時は、ちょっとガクガクしたし。


 それから、二人が落ち着くのに数分以上かかったが……ザックさんが、魔法使い収納の入り口を開けて水袋を取り出し……スインドさんと分けて飲んだことでひと息吐くことが出来たようだ。



「……あー。びっくりしたぁ」


「…………俺も、だな」


「……大雑把な説明だけで、すみませんでした」



 もう一度謝ると、ザックさんは手をひらひらと振った。



「いぃよぉ? あれなきゃ、ここに来るの時間かかっただろうしー?」


「……そうだな」



 酷い目に遭ったも同然なのに……この人達はいい人達だ!


 ザックさんに、私の真実を告げるかどうかのポイントがまたひとつ増えたわ。とりあえず……クレハが河童兵士達に事情説明をしていたので、私達もそちらへ行くことにした。



「……どう、ぞ」


「とお……れ」



 無事に許可が出たので……茂みをくぐり、歩いたその先には。


 まだ朝早いからか、最初に来た時とは違って曲芸とかのステージはなかったが……露店がちらほらと準備している様子が見えたわ。



「ようこそ〜。アヤカシの里へー」



 クレハがにっこり笑顔で、スインドさん達の前で歓迎のポーズを取ったわ。二人はそれを見てから、あちこちキョロキョロし出した。



「……ここが」


「……フルリの里か」


「にゃー。どないする? おじぃんとこ行く? 店行く?」


「一応、長老様のとこに行かない?」



 無断で上がり込むのは、大変よろしくないもの。


 あと、まだクレハの魔法使い収納に入っている……即席焼き肉ダレを長老おじいちゃんにも味見してもらいたい。完全ではないけど、スインドさんがいなきゃその調味料も作れなかったんだもの。


 スインドさん達も急ぎじゃないから、と長老おじいちゃんのところに行こうと言ってくれたので……今度は移動の魔法じゃなく徒歩で向かう。



「……戻ってきおったか」



 お家に入らせてもらうと……長老おじいちゃんは最初に会った時と同じく、ネコマタの姿で座布団の上に居たわ。ただし、私達が上がらせてもらうと……獣人の姿に変身してくれたのよね?



「……はい。協力者となるお二人を連れて来ました」


「……スインドと申します」


「ザックですぅ」


「……ほぉ? 良い目をしておる」


「スインドさんは主に調味料関係。ザックさんは、あの建物での調理に必要な場を作り替えていただく予定です」


「……ふむ」



 私が二人のことを紹介すると、長老おじいちゃんは目を細めて……嬉しそうに頷いてくれたわ。



「おじぃ! ヒロの料理、また少し変わったで!」


「ほぉ? もう、なのか?」


「はい。スインドさんのところで購入させていただいた、調味料のお陰で」



 クレハが、収納の中から……ほとんど出来立て状態で保管していた焼き肉丼をフォークと一緒に取り出し。


 長老おじいちゃんに、私が食べ方を教えたんだけど……まだまだ若いもんには負けないって勢いで、がっついて食べてくれたわ。



「うむうむ。またひとつ進歩を得たのお? もっと精進せよ、ヒロよ。この者らの滞在や里への行き来も、他の長老らに伝えておく」


「ありがとうございます!」



 また一歩、前進出来たわ!!

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