第41話 秘密への懸念事項
お待たせ致しましたー
その日は段取りだけ決め、アヤカシの里に戻るのは翌日が良いこととスインドさんが提案してくれたので。
どこかでお宿でも探そうと思ったら、
「俺の店で泊まれば良い」
と、なんか大胆発言をされてしまった!?
しかし……これには訳があるような真剣な表情付きで次の言葉が紡がれた。
「ザックにはすぐに言うか……まだ未定ではある。しかし、ヒロはおそらく……この世界でただ一人の異世界からの渡航者。であれば、宿などで何かが起きてからでは遅い。俺の家でも部屋はかなりある。元は家族で住んでいたからな。……父さんや母さんの部屋を使ってくれれば、寝泊まりくらい不便はないだろう?」
「……なるほど」
私は今後の事を考えていたつもりで、スインドさんには事情を打ち明けたが。
今日出会った人達全員には、自分が異世界からの転移者であることは告げていない。クレハも成り行きだったけど、彼女がいなきゃお店となる建物を長老おじいちゃんから許可をもらえたりしなかった。
だが、今後誰かに打ち明けても……全員が全員納得してもらえるかはわからないのだ。
「にゃー。それだけやあらへんやろ?」
私は私なりに、自分の行動が短絡過ぎだと考えていたら……クレハが、何故かスインドさんに別の質問をしていた。
「……クレハ?」
「たしかにー、ヒロは特別やで? せやけど、あほんだらでもなんでも無い。むしろ、人間にしちゃかなり賢い方や。あんさん…………変にヒロを利用しよう思うんなら、あちきもそれなりの対応するでぇ?」
ちょっと……忘れていた。
クレハは今でこそ、人間のような姿で立ち振る舞いをしているけれど。
猪に似た、六角ボアを……魔法一つで簡単に倒すことの出来る、『モンスター』なんだ。つまりは、魔物の一種。
言葉を話せたり、ちゃんとした人格を受け入れていたせいで……その恐ろしさを忘れかけていたわ。
けど、スインドさんは別に怒ったりせずに……静かに頷いただけだった。
「利用……と言うのは聞こえが悪いが。商売を成り立たせる上では、ヒロやあんたは最高の顧客だ。引き止めたい気持ちはあるが、意志などは尊重したい。それは断言出来る」
「……ふーん。ヒロの飯が美味いのもあるんちゃう?」
「それは否定しない。むしろ……もっと知りたい!」
「あ、はい?」
つまり……ご飯とかは、スインドさんにも作ることで宿賃代わりにしてほしいってことなのかな?
変に緊張してたのが、ネジが吹っ飛んだような反応しちゃったけど。
「なーんや。それやったら、あちきは別に怒らんで? ヒロの飯は美味いからなあ? 野菜もさっきのならペロリと食えるし」
「同感だ。俺もサラダは……どちらかと言えば苦手だった」
「……お夕飯、サラダでも良いんですか?」
「あれ、また作るん!?」
「是非頼む!!」
と、意気投合しちゃった二人に……ここまで喜んでもらえるのであれば。
次は、まだクレハが収納に入れてたボアの肉で趣向を少し変えたサラダを作ってみようかな?




