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第38話 ひと息吐く



「……なんとかなったな」



 場所はスインドさんのお店に戻り。


 彼からお茶を出していただけたので、ひと息吐くことになった。


 ハーブティーのようなお茶で、スッキリした風味もあるけど優しい甘味もあって美味しい。


 喉も乾いていたので大変ありがたい。この世界に来て、飲み物だなんてクレハの自宅でコップ一杯の水飲んだだけだもの。



「せやなあ? 特許言うの出来たんなら……ヒロには定期的に金が入ってくるんやろ?」



 そう。


 ポン酢のレシピだけでも、特許のお金とかが結構入るだろうとラインさんが予想してくれたので。


 私の……と言うか、登録カードには銀行口座機能とやらがあるらしく。お金がある程度貯まったら、自動でカードに送金してくれるのだそうで。引き出しとかは……生産だけじゃなくあちこちのギルドに、キャッシュコーナーのような魔導具があるから大丈夫だとスインドさん談。


 不思議なとこで、アナログからデジタル以上の技術にはちょいちょい驚いてしまうわ。



「……ああ。あのポン酢だけでも画期的だったからな? ……他のも、可能であれば特許を申請した方がいいが、しばらくはいいだろう。まずは、店を開く上で入り用なものか」


「はい! 色々買わせてください!」


「金はあちきのがあるからええで〜?」


「……わかった。説明が欲しいのには答えよう」



 スインドさんは、飲食店のようなものは開いたことはないらしいが……何がどう必要と言うのは、『何でも屋』を経営していると言うこともあって、色々知識は持っているようだ。


 ポン酢を作る前に、クレハと選んだものをだいたい購入してから……あとは、スインドさんが紹介してくれた調味料もほとんどの種類を購入。


 不思議調味料はなかったけど、これだけあればバリエーション豊富な料理が作れること間違いなし! ってくらいに。


 食材については、肉以外の魚とかは……あのボアを冷やした川の上流に行けば、川魚みたいなモンスターが取り放題だとクレハが教えてくれた。


 野菜などは、チルット以外の行商人が里に定期的に来るので多分大丈夫とのこと。あとは、少し草食寄りのアヤカシが自家栽培しているのを売ったりもしているんだって。


 道具類は……包丁は、あの高価らしい不思議形状の包丁以外にも……用途に見合った包丁シリーズ一式。


 なんと、菜箸もあったから購入しましたとも!



「そんな棒でどないするん?」


「細かい作業には最適だし……私は使える国で育ったから」


「……不人気なそれをか。こちらとしては有り難いが」



 どうやら、この菜箸はほこりを被る寸前の不人気商品だったようだ。


 調理器具とかは、クレハの収納に入れれたけど……釜戸やコンロのような大がかりなものは、さすがにスインドさんのお店にはなかった。



「……あの厨房のような設備が望ましいんですよね」



 完全再現ではないけど……小料理屋にも劣らないくらいの設備だった。


 是非、あれくらいのものが欲しいと思ったわ。

次回はまた明日〜

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