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第37話 ジビエ冷しゃぶサラダ②

お待たせ致しましたー

 サラダを口に入れると、シャキシャキとした歯応えが噛むごとに音として伝わってくる。


 外見は子供でも、彼はここのギルドマスターさん……どのような反応をしてくれるか、じっと待つしか出来ないけど……両手を固く握って見守っていると、ラインさんは首を上下に振ってから食べていたものを飲み込んだ。



「おい、しー!! 野菜は当然だけど……この調味料、なに? 酸っぱくて、塩気もあって……マヨンとも違う! 少し甘みもあるし……プルプルした肉とも合うね!! この調理法もなんなの!?」



 どうやら、第一関門?は突破出来たようだ。


 ラインさんはほっぺをピンク色に染めながら喜んでくれたけど……エイドさんやスインドさんもサラダをいつの間にかフォークで突き、口に運んでくれていた。



「!? これは!!」


「……野菜にもだが、肉とも……合う」



 こちらのお口にも合ったようで何より。


 ほっとしていると、誰かに服を軽く引っ張られた。振り向くと……私の服の裾を、ラインさんが軽く引っ張っていたのだ。



「ヒロ! 凄いね!! 僕、最低三百年は生きているけど……こんな美味しいの食べたことがないや!!」


「さ、三……??」


「うん! 見た目もわざと変えてるけどね?」


「……そうですか」



 さすがは、ファンタジー?


 魔法か何かで見た目を変えられるのも……凄いや。


 とりあえず、味については問題ないようなので……うずうずしていたクレハと一緒に、私もサラダを食べてみた。少しひんやりした野菜達のシャキシャキ感に、プルプルしたお肉……それに、適度な酸味とクセのあるポン酢が合わさることで、さっぱりと美味しく食べることが出来た。


 味わいは、本当に豚しゃぶと似ていたわ。



「美味いわ〜!! さっぱりやし、これなら野菜と食ってもええわー」


「組み合わせ次第では、いろんな野菜とも合うよ?」


「これ、店で出したらおもろい思うで?」


「かな?」


「ん? ヒロは店を持っていないの?」


「……これから、です」



 ラインさんに伝えると、彼は『ほー?』と感心するように頷いてくれた。



「てっきり、もう在るのかと思ってたよ。どこでやるの? 僕通っちゃう!!」


「あちきの里や〜。フルリにあるアヤカシの里や」


「…………え、あそこで?」



 びっくりしたのか、今度は口端をひくっとさせてしまったわ。



「……あそこ、凄いの?」


「長老らが集う場所やからなあ? 他の里とはちょいと格が違うんよー」


「…………行けないわけじゃないけど。まずは、アヤカシ相手に?」


「あちきの好きなんは、これもええけど……ボアの串焼きやんな〜?」



 ほい、とクレハが収納から串焼きを出して……ラインさんに渡していた。私より、営業能力あるよね……クレハって。


 ラインさんは少しの間眺めてから、まずは肉の方をひと口頬張ってくれた。



「ん!? 肉の臭みがほとんどないし……塩味だけだけど、柔らかくて美味しい!! …………クリマッシュも食べ応えあるね!!」



 と、あっという間に完食。気持ちの良い食べっぷりだったわ。



「……あの。これ以外にも色々作れなくはないですが。ポン酢の方は、どうなんでしょう?」



 味を認めてもらえたが……本来の目的は、ポン酢の特許だ。


 少し緊張しながら聞くと……ラインさんはエイドさんと頷き合ってから、私に笑顔を向けてくれた。



「まだ使い方はあるでしょう? それも説明してくれたら、登録はちゃんと出来るよ!!」


「ええ、そうですね」


「……ありがとうございます」



 これだと、簡単ポン酢じゃなくて……ちゃんとした出汁を使ったポン酢を作りたいな?


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