第29話 何でも屋で①
お待たせ致しましたー
「面白ろい仕組みやんなあ?」
クレハも見たことがないのか、ケラケラと笑っていた。
「ここいらの店では、普通の鍵だが……獣人らのところではないのか?」
「ないなぁ? 下手に忍んで来る奴は……八つ裂きにしてくれるわ〜」
「……クレハ、怖い」
「たとえや、たとえ〜」
「……とりあえず、入ってくれ」
どうぞと、スインドさんに言ってもらえたのでお邪魔することに。
中は、窓から差し込む日の光のおかげで少し明るいが……全体的に暗い。
でも、すぐに明るくなった。振り返ると……スインドさんが壁にある金属板のようなのに手を当てていたから……あれも魔導具の技術だろうか?
ますます、ファンタジーな部分を見れて面白い。
それもだけど、
「……わぁ!」
表の看板にあったように……何でも屋とあってか、色んな商品があちこちに並んでいた。乱雑に置かれているわけではなく、どこに似た種類があるとかきちんと整頓されている。
調味料は調味料、道具は道具って感じに。
ざっと見たけど……ほとんどが料理関係だわ!
「……好きに見ててくれ。俺はその間に、少し準備してくる」
と言って、スインドさんは奥に行っちゃった。
雑に扱わないけど……触ってもいいのかな?
初対面の相手に……そこまで許してくれるとは。なんでだろう?
「ヒ〜ロ〜? なんや、ぎょーさんあるけど、必要なもんとかどれや?」
「あ、そうだね!」
もちろん調味料もだけど、道具も大事!
まだクレハに買ってもらった、あの包丁ぽいの以外ほとんどないに等しいもん。
調理台……は流石にないけど、包丁にまな板とかは日本っぽいものがあったので決定。
冷蔵庫みたいなのもあればいいとも思ったが……それっぽい箱はあっても、まだスインドさんが戻ってこないのでそれは一旦保留。
それとは別に……作業着っぽい服があったので、クレハに当ててもらってから買うのを決めた。
「服なら、あちきんとこにあるやん?」
「けど、たーっくさん汚れるんだもん。洗濯するにしても、区別はしておきたいの」
「ほーん。色々あるんやなあ?」
「……待たせたな」
スインドさんが戻ってきた。手には……色んな瓶が入った木の箱を持ってきたんだよね? あれは、ひょっとして調味料なのかな?
カウンターらしい、何も置いていない台の上にそれを置いたので……私達もショッピングの手を止めてそっちに行った。
「……これ、全部調味料ですか?」
露店で見たものと同じようで違うものばかりだ。
「ああ。サイシ以外にも……各国の調味料がうちでは取り扱っている。しかし……ヒロが言うような、サイシと砂糖の組み合わせを聞くのは初めてだった。……その様子だと、他にもあるのか?」
「……はい! あります!!」
一からは作れないけど……ある程度用意されているのなら!!
私のような見習いでも……少しは誰かに喜んでもらえるようなものを作れるかもしれない!!
美女神様にお願いされたこともあるけど……ちゃんとこの世界で生きて行くと決めたからには、やっていきたいんだ!!




