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第26話 露店の店主


「……らっしゃい」



 昨日ぶりだが、背筋がぴんと伸びた気がした。


 短い言葉だったけど……体の芯が痺れるほどの、イケメンボイスだったから! あの『ツクモ』に負けないくらいだったよ!!


 異世界来るとイケメンとか美少女って、ほいほいといるわけ!?


 とは、心の中で悶えていても……顔に出すと大変失礼なので、店主さんに質問することにした。



「……すみません。ここって……調味料のお店ですか?」



 並んでいる小瓶は……中身が見えるようにガラス製ではあるけど、薬品かもしれないので念のために聞いてみた。


 すると、店主さんは体を曲げて……ちょっとだけこっちに近づいてきてくれた。フードぽいので顔は見えないが……雰囲気はそんなに怖くない。先にイケメンボイス聞いたからかな?



「……その通りだ。あんたは……料理人か?」


「は、はい。まだまだ未熟者ですが……」



 ちゃんと言葉で聞くと、キュンキュンしちゃうくらいのイケメンボイスだ!! もっと聞きたいけど……目的を忘れるな、私! 超頑張れ!!


 クレハに変な目で見られるのも、居た堪れなくなってきてるから……。



「こっちのヒロは、さっき登録したばっかやけど……天下一品の料理作るで〜? 今日は調味料とか色々探しとるんよ」


「……ほぉ?」


「あ、あの、クレハ!」



 初対面の相手に、私のあの料理を絶賛しても!?


 味は岩塩だけど……ほとんど串焼きだよ? たしかに、クレハの協力があって美味しくは出来たけど……。


 すると、クレハは収納からポルネギとボア肉の串を一本取り出してしまったのだ!



「ほれ、これや」


「……見ただけだと、串焼きだが?」


「絶品やで〜? 兄さんもひと口」


「……ふむ」



 私があわあわしている間に……話がとんとん拍子に進んでいき。店主さんは、クレハから串を受け取って……しばらく眺めたりしていたが、食べてくれた!?


 すると、すぐにがっつき出したのだ!!?



「どや?」



 クレハ、今絶対渾身のドヤ顔してそうだわね?


 私は私で、どんな感想がくるかハラハラしていた。あの様子だと美味しくないわけじゃないけど……長老おじいちゃんのような感想なのかな? と思ってしまう。


 だって、下ごしらえは丁寧に頑張っても味は岩塩だけだから。



「……肉の臭みもほとんどない。味は塩味だけだが……ポルネギの香ばしい匂いに、甘みが引き立つ。美味いな」


「あ、ありがとうございます!」



 長老おじいちゃんと似た感想だったけど……やっぱり褒めてもらえるのは嬉しかった。


 店主さんは、残った串を台の上に置くと……小瓶のひとつを手に取ってフタを開けた。



「……この香りを嗅いでくれ」



 なんだろうと、言われた通りに受け取って軽く匂いを嗅いでみると。


 ちょっと癖はある香りだったけど、つんとしたこのフレーバーに複雑な材料の溶け込み具合は!!



(……醤油だ!?)



 ってことは、他の調味料も……日本風のが存在するかもしれない!?

次回はまた明日〜

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