第25話 街中へ
お待たせ致しましたー
それぞれの適正な職業がわかったところで、お姉さんが判定水晶の情報を登録カードに移してくれて。終わったら、登録カードの完成となった!
「再度確認のためにお伝えしますが、紛失や破損は極力お気をつけてください」
「はい!」
「あいな〜」
これで、街に行ける! とわくわくしてきたが……あの検問所の列にもう一度並ばなきゃいけないかと思ったが、兵士さんのところに戻ると通っていいのか……指で門の方を指してくれた。
「……行っていいのかな?」
「みたいやんな?」
カードの新規登録をしたからかもしれないけど……楽が出来るのならありがたい。
遠慮なく通らせてもらうと……すぐに街中ではなかったが、離れた場所に『街』って感じの建物が見えたのだ!!
「おお! 街!!」
「……あん中に、ヒロの料理美味くするもんが」
「あるかはわかんないけど、行こう!」
「せやなあ!」
クレハの瞬間移動を道端でするわけにもいかないので、のんびりと徒歩で。検問所に行くまでの時と違い……近づくにつれてどんどん人通りが多くなっていく。
この場所に、求める調味料達があるかはわかんないけど……何もあてがないよりずっといい!
そして……だんだんと入り口に近づいていけば。
「露店だあ……」
アヤカシの里のとは違って……生の肉とか野菜ばかりじゃない。
武器とか、薬とかの道具類もあるし……衣服やそのほか諸々。
遠くには煉瓦や石造りの建物もあるし、まさに『街』って光景だ。やっぱり、日本とかじゃないから鉄筋コンクリートとかないし、電子掲示板とか電車にバスもない。
車も自転車もないから……ここは、異世界なんだと改めて実感出来たわ。
「……にぎやかやけど、ちょいうるさいわ〜」
クレハは自分の猫耳を手で軽く押さえていた。
「……大丈夫?」
「オトンらに聞いてはいたけど……こんなぎょーさん人間がおるんやな。うるさ過ぎて、ちょい耳痛いわ。色んな音聞こえて」
「……どっかで休む?」
「いんや! ヒロのために来たんや! あちきのせいで台無しは嫌やわ!!」
無理に気持ちを奮い立たせてくれたのか……クレハは一変して、やる気に満ちあふれた。ちょっとクスッと笑ってしまうが、私のためと言うのが嬉しかった。
友達のために、頑張ってくれるだなんて……日本に住んでいた時もあったかしら?
とりあえず……目的は調味料もだけど、お店に必要な道具探し。
クレハとは離れないように……ちょっと恥ずかしいが、手を繋いで歩くことにした。柔らかい手にドキドキしたけど……ここで迷子になったらお互い大変だもの。背に腹はかえられないわ。
「……ん?」
ちょっとだけ、嗅いだことがある匂いがした場所で止まると。
露店だったが……顔が見えないくらい、店主さんらしき人は体格が良過ぎてびっくりした!!




