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第21話 身支度から旅のスタート

お待たせ致しましたー

 身支度を整え、朝ごはんは……クレハの魔法使い収納に入れておいたバーベキュー串にすることになった。


 基本的に生食なモンスターの食事事情だし、売り物にしないことになったから少しずつ食べていかなくちゃいけない。朝から肉は少々重たいが贅沢は言えないもん。



「ねぇ、クレハ。一番近い人里って……ここからどれくらい離れているの?」



 今日も美味しそうに、串を頬張っているクレハに私は聞き忘れたことを質問した。



「んー? せやなあ、あちきの移動術にかかれば……ほんの少しで着くで? その前に、ヒロは服装を何とかせんとな」


「あ」



 今もだけど……美女神様に転移させられた時のパーカーにジーンズの格好だった。今更過ぎて忘れていたが……モンスターにもちらちら見られてたの、この服装のせいかもしれない。


 うっかりし過ぎだろ、私。



「サイズ調整したるから……あちきの親の服貸したるわ」


「クレハの?」


「せや。それ食べたら、準備しようや」



 けど、朝ごはんは大事だからとしっかり食べてから……クレハの案内で二階に行った。クローゼットのような部屋があるらしく、中に入れば……たくさんの服があったわ。男女問わず、色んなものが。



「おー……」


「この服らは、あちきの親が各地を旅してる途中で送ってくるもんや」


「え、ご両親も旅してるの?」


「せや。けんど、頼りがわりはこいつらばっかや。だから、食事とかの事情はおじぃ以上に知ってるやろうけど……手がかりないねん」


「……そうなんだ」



 それは仕方がないかと諦め、今は私の服選びだ。


 サイズ調整もだけど、似合う似合わないをあーだこーだと選びに選び。結果、すぐ着ることになったのは動き易いシャツとズボンにポンチョみたいなものに決定!


 色合いはベージュとネイビーだけど……着心地がとってもいい!


 あと、髪飾りってことでカチューシャのように装着する羽根飾りも。これもカッコよく見えるが、アクセントの緑の宝石ぽいのが可愛く見えた。



「んじゃ、他の服は収納入れとけばええから、いこか?」


「うん」



 服装のおかげもあってか、あの門のような茂みに行くまで特に視線も感じることはなく。


 河童兵士に挨拶しても、ちょっと驚かれた以外何も起きなかった。やっぱり、服装とかの印象って大事なんだ。


 小料理屋での時は、お客様が自然とドレスコードなどをご自分で身につけられていたから……それが普通だと思ってた。思い込みはいけないなあ。


 そして、河童兵士達からだいぶ離れたところで。


 それまで猫又ちゃんバージョンで肩に乗ってたクレハが、くるんと地面に降りる時に獣人バージョンに変身して。



「近いとこまでは、飛ばしていくで?」


「うん、わかった」



 ジェットコースターばりの移動手段は、慣れなくちゃいけないからね? 徒歩でのんびりは、街道近くかららしい。短縮出来るとこは、電車とかの公共機関より断然早いから……クレハの厚意はほんとありがたい。


 慣れちゃえば、未来技術満載のSFとかみたいなものより早いかもね?


 と、一瞬思ったけど……今回は今までよりもめちゃくちゃ速かった!


 クレハが『行くで〜!』とやる気満々だったせいもあってか、森の中で使っていた時よりもはるかに。



「お? 森抜けたで!」



 ちょっと、酔いそうになっていると……クレハがそう言ってくれたのが耳に入り。暗かった景色から、日の光を久しぶりに目にしたのだ。



「……わぁ」



 森だと木の実の灯りしかなかったから……陽光のまぶしい光が少し目には痛い。


 でも、慣れてきたら……目の前には、獣道じゃない整備された道があったのだ。誰も居ないから、今のうちにと……クレハは私をその上に降ろしてくれた。



「この道をまっすぐ行けば……チルットって街があるはずや」


「クレハは行ったことあるの?」


「いんや? 地図見とるだけ」



 いつのまにか、クレハが地図ぽい紙持ってた!?


 びっくりして転けそうになったが……頼もしい相手には変わりないので、私も覗かせてもらうことにした。


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