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第14話 下準備の打ち合わせ

 材料ももちろんだけど、道具がないことにはなにも始まらない。


 なので、クレハと念入りに打ち合わせをすることにした!



「道具言うと……さっきあちきがあんさんに言われて使ったような?」


「あれより……もっと色々あって、しかも複雑なものとか」


「……料理言うのも面倒やんな」


「けど、あれは美味しかったでしょ?」


「せやな!」



 クレハはまだ六角ボアの串焼きが美味しかったのを覚えているので……美少女顔がふにゃんと崩れいく。


 可愛いけど、実に締まりのない表情だ。そこまでの腕前を披露したつもりはないけど……嬉しいや。


 とは言え。



「料理にはね? 手間暇をかけるのに、刃物以外にいろーんな道具が必要なのよ」



 家電製品がないのは当然にしても……最低釜とかがあればいいんだけどなあ?


 私の修行していた店は、スタイルに合わせて炭火焼きや釜でご飯を炊いたりしていたのだ。実に、現代らしくないが……あれは美味しいんだよね! でも、この世界にお米ってあるのかな?


 色々懸念材料はあるけど……スタートさせるからには、妥協はさせたくない!



「ほーん。たしかに……ボアを捌くにも色々しとったな? あれ以上に必要なん?」


「そうね。材料を組み合わせて、もっともっと美味しく出来るんだー」


「……あれより美味く?」


「うん。あれより美味しく」



 このキーワードを出せば、クレハに協力してもらえそうかな……と思ったんだけど。


 予想以上の効果があったのか、クレハの猫目ブルーアイはキラキラと輝き出した。



「任せとき! 美味いもんのためもやけど、ヒロのためや!! 色々準備するわ!!」


「……お金どうするの?」


「使わんもんがぎょーさんあっから、使ってや。あちきは支援者でええやろ?」


「……いいの?」


「友のためもあるし、神からの願いなんやろ? 生半可な店にしたらあかんわ」


「うん!」



 ちょっと、お金とか心配になったけど……クレハが乗り気な上にパトロンにまでなってくれるとは! どれだけあるかはわかんないけど……クレハがここまで乗り気なら、大丈夫かな?



「せやけど、おじぃにも一度ヒロの料理……なんか食わせてやらんとな?」


「長老様に?」


「許可が出ても、ヒロの料理食っとらんやん? なら、食わせておじぃにも支援者になってもらえば、心強いやろ?」


「……なるほど」



 ってことは、一度作ったことがある……六角ボアの串焼き?


 けど、材料が……と思っていると、クレハに肩を叩かれた。



「大丈夫やで、ヒロ。今度は最初からあちきが居るやん?」


「う、うん?」


「手順はわかっとるから、さっとパッと! 一頭でも二頭でも狩るで!!」


「お、おお……」



 たしかに美味しくは出来たけど……ここまでリピートしてくれるとは。


 この里での屋台はチラッと見たけど……今思い返せば、ほとんどが生の肉を売り買いしていたような?


 あと、野菜も売っていた……!


 なら! と私も提案したいことが出来たわ!!

次回はまた明日〜

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