表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

106/108

第106話 大事なこと

お待たせ致しましたー

 ユキトさんとのラブラブタイムがひと段落つくと……ザックさんは、私にいつもの手紙を渡してきた。



「……スインドさんの」


「早く読んであげなー?」



 その頃には、お店の混み具合もだいぶ落ち着いてきたので……イルアさんとクレハに片付けをお願いしてから、ゆっくり読むことにした。


 文面の最初には、『愛するヒロへ』って嬉し恥ずかしな出だしがあるんだけど。



「……へ?」



 半分くらい読んだところで、目に飛び込んできた文面に驚きを隠せなかった。


 だって、だって。



【本店を閉めてきた。そちらの里で、何でも屋を開けるように……長老殿達との話し合いが整った。近いうちに、里へ行こう】



 だなんてあったから、驚かずにいられないでしょう!?



「あはは〜!? ヒロならそんな反応すると思ったぁ!!」



 ザックさんは内容を知っているのか、ゲラゲラ笑っていたけど。私は、思わずぐーぱんしちゃったが!



「なんで、いきなりこんなことに!?」


「いってぇ!! ……チルットに帰ってから、あいつ考えてたぽい」


「えぇえ!?」



 私とこ、恋人になったから?


 たしかに……付き合うことにはなったけど。スインドさんは、先の事まで考えて……選択をされた? 私に一切相談しなかったのは、もしかして。



「あ。ヒロに反対されるかもって、相談しなかったって」


「なんでですか!?」


「親から受け継いだ店、ある意味畳むからねぇ?」


「そうですよ!!」



 あんな大きくて、ご立派なお店を……畳んだ?


 もう、あそこがないってこと??


 そんな重大なことを……なんで、私に言わずに決めてしまったんだろうか。



「即決しないと……自分が、後悔すると思ったからだ」



 耳通りの良い……低い声。


 大きな、手に……肩を掴まれた。


 引き寄せられ、背に当たった固い感触の後に……温かさが伝わってくる。


 首を動かせば、優しく微笑む……大好きな顔が。



「す……い、んど……さん」


「……ただいま、ヒロ」



 いつ、来たのとか。


 どうして……お店を畳んだとか。


 色々言いたいことがあったのに。


 そんな……優しい声と顔が目の前にあったら。



「…………おかえりなさい!」



 体の向きを変えて、嬉しさを表すかのように強く抱きついたのだった。


 頭より、心の嬉しさの方が正直になっちゃったみたい……。

次回はまた明日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ