第104話 愛を告げる②
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「……見向きもされないと、思っていました」
ゆっくりと、温かな手に触れれば……触った手は、むしろ熱いくらいだった。
それくらい……緊張しているのか。
もしくは、『私』が触れたからか。
だから……私も緊張してきたが、きちんと言葉で伝えようと頑張った!
「……最初は、子どもだと言われたので」
「…………それについては、全力で撤回させてくれ」
「いいんです。『今の私』を見てくださったので……だから、私。諦めようとしていたんです」
「……ヒロ?」
言うんだ。
言ってしまうんだ。
大好きな人が……私を『愛してる』と言ってくれたのだから。
閉じこもっていた殻なんて……壊してしまえ!!
「……私も。スインドさんが……好きです! 大好きです!!」
「ヒロ!!」
しっかりと言い切れば……スインドさんが、手を広げて私を抱きしめたのだ。熱い体に……自分が触れて、瞬時に溶かされてしまうんじゃないかと思ったわ。
でも……感じる温もりが心地良かった。
「……大好き、です」
もう一度告げると……スインドさんは、ぎゅっと抱きしめてくれたわ。
「俺も……愛している、ヒロ」
「……嬉しい、です」
あったかい。
ちょっと熱いくらいだけど。
でも、ちっとも嫌じゃない。
日本じゃ、友達付き合いの延長でしかない恋人はいたが……長続きしなかったし、こんな熱いハグとかなかった。
大好きな人と触れ合うのが……こんなにも素敵なことだなんて。今までの恋愛が、本当にお遊びだと思っちゃうわ。
嬉しくて、ぎゅーぎゅー抱きつくと……ほっぺに、手を添えられ。上を向かされた。
真正面に、イケメンのご尊顔が!!
「もう少し……触れさせてくれ」
と言うことは、つまり!
き……キスされるのだろうか!?
わ、私……実は初めてなんだけど!?
とかなんとか……頭の中がパニックになっていても、スインドさんは近づくのを止めてくれない!!
あと少し……と言うところで、目をぎゅっとつむったのだが。
すぐに……唇に、何も衝撃とかがなかった。
薄目を開けると……スインドさんは何故か、私の肩に頭を乗せていた?
どうしたんだろう?
「……スインド、さん?」
声をかけても、さっきのように……答えてくれない。
と言うよりも……なんか息切れている吐息が聞こえる!?
肩に置かれたままの手を触れば、さっき以上に熱い!?
「スインドさん!? 大丈夫ですか!?」
完全に寄りかかられていないので、ゆっくりと地面に膝をつかせれば……辛そうな息遣いになっていくわ!?
「……す、済まない。……気が、抜けて」
慌てて首筋を触れば……尋常じゃないくらい、熱かった。
これはつまり……風邪?
「ちょ! 中に入りましょう!! うちのベッド使ってください!!」
「……し、かし」
「遠慮は無用です!」
とは言え、大柄なスインドさんを支えられる力があるとは思っていないが、やれるだけ頑張ろう。
ゆっくり体勢を変えてみようとしたら……何故か、クレハがいきなり目の前に出て来た。
「なんや? せっかくいい雰囲気やったんにぃ……人間は柔やんなあ?」
「クレハ? いつから?」
「おん? 最初からおったで?」
「…………そう」
この様子だと、彼女には私達の気持ちは気づいていたか知っていたか。だが……今追求しても仕方がない。
クレハの魔法で運んでもらおうとしたら、ふっと肩が軽くなった。
「なぁにぃ? スイ、久しぶりに風邪ぇ?」
ちょっとぶりに……ザックさんが居た。そして……私が支えていたスインドさんを、お得意のタクトを使って浮かせていたのだ。
次回はまた明日〜




