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フェーズ4。夢の悲劇に繋がりし者。 パート1。

「たしか、赤い点はこの辺りだったな」

 倉沢直樹くらさわなおきは、プライムローダー・アルター・パニオンフォームの姿のまま、

 目標ポイントに到着した。しかし、他の対怪人戦力がいると思っていた予想は外れ、

 他のローダーやディアボロードどころか、一般人の姿さえない。

 更には敵、シグマドの姿も見えない。

 

「誰も、いない? っ!?」

 口に出した疑問を思考する暇もなく、飛んで来たなにかを

 反射的に横に飛んで回避したアルター。目線を顔ごと上げる。

「ドラゴン……か。ブレスでも吐いて来たのか? のわりに、

やけに範囲が狭かったけど。狭いと言うより、範囲が小さいのか」

 

 

 なおも続く上空からの、まるで小石のような細かいブレスの連打。

 それを全て回避するアルターは、

「このっ。人に唾吐きかけて来んな!」

 相手に向けて愚痴るように言葉を投げつけた。

 

「くっ!」

 その返事として、ドラゴンシグマドは急降下しながら、

 右手を振り下ろす攻撃を仕掛けて来た。

 なんとか回避したアルター、直樹は仮面の裏で冷や汗をかく。

 

 そのスピードは装甲を纏っていなければ、風圧でたたらを踏み、

 続く一撃で身体を引き裂かれていただろう、

 そう直樹は相手を見据えながら思考する。

 

「小さいくせに、なんて威力だよ」

 四足歩行で、睨み付けるように見上げて来る相手に、

 そう直樹、アルターは呆れ半分息を吐く。

「この力に慣れるのに、けっこうかかった」

 

「声が……幼い。子供か、それとも女か」

 口には出さず、アルターは思考した。

「変身するローダー。あんたと戦うために」

「なんで俺と? いや、それより。その力に慣れるためになにをした?

どうやってその力を馴染ませた」

 

 厳しさを孕んだ、少しトーンの落ちた声で、

 問いただすように尋ねる。

「怖いなぁ。なにも人に迷惑かけてないよ」

 ドラゴンシグマドの言い方に、アルターはこの竜の元の姿が子供であろうと推測する。

 

「ならどうやって……」

 迷惑をかけずに怪人体の扱いに慣れる、と言う竜の言い分が理解できず

 思わず困惑の声が漏れた。

「簡単だよ。ヒーローごっこ」

「……あ?」

 

 思わぬ答えに、声が間抜けな裏返り方をしたアルター。

「ヒーローごっこなら、迷惑かかんないでしょ」

「お前が変身するたんびに、おつき召喚されんだから迷惑かかってんだろ」

「大丈夫だって、公園で遊ぶ程度のごっこだし」

 

「……そうかい」

 埒が開かないと踏んで、アルターは話を切り、話題を変えることにした。

「で、本題だ。なんで俺を狙う?」

「あんたのせいだからだ。アキロノス研究所、研究協力者ナンバー020。

倉沢直樹!」

 

「お前。なにものだ」

 アルターは相手の言葉に仮面の裏で、表情を厳しくした。

 

「夢粒子研究所。今の対シグマド組織ターミナットの前身、

アキロノス粒子研究所所長、波間猪太郎はざまいたろうの娘、

波間みくる!」

「な!?」

 

「お前がアキロノス粒子に高い適正を持っていたおかげで、

研究者たちが更に研究に没頭し、今がある。

そして始めのディアボロードであるお前の存在が、

研究所の悲劇を生んだ!」

「口内に緑の光?!」

 

 即座に強力な攻撃が来ると察知したアルター、

 回避するため身構える。しかし、ここで攻撃方法についてアルターは考えた。

「いや、まて。これまでの唾吐きブレスは上から降って来た。

けど、今回は真正面からのブレス。おそらく直線上。

よけたら……まずいか」

 

 瞬時に周囲の情景を、自分が目に入れられた部分だけ思い浮かべる。

 自分の後ろになにがあるのか、正確にはわからない。

 だが、よけたら被害が出る、それも小さくない可能性が高い。

 喧噪が聞こえてないところから、既に避難は終わっていると判断。

 結果。

 

「間に合う蚊」

『ゼロ、ゼロ、ゼロ』

 左二の腕に存在するタッチパネルの、その数字を叩く。

 

「チェック」

『アルター!』

 数字が顔アイコンに切り替わる。

『ディバイナ いかり 結葉ゆいは

 三つの顔アイコンのうち、数字で言う7 8 9の位置にあるアイコンを、

 指を横に滑らせるようにタッチしコードの入力を完了。

 

「ロード」

『レディーゴー!』

 そして、フォームチェンジが始まった。

 今回は装甲を纏っていない時とは違い、

 闇を纏わず緑の光が、ローダーの全身を包み込んだ。

 

 ドラゴンシグマド、波間みくるは、直樹の様子を

 口内にエネルギーをたもったまま、鋭い瞳で見つめている。

 

 『デスタニア』と言うドライバー音声が終わると、

 そこにはまったく風体の違う戦士が建っていた。

 

 

 パニオンフォームより一回り巨大な黒い鎧。

 背中には、左だけに白い翼がある。

 真っ直ぐ伸びる黄色い二本の角、釣りあがった白い目。

 額には白地に黒い文字でDEと、フォーム名が表示されている。

 

 首の四隅にある、銀色のアキロストリーマーと繋がる形で、

 両頬に銀色の、鉛筆のような細い三角形。

 赤いマスクは四角く、まるで吼える人のような印象を受ける。

 

 体部分には、前後に鎖のような形の、Xの字に

 銀のストリーマーが通っている。

 胸の処に紅の球体。そこに銀色のRP01が、

 二文字ずつ横書き縦二行に書かれている。

 

 腕は肩から手首まで、螺旋に銀ストリーマーが通る。

 左の二の腕にはフォーム共通の、タッチパットとして存在する

 通話可能な入力デバイス。このフォームの場合は、パネルの色は白い。

 

 脚部にも腕と同じように、螺旋に銀のストリーマーが走っている。

 

 右腰にはまるでおもちゃのような、短い棒状の武器

 サタニックメイスがマウントされている。

 

 

 驚いたように目を見開くのと同時、ドラゴンシグマドは悲鳴と共に

 口内にとどめていたエネルギーを、いっきに開放。

 制御を失った黄緑の光流は、デスタニアフォームのアルターに向けて

 激流のように襲い掛かった。

 

 体格差を鑑みて、とっさにしゃがみ、胸の前で腕を交差させた

 防御姿勢を取ったアルターは、その判断が間違っていなかったことを

 痛感する。

 

「ぐぐぐ……! なんて威力だ!

三フォームの中で、一番防御力のあるデスタニアを、

こうも簡単に押し流せるのかっ……!」

「はぁ……はぁ……な、なんてかっこに変身するんだ!

びっくりしちゃっただろっ!」

 

 わめき散らすドラゴンシグマドを見て、「ようやく、止まったか」と、

 アルターは安堵の息と共に言葉を吐き出した。

「くっそ! なんで平気なんだよっ!」

「言っただろ、このフォームは三つの中で一番防御力があるって。

とっさにフォームチェンジしてなかったらあぶなかったところだ」

 

 

「そ……そうなのか?」

 驚いたような、しかし少し嬉しそうな声色。

 そんな、心が殺せていない子供らしい面があるとわかって、

 アルター 倉沢直樹は、仮面の裏で微笑む。

「で、えーっと、みくるちゃん……だっけ?」

 

「なれなれしく呼ぶな、全ての現況っ」

「おいおい。現況って言うなら、そっちのおやじさんやら研究員たちだろう。

俺はスカウトされただけだ。結果的に、世界の変革を引き起こす

トリガーにはなったけどな」

 すねたように言うドラゴンシグマドに、苦笑いな声で応じたアルター。

 

「で、どうする。お前の武器が、そのアキロノスブレスとでも言うべき物なら、

俺を倒すのは、相当に難しいぞ」

「ぐ、ううう」

「俺にやりきれない思いをぶつけたいなら相手をするけど、

あいにく、ずっと付き合えるほど暇じゃない」

 

 アルターは体勢を変えないまま、落ち着いた調子で、少し静かに

 ともすれば冷たくも聞こえる声音で、諭すように言葉を続けた。

「くっ……」

 

「研究員たちの没頭の結果、シグマドの出現と

奴等の力試しの、研究所襲撃が起きた。対処し切れず生き残った俺は、

たしかにお前からみれば、あの時のはけ口にできる唯一の人間かもしれない。

だからかかってこいって言うんだ。八つ当たりしたければ好きにしろ、って」

 

 最後のひとことは、声色冷たく言い放った。

「八つ当たり…八つ当たりなんかじゃ……」

「化け物になれるようになって、その姿だったとはいえ、シグマドだって人間だ。

それを生身のままで、殴り殺すしかなかった俺に比べたら、

お前のやり場のなさなんて、八つ当たりみたいなもんだ」

 

「え?」

 

「お前の怒りやら悲しみやら、少しはわかる。

俺だって、ついさっきまで笑ってた人達が、

どんどん血のりにまみれた人形みたいになってった時は、

悔しくて悲しくて、わけがわからなかった。

 

わけがわからなくって、ただ吼えて暴れた。お前が殺ったのか、お前が殺ったのかー、ってな。

ぼんやりした聴覚と視覚の中で、はっきりとわかったのは、鼻を突く血の臭いと

生々しい肉をぶち抜いた拳の感触。あの気色悪さだけだった」

 

「え? あの……」

「過ぎたことだって、今じゃ割り切ってる。けど、たまに夢に見るんだ。

あの時の大暴れと、驚愕に見開いた目の、

化け物のはずの奴の『人』の感情の見える死に顔をな」

「えっと……その。ごめんなさい」

 

 困惑するみくる、ドラゴンシグマド。

 そんな直樹の自らの過去の語りを、第三者の声がいさめた。

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