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フェーズ9。金色(こんじき)の夢VS黄金の悪夢! パート2。

「ええいじゃれるなっ!」

「がっっ!」

 反撃を受けたカグヤ、弾かれるように吹き飛ばされるが、

 空中で後ろ回りで、縦に三回転して着地。

 その際に腰を沈めて地を踏んだため、ズッと地面をこする靴音が鳴った。

 

 それだけ今の一撃が、不意打ち且つ強力だったと言うことである。

「ま、さか。頭を使って来るとは、思わなかったわね」

 再びオルトザンバーを回収したオルトロンは、アローモードのまま

 その切っ先をカグヤたちに向ける。

 

「楽しくはあった。だが、終わらせるとしよう。

フェイタルオーダー」

 静かに言うと、オルトドライバーが

 『フェイタルオーダー』とあるじの声に答え、

 必殺技待機の音が流れ始める。

 

 それと同時に矢に当たる部分に、輝く濃い緑の光が宿った。

 

「待機音まで実装してんのかよ」

 ツールのデラックスおもちゃっぷりに、驚愕を繰り返す和也かずや

 そしてそれに同意する覇司魔はしまである。

 

 

「やばいな。フェイタルオーダー、どれぐらいの威力なのか予想もつかない」

「また伏せることになるわね、これは」

 直樹なおきの言葉に答える形で声を発したカグヤは、苦々しく右拳を握り込む。

 それによって、黒いオープンフィンガーグローブがグググと鳴る。

 

「はたして」

 矢の射手側の端に当たる大剣のつかを、再び右手で引く。

『エクスプレイド』

「そう簡単にいくかな?」

 言って、引き絞った右手を離した。

 

 炸裂した緑の光は、周囲一帯を染め上げる。

 ゆっくりと光が薄れて行き、徐々に戦場が形を表して行く。

 緑の光が消えた空間。そこには倒れているターゲットたちと、

 構えを解かずに立っているオルトロンの姿があった。

 

 斜め上を向いた今の角度で射撃した場合、

 着弾地点は一番後ろの直樹よりも大分後方になる。

 奇妙な射線になる構えである。

 

 

「終わった。終わってしまった」

 未だ灰色の空を仰ぐオルトロン。その口ぶりは、どこか寂しげだ。

「残念、ね。まだ、終わってないわよ」

 痛みを堪えるような声で、なお強気のカグヤ。

 

「けれど。もう戦うのはむりですわね」

 金色に彩られていた変身が解け、髪型もその衣装も元に戻っている覇司魔。

 

「ボロボロでござリーナ~」

 覇司魔のかわりに、金色こんじきの鎧として

 オルトロンの攻撃を受けたヘンカワリーナは力なくそう言うと、

 光の玉になってトゥインクリスタルの中に帰った。

「ありがとう、ヘンカワリーナ。ゆっくり休んでくださいな」

 

「けどさ。生きてりゃ安い、って言うぜ」

 全身の痛みのせいで、半笑いで言う和也。

 その顔には多数の擦り傷があり、鎧には

 うっすらと罅が入っているように見える。

 

「かがみちゃんが、いて、くれたら。もっと、傷は浅かったかな」

 同じグレイルレンジャーの仲間を思い、残念そうに言うのは、

 グレイルブルーから元の、青いツインテールの小柄な少女に戻ったてんまだ。

 

 

「やはり、生き残ったか」

「『やはり』、ね。直接狙わなかったのと関係あるのかしら、その言葉は」

 カグヤがのっそりと半身を起こして問いかけるように発した。

 

「お前。なにか、目的があるだろう。生きる実感を味わう以外に」

 自らへの痛みとオルトザンバーの向きから、

 カグヤと同じく手加減されたと判断した直樹は、

 確信を持って問いかけた。

 

 その衣服は傷だらけになっており、

 見える肌には、和也と同じように多数の擦り傷ができている。

 その程度のダメージで済んだのは、オルトロンの残心が

 そのまま射撃時の構えだったからだろう。

 

 しかし射撃時のオルトザンバーの角度が水平だったことは、攻撃を受けた全員が見ている。

 カグヤと直樹は構えのからくりを理解し、心で舌を巻く。

 

 また、直樹が呼び出した射撃武器、魔会砲イグゼキャノンは、

 緑の爆発の閃光が消えた時には、既にその姿を消していた。

 

 

「さあな」

 無気力な雰囲気で答えたが、直後オルトロンはアローモードのオルトザンバーで、

 角度を変えないままで射撃した。

 

 

「なるほど。一つだけ、やけに大きな魔力のような力を感じてここに来ましたが。

その持ち主はあなたですか」

 その声は、まるで空中にいるかのような反響をしている。

 声が終わった直後、声の主が降りてきた。

 その速度は、風を伴う程度の早さ。

 

 降りて来たその姿は、セミロングの白髪はくはつに温和そうな表情の青い目、

 幼さの残る顔だちの、和也と似たような黒い鎧に身を包んだ少女だった。

「この鎧にここまでの傷が?」

 和也の鎧を見て驚いた表情で呟き、ちらりと傷をつけた者を見る。

 

 

「黄金の鎧の戦士、ですか。

チート勇者の中にも、何人かいましたね。この装いは最強の印、

ってことなんですよね」

 戦場を一回り視線で眺めながら、考え込むように呟く少女。

 

「……どういうことだ?」

 現れた声の主に、驚きと疑問符を抱いたのは和也である。

 なぜなら、この少女には、とてもなじみがあったからだ。

 

 

「だんなさまにこれほどのダメージを負わせたと言うことの意味。

おわかりですか?」

「なにを言っているんだ?」

 困惑した様子のオルトロン。一方和也もまた、別の意味で困惑していた。

 

 

「どうしてお前がここにいるんだ、ディバイナ」

 

 

 和也の言葉に「なんだって?」と目を見開いたのは直樹だ。

 彼の使うプライムローダー アルターの、攻撃力と防御力に秀でた鎧の

 デスタニアフォーム。そのフォームになるために利用する異世界の力の一つに、

 ディバイナと言う存在があるためである。

 ディバイナ本人のことは知らずとも、その名前と顔はよく知っていた。

 

 

「なに言ってるんですか。突然忽然とだんなさまが消えちゃったんですよ?

ティル・ナ・ノーグの方に頼んで探してもらって、

この世界に飛んで来たに決まってるじゃないですかもぅ!」

 日常的な空気で、むっとした声色と表情でおこるディバイナ。

「ピンポイントでか?」

 

「当 然 です! あそこには、異世界に干渉できる方がいるんですから、

だんなさまの気配を見つけることだってたやすいんですよ」

「お前が胸張るな。まったく、我ながら……なんてところに

コネ持っちまったんだろうな、俺は」

 

 動けないほどのダメージを受けていることなど忘れたかのように、

 和也は慣れた調子で、ディバイナと呼ぶ少女とやりとりしている。

 

「って言うかお前、なんで人間サイズに巨大化してんだ?」

 この言葉を聞いた直後、当人たち以外の全員が

 少女の大きさが普段と違うことに驚いた。

「わたしの意志じゃないです。おそらくこの世界に満ちてる力の影響じゃないでしょうか?

……さて」

 

 真剣な表情でオルトロンを見据えるディバイナ。

「覚悟は、いいですね」

「今日戦った六人の誰よりも強い力を持っているな。面白い」

 

 言うとオルトロンは、アローモードのオルトザンバーの、

 鍔のレバーを左手で倒すついでで握りながら、

 つかの付け根に二つあるトリガーを、

 右手で握ることで同時に押した。

 すると両方の刃がスライドし、中央で噛みあう。

 

『ザンバーモード』

 

 ガキンと言う鉄同士が勝ちあったような音と共に、

 オルトドライバーと同じ声色の音声が、剣から発された。

 

 

「喋る武器。元いた世界でも、そうあるものじゃないとの話ですけど、

これが世界の違いでしょうか」

「顔をさらし更には徒手空拳。身を守るのは、その黒い鉄の鎧だけか。

ずいぶんと軽く見られた物だな」

 

「顔をさらすのは魔界の流儀。わたしは常に徒手空拳です。

この魔皇黒鎧アームド・ブラッキンは長物と相性の悪い装備ですし、

距離を離されれば魔法で戦ってきましたから」

 

「魔法に魔界か。なるほど、夢以外でそんな世界の存在と出会う日が来るとはな」

 仮面の裏で楽しげな表情をしていることがわかる声色で言うと、

 オルトロンは改めて、ザンバーモードに戻したオルトザンバーを構えた。

 

 

「気を付けろ。そいつ、半端じゃないぞ」

「大丈夫ですよだんなさま。わたしを誰だと思ってるんですか?」

 振り返り、自らが慕う少年に微笑みかけて、ディバイナ・パンドラートは

 自信たっぷりに帰した。

 

「この大きさこの姿で真剣に戦うのは、本当に久しぶりですから、

力加減を間違えないよう、祈ってくださいね。黄金の剣士さん」

「だから言うんだ。なめるな、と!」

 オルトロンが一撃を振るう。

 

「そのままお返ししますっ!」

 剣で起きた風圧にも動じず、オルトロンが剣を戻すより前に、

 懐に潜り込み、鉄拳で反撃するディバイナ。

「なっ!?」

 驚愕の声を上げ、オルトロンは勢いよく後方へ突き飛ばされた。

 

「……わたし、こんなに力、強かったっけ?

いくらなんでも、ここまでの力はなかったはずだけど……」

 殴り飛ばした本人が困惑する中、オルトロンは落下の最中

 大剣を地面に突き刺し、鍔を足場に跳躍、飛び蹴りを返す。

 

「高すぎますよっ!」

 その場から動かず、ディバイナは飛んで来るオルトロンに対して

 冷静に両手に生み出した、白い光で迎撃。

「あまい!」

 オルトロンは標的を変更し、打ち出された弾丸を蹴り返す。

 

「やりますね」

 体を90度右に回転させることで、蹴り返された魔弾を回避し、

 魔弾を蹴った反動で後ろへ飛んだオルトロンを、

 そのままの角度で飛んで追撃。

 左足の回し蹴りを放つ。

 

「位置が悪かったな!」

 左肘で迎撃されるディバイナ。

「うわわっっ!」

 そのまま真っ逆さまに落下。

 しかし、おとなしく地面に激突しないのがこの少女である。

 

「バカな、あの状況で空中で制止しただと?!」

 驚愕の声の直後に着地するオルトロン。

「っと」

 逆さ状態から反転、悠々と着地するディバイナ。

 

「むりやり止まったから、衝撃はもらっちゃいましたけどね。

なかなか痛いじゃないですか」

 とてもそうは見えない余裕のまま、ふぅとディバイナは一息吐いた。

「蝙蝠みたいな動きだったなぁ、今の」

 そう感想を漏らしたのはてんまである。

 

 

「これでもわたし、怒ってるんですよ。だんなさまに

ここまでの怪我を負わせたあなたに対して」

「とてもそうは見えないがな」

 全員の心を代弁したようなオルトロンの切り返し。

 

「その鎧、叩き壊させてもらいます」

「さきほどの一撃を見る限り、その六人とのこれまでとかわらなかった。

それではこのオルトロンを変身解除に持って行くことはできないぞ」

「生の拳はあの程度。ですが、魔力をまとったなら話は違ってきます」

「ほう?」

 

 再び、オルトロンの声色が楽しみを帯びた。

「大魔王の魔拳。そう味わえるものではありませんよ」

 言うと、ディバイナの拳が白い光に包まれた。

「世界が違っても、ニャたしの世界と無属性魔力の色は同じなのね」

 

「この世界での、自分の力の具合がいまいちわかりませんけど、

かまいませんよね」

 自分に言い聞かせるように呟くと、ディバイナは表情を引き締めた。

 

 

「本格的に、おしおき開始です!」

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関連作品。

聖王戦隊グレイルレンジャー
てんま及びグレイルレンジャー関連の出展元。
ボソっとタグペタ時空ハッシュ!
オ嬢こと覇司魔の出展元、トゥインクルサムライ含めて。
だんじょん☆どーん ~ ぶっきらさんとてのひら大魔王 ~
和也とディバイナ、ゴーレママの出展元。
ボソっと組みと和也たちが、この作品によって同じ世界の住民と判明。
芋づる式に、ちみしょ↓の明斗と碧も同じ世界民。
地域密着型異世界召喚譚
カグヤの出展元、略してちみしょ。
転生待合室のトラック転生者たち
剣塚の男子三人が、これの人たち。
サモナーな俺の、よくある異世界交遊録
カグヤの設定に、サモナー領域でのエピソードが含まっているため。

以下、アルターの変身アイコンの出展元。
竜馬
異世界転生2D6(ツーディーシックス)
の主人公山本竜馬。
明斗=ちみしょ主人公神尾明斗。
まもり=グレイルレンジャーのレッド、浅野まもり。
ディアーレ
ゲームチャンプは戦いたくない!
の登場人物の一人。
百鬼姫=異世界転生2D6登場人物の一人。
いかり
妖怪町のお正月
の主人公のおきぬちゃんこと、鬼野いかり。
結葉=異世界転生2D6登場人物の一人。


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