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魔除けの聖女は無能で役立たずをやめることにしました  作者: ゆうひかんな
第三章 ヴァディス=スワラティの天船と竜の乙女

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第六話 迷子の竜探し作戦会議(裏)と竜の乙女の正体は?


 今後の予定について王子殿下と話し合い、宿に戻った後のこと。


「こちらも打ち合わせしておこう」


 含みを持たせた言い回し。ジルベルト様は何をとも、なぜとも理由を言わないがすぐにわかる。

 各自部屋に荷物を置いて宿の食堂の端にあるテーブルを借りて。

 もう一つの作戦会議が始まった。


「では早速……」


 と言った途端に厨房からおいしそうな匂いがしてアンジェリーナのおなかが鳴る。

 これはさすがに恥ずかしい。

 おなかを押さえ真っ赤な顔をすると、ジルベルト様とジャミル様が小さく笑った。


「まず夕飯を食べてからにしましょうか」


 ジャミル様の提案で料理を注文して、待つことしばし。

 食堂のおかみさんが運んできた料理を受け取る。大皿に豪快に盛られた料理から食欲をそそる香りが広がってアンジェリーナは瞳を輝かせた。


「うわー、香辛料のいい香りがしますね!」


 正直、食事なんて喉を通らないと思っていたのだけれど想像以上に自分が図太かった!

 楽しそうに笑うおかみさんが皿を渡しながら簡単に料理の説明をしてくれる。


「そうだよ、竜王国は一年中気温が高いからね。暑さでどうしても食欲が落ちるから、食欲を促進するような、こういう香味や辛みのある料理が好まれるんだよ」


 挽肉と豆を香辛料と一緒に煮込んだ煮込みに、特製調味料に漬け込んだ鶏肉を窯で焼いたもの、ジャガイモや豆を生地に詰めて三角形にして揚げた軽食に薄焼きパン。

 アンジェリーナは小皿を受け取って匙で少しずつ料理を取り分けた。

 セザイア帝国の屋台で好きなものを選んで食べるも好きだけれど、こうやって豪快に盛られている大皿料理を取り分けていろいろな人と食べるのも楽しい。

 セントレア王国では食事の時間も一人でいることが多かったから、こうしていると失った時間を少しずつ取り戻しているような気がする。

 日々糧を与えてくれる神に感謝の祈りを捧げて、アンジェリーナは早速料理を口に運んだ。


「おいしい!」

「口に合ってよかったです。ここは商人ギルドおすすめの店なんですよ」

「ありがとうございます。おかみさんも優しいし、料理もおいしくて素敵なお店ですね」


 さすが商人、抜け目なくこういう情報をつかんでくる。

 ジャミル様にお礼を言ったアンジェリーナは料理を取り分けた小皿をジルベルト様に差し出した。


「ジルも食べましょう、おいしいですよ。それにおなかがすいていては良い考えは浮かばないものです!」


 小麦粉を固めて焼いたというもちもちとした薄焼きパンに手を伸ばしながら、アンジェリーナは満面に笑みを浮かべる。ジルベルト様はそんなアンジェリーナの顔を見て、ふっと笑った。

 彼の指が伸びて口の端についたパンの粉を指先で払った。


「相変わらずよく食べるな。食欲がないかと心配して損したか」

「そこは安心してください。食べられるときに食べておく主義なんです!」


 セントレア王国では理由をつけてしょっちゅう食事抜かれてましたもの。

 どんなときでもおなかがいっぱいになれば多少でも勇気が湧いてくるものです。


「そうだな、ならばまずは食べようか」

「はい!」


 そして賑やかな食事の時間が始まる。

 終わったあとは作戦会議の続き。テーブルの上が片づいたところでアンジェリーナは口を開いた。


「ではまず一番気になっている問題から話しましょうか」


 そう、竜の乙女とは何者なのかです。


「その前に一つ確認しておきたい。ジャミルは竜の乙女について何か知っているか?」


 ジルベルト様はジャミル様に視線を向けた。

 この独特の空気、ここからはしばらく腹の探り合いの時間ですか。腹黒いジルベルト様と相変わらず腹の底が読めないジャミル様が楽しく語り合う時間です。

 

「竜の乙女のことでしたら申し訳ありませんが初耳です。言い伝えや目撃談でもあれば噂として必ず耳に入る。それがなければ我々商人が知る術はありません」

「では赤い瞳については?」

「赤い瞳を持つ人間の情報はありませんよ…… 私が知っているのはアンジェリーナのことだけです」


 ジルベルト様が目を細めると、鋭い視線を受け止めたジャミル様は表情を消した。

 赤く変わる瞳のことはセザイア帝国であっさりバレたものね。

 ジャミル様の瞳は緑青(ろくしょう)、孔雀石の色をしていた。この瞳は古来善悪と嘘を見分けると言われてきたが、本人曰く宿るのは鑑定と呼ばれる力らしい。

 物の価値、性能、そして真贋を見極めるそうだ。特に魔道具による改変、偽装を見破るのは得意なのだとか。

 そんなことは知らなかったために、早い段階でジャミル様には瞳が赤く変わることがバレていた。それでも彼には魔寄せの力のことを秘密にしているから、なぜ色が変わるのかまでは知らないはずだ。


 ――――あなたは瞳の色が変わることを隠しておきたい。

 状況に合わせた協力者が必要ということです。


 彼の予言どおりの状況になった。だからジルベルト様が警戒するのよね。

 表情を消したまま、ジャミル様が淡々と言葉を紡ぐ。


「黒髪に赤い瞳。素直に考えれば魔除けの聖女が竜の乙女の正体ということになる。どう思いますか?」

「あれだけわかりやすく竜に嫌われている姿を見てしまうと、何かできるとは思えないが?」

「ですがシーサーペントを捕獲するとき彼女の瞳は赤かった。まるで伝説の竜の乙女のように鮮やかな紅玉」

「状況証拠だ。魔除けの聖女が竜の乙女である確証は今のところ何もない。別人だという可能性も十分にある」

 

 ジャミル様の言葉にも納得できるし、ジルベルト様の言い分にも一理ある。

 両者には黒髪に赤い瞳の娘という共通点しかない。

 現状はあくまでも疑わしいというだけのこと……そうなんだけれどね。

 そっと見上げるとアンジェリーナの視線にジルベルト様が気がついた。


「どうした、アンジュ?」

「はい、議長。発言をお許しください!」

「……また面倒な設定を持ち出してきたな。どうしていつも意表をつくというか」

「作戦会議ですよ、雰囲気作りは大事です。それに一回やってみたかったのですよ!」

「まあいい、発言を許可する」


 真面目な人だから、律儀に打ち返してくれるのが逆に面白いのよ。


 アンジェリーナは鞄から分厚い手帳を取り出した。

 紙を継ぎ足しているから分厚く不恰好ではあるけれど、丈夫な魔獣の皮でできた表紙は特別な紫色の染料で染めた魔道具だ。表紙に押されている刻印はローブの背を飾るのと同じ魔除けの聖女の紋章。

 アンジェリーナは紋様に魔力を流した。

 バサリと音を立てて手帳が開く。驚いた顔でジルベルト様がつぶやいた。


「魔除けの聖女専用魔道具、手帳を開く鍵は魔力か。見たことのない魔法が使われている」

「認証の魔法らしいですよ。魔力で持ち主を判別する。それとは別に劣化防止もついているそうです。紙質や文字が時間経過で低下するのを防ぐそうです」

「どちらもすでに失われたとされる技術じゃないですか。あなたはとんでもない逸品ばかりを持っていますね」


 いいでしょう、でもあげないからね!

 アンジェリーナは呆然としたジャミル様にニヤリと笑った。


「これは魔除けの聖女が受け継ぐ覚書の一つです。実は少々私的な内容も記されている特別なものでして」

「私的な内容?」

「歴代の魔除けの聖女が書き残した遺言です」


 さらっと答えるとジルベルト様とジャミル様の視線が手帳に釘づけとなる。

 引き継がれる教訓というか、ここには聖女の思いが詰まっている。しかも初代から歴代の魔除けの聖女全員の名が記されていた。

 ここにいつか、私も名を刻むことになる。

 慎重にアンジェリーナは手帳の表紙をめくった。

 

「見ていただきたいのは最初の頁です。これは初代魔除けの聖女の書き残したものと伝えられています」

「とんでもない代物だ。しかも文字が……古代語ですね」


 誰を愛して、何を守るか。それを決めるのは我々であることを忘れるな。

 これが初代の書き残した言葉。

 そして後継である魔除けの聖女達が何のために力を使うかを決めるときの礎でもある。


 そう答えると、ジャミル様が目を見開いた。


「まさかと思いますがアンジェリーナは難解で有名な古代語も読めるのですか⁉︎」

「ええ、おばあさまに魔除けの聖女としての嗜みということで軽く仕込まれました!」

「これが嗜み? いやもうあなたのどこが無能なのかセントレア王国に問いただしたい気持ちでいっぱいですよ」

「珍しく褒め言葉ですね、ありがとうございます! とはいえ古代語から派生してセントレア王国語ができたそうなので文法も発音も近いものがあり比較的容易に習得……どうしました、ジル?」

「ああすまない、続けてくれ」


 先代の遺言を目にしたあたりから、ジルベルト様は心ここにあらずという顔で。

 セザイア帝国の浜辺で見せたものと同じ、あの視線の先には何が映っているのかな?

 言葉にしてくれたら、もっとあなたの心がわかるのに。

  

 ジルベルト様の意識が再びこちらに向いたことを確認してアンジェリーナはさらに手帳をめくった。

 初代の頁があってその先は表紙の裏。当然のように何も書かれていない。


「表紙の裏側に何か隠されているのか?」

「いいえ、裏というより気になるのは初代のさらに前のことです」

「初代の前?」

「ずっと疑問に思っていたのですよ。魔除けの聖女となる前、初代はどこで何をしていたのかなって」

「どういう意味だ?」

「セントレア王国初代国王、我々は始祖王と呼んでいます。彼に協力して初代魔除けの聖女はセントレア王国を建てた。ここまではよく知られています。ですが、初代がそれまでどこにいて、どこからきたのか。もしくはどこの国の出身なのか。個人に繋がる細かな情報はセントレア王国内でも謎に包まれたままだったのですよ」


 おばあさまも言っていた。

 まるで降って湧いたように、魔除けの聖女は突然舞台に姿を現したように見えると。

 

「魔のつくものを管理するために魔除けの聖女は存在します。魔獣の大移動もそうですし、魔の巣窟を筆頭とした魔力だまりの管理もそう。それを踏まえて、二人の意見をお聞きしたいのです」


 一旦言葉を切ってアンジェリーナは表情の読めない顔で笑った。


「リゾルド=ロバルディア王国は魔の巣窟の上に国を建てた。つまり魔の巣窟のほうが国よりも先に存在していたということになる。そして魔の巣窟と対である魔除けの聖女は管理する者として、同じように古くから存在しなくてはならない。さて、そこで問題です。彼女は魔除けの聖女となる前、どこにいたのでしょう?」

「どこにいたか、だと?」

「たとえばリゾルド=ロバルディア王国よりももっと古くから存在する、別の国に住んでいた可能性だってあるとは思いません?」


 アンジェリーナが首をかしげるとジルベルト様がハッとした。

 同時に気がついたらしいジャミル様も同じような顔をする。

 まさか、そんなことが。二人ともにそう言いたそうな顔だ。


「黒髪に赤い瞳をした竜の乙女。もし彼女が魔除けの聖女の()()であるとしたらどうでしょう? スワラティ竜王国は現存する周辺各国ではもっとも古く、長い歴史のある国です。リゾルド=ロバルディア王国よりもさらに国の歴史が長い」


 確証はなく、あくまでも可能性の話だ。だが可能性は高いとアンジェリーナは考えている。

 なぜならセントレア王国の始祖王が魔除けの聖女という木の葉を、聖女の国という森の中に隠した理由も説明がつくからだ。


「もしかすると初代も逃げてきたのかもしれませんね、スワラティ竜王国から」


 アンジェリーナがセントレア王国から逃げたのと同じように。

 閉じ込められると知ったときの絶望は計り知れない。

 欠片も選択の自由がないなんて、少なくともアンジェリーナなら無理だ。


「初代の遺言にあるように、魔除けの聖女は自分が大切だと思うものを守ります。もし私と同じような考えの持ち主ならば間違いなく逃げるでしょうね」


 とはいえ、これは推測。今となっては誰も真実を知らない。

 ジルベルト様とジャミル様を視界に収めつつ、アンジェリーナは硬く拳を握った。


「私は竜王国の人間に赤い瞳を見られたくありません。だから協力してください!」

 

 竜の血が濃いと竜の乙女に深く強く囚われるらしいが、見た目だけでは竜の血が濃く流れているのかわからない。だったらまとめて避ける一択だ。


「ただ依頼主ですし、第三王子殿下を避けるわけにはいかないのですよねー。どうしましょう?」

「実際にどのくらいかわからないが、アレスならたぶんギリギリだ」


 ただでさえ代を重ねて血が薄まっている。そのうえでのことだから。


「報告書にも書いてあったでしょう。父は王ですが、彼の母は平民階級の出身なのですよ。ですから王家でもっとも竜の血が薄い王子と言われているのです」


 アンジェリーナはハッとした。

 そういえば読んだな。王様のお妃様になる人は皆、お姫様か貴族のお嬢様だと思っていたから意外だった。


「この国の王家は珍しく伴侶選びに爵位や血筋は関係ない。竜の血を引く王の意思が何よりも優先される」


 すべては一滴でも多く竜の血を残すために。

 王子殿下のお母様は国王陛下と視察先で知り合って恋に落ちたそうだ。当時の国王陛下はすでに国内の有力貴族から正妃を得て、側妃もいる。後継者となる王子もおり、たいして揉めることもなく側妃の末席を得たらしい。

 ただジルベルト様は微妙に言いにくそうな顔をして、その先のことについては言葉を濁した。


「詳しいことは必要に応じて本人が教えるだろう」

「では明日から表向きは王子殿下に協力して迷子の竜を捜索しつつ、裏では赤い瞳を見られないように上手く立ち回るということでいいですね」


 そうまとめたジャミル様にアンジェリーナはうなずいた。

 本当はジャミル様にも魔寄せの力のことを教えておくべきなのだろう。

 でも彼が無理を通してまで旅に同行した意図がはっきりと読めないだけに、今はまだこわくて無理だ。

 それに彼はまだセザイア帝国と繋がりが強すぎる。

 ジルベルト様はアンジェリーナの手を握った。


「明日は王都で泊まる予定だ。特に王族や貴族は竜の血が濃いから、下手に絡まれないよう気をつけて」

「わかりました」

「では作戦会議はこのくらいにして、明日に備えましょう」


 ジャミル様がそう言うとジルベルト様がアンジェリーナの手を引いて立ち上がった。


「部屋まで送ろう」

「え、大丈夫ですよ。すぐそこですから」

「できれば少し話したい、ダメか?」


 彼はほんの少しだけ、揺れるような眼差しをしている。

 珍しい、ジルベルト様でも遠慮することがあるのだな。

 スワラティ竜王国に着いてから接触も増えたけれど、そのぶん今まで見せなかった一面が見えることも増えた。

 ……これはきっと、ジルベルト様の甘えだ。

 それだけ心を許してくれているのだと思うと、逆にちょっとうれしい。


「もちろんですよ!」

 

 優しさしかない彼の申し出を受け入れて、アンジェリーナは後ろをついていく。ジャミル様より一足先に食堂を出て、廊下の先にある部屋まで一緒に歩く。

 そしてアンジェリーナの部屋の前に着いたときだ、唐突にジルベルト様がアンジェリーナへと深く首を垂れた。驚いたアンジェリーナは伏せたジルベルト様の顔をのぞき込む。


「いきなりどうしたのです⁉︎」

「私が依頼を受けたばかりにアンジュを危険に晒すことになった、すまない」


 だからいつもよりも元気がないように見えたのか。

 表情は見えないけれど硬く引き結ばれた口元が内心の葛藤を物語る。

 言葉少ないと思っていたけれど責任感が強いというか、本当に真面目な人だなー。

 微笑んで、アンジェリーナは口を開いた。


「王子殿下は情報を王家が秘匿していたと言っていました。それをなぜ知らないのかと責めるほど私は狭量ではありませんよ」

「だが当時の私の立場で知らなかったは言い訳にならない」

「王子殿下が竜騎士となったのは三年前。ジルベルト様はリゾルド=ロバルディア王国で次の魔獣の大移動に備えて対策や準備に奔走されていた時期です。他国の状況が二の次になるのは当然ではありませんか」


 すべてが完璧に思えるジルベルト様にだって力及ばないこともある。

 それがわかって、むしろほっとしたくらいだ。

 アンジェリーナは顔を隠す彼の前髪に、そっと手をのばした。触れた髪は滑らかで触り心地がいい。そして力なく垂れる前髪を指先でかき上げて研ぎ澄まされた剣のような瞳の奥をのぞいた。


「安心してください、ジル。私は一筋も傷ついていません」

「アンジュ」

「あなたが全力で守ってくれるから私はいつも無傷でいられる。感謝しています」


 ジルベルト様はアンジェリーナを守る剣であり盾だ。

 国民を守る立場だった彼は自身が傷ついて当然という振舞いをするけれど、アンジェリーナからすれば彼にだって傷ついてほしくない。

 ジルベルト様が私を支えてくれるように、あなたが不安なときは私が守る。

 それはセザイア帝国での出来事を通じてアンジェリーナが決めたことだ。


「もしスワラティ竜王国に来なければ、今回のような危険はなかったかもしれません。けれど裏を返せば竜の乙女のことを知らずにいた可能性が高い。そんな状況でうっかり赤く変わった瞳を見られたら相手によっては監禁一直線、逃げようがないだけにそのほうが危険です」


 ジルベルト様が知らなかったからこそアンジェリーナは自身のすぐそばに、より大きな危険があることを知ることができた。


「むしろこう思っていますよ。本来ならば王家が秘匿すべき内容を、王子殿下はうっかりでも私達に話してくれた。それは他でもない、ジルがいたからです。()()()()がそこまで信頼されているなんてむしろ誇らしい」


 まともに口にするのは恥ずかしいので私の……っというあたりはごにょごにょ小声と早口で誤魔化しておいて。

 でもジルベルト様にちゃんと聞こえているのは耳が赤いのでわかる。

 ふふ、かっこよくてかわいいところもあるなんてますます素敵だわ!

 満足したアンジェリーナは静かに指先を前髪をから外した。整えるように髪を漉くと、彼の顔がもっと赤くなる。

 かわいいな、こういうところも大好きだ。

 廊下ですれ違う旅人達が二人に生温い視線を向ける。

 

「恥ずかしいのだが、人がいることには気づいているか?」

「はい、ちゃんと気づいておりますよ?」


 でもちょっとくらいは誰かにジルベルト様を自慢したいじゃないですか!



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