平和な日常
『アニー、この剣を使って違和感ないかな?』
アニーに剣を渡し、庭に出て素振りをして貰う
振り回すと
『こういう感じで良いのですか?』
『アニーは剣の鍛練、まだしてなかったよね』
『メイド仕事が忙しかったのであまりしたことないです』
『今日から夜寝る前に、剣の鍛練を少しやるようにする?』
『わかりました、師匠』
『剣を使えるようになったら、魔法剣士の仲間入りだね』
『え?魔法剣士ですか?私が・・・』
ミリアがやってきて
『剣の鍛練ですか?』
『そうだよ、ミリア』
『私もした方が良いですか?』
『ミリアは純粋な魔法使いだから杖で相手の攻撃から身を守る訓練かな?』
『わかりました』
『工房が出来上がったら、この剣と杖の付与魔法が出来るから、終わったら一緒に練習するようにしようか?』
『はい!師匠』
ミリアは笑顔で言うとアニーは微笑んでいる
『マルス師匠、訓練ですか?』
エミールがこっちに来て言う
『そうだよ』
『私もやりますか?』
『そうだね、少しやるようにする?』
『はい!やりたいです』
『わかった!訓練用の武器を作って貰わないといけないかな?』
『訓練用ですか?』
『素振りも危険だからね』
マルスの言葉に3人とも頷く
『キリシア、良いかな?』
『どうしたの?』
『少し、アニーとミリアとエミールに接近戦の訓練したいんだけど、訓練用の武器が必要なんだよね』
『あ!!何も用意していない!ギレリムに何でも良いから作って貰う!』
キリシアが言うとリリシャも
『接近戦の訓練、全然やってないね』
リリシャも気がついて苦笑いする
『ちょっとギレリムの家に行ってくる』
キリシアが出て行こうとすると
『私も行きます』
リリシャも付いていく
『自分も行くね。アニー、エミール、ミリアは魔力制御して待っていてね』
『わかりました師匠』
鍛冶屋に入ると
『キリシアさん、どうしたの?』
『カセティさん、こんばんは。訓練用の武器をほしいんだけどあるかな?』
『訓練用の武器ですね』
カセテイは奥に通してくれて
『あんた、訓練用の武器ある?』
『ちょっと待っていろ』
『この辺りの物が、刃はまだ無いから使って良いぞ』
ギレリムが言うと
『ありがとう。選ぶね』
キリシアが言って選び出す
『弟子達と訓練するためだな!』
『そう!エミール達の訓練してなかったから』
『なるほどな!短剣も必要になるな!』
『必要になると思うよ』
ギレリムはニッコリして奥から短剣を持ってくる
『前の残りだ!一発で付与魔法成功するから残っているぞ』
『ありがとう!ギレリム』
『後は防具だよな』
『ブーツは誰かに作って貰えるのかな?』
『付与魔法もするのか?』
『そうするつもりだよ。誰かいい人いるかな?』
『革細工職人に頑固者がいるぞ!』
『今度、紹介してほしいな』
『カセティ、兄貴を紹介してくれるか?』
『今度紹介しますね。頑固者を』
カセティは笑顔で言う
『ありがとう』
『ルメイルの鎧も作って貰う?』
『そろそろ必要だね。強力な鎧』
マルスの言葉にキリシアは微笑みながら言う
『わかった。作っておくぞ。あいつならプレートメイルで良いよな?』
『よろしくね』
『ミリアとアニーの腕輪もほしいよね』
リリシャが言うと
『忘れていた』
『お前達の事だから必要だと思って作っておいたぞ』
ギレリムは笑う
『ありがとう』
『あんな鉱石を山のように置いていかれたらな』
『ゴーレムの鉱石ね』
『ギルドに聞いたら高額取引されているから驚いたぞ』
『魔力通るから、確かボムの鉱石、アーメルドで金貨2枚だったかな?』
『そうだ!ゴーレムの鉱石は4倍だ!それも出回らないから殆どここにあるだけだしな!』
『あまりギルドに渡してないね』
『工房が出来たら使用方法も考えないとな?』
『わかった。何か魔道具考えておくよ』
『楽しみだ!』
ギレリムは笑いながら言う
短剣3本と訓練用の武器を持って帰る
『工房完成が待ち遠しいね』
『そうだね!革の使用方法もあるし魔道具いろいろ試そうね』
『ブーツにどんな付与魔法使うつもり?』
『もう少し考えるけど!身体能力強化と体力回復と防汚と防水かな?』
『なるほど!それ良いね!』
キリシアは喜ぶ
『防汚と防水、ブーツには最適です』
リリシャも同意する
『使う金属は全部ゴーレムの鉱石にしたら凄い物になると思うよ』
笑いながら家に帰り着く
『お帰りなさい』
ラーザが門を開けて迎えてくれる
『遅くまでありがとう』
『自分の仕事なので』
『ラーザは護身術や剣術に興味はあるかな?』
『はい!学びたいとは思っています』
『夜に時々みんなとやるから一緒にやろうね』
『本当ですか!ありがとうございます』
ラーザも夜の訓練に参加するようになる
マルスとリリシャは空いている時間に付与魔法を使う準備をするようにしている。杖や短剣、素材の革を全て魔力の通りを調整して、準備を進めながら工房の完成を待っている
カセティの兄を紹介して貰う日になる
『カセティ』
『兄の所に行きましょうか?』
『案内してね』
カセティに案内して貰いながら革細工の店にはいると、女性が話しかけてくる
『カセティ、いらっしゃい』
『兄いるかな?』
奥に行き、男を呼んでくる
『カセティか、なんか用か?』
『お客を連れてきたの!』
『そうか、後ろの嬢ちゃんか?』
職人はキリシア達を見て嫌そうに言う
『そうよ!若いからって下手なことは言わない方が良いわよ』
『ラーケンだ、よろしく』
自己紹介の後に奥で話すことにする
『何を作ってほしいんだ?』
『とりあえずはブーツかな?付与魔法に使うからいろいろ注文するけど』
『は?馬鹿か?ブーツに付与魔法だと!お前達は本当の馬鹿だな!』
『ラーケン!!』
カセティが言うが
『付与魔法で無駄にするつもりだろ!革を手に入れるのも大変なのに』
『腕に自信が無いのなら仕方ないですよね』
『何だと!材料があれば何でも作ってやる!!』
ラーケンの言葉にキリシアはニッコリして鞄から魔石と鉱石を並べ、リリシャが革を机に置く
『はい、材料ね』
革を触り、唖然とする
『レインダーの革だと!何故高級の革を!!』
『何でも作ってくれるんでしょ。金属はゴーレム鉱石を使ってね。加工はギレリムに頼めば良いしね』
『レインダーの革はどこで手に入れた!!』
『アーメルドだけど』
『交易都市か・・・ブーツなんかに勿体ない』
『ブーツ作るのは嫌?』
『靴底がこの革では作れない・・・』
『靴底?』
『もっと固い革が必要だ』
『ほかに必要な物は?糸とか?』
『糸も必要だな・・・』
『魔力を通す糸は交易都市から取り寄せ?』
『やったこと無いからどこまで必要かだな・・・・』
『自信無いんだね』
『これだけの革だからもっと良いもの作らないか?』
『必要な物しかいらない』
ラーケンは驚きの表情で
『コートにしたら良いものが出来るからどうだ!!』
『必要ない!』
『え?付与魔法したら良い防具になるぞ!!』
『この鎧があるからいらない』
『え?その鎧より良いぞ』
『この鎧の凄さ、わからないの?』
『え?まさか付与魔法で付加しているのか?』
『魔道のスケールメイルだよ』
『え?まさか・・・・』
ラーケンはカセティを見る
『フローネさんが、私以上の付与魔法士と認める天才です』
カセティが言うと
『馬鹿な!フローネ殿以上だと!!この若さで・・・』
『マルスだからね』
キリシアが笑う
『冗談だろ?カセティ、冗談だろ!』
『真実です。フローネに聞いてみればわかります』
『まさかそんなことが・・・』
『そんなに作りたく無ければ別の職人に作って貰おうかな?』
『え?そんなこと言っていない!!』
キリシアが革を持って帰ろうとするが、ラーケンは革を離さない
『こんな革手に入れられないから、別のものならいくらでも作るから作らせてくれ』
『ブーツしか欲しい物無いよね』
『ローブはどうだ!』
『このローブあるから必要ないです』
『まさか・・・そのローブ、水蜘蛛なのか?』
『そうです』
『そんな高価なローブ買ったのか?その若さで・・・』
『少し頭を冷やして考えて見て、フローネが認めてギレリムが認めている。その魔石と鉱石を持って帰れる冒険者だから、必要な物しかいらないと言うことがわからない?』
カセティの言葉にラーケンは
『もしかして、下層に入る3人の冒険者?』
『そうだよ』
『わかった・・・勿体ないがブーツ作ってやる!』
『最初からそう言えば良いのに』
『靴底をどうするかだな・・・この町では手に入らないから少し時間が掛かる』
『しかたない。糸と硬質革手に入れないとね』
『糸と革を手に入れたら、付与魔法下準備、先にやった方が良いよね』
『そうだね』
『先に付与魔法の準備をするのか?』
『マルスだから!!』
『マルスだからってなんだ?』
『この人達は常識が無いので、不可能な事を可能にすることは、全てマルスだからで認めるしか無いので、気にしないでください』
カセティの解説にラーケンは
『意味が解らないが、その内解ると言うことか?』
『その通りです。ギレリムが頭を下げて武器を作るぐらいの非常識さだと思ってください』
『は?なんだ?ギレリムが?・・・・』
ラーケンは困惑するがカセティは微笑みながら見ている
『一つだけ教えてくれ。ギレリムは武器を自分から作って渡すのか?』
『ギレリムからの伝言は、[お前もその内慣れる。どのぐらい恐ろしい相手かは]と言っていました』
『そこまで言うか・・・解った。何も考えないで受けよう!』
『よろしく』
キリシアが言って帰ろうとするが
『キリシア、思い付いたんだけど、ついでだからアニーの防具用に上着か簡易的な鎧とか、何か作らない?』
『そうだね、これから下層や依頼受けた時、今のままじゃ不味いね』
『あの2人の分も作った方が良いですね。アニーは成長して使えなくならないですからね』
『ラーケン、取り敢えずアニーの防具、先に作ろうか?』
『本当か?アニーって誰だ』
『今度紹介するけど、面倒だから工房出来たら家に来る?』
『そうですね、工房が完成したらギレリムもお邪魔するから一緒に行きましょう!』
カセティが言うと
『解った!その時に採寸してどんな物が良いか決めよう』
ラーケンは微笑みながら言う




