13話 付与魔法の指導
『リリシャさんから得意な魔法を使ってくれるかしら?』
岩場に着いて、フローネがリリシャに言うと、リリシャは頷き
『ファイヤーボール!』
岩に当たり、岩を砕きながら爆発する
『あれ?威力上がっている?』
リリシャは呟くが、フローネは目を見開き驚いている
『詠唱して無かったわよね?・・・』
『マルスに教えてもらって、魔法名だけで出来るようになりました。』
リリシャがそう言うと
『え?マルス君に教えてもらった?』
『リリシャさんに教えてもらって、魔力制御していたら、偶然出来るようになったんです』
自分がそう言うと
『え?偶然・・・・』
『生きている間に無詠唱魔法を見れるなんて・・・思わなかったわ』
『私のは、魔法名唱えているから無詠唱じゃないと思いますけど・・・』
リリシャは首を傾げて
『間違いなく、失われた古代魔法ですよ』
フローネは、そう言ってリリシャの方に手を置く
『次はマルス君ね』
魔力を集中して岩に火の玉を放つ
『え!!何をしたの?』
『魔力を集中して火の玉を作り、それを撃ったのですが?』
『え・・・えーと・・なぜ?』
フローネは困惑しながら
『魔法よね?もう一度撃てますか?』
『はい!』
魔力を手に集めて火の玉を作り、放つ
『本当に魔力から作り出していますね・・・一瞬魔方陣が形成されているみたいですが・・・意識してはいますか?』
『魔力を集めて火の玉ををイメージしたら出来てしまいました・・・おかしいですか?』
『人前でやらない方が良いかもしれないですね。もう古代魔法と言うよりも、理論外の魔法としか言えない魔法ですね』
『解りました気を付けます』
『魔法は誰かに教わったりしたのですか?』
『フローネさん、マルス君に魔法の基礎を教えて頂けないでしょうか?』
リリシャがそう言うとフローネは
『何故かしら?』
リリシャは今までの事の経緯を説明するとフローネは驚き自分を見つめる
『魔法の基礎よりも常識と知識が必要そうね。
リリシャさんも弱音は言わないようにね』
『ありがとうございます』
リリシャは自分を抱き締めて喜んでいる。マルスはどうして良いか解らず、フローネを見て苦笑いしてしまう。フローネは笑って見ている
早速フローネの家に帰り、付与魔法の説明を受けた。リリシャは真剣に頷きながら聞いている
『リリシャさん、一度魔法学院で習ったことをやって貰えるかしら?』
リリシャは小さな魔石を受け取り、緊張しながら魔方陣に置く。魔方陣を発動してから、魔石に魔方陣を描き出す『パキッ』
『あ!ごめんなさい』
うつむきながら謝るリリシャを見て、フローネはため息をつく
『リリシャさん、魔法学院でちゃんと教わらなかったのかしら?』
リリシャは涙目になりながら
『魔力で魔石に丁寧に魔方陣を描くようにと教えて貰いました』
『リリシャさんが魔石に書き込んでいるのを見て、先生からアドバイスは無かったのですか?』
『班ごとに実習することは多かったのですが、先生も見てくれましたが、正確に描けないのが悪いと・・・・』
『魔法学院がここまで教育出来ないなんて・・・リリシャさんの書き込みは綺麗に出来ています。失敗する原因は正確に描こうとして、魔方陣の線が少し歪み、魔力が溜まったことが原因ですよ』
『線の歪み?魔力が溜まる?』
『そうです。もう一度やれますか?魔方陣の線を描くとき、線を細くする為に魔力を押さえてくださいね』
『はい!』
リリシャは魔石を魔方陣に置いてから、魔方陣を発動し、深呼吸して魔力で魔方陣を描く
『出来ましたね』
『はい』
『完成しているか魔石を発動してください』
リリシャは魔石の魔方陣を発動すると、魔石は綺麗な輝きを放つ
『完成ですね』
リリシャを見ると、フローネを見て涙を流しながら泣き出した。それを見たフローネは
『魔法学院にいた時から辛かったのね』
リリシャを優しく抱き締めた
『すいません、泣いてしまって・・・』
『気にしなくて良いわよ。悪いのはちゃんと教えなかった魔法学院の先生だからね』
フローネは笑みを浮かべてリリシャを見ている
『次はマルス君ですね』
『はい!』
フローネの説明通りの手順で魔石に魔方陣を描き終わる
『出来たかな?』
『魔方陣を発動してみましょう』
魔石の魔方陣を発動すると問題なく輝く
『1回目で成功するなんて・・・』
リリシャは驚きながら覗き込む
『マルス君は魔力制御が上手く出来ていますね』
『毎日、魔力制御を練習していますから』
笑顔でフローネに答えると
『どのように魔力を制御しているのですか?』
『魔力の動きを見ること出来ますか?』
『出来ますよ』
フローネが答えを聞いてから、右手に魔力の玉を作り、それを消した後、左手に出したり額に出したり身体中の魔力を動かして見せる
『こんな感じで魔力を制御しています』
『身体中の魔力を制御して循環させるなんて普通は出来ませんよ。魔力で玉を作るなんて普通じゃ無いです』
『私も掌に魔力の玉を作れるようになりました』
リリシャがそう言うと、右手に魔力を集めて魔力の小さな玉を作り出す
『あなた達とんでもない練習をしているのですか?魔力の完全制御なんてしようとする人いないですよ』
フローネはそう言うと呆れた表情になり
『何故完全制御を始めたのですか?』
『最初は、リリシャさんに魔力制御の練習で掌に魔力を集めるように言われて、やっていたのですが、そのうち玉が出来て、リリシャさんの魔法を思い浮かべていたら火の玉になって飛んでいったんです。もう一度試したら出来てしまいました。リリシャさんも出来るようになりたいと言うので同じ事を練習して、その魔力の流れを見ていたら腕ぐらいしか集められていなかったので、全体を動かすようにしたら威力が上がったのです。それから練習を毎日するようになっただけですけど』
フローネは呆れ果てて
『リリシャさんもマルス君もどれだけ凄いことをやっているか自覚が無いようですが・・・ここまでとは思いませんでしたよ』
『え?私は凄いとは思いませんが・・』
リリシャはそう言って困惑の表情になる
『全てはマルス君の影響ですね』
『自分の影響?』
『マルス君の思いつきと才能と観察力。これが原因です』
リリシャは笑いながら頷く
『この歳になって1日で新たな発見を次々と見せられるとは思いませんでしたよ』
フローネも優しく笑う




