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異端ノ魔剣士  作者: 如月 恭二
三章 剣ノ勲
58/120

序章 参

ナーイス、ナイス!

ナイスッバディ!


はいどうも、FGOに課金した如月──じゃなかった、最新話です(;^ω^)ゞ

後少しでアンニュイな空気の序章も終わりそうですね。

 「酷いな、ここ……」


 シガールは目的地を目の前に呻いた。

 そこには、傭兵の詰め所とは名ばかりの荒屋(あばらや)。想定とは違う事態に頭を抱えたからだ。

 壁の塗装は剥げて、支柱は折れ、土間は荒れ放題と散々な状態である。これが人の住む場所だなどと、笑い話にもならない。

 諦めて次を探すべく踵を返そうとしたところ、鉄靴の音が聞こえてくる。胸当てや籠手の擦れる音も響く。


 ──恐らく傭兵達が帰ってきたんだ!? 良かった。


 期待に胸を高鳴らせ、通りの角を右に曲がった時──彼の“それ”は打ち砕かれた。

 遠目にも装備がよい。腰当て、脚甲、兜に至るまで全てに土と跡と傷とが見える。見映えはしないが、それこそが歴戦の勇士足らしめる装いだ。剣や槍も使い込まれたのか、刀身が明らかに短いもの、薄いものと消耗している様子が分かった。

 しかし、問題はその面構えにある。

 先頭を行く中年の男は煙草をくわえ、前を見ずに明後日の方向に目を向けている。中年男の後方──二間程度だろうか──を歩く男は、隊の男連中を眺めて鼻息を荒くしているようである。どうやら、男が好きな手合いらしい。

 他の者は、昼間と言うにも関わらず下品極まりない言葉を並べ立て、その好色ぶりを遺憾なく発揮している。

 女の尻や胸に目が行く度にだらしなく破顔し、視線で追いかけ回しているような男ばかりだ。先頭の男もそれなのだから当然なのかも知れないが。

 有り体に言って、練度は元より彼らの士気すらも危ぶまれるものだった。

 将兵が持つ覇気を微塵も感じさせぬ──勿論悪い意味で──兵士らしくない。少なくともシガールには、アルメ=イディオの方がそれらしく映った。


 ──こんなのが傭兵かよ……嘘だろ。

 

 「お前さんは何なんだ? どうした、こんなところで立ち尽くして」


 「──えっ!?」


 呆気に取られていたらしい。シガールは男の声で現実に引き戻される。


 「それは、その……」


 「見たところ、志願兵って感じだが」


 男達の視線がシガールの武装に向く。

 籠手は装着しておらず、革の腰当てと鉄製の脚甲。そして、剣帯に収まる二丁の得物が目立つ。他には防具を身につけておらず、外套一枚だけである。ソレイユと赤雷の受け売りではあるが、完全武装は割りに合わないということだ。騎士から見れば非常識な装いだが、歴戦の勇士から見ればそうでもないようだった。

 特に刀。これが一行の興味を掻き立てるらしい。先程から痛いほどの注視を受けていた。当然の事ながら、民衆の目もある。居心地が悪いという次元の問題ではない。

 混迷の極致とはよく言ったものだ。返答に(きゅう)してしまう。


 「え、ええ、まあそんなところです……」


 遠慮させて貰う、なんて言える空気じゃない。シガールはその言葉をようやく飲み込んだ。


 「まさかお前さん、傭兵になりたいってんじゃないだろうな」


 存外鋭いらしい。シガールは思った。

 何故だろうか、幾人かは頻りに頷いていた。そこに後ろの男達が茶々を入れる。


 「団長、まさかとは思いますがね。そんな餓鬼を引き入れようってンですかい?」


 「所詮、子供だ。大方御伽噺(おとぎばなし)の綺麗事に魅せられたんでしょうや。おい坊主、回れ右して(うち)に帰んな。そら、きっと母ちゃんが心配してっぞ?」


 「──言いたいことはそれだけですか」


 男たちが笑い飛ばす中、団長と呼ばれた男が首を傾げた。


 「俺にはもう、これしかないんです。どうしたらいいのか分からない。それでも、(これ)で道を切り開くしか方法を知らないんです……」


 「ふぅん。それ()しか、ねえ?」


 「父は傭兵でした! 少しですが、剣も習いました。きっと足手纏いには──」


 「ああ、そう言うの要らねえから。ほら、来いよ坊主」


 「え、それってどういう意味ですか!?」


 「俺達は傭兵だぜ? 言いたくもねえ事情なんてのは、何処だろうと珍しい話じゃない。ほら、お前さんも“そういうの”抱えてんだろ? それに、『剣しかない』とまで言ったんだ。そんな奴の力を知るのに手っ取り早いのは、一戦交えるってこと。覚えておきな」


 身を(ひるがえ)しつつも、どこか嬉々とした様子で話すのは通過儀礼とは言え、剣で語り合うこと。彼がそれに期待をしているからだろう。「あそこまで言う新参なんて居ねえからな、こりゃあ楽しみだ」と、笑ってすらいる。

 ──無論その笑顔と言うのも、さながら戦闘狂もかくやというものではあった。目が爛々と輝いているのだ。

 そんな彼の目を見て、シガールはアルメ=イディオの団員を思い起こす。

 闘争という行為を楽しむような連中が、今の彼と同じ目をしていたことは記憶に新しい。或いは、この界隈に身を置く者はこんな人間ばかりなのかも知れない。それはほとんど確信に近いものだ。

 戸惑いながら後を付いていくシガールは、奇異の視線に晒されながらもつくづくと思うのだった。


 (好色(こうしょく)男色(おとこいろ)、戦闘とあらば雰囲気まで変わる。もうほんと不思議な人ばっかだな、この界隈……)

最近とみに、切り裂きジャック事件の捜査状況とかを知りたい如月恭二。

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