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異端ノ魔剣士  作者: 如月 恭二
二章 異国之剣客
52/120

閑話 壱

邂逅シーン。


この先の閑話で、戦闘成分は一割か二割もあれば良い方です(笑)

如月お馴染みの人間模様です(;^ω^)


そりゃ、バトルものとか書けませんわf(^_^;

 ──一月半ほど前、デポトワール南西部にて。

 

 「赤雷さん、何か食べましょうよ。俺、少し持ち合わせあるんで出しますから」


 街の往来で、シガールは前を行く赤雷に声をかけた。

 それというのも、彼らは未だ朝食を摂っておらず、そろそろ昼になろうかという頃合いだからである。朝からこっち、言い掛かりからちょっとした襲撃にまで発展していた為、食い損ねたのだ。


 「ああ、なんでお前が出すんだ? 餓鬼が要らん心配してんじゃねえ。……ほらよ」


 そう言って彼は、シガールへ金子(きんす)を渡す。やや困惑する彼に対し、こう続けた。


 「いつものこった。お前が頼んでくれなきゃ、俺はろくでもないものを食わされかねないんでな。頼んだぜ」


 シガールとしては、赤雷の配慮こそが心痛の元であった。それは彼が、赤雷の実子ではないからだ。温情で居候させて貰っているものの、「何かしなければ」という気持ちが先立って気を使わずには居れないのだ。

 それに、顔を合わせる度とまでは行かなくとも喧嘩した回数も多い。これで気にするなと言う方が無理である。


 ──赤雷さんは、俺のことをどう思ってるんだろう? 本当の子供じゃないし、果たして必要とされているんだろうか。


 躊躇われる問い掛けだが、シガールは好奇心には勝てなかった。


 「赤雷さん。あれ?」


 「あ? なんだ。……うん?」


 二人はそれぞれ固まる。視線の先には、見窄(みすぼ)らしいぼろを着ている少女が居た。教会の近くに倒れており、微動だにしない。

 背格好から察するに、少なくともシガールより三つは年下だろうか。

 顔立ちこそ整っているが、(すす)と泥で台無しだ。顔色も良くはなく、心持ち土気色気味だ。(そで)脚絆(きゃはん)(すそ)から覗く肢体は傷だらけで、青紫色の(あざ)が浮かんでいる。

 ()せ細っている状態から、路上生活を余儀なくされていることが分かった。こんな人間は別段珍しくもない。何もこの街に限らず存在している人種だからだ。路地裏に入れば数人と言わず目につくし、冬になればひしめくように身を寄せ合う姿がある。

 女の、それも子供の路上生活者は珍しかった。大体、女の路上生活者は顔立ちが良ければ娼館へ売られるか、金を持て余した変態の玩具(おもちゃ)になるかのどちらかだ。この場合は年が若すぎることと、汚ならしい見た目が幸いしたのだろう。

 視線を逸らし、彼女を目に入れまいとする赤雷は、通り過ぎたところで振り向くことになる。


 「ちょっと、君! 大丈夫かい!?」


 シガールが、少女に声を掛けていたからだ。赤雷は、彼の気を引こうとしてみる。


 「おい、シガール。さっきの話はなんだよ、おい! よせ、そいつらに深入りするなとあれほど……くそっ、聞きやしねえ!?」


 一瞬止まるが、それでも彼は見ず知らずの少女を助け起こす。

 赤雷が止せと言っても、頑として受け付けない。日頃は昼行灯と言っても過言ではないが、いざという時はけして物怖じしない質なのだ。

 頑固なところは嫌いではない。寧ろ好ましく思っている節はあるのだが。


 ──ちっ。騎士に見られでもしたら面倒なのによ……。


 周囲を見回すが、通行人は無頓着を決め込んでいた。人気が少ない、というよりは赤雷を敬遠しているのだろう。

 だが、腐っても治安維持組織だ。発見されれば、一体何をされるのか知れたものではないからだ。

 騎士と思われる姿もなく、一安心といきたいがそうも行かない。


 「シガール、そいつは下ろしていけ」


 しかし、懇願するような視線で見詰められては赤雷も折れるしかなかった。


 ──そう言えば……。


 赤雷は、以前シガールの言葉を小耳に挟んだのだが、「妹か弟が欲しい」と言っていたことを思い出す。

 アルシュは当時、鼻を鳴らしながら「妹や弟なぞ欲しがる者の気が知れん!」と喚いていたような気がした。何があったか聞くほど野暮でもない為、詮索はせずに流したきりだ。

 考えれば、マジーと言いミシェルと言い、シガールの身辺には年上の少女しかいないのだ。兄という立場に憧れているかも知れない。

 認めたい反面、赤雷は悩んでいた。


 (認めてやりたいが……むむむ)


 渡航して来た当初、彼らは彼女と同じような路上生活者を助けたことがある。丁度こんな年頃の子供だ。助けたは良いが、恩を仇で返されたのだ。なにも珍しい話でもない。お陰で赤雷は路銀や生活資金としていた貴金属の殆どを喪失した──そう、盗まれたのだ。結果、慣れぬ土地で死物狂いで働く羽目になったのである。

 今更その事で恨めしく思っていない。情けは人の為ならずという教えもある。だが、この件が元で仲間が悲しむことなどはどうしても避けたい。もし万が一そうなった時、彼は堪えることが出来ないだろうと思ってさえ居たからだ。

 結局彼は、どっち付かずの道を選ぶしかなかった。

 

 「赤雷さん、先生のところへ行こう」


 「……お前正気かよ」


 「でも、この子は早くしないと……!」


 見れば、少女の呼吸が荒く、そして浅い事に気が付く。処置が施されなければ遠からず天命を全うすることだろう。

 赤雷の言葉を待たずして、シガールは移動を開始した。

 制止する声すら無視し、駆け出す。一直線に診療所を目指しているらしい。重ねて忠告する赤雷だが、やがて諦めることにした。


 ──ああ、くそ。どうにでもなれってンだ!

基本的に赤雷とシガールは二人一組で行動。

ミシェルは非力と……。

アルシュは搦め手しか使えないので、きっと頭使って護っているんでしょうね。


でも、彼女は気が強いので、暴漢とサシであれば金的で勝てそうなのが何とも……(笑)

あれ、もしかして武闘派しかいない?

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