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第5話 「お主いきなり失礼な奴じゃの!?」

 馬車から降りてきた少女――いや幼女かな?


 ()()色っていうのだろうか。

 現れたのは、カラスの羽が濡れたようなしっとりと艶のある黒髪を、背中のあたりまで伸ばした小さな女の子だった。


 身長は140センチくらい。

 174センチの俺と比べると頭1つ分以上背が低い。


 だというのに――胸は女騎士に勝るとも劣らずのビッグサイズときたもんだ。

 自然、俺の視線もそこへと吸い寄せられる。


 あどけない童顔と低身長なのに、この圧倒的なサイズ……、


「これがロリ巨乳ってやつか」

 大きなダイヤモンドを慎重に見定める鑑定士のような、すこぶる神妙な面持ちで言った俺に、


「お主いきなり失礼な奴じゃの!?」

 幼女は大きな声で抗議をしてきた。


「あれ、俺また口に出してた?」

「出しまくっとるわい! 雨後のタケノコのごとくバンバン出しまくっとるわい!」

「ごめん、悪気はなかったんだ」


 今のは120%こっちが悪かったので、俺は素直に謝罪した。

 あまりに素晴らしいものを見せられて、一瞬我を忘れてしまったようだ。


「いや、良いのじゃよ。なにせこたびはそなたに命を助けられたからの。それくらい全然ちっとも構わんのじゃ。(わらわ)は小さいことなんぞ別に気はしておらんのじゃからの……ぐすん。なにゆえ長身種族であるにもかかわらず、(わらわ)の身長はこうまで伸びんのか……」


 イジイジいじけてつぶやいた幼女の服装は、上は白の半そでブラウスだ。

 袖口や襟元にピンクのチェックが入った、可愛らしいデザインをしている。


 下もそれに合わせたピンクチェックのプリーツスカートで、見ようによっては貴族学校の女子学生服のように見えなくもない。


「時にそなた」

「なんだ?」


「そなた、精霊術の使い手じゃな? しかも冴えわたる剣の腕。よほど名のある精霊騎士と見た。馬車から全て見ておったのじゃ。あれほど完璧に姿を消して見せるには、光の上位精霊【ルミナリア】と契約せねば不可能じゃからの」


「へぇ、そこまで分かるのか。そうだよ俺は精霊騎士だ」


「やはりの。しかしただでさえ珍しい精霊騎士が――それもそなたのように並外れた使い手が、どうしてこのような僻地(へきち)に? 見たところそなたは人間であろう? ここは既に『南部魔国』の領地であるぞ?」


「まぁ、いろいろあってね。っていうかその聞き方。もしかしてお前ら魔族なのか?」


 さっきは急いで駆けつけたからあまり気にしていなかったが、頭の中でおおまかな地理を確認すると、たしかにこの辺りは『南の魔王』が治める南部魔国に入っている。


「あ、私はハーフのエルフなんです。ミスティと申します」

 女騎士――ミスティが手を上げて自己紹介した。


「おっと、耳が短いから人間だと思っていたんだけど、ハーフエルフだったか。どうりで美人のはずだ」

 美男美女が多く、全種族中もっとも容姿に優れた種族、それがエルフだ。

 それはハーフであっても変わりはしない。


「純血エルフではなくハーフですけどね。そしてこのお方こそ――」

「ふふん、聞いて驚くがよい。(わらわ)はなんと鬼族よ」


「……」

「な、なんじゃその顔は?」


「えーと、ツッコミどころ満載なんだけど、いいかな?」

「うむ、言いたいことがあるなら言うがよい」


「鬼族は人間族と比べて背が高いくらいで、見た目は人間族とほとんど変わらない。だけど大きな違いが一つだけある。額に(ツノ)があることだ」


 しかも鬼族ときたら身体能力が全種族でダントツ最高に優れていて、どいつもこいつも一騎当千でめっぽう強いときたもんだ。

 小さな子供でも自分より大きなクマを殴り殺すという鬼族は、魔族の中でも正直一番戦いたくない相手だった。


 たかだか野盗の30人に襲われたくらいでピンチになっちゃう鬼族なんて、聞いたことがない。


「角ならあるのじゃよ?」


「角がないのに鬼族って言われてもな――え、あるのか? どこにだよ?」

「ほらここ! ここ! よーく触ってみるのじゃ!」


 幼女は俺のすぐ目の前まで歩いてくると、自分の前髪を左手で持ち上げ、右手で生え際あたりをぺちぺちと叩きはじめた。


「どこだよ?」

「ほら、ここ! この辺りを触ってみるがよいのじゃ。ほれ、ちょっとだけ出てるおるじゃろ?」


 言われたあたり、おでこの上の方をさすってみる。


 さすりさすり。

 さすりさすり。


「……ごめん、さっぱり分からん」

 俺は正直な感想を告げた。


「いやほらちゃんと触って!? よーく触ればちみっと出ておるのじゃ! ちゃんと出ておるのじゃ! なんとなくあるような、ないような感じで、ちょみっと出ておるのじゃ! (わらわ)はれっきとした鬼族であるからして!」


「分かった分かった。そういうことにしておいてやるよ。角はあるよ、あるある、ここにあるよ。お前は確かに鬼族だ」


「ううっ、その態度、まったく信じておらんのじゃ。本当なのに」


「はいはい。で、鬼族だとして、鬼族は魔族の中でも特に数が少ないレア種族だろ? それがこんな人間の領地に近い境界線で何をしてるんだ?」


「ふふん、それはのぅ。聞いて驚くがよい!」


 ちびっこ鬼族(自称)は胸を張って若干偉そうに言った。

 背は低いのに胸は激しく自己主張していて、俺の好みにストライクすぎて困る。


 つまり俺は巨乳が好きだった。

 まぁそれは今はいいとして。


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