表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやし百話  作者: くろたえ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/101

97話 願解きのお百度

昔の神様は、もっと人の生活と密着していて、心の拠り所とされ、そして畏怖されていた。

祖母がまだ娘の頃。


歌人の兄がいたのだが、地元では有名になっても東京ではどんなに作品を出しても認められることがなかった。


そんな彼もやっと歌壇の雑誌に名前を載せる事ができた。


それと同じくして

彼の異常食が出てきた。土を食べるようになったのだ。


異常食とは食べ物以外に食欲を示す行為だ。

精神的とかストレスとか体に必要な物質を摂取しようとしているとかホルモンのバランスとか、いろいろ言われているが、今もちゃんとした理由は明確にされていない病気だ。


その時も疲れがでたのでは?と思われていた。


それが、どんどんエスカレートして鶏糞まで食べてしまったため入院することになった。

彼自身は普段は普通なのだが、一度おかしくなると土を食べなければならない強迫観念に襲われるのだと言う。


つまり土や鶏糞を食べながらも、食べたくないと思いつつも体が動いてしまうのだ。

泣きながらも食べていたという。


異常が出て10日も経つ頃には体重は10㌔以上減っていたようで、体もドス黒くなっていた。

(鶏糞を食べたとのことなので、食中毒と続いた事による腎臓の機能障害だと思う)


祟りではないのか?との話しになり祈祷師が呼ばれた。


祈祷師は神様に願をかけたのに礼に来ないので怒っていると言った。

祖母の兄には自覚があった。

近くのお稲荷様に朝夕と前を通るたびに願を掛けていたそうだ。


怒りを解くには毎日、酒と饅頭を持って来いと兄に伝える。


その日に無理矢理退院して、翌日より言われたとおりにお供えをする。

いつまでやれば良いのかは、《しるし》徴があるので分かると。


その間の異常食は少し軽くなっていて、以前の様に土しか食べれないのではなく、粥なども少しなら食べれるようになっていた。


症状は軽くなり、粥だけでなく果物や薄い味噌汁も飲めるようになった。


しかし兆しはなく、続けるしかなかった。


それが3ヶ月以上は続いたころ。


ある朝にいつものように、コップにお酒と饅頭を持って神社に向かおうと家を出たら、門の前にキツネが座っていた。


そして、キツネはその場で糞をして去っていったと。



祈祷師に聞くと「許してもらえたのですよ」と欲しかった言葉をもらえた。



糞はどうしたらいいでしょうと訊ねると、そんなものは捨ててしまいなさいと言われホッとしたそうだ。



忘れないように身に付けていろと言われたらどうしようと思ったそうだ。



祖母の兄の異常をいち早く祈祷師に確認したのは、その少し前にやはり願掛けを解かなかったためだろう村人の異常死があったせいだ。


それをこの次で。


祖母は兄さまのお社への詫びに3カ月以上かかったと言っていたが、それはお百度参りの反対なのではないか。と思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] こういう話、大好物です! 神の定義がする難しいけど、人智を超えたものはたしかにいて、気軽にみんなお願いし過ぎ。
[良い点] 願掛けのリスク。こわぁぁぁあ((( ;゜Д゜))) 神頼みも考えものですね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ