表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやし百話  作者: くろたえ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/101

ラストの前の閑話休題 卑しくはないか?それがばれないかが怖い。

母方の実家は400年以上の歴史のある元武家の大地主である。

しかし、我自身にはお金の回らない環境で育った。


周りに躾を教えてくれる人も居なかったので、未だに自分が粗相をしているのではないかと不安になる。

卑しさ、意地汚さが出てはいないか。


育った環境が普通でないのなら、歪みが出ているのではないか、出ていなくても、どんな歪みを腹に抱えているのだろうか。


お腹がすいて身体が冷たくなっていったのを覚えている。

熱が出て熱いのか凍り付くのか、身体が苦しく意識が真っ暗な中に落ちていったこともあった。

怪我をして、釣り針の返しを潰して自分で縫った。

化繊の釣り糸を使わないと、抜糸の際に糸が皮膚の中で膨らみ激痛が伴うのを知っている。

栄養不足で肌がいつもひび割れていた。

靴が合わなくなり、校門に入る時に靴を踵を踏んで履き、いつも裸足だった。

割れた瓶を踏み、数日血が滲み、びっこをひいても誰も何も言わなかかった。

穴は柿の葉で蓋をした。抗菌にはなったが、止血の作用はなかったようだ。

小学生にはいってからも暫くは丸坊主頭だった。

「髪を切る」が「神との縁を切る」となぞらえられていた。

バリカンに髪が挟まるのが痛くて逃げたら、蹴られて踏まれた。

その夜は血のおしっこが出ていた。



いつか自分は死ぬのだろうと思っていた。


それがまだ生きている。


歪みがないわけはないだろう。


私は穏やかだと言われる。優しそうだとも聞く。


本当か?


いつか自分が裏返り、歪みの獣が吠え暴れだすのではないかと怯えている。



裏側の獣がいるのだよ。


私には。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 大変な経験をされてきたんだなあと改めて思いました 今いらっしゃるからこそこの連載を読めている訳で うまく言えませんが色んな意味でよかったなあと思っています 歪んだもの 私の中にもいるようで…
[一言] お疲れ様です。 凄絶な体験をされて育ったのですね。 穏やか、優しそう。それは間違いなくくろたえさまの一面です。そして、くろたえさまがいる、とおっしゃるなら、歪みの獣もいるのでしょう。 私に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ