68話 想像してごらん
さあ、目を瞑って、思い出してごらん。
一緒に思い出して下さい。
知っている人もいるかな?
一度しかできないです。
自分の家を思い浮かべてください。
我は中高と暮らした母親の家を思い浮かべた。
一緒にどうぞ。
庭から思い出す?門入って庭?庭の角まで思い出してね。
玄関入ろうか。
玄関も左右見て~
さあ、家の全部の扉と窓を開けて行こう。
真っ直ぐ行くと台所?
その前に廊下があったら思い出してね。
リビング。窓。各部屋ドアを開けて、窓を開けて。
ベランダ。トイレ、お風呂場、脱衣所。
部屋は押し入れの天袋まで。
全部のドアと窓を開けたら、
次は、全部の窓とドアを閉めて行こう。
細かく思い出した?
そこに人は居た?
人影とかあった?
生きているひとでなければ、
それは幽霊なんだよ。
我がコレを友人に教えてもらって一つ一つ思い出していったのだが、玄関からリビングにみっちり、黒い人の影があった。
「幽霊?」
「そ。幽霊」
家中に人の影がポツポツと居て、リビングにはシメジのパックのように、みっちりと大小と詰まっていた。
1人で居るのに、よく足音がしていた。
想像してごらん。そこに天国は無いんだと。
ほら簡単でしょう。
そこに首のない身体があるならば、それが事実で、
そのに血を流した女性を見たならば、
我は一人じゃなかったはず。
でもね、仲間にはなりたくないな。




