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あやし百話  作者: くろたえ


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53話 移動する異臭

悪臭というのは、霊の存在を示すものだそう。


その霊が、決して生前、ワキガであった。というだけでなく、悪霊化したものが、悪臭を放つ。

時に腐敗臭だったり、生臭さだったり、ワキガ臭だったりと。


因みに生前からのワキガ臭を放つ霊が居るかは不明だ。

結婚する前の主人の部屋である。


その頃は別々に暮らしていて、週末に我が主人の部屋まで通っていた。

その部屋には1年ほどいたか。


部屋に入居した時は、彼の状況も状態もいろいろと悪いことが重なっていた。


そん中でも会いに行っていたのだが、8月ぐらいから元々の不眠症に加え夏バテで食事も取れなくなった中、原因不明の高熱が続いた。


日中は部屋の猛暑で蒸し風呂になり、(本当に暑い部屋だった)夕方になり部屋の温度も下がらないうちから彼の熱が上がり始める。

室内の日中の温度は40度を超え、彼の体温も39度を超えていた。

一度は40度まで熱が上がった。


それが幾日も続いた。


病院のベットの空きがなく入院が出来なかった。


その夜も、彼は熱でうなされている。


看病をする合間にトイレに立った時に気付いた。


臭いがする。


それには、越してから2回目くらいに遊びに来た時に気付いた。


玄関から入ってすぐの廊下の窓の前。ワキガの臭いがする。


掃除をしてみて、空気も入れ換えてみて、いろいろ除外した結果。


「ワキガな何かが居る」


と結論に至った。でも、我は見えないし~と気にしなかった。


まあ、トイレのドアは気を付けて閉めるくらい。


それが、部屋の中に入っている。


近づいている?


部屋の奥に。


彼のベットに?


とりあえず、高尾山の薬王院のお札を財布に入れていたので、それをベットの枕元に入れた。


その後、場の浄化で出来る限りのことを。

精進潔斎してからの天津祝詞とかホワイトセージとか、クリスタルと音叉とか、塗香とか。思いつく限りのことをしてみた。


しばらくして、高熱が続いていたある夜に、急激に体が冷たくなりが34度を切る低体温で死にそうになった。

それを持ち直したら、今度は一気に回復に向かった。


先に気持ちが生きだして絵を描きたがり、道具を手にすると身体まで動けるようになり、将来を語りだした。


そして、引っ越しを決めた頃。


おや?と気付いた。


一時は部屋の入口から1メートルくらいの部屋の中央まで入り込んで、それから元の場所であるトイレ前まで戻されたワキガ臭がない。


玄関。廊下。部屋の入口。部屋に入って、壁、窓、ベッド、タンス、ソファー。

細かく確認するが臭いが消えている。


彼「どうしたの?」


我「ワキガの幽霊が消えています」(ワキガをトイレ前の窓で感じると言ってあった)


彼「ふふふ。私が本気になれば、そんなカスなど吹き飛ばしますよ」


そんなカスに1年近く居座られていたのですが?と腹で突っ込みつつも黙って笑った。



その部屋は窓の真ん前が鉄塔だったり、下の人が気の毒なくらい病的な神経質でクレーマーだったりと、良い場所ではなかった。


また、最初の頃は、夜に駅から彼の家に近づくと、階段の上の彼の部屋の前に、黒い人影があるときがあった。


それは生活をしているうちに消えた。

洗濯を干す場所が足りず、布団を干したくて、手すりに干したりしていたのが追い払うことになったのかもしれない。


生きている。ちゃんと生活している。というのは純粋な光や力なはず。



そんな事を考えた。



「あの部屋から出れて良かったね」


とたまに言い合う。


決して最悪ではなかったが、人を落とすこともある場所だったと思う。




掃除は得意ではないが、結婚してからは部屋が汚くならないように気を付けている。


場の良し悪しは、多少くらいは人の気持ちで軽減できると思っているから。


今住んでいるマンションは、事故物件サイトに載っている。


「古い建物だから、そういうのあっても、仕方ないよね~」


と思っていたら、結構最近の年代と「20代女性」と記載されていた。


「何階」とか、「何で」とかは書いてない。


夏場は廊下側の窓や玄関を少し開けて、風を通すのだが、廊下の人影が少し怖い。

たまに運動として階段で部屋まで行くのだが、その薄暗さが少し怖い。

ついでに、エレベーターに乗り、押してないのに、変な階で止まるとかなり怖い。


でも、主人が以前住んでいた場所よりかは良いと信じている。


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