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あやし百話  作者: くろたえ


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51話 学校の鏡

通っている間は、中学校生活とはこんなものだろう。と思っていたが、隣県に噂が広まっているくらいの荒れた学校だった。


確かにトイレの鏡はなかったし、校舎の一階のガラス窓はトタン板で覆われていたり、警察沙汰のケンカがありはしたが、一般生徒である我は、極めて普通の中学生だった。

通っていた中学校は、通っている時はその自覚はなかったが、かなり荒れていた。


何度設置しても割られてしまうので、トイレに鏡が無いのは当たり前で(職員用も)女子学生たちは職員玄関前の大鏡で、姿のチェックをしていた。


古い中学だったので7不思議どころではなく、怪談が沢山あったが、その鏡も例に違わず怖い話の中の一つだった。



「夜中に幽霊が写る」や「死ぬ時の自分の姿が見える」


などあったか。


もちろん信じてなかったが、部活の帰りか呼び出されて怒られての帰りか覚えてないが、生徒もいない、教員もわずかしかいない時間に帰る時だった。


生徒用の出口が閉まっていたため、靴を持ち職員用の出口で帰ろうとする。


鏡に手をついて靴を履く途中。


あれ?

と思い鏡を見た。


手を置いた少し上、手のひら大の目玉があり、我を見ていた。

気付いたのに驚いたように瞳孔が一瞬で収縮拡張し、消えた。


その辺りをパタパタと叩いたが何もなし。

目の錯覚なのだろうが…


そのころに、テレビの鬼太郎で鏡オヤジなるものが出て、鏡を行き来し人をさらう妖怪が出た。



鏡はどこかと繋がっていそうで怖い。


学校の廊下の電気が消え、職員室のドアのすりガラス越しの光しかない中、大鏡の前に立つのは、なかなか怖い。

映る自分の姿も怖いし、自分の背後も怖い。


目玉が消えた後、鏡の隅々まで見たが、それ以外の怪異はなかった。


しかし、目玉の瞳孔が激しく動いたのを思い出すと、よっぽど焦ったのかと、

少し笑える。

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