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Demon Busters  作者: 平安京
改訂後
22/32

(改訂版)第2話 エリスの家

 買出しを終えて家路につく間、アンジェリーナはずっと上機嫌だった。


「る~るるら~んらら~♪」


 もっともこの親友の機嫌が良くない事など滅多にないのだが。10年以上の付き合いがあるエリスでさえ、数えるほどしか彼女が不機嫌だった時を知らない。


「トマト~、トマト~、トマトマト~♪」


 今日はよほどそれが気に入ったのか、買ってきたトマトを両手で掲げながら踊るような足取りで歩いている。


「そんなに良さそう? そのトマト」

「ん~、まぁまぁかなー」

「その割には随分気に入ってるみたいだけど」

「なんかねー、今日はすっごくトマトな気分なの。何でかはよくわかんないんだけど」

「ふぅん、そう」


 こうしたことも偶にある。時折アンジェリーナは、訳もなく何かに固執する。そういう時は決まって、何かしらそれに関連した出来事が大なり小なり起こるケースが多かった。

 では、トマトから連想される事態とは一体何か。

 またしてもエリスの脳裏には、昼間の話題が浮かんできていた。


「……まさかね」

「ん、何が?」

「いや、トマトから吸血鬼を連想するのは有りなのかな、って」

「………」


 口に出してからしまったと思う。アンジェリーナはエリスの言ったことを聞いてぽかんとした顔をしている。


「…いや、今のなし。忘れて」


 エリスは微かに頬を赤らめ、それを見られないように歩調を速めた。


「…あはー、ちょっとびっくりしちゃった」

「はいはい、柄にもないこと言ってすみませんね」

「そうじゃなくてー、エリスもそんなこと考えてるなんて思わなくって」

「…も?」

「うん、私も同じこと考えてた」


 小走りで横に並び、顔を覗き込んでくるアンジェリーナのことをエリスも見やる。


「何よ、あなたも噂の吸血鬼とか気にしてるの?」

「もちろん~。だって今度は本物じゃないか、ってみんな言ってるよ」

「一体何度目の“今度”よ、それは」

「でも、遺体にはそれっぽい傷痕があったんでしょう?」

「過去にもそういう事例はあったそうよ。それっぽく見せかけただけのものだったのが判明して解決したわ」

「じゃあ、今回の話も?」

「さぁ? だけど吸血鬼なんていないわよ。少なくともこの街には、ね」


 過去に吸血鬼が実在した事を記した文献ならば多数残っており、これを否定する気はない。しかしそうした記述は全て700年以前のものであり、大戦以後、実際にその姿を目撃したという事例は無い。

 あるのはただ、誰が広め始めたのかもわからない奇妙な噂だけ。

 吸血鬼などは既に、伝説上の存在なのである。


「本当にいないのかな~?」

「仮にいたとして、会ってみたいとか言い出さないでよ?」

「え?」

「……あのね」

「あ、うそうそ。さすがの私も吸血鬼は怖いよ。興味はあるけど、危ないのはわかってます」

「そうであってほしいけどね。いくらなんでも吸血鬼が相手じゃ、私も助けてあげられないわよ」


 子供の頃はそれでも、吸血鬼を見つけてやるんだと言って、二人であちこち駆け回ったものだった。当時はアンジェリーナだけでなく、エリスも結構ノリノリだった。誰にでもやんちゃな幼年期はある。


(今は…どうだろ?)


 アンジェリーナのように、いつまでも子供っぽくはしゃごうという気は起きない。けれど世の中に本当に想像もつかないような不思議な事があるというなら、それと出逢ってみたいという願望はあった。

 外からやってくる人が多く集まる五区の食堂で働いているのも、各地を旅してきた人達の話を聞いてみたいという思いがあったからだ。

 正直なところ、あのヒョウウという男のドラゴンを倒したという話には、ちょっと興奮した。まさか本当ではないだろうとは思うものの、改めて思い返すと、もう少し話を聞いてみたかったような気がしていた。そして本当にドラゴンなどというものが存在しているのなら、見てみたかった。


(私もアンジェのことは言えない、か)


 好奇心の強さはいい勝負かもしれなかった。


「あれ?」


 そんなことを考えながら、気付けば家のすぐ近くまで来ていた。そこで、家に灯りが点いているのが見えた。


「兄さん、帰ってきてるんだ」


 エリスの両親は既に他界しており、家に住んでいるのはエリスと兄ユリウスの二人だけである。その兄も、普段は別の場所で寝泊りすることがほとんどであり、家にはあまり帰ってこない。

 だからこれは、とても珍しい事だった。

 どうやら夕食は三人分作る必要があるだろうかと考えながら、エリスは我が家の扉を開けた。すると入ってすぐのところで、兄に出迎えられた。


「やぁ、おかえり、エリス」

「ただいま。帰ってくるなら知らせてくれたら良かったのに」

「おまえの驚く顔が見てみたかったのだが、あまり驚いていないな?」

「すみませんねー、無愛想な妹で」

「ユリウスさん、こんばんはー」

「やぁ、アンジェリーナ。久しぶりだ」


 子供の頃からの知り合いであるアンジェリーナは、当然兄のユリウスとも面識がある。ユリウスがまだ家にいた頃は、たまに二人揃って遊んでもらったこともあった。


「それにしても、急にどうしたの、兄さん?」

「任務で来ていたのだがな、少し時間があったので立ち寄ってみた」

「そうなんだ。ご飯食べてく?」

「ああ」

「じゃ、すぐ作っちゃうから、二人とも待ってて」

「わかった」

「はーい、お邪魔しま~す」


 エリスは買ってきた食材を持って台所へ、アンジェリーナとユリウスは談笑しながら居間へと向かった。

 一通り買ってきたものを整理したエリスは、本日のメインになりそうなトマトをまな板の上に載せて調理の手順を思い浮かべる。

 居間の方からは、アンジェリーナの楽しげな声が聞こえてくる。

 おそらく、ユリウスの武勇伝を話してもらっているのだろう。


(天下の聖騎士様だもんね。アンジェの好きそうな話を色々知ってそう)


 聖騎士とは、神聖ルヴェリエ帝国に仕える最強の騎士達に与えられる位であり、彼らの持つ権限は皇帝に準ずると言われている。身分を一切問わず、完全な実力のみで幾多の試練を突破した者だけがその位を手にすることが出来、広大な領土を持つ帝国全土から僅か12人しか選出されない、まさに“武”をもって身を立てようとする者にとって最高位の栄誉ある称号なのである。

 ユリウスも平民の出でありながら、剣の腕を買われて皇帝の下へ召され、試練の果てについにその位を与えられた。誰もが羨望の眼差しを送る、現代の英雄である。


(ていうか、こんなあばら家でご飯食べる人じゃないよねー、本当は)


 実のところユリウスが聖騎士となった時に、貴族階級が住まう第一区に立派な邸宅を領主から贈られており、帝国の中心たる帝都ノルスにもそれ以上のものが与えられているという話であった。

 妹であるエリスにも、それらの邸宅を利用する権利はあるのだが、エリスは生まれ育った今の家で暮らすことを選んでいた。


「兄さんは兄さん。私は下町の娘でいいですよー、と。よし、出来た」


 手早く調理を済ませ、食卓へ運んでいく。いつもより手を動かすのが早かったのは、エリス自身も兄の話を聞きたかったからかもしれない。


「二人ともー、出来たわよ」

「わーい、エリスのごっはん~!」

「うむ、美味そうな匂いだ。やはり我が家はいいな」

「楽しそうにしてたけど、何の話してたの?」

「あのねあのね! ユリウスさんのすっごい話聞いてたの」

「ははは、自慢するほどの話ではないんだ。そう持ち上げられると照れるな」

「いいじゃない、私にも聞かせてよ」


 三人での食事はとても賑やかなものとなった。

 ここ数年は特にユリウスが忙しいこともあって、なかなかこうした時間は取れなかった。もちろんアンジェリーナと二人で過ごすのも楽しいのだが、やはり唯一の肉親である兄がいると特別に有意義な時間となる。

 やがて食事が済むと、紅茶を入れて寛ぐ。

 するとユリウスが、思いがけない話をしてきた。


「ところでエリス、それとアンジェリーナも。最近噂の吸血鬼事件に関しては、何か聞いているか?」

「んっ」

「はむ?」


 エリスは思わず飲みかけた紅茶を詰まらせそうになり、アンジェリーナはスプーンを加えたまま首を傾げる。


「どうした?」

「いや、その…今日その話題三度目だったから、ちょっとびっくり」

「三度目?」

「うん、仕事場でやっぱり噂の事件について聞かれて、その後アンジェともちょっと話して、それで今…まさか兄さんの口から聞くとは思わなかったし」


 そもそも過去の事例やら、今の警備隊の動きやらの情報もエリスは兄の伝手で聞いたものであり、今更街の噂など兄が気にするとは思っていなかったのだ。


「確かに、そうかもしれないな……」

「兄さん?」

「…いや、そうだな。二人とも、この話は他言無用なのだが」

「う、うん」

「はい」


 二人が頷くのを見て、ユリウスは神妙な顔つきで先を続ける。


「どうやらこの街に、本物の吸血鬼が入った可能性がある」

「……は?」


 一瞬兄が何を言っているのかわからず、エリスは間抜けな声を上げてしまった。


「え? 今なんて?」

「この街に、本物の吸血鬼がいる」


 聞き間違いではなかったようだ。

 しかし、俄かには信じ難い内容だった。


「でも、だって…吸血鬼って、本当に…いるの?」

「いる」

「大昔の話じゃなくて?」

「現代にも確かにいる。大戦の頃に比べれば、実際に遭遇するケースは非常に少ないが、間違いなく存在しているよ」

「……」


 昼間尋ねられた時に強く否定していたことが実は真実だったと急に告げられて、エリスは絶句してしまう。


「すまんな、怖がらせたか?」

「…あ、いや、そういうんじゃないんだけど。うん、ちょっと驚いた、かな。ねぇ、アン…ジェ?」


 ふと隣を見ると、同じようにはじめて聞かされる事実に驚いているであろう友人はといえば、目をキラキラと輝かせていた。


「アンジェー?」

「おおー…吸血鬼って本当にいるんだぁ~」

「おーい、アンジェー、戻ってこーい」


 呼びかけてみても、まだ見ぬ未知の存在に思いを馳せているアンジェリーナにはまったく聞こえていなかった。

 今は何を言っても無駄であろう。

 改めて、後で「本物の吸血鬼に会ってみたい」などと言い出さないように釘を刺しておかなくてはなるまい。


「それで兄さん、その話の続きは?」


 いつも通りなアンジェリーナの様子を見て平常心を取り戻したエリスは、兄に先を促す。

 おそらく限られた者しか知らないであろう話をわざわざした以上、ただ秘密を話して驚かせたかっただけなどということはないはずだった。


「ああ。まぁ、話は単純で、お前達は当分の間、夜遅くには外を出歩かないようにしろと言いたいんだ」

「吸血鬼に襲われるから?」

「そうだ。特に人気のないところには近付くな。奴らは多くの人間に見られることを好まない。人を襲う時は、決まって対象が一人ないし二人程度でいるところを狙う。そして活動時間は基本的に深夜以降だ」

「ふむふむ」

「それに奴らは若くて美しい娘を好むという」

「ふむ…む?」

「だからおまえは特に気をつけろ」

「あー…うん、はい」


 エリスは軽く視線を逸らしながら気のない返事をする。

 兄は尊敬すべき相手に違いないが、少々妹であるエリスに対して過保護になりすぎるきらいがあった。


「気のない返事をするな。これは本当の」

「うん、わかってるわかってる」


 はっきり言ってしまえばシスコンというものであった。


「それにしても…なんていうか、お話の中の吸血鬼そのまんまだね」

「うむ、まぁ…な」

「?」


 珍しく歯切れの悪い物言いをする兄に首を傾げる。

 だがユリウスはそれ以上何も言わず、もう一度念を押してくる。


「とにかくそういうわけだ。くれぐれも遅くに出歩くんじゃないぞ」

「うん、わかった」

「本当にわかったか? お前達は危なっかしいからな、しつこいくらいに言っておかないと不安なんだ」

「アンジェはともかく、私は大丈夫だってば」

「私から見れば似たようなものだよ。相変わらず剣の稽古はしているのか?」

「ぁ~、うん」

「まぁ、筋がいいからと色々と教えてしまった私にも非はあるが、もう少し女の子らしい趣味も持つんだぞ」

「料理なら出来るわよ」

「そうだったな。今日の食事も美味かった。また腕を上げたな」

「剣の腕も上がってるわ」

「だからそれは…はは、まぁいい。さてと、そろそろか」


 話に区切りをつけたユリウスが立ち上がると同時に、玄関の戸を叩く音がした。


「お客さん?」

「ああ、私の仲間だ」


 二人一緒に玄関へ向かい扉を開けると、そこにはエリスよりも2つか3つほど年上と思しき神官風の姿をした女性が立っていた。


「申し訳ありません、ユリウス卿。ご家族との時間を邪魔してしまって」

「いや、こちらこそすまない。任務中だどいうのに、つい妹と話し込んでしまった」

「こちらの方が、妹御のエリス様ですよね。申し送れました、私は、フェリエ・ホーリーと申します」

「あ、どうも、エリス・ブランシェです。いつも兄がお世話になってます」

「とんでもないです。ユリウス卿には、私の方が助けて頂いています」

「そうなんですか?」


 エリスはちらちらと横目で兄と、フェリエという女性を見比べる。

 兄が仕事仲間から信頼されているらしいことを喜びつつ、こんな綺麗な女性と一緒にいるという事実に少しばかり嫉妬する。そんな自分の感情を振り返って、はて自分もブラコンだろうかと少し思い悩む。


「ふふ、ユリウス卿から聞いていた通り、可愛らしい妹さんですね」

「って、兄さんてば私のことどんな風に周りに人に言ってるの!?」

「ありのままに伝えているだけだ。なぁ、フェリエ、君からも妹に言ってやってくれ。吸血鬼は若くて美しい娘を好む傾向にあるから、無闇に外を出歩かないようにと」

「あー、はい、そうですね」


 妙に熱のこもった声で語るユリウスに対し、フェリエは気のない返事をする。

 それを見てエリスは、普段の兄がどんな風であるのか少しわかったような気がした。

 きっと、いつもはしっかりしていて周りから頼り甲斐のある人間として扱われているのに、妹の話をする時だけ生暖かい目で見守られているのだろう。昔からそうだった。

 変わらない兄の様子に、呆れるやら安心するやらである。

 フェリエもそんなエリスの心境を読み取ったのか、目が合うと互いに苦笑してみせた。


「ですがエリス様、危険なのは事実ですので、身の周りには気を配ってください」

「…はい、わかりました」


 本気で心配してくれての言葉だとわかったので、エリスは素直に頷いておいた。

 それに対してフェリエは、柔らかな笑みを浮かべて続ける。


「ご安心ください。事はすぐに、私達が解決致しますから」

「その通りだ。私が生まれ育った町で、吸血鬼などに好き勝手はさせない。何も心配はいらないぞ、エリス」

「うん、大丈夫。兄さんも、フェリエさんも、気をつけて」

「ありがとうございます、エリス様」

「では、行ってくるよ」


 ユリウスが背を向けて歩き出すと、フェリエはエリスに向かって一礼してからその後に続いて行く。

 二人の姿が見えなくなるまでそこで見送ってから、エリスは家の中に入った。

 居間に戻って来ると、アンジェリーナはまだ空想の世界に飛んでいっていた。

 目を煌かせて、口を半開きにしている顔はまぬけ面以外の何物でもないのだが、この少女がやっていると妙にしっくりくるというか、むしろ可愛らしい。


(こんな顔ばっかりしてるからあれだけど、可愛いってのは私よりこの子の方よねぇ)


 食堂で働いていてもよく可愛い可愛いと声をかけられるが、エリス自身は自分がそこまで言われるほどの容姿だとは思っていなかった。

 そもそも兄に指摘された時はつい反発してしまったが、実際に女の子らしい特技など料理くらいしかなく、後は剣ばかり振っていて、普段から化粧の一つもしていない。そんな自分のどこに可愛らしい要素があるというのか。


(私より可愛かったり、綺麗だったりする人なんてたくさんいるでしょうに。さっきのフェリエさんだってそうだし、それに………あ)


 ふいに脳裏に浮かぶものがあった。

 それは先ほどの、アンジェリーナと二人で市場を歩いていた時のこと。

 一瞬の出来事ですぐにその姿は頭の中から霧散してしまっていたのだが、唐突にあの時に見た人影のことを思い出した。

 この地方ではまず見ない、紅い目が印象的だった少女の姿が浮かび上がる。

 あれほど強いイメージを抱いたのに、何故すぐに忘れてしまっていたのか。

 それに今でも、浮かんでくるのはおぼろげな輪郭ばかりで、細部は思い出せないでいる。

 けれど間違いなく、美しい少女であったと記憶していた。


「…変なの。何だろう、このもやっとした感覚…」


 何より、忘れていたという事実すらも忘れかけていたことが奇妙だった。


「………だめだ、考えても何もわからないわ」


 それ以上は無駄だと考えた途端、再びそのイメージは忘却の彼方へと霧散していった。

 おかしな感覚を完全に拭い去ったところで、エリスは未だトリップしているアンジェリーナの背後へと歩み寄る。

 そして躊躇無くその脳天へ手刀を叩き込んだ。


「あいたっ」

「いい加減帰ってきなさい」

「いたたた…あれ、エリス? ユリウスさんは?」

「もう仕事に行ったわよ。あなたもそろそろ帰りなさい、送っていくから」

「まだ早くない?」

「兄さんの話聞いてたでしょう。遅くならない内に、ね」

「そっかー、そだね」


 素直に頷いて立ち上がると、打たれた頭を両手でさすったままトコトコと玄関に向かって駆け出していく。

 そんな小動物的な仕草にも愛嬌が感じられる。


(やれやれ…)


 いちいちそんなことを考えてしまう自分に嘆息しながらその後を追って歩き出す。

 数歩進んだところで、部屋の隅に立て掛けてある細長い包みが目に留まる。


「……」


 僅かに逡巡してから、エリスは包みを手に取った。

 ズシリとした重みのあるその中身は、エリスが愛用している剣である。

 愛用しているといっても、実際には稽古以外で使用したことはない。

 ただ時折、護身用として持ち歩くことがあるくらいだった。


(念のため、ね)


 別にこれで吸血鬼に挑もうなどと無謀なことを考えているわけではない。

 ただ、万が一何かあった時に、慣れたこの重さが安心感を与えてくれる気がして、持っていこうと思っただけである。


「エリスー?」

「今行くわ!」


 愛剣の入った包みの紐を肩にかけ、エリスはアンジェリーナに続いて家を出た。

 改訂版2話目です。アンジェが加わった以外はやはり改訂前とそれほど変わっていません。が、次回からは改訂前にはなかった展開となります。

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