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Free World Frontier  作者: シバケン
閑話その2
55/79

リュイの小冒険

今回はリュイ君のお話です。

所謂一般弓使い代表だと思います。


遅くなって申し訳ありません。

忙しかったのと、なかなか内容が決まりませんでした。

「ふぅ、今回も無事に帰って来れた。」


前に銀狐さんが教えてくれた戦い方を実践しているのですが、考えていた以上に有効でした。

例えばスプリングラビットなんかはある程度離れた場所の草むらから矢を放てば避けられる事はまず無いので今までよりも楽に倒せるようになりました。

しかも、矢を放つ時は隠れているので集中時の不意打ちも殆ど無くなり、気が付いた時には死に戻ってる事が減りました。

お陰でお金に余裕が出来、新しい弓が買えました。

初めて弓を買ったときはとても口ではあらわせないほどの達成感がありました。

たったこれだけで喜ぶことが出来るゲームがあるとは思いませんでしたが。



村に帰った僕は最初に銀狐さんと出会った焚き火に向かう。

銀狐さんのアドバイス通りに<簡易調理>を取ったからここの焚き火でご飯が作れるようになったんだ。

ご飯代が減って矢を沢山買えるようになりました。

矢の買える数が増えるとその分長い時間森にいられるので経験値稼ぎにもなって良い感じです。

でも<簡易調理>のレベルが低いのか、銀狐さんの作った串焼きよりも味が悪いんですよね。

作り方は毎回見てるんだけれどどうしてだろう?

あの人は何も調味料を使ってないのにおいしいんだよね。

僕では無理なので塩を使う。

串焼きはタレのほうが好きだけど作り方がわからないから塩だけで我慢しておく。

香辛料って手に入らないのかな?

何処かの攻略組が見つけてきてくれたらうれしいんだけどな。

香辛料があればもっと料理のレパートリーも増えそうだし。

僕も探しに行きたいところだけど、今のレベルじゃあ確実に死に戻るだけだから下手なことは出来ないよ。

ままならないものですね。






ご飯を食べて空腹ゲージを回復させてからもう一度南の森に行くことにする。

スミスさんのお店が始まるまで暇なのでレベリングをしようというわけです。

さてレベリングをはじめましょう。

とは言ってもスプリングラビットぐらいしかまだ倒せないんですけどね。

前にショートホーンディアーと戦ったときは矢が弾かれるわ、追い掛け回されるわ、ド突かれて死に戻るわで大変だったんです。

やっぱり弓使いは一撃で倒せないとやられちゃう事が多くて大変です。

もっといい弓になったら再戦してみてもいいかもしれないですね。

それまではスプリングラビットでお金と経験値を溜めていきます。


さて、森の中に入ったのですが件のスプリングラビットはなかなか見つかりません。

いつもならここら辺に群れでいるのですが、他のプレイヤーに先を越されてしまったのかもしれません。

残念ですけど、ここでたむろしているのは時間の無駄なので次の場所に向けて進むことにします。


次の場所はここから少し遠いので向かうときはいつも緊張しながら森を歩いていきます。

ここから先はちらほらとショートホーンディアを見かけることが多くなってきます。

ショートホーンディアはオスが半アクティブでメスがノンアクティブな少し変わった敵です。

そして、この半アクティブというのがすごく厄介で個体によって範囲が大きく違ってくるんですよ。

至近距離といえる程近くにいないと反応しない個体がいたと思ったら、姿が殆ど見えないような距離から突撃してくる個体もいるんです。

特に見えない程遠くから攻撃してくる個体は気が付いた時にはもう避けられないような距離にいてそのまま命中、死に戻りみたいなコンボになってしまうんです。

だからここからは細心の注意を払って行動していきます。

他のプレイヤーはどうやって対処しているんでしょう?

パーティーならなんとなく分かるんですけど、ソロの人はどうやってるんでしょうか。

特に銀狐さんとか気になりますね。

僕は注意するほか無いんですけどね。






さて、何とかショートホーンディアに見つからないで次の場所にこれました。

ここも良くスプリングラビットの群れがたむろしている場所です。

今回はここから見えるだけで7匹のスプリングラビットを発見できました。

何か美味しい餌でもあるのでしょうか?

まだスキルが足りていない僕には良く分かりません。


さて、分からないことを考えても仕方が無いのでスプリングラビットを倒して行きましょう。

取り合えず、近くにある茂みに隠れて一番近いスプリングラビットを狙う。

キリキリキリ

ギリギリまで引分けて狙いを定める。

昔は何も無いところで棒立ちで構えていたから、敵にすぐに気付かれて狙いも付けられずに放つことが多かったんだよね。

でも、隠れながら撃てばしっかりと狙えて、なおかつ他の敵にも見つからないから本当に戦いやすい。

さて、狙いも十分付いたので、スプリングラビット目掛けて放つ。


ペンッ!


放った矢は一直線にスプリングラビットの体を打ち抜く。

命中!次!

他のスプリングラビットに気が付かれる前に、一匹でも多く倒す。

キリキリキリ

二匹目に狙いを定める。

一匹目みたいに時間をかけられないので、ある程度狙いを付けるだけで放つ。


ペンッ!


狙った矢はスプリングラビットの後ろ足に命中。

次!

キリキリキリ

何匹かが異変に気が付いて警戒しているのが分かります。

もう殆ど時間は無いでしょう。

あせって殆ど狙わずに放ってしまいました。


ペン!


放たれた矢は3匹目のスプリングラビットの頭を掠めて木に刺さりました。

頭上を掠めて飛び去った矢に驚いて逃げていきました。

他の兎もそれに続き逃げていきます。

まだです、こちらの間合いから完全に離れるまでもう少しだけ時間があります。

キリキリキリ

狙いは最後に逃げ出したスプリングラビットです。


ペンッ!


放たれた矢は、走って逃げていくスプリングラビットの後頭部に命中しそのHPをゼロにしました。

当たってよかったです。

さて、今回の戦果はスプリングラビット三匹です。

取れた素材は肉が3つと皮が1つ、あと骨が2本でした。

僕が必要なのは肉だけなので後は売ってしまいます。


さて、時間もまだあるので、もう少しだけ森を周ってから帰りましょう。

もっとお金を稼いで新しい弓を買いたいのです。






時間一杯森で稼いできました。

おかげでレベルアップしてホクホクです。

さてとスミスさんの所に行きましょう。




「スミスさん、こんにちは」


いつものようにスミスさんの出店へと向かう。

確か明日自分の店がオープンするって話だったような気がします。


「ああ、リュイ君でしたか。いつもの奴できてますよ。お支払いはいつもの方法でよかったですか?」


いつものとは、いつも僕が使っている<骨の矢>のことです。

<骨の矢>は鏃が動物の骨で出来ており、威力が低い代わりに生産性がいいらしいです。

矢羽は、木でそれっぽく作ってあります。

どうもすごく単純に飛んでいるときに矢が回ればいいんじゃないかとの考えで作られたそうです。

意外とマイナス効果が無く(プラス効果も無い)、量産性もあることからプレイヤーが作る安価な矢に使われているそうです。

いつもの支払いは、素材を売った分から天引きしてもらう方法です。

これが一番楽なんですよね。

足りないときは払えばいいだけですし。


「はい、いつもので大丈夫です。これが今日の素材ですよ。」


そういって今日手に入れた皮や骨をスミスに渡す。

まぁ、全部スプリングラビットのものなのであまり高くは売れないんですけど。


「おお、今日は沢山狩りましたね。ちょっとまっててください。」


スミスさんはそういうと、素材を鑑定しながら価格を決めているようです。


「今回は矢20本分を引いて300Gですね。」


「はい、それで大丈夫です。」


僕は矢20本とお金を受け取ると、スミスさんの出店の商品を覘く。

あ、あの弓いい感じですね。

合成弓ですか、モンゴルとかで使われていた弓でしたよね。

色々な素材で強くした弓だった気がします。

値段は、16,000Gですか。

高くて手が出ませんね。

今の手持ちは3,000Gですから諦めましょう。

もっと稼げるようにレベルを上げなければ。


僕は新たに決意すると、スミスさんの出店から離れてログアウトするのであった。

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