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Free World Frontier  作者: シバケン
パリィの村
3/79

冒険2km

銀狐はパーティー探しをするそうです。


「申し訳ないけど、あなたとパーティは組めないね。」


 ああ、これで5組目のお断りだな。


「後学のために理由をお聞きしても?」


 一応理由を聞いておくけど、多分だが他の4組と同じ結果になるんだろうな。


「理由は簡単だよ、君のジョブが弓使いだからさ。ここでパーティを探しているところから見て、ソロでプレイしようとして弓の使い勝手の悪さに一人で進むことを諦めた口だろう?」


 そう剣士であろうが決して初心者の装備をしていない男が此方を見透かしたように言う。というか、完全にこちらの魂胆を見透かしているんだが。

 やっぱり他の4組と同じような事が理由だった。


「どうしてって顔してるね。簡単だよ、僕が一応β版からやってるからね。同じような奴らを見てきたんだよ。」


 成る程、弓の使い勝手の悪さはβ版から変わっていなかったのか。そんな見当違いの感想を抱きながらやはりベテラン層の男の話を聞く。


「まぁ、一応忠告はしておくけど、弓使いでプレイするなら生半可な気持ちだとスグに詰む事になるよ。君はエルフみたいだし、今の内にメインジョブを魔法系にしておくべきだよ。」


「ご忠告ありがとう。一応検討して見ます。」


 本当は変える気は全く起きていないのだが、社交辞令として礼を言っておく。こんなに丁寧に説明してくれた人は居なかったし。


「そうかい、このまま弓使いを続けるとしても攻略ページやゲーム内の掲示板をよく見ておいた方が良いよ。それじゃあ良い冒険を。」


 男はそう言って、他のパーティーメンバーがいるであろう方向へと歩いていった。

 掲示板は後で見るとして、攻略ページはなぁ。どちらかといえば、完全に詰むまではそういうページは余り見たくないんだがな。

 今はまだ詰むほどには切羽詰ってないし、まだ見なくても良いかもしれないと思う。


「夕飯まであと1時間ちょっとか。パーティー探しも失敗したことだし、もう少しだけ狩の練習でもしようかな。」


 少しため息をつきながらも、2度目の狩に出かける。


 そういえば、〈狩人の眼〉ってスキル取ったけどどれだけ効果あったのかさっぱりわからなかったな。正直名前だけ見て決めたところあるから説明文しっかり読んで無かったかも。


 〈狩人の眼〉


 パッシブスキル。獲物の場所や採取できる場所が朧げに見える。


 あれ?パッシブスキルなのに発動した気配が無いんだけど?

 不思議に思いつつももう一度スキルの説明文を見ようとしたところ


 〈狩人の眼〉を発動しますか Y/N


 とアナウンスが出た。

 パッシブスキルって、取ったときにはスキルが有効化されてなかったのね。色々と残念な気持ちになりながらも〈狩人の眼〉を発動する。目に見えた変化が無いのはまだ村の範囲内にいるからだとして、さっさと狩場に行きこのスキルの有用性を確かめないとね。






 そんなこんなで狩場に到着したんだけど、〈狩人の眼〉は俺が思っていた以上の働きをしてくれているみたいだ。

 まず第一に採取ポイントが近くで視野内にあると、自動的にマーキングしてくれるみたいだ。これにより今まで完全に見逃していた採取ポイントからアイテムを入手できるようになった。

 次に獲物が視野内にいる場合、それなりに遠くの獲物も物陰にいる獲物も体の一部が見えていれば自動マーキングしてくれるため獲物が見つけやすい。

 このパッシブスキルの力を借りて、近場の採取ポイントを巡りつつ獲物を楽に探せるようになった。

 とりあえず今の獲物は、この前取り逃がしたウサギを約50m先に視認している。前回とは違いなるべく見つからないように静かに行動していたため、まだウサギは気がついていないがこの距離でも前は矢を外してしまっているから音を立てないようにもっと近くまで寄ってみることにする。

 慎重に慎重に獲物との距離を縮めていくと、30mほど近寄った時点でウサギがこちらの気配に気がつき始めたようだ。

 前回と同じように音をできるだけ抑えて矢を放つ。

 矢はウサギの後ろ足の付け根あたりに刺さるが、ウサギは必死で逃げようともがく。

 だがしかし、後ろ足に矢が刺さった状態だと上手く走れないのか途中で転びながらも逃げる。

 流石に可哀想に思うが、せっかく矢を当てたのだ逃がす道理はない。

 俺は腰からナイフを抜き取るとウサギに向けて駆け出した。

 ウサギも逃げようとはするが、あっさりと俺に捕まる。


「悪いな」


 短い謝罪の言葉の後、俺はウサギの首をナイフで搔き切った。

 少々罪悪感が漂うが、そんなことよりもやっと手にした初の獲物の喜びのほうが大きかった。

 早速、ウサギの屍骸を地面に置くと手に持ったままのナイフを使い剥ぎ取る。

 剥ぎ取り方はいたって簡単で、屍骸にナイフをどんな風でも良いので接触させると剥ぎ取ったとみなされるようだ。

 今回剥ぎ取ったアイテムは。



 〈跳兎の皮〉


 重量+0、レア度1、品質D+


 スプリングラビットの皮。加工すれば普段着程度にはなる。


 〈跳兎の肉〉


 重量+0、レア度1、品質D+


 スプリングラビットの肉。柔らかく、焼いても煮てもおいしい。



 品質はあまりよくなかったがなかなか良いものが取れた気がする。

 この調子で狩を続けていこう。夕飯までまだ40分はあるし、まだまだ沢山アイテムをゲットして装備を整えないとね。

 そんな感じで40分間フルに狩をしていると、いくつかのアナウンスが届いた。


 スキル〈狩人の眼〉のレベルが上がりました。


 スキル〈弓入門〉のレベルが上がりました。


 メインジョブ〈弓使い〉のレベルが上がりました。


 どうやら、これまでの狩のおかげでスキルやジョブのレベルが上がったみたいだ。プレイヤーレベルが上がらないのは狩ったのがウサギだけだからか。

 とりあえずレベルアップしたスキルたちを見ていくか。



 〈狩人の眼 Lv.1〉


 パッシブスキル。獲物の場所や採取できる場所が朧げに見える。一度狩ったことのあるモンスターの名前が表示される。


 〈弓入門 Lv.1〉


 パッシブスキル。弓アーツ発動までのタメが微量短くなる。弓アーツの待機時間が微量短くなる。


 〈弓使い Lv.1〉


 STR+1、DEX+3、AGI+2


 アーツ

 〈ロングレンジショット〉:長距離射撃が可能。待機時間10秒。


 弓アーツが使用可能になる。



 今までのスキルはレベルが0だったのか。しかも、レベルが上がったら効果が追加されてるし。これはスキルやジョブのレベリングもこのゲームでは重要というわけか。


 とりあえずもう夕食の時間だし、いったん村に戻って落ちることにしよう。

 ちなみに手に入れたアイテムは皮が3枚、肉が4個。どうやら皮よりも肉のほうがほんの少しだけレア度が低いみたいだ。


ネーム〈銀狐〉

 種族 〈エルフ〉

 ジョブ〈弓使い Lv.1〉

 ステータス

 HP :60

 MP :70

 SP :32

 STR:9

 SIZ:7

 DEX:18

 VIT:7

 INT:11

 AGI:14

 MND:12

 LUK:6

 LP :0

 スキル

〈弓入門 Lv.1〉〈狩人の眼 Lv.1〉〈木工見習い〉〈簡易調理〉〈水属性入門〉

 武器

 メイン:<初心者の弓><初心者の矢×10>

 サブ :<初心者のナイフ>

 防具

 頭:<無し>

 体:<初心者の革鎧>

 腕:<初心者のレザーアームガード>

 手:<無し>

 足:<初心者のレザーグリーブ>

 靴:<初心者の革靴>

 装飾品

 無し

 その他

 〈初心者の鍋〉〈初心者の鑢〉〈初心者のグリーンポーション〉

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