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ゾンビがいる終末世界を生き抜いた最強少女には異世界はぬるすぎる  作者: 鳥助


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73.スケルトンナイトの発見

 話し合いが終わった後、私たちは積極的に外に出て行った。スケルトンを中心に色々な魔物と戦い、自身を鍛えてレベルアップを計る。そして、ネクロマンサーが潜んでいないか捜索もした。


 冒険者ランクが上がったことにより、以前より強い魔物と戦う事が多くなった。その分、戦闘はキツくなるが、個々のレベルアップには最適だった。それに報酬も以前よりも増えて、生活資金も安定して稼げるのが大きい。


 相変わらず二人は絡んでくるし、鬱陶しいが、異世界での生活に慣れてきたみたいだ。まだ前の世界での生活は忘れられないが、少しずつ人が中心の生活とやらを理解してきた。


 面倒なことは沢山あるが、人がいる恩恵が沢山あった。お陰でゾンビが蔓延っていた終末世界よりはいい生活ができている。最近では異世界転移をして良かったとも思うようにもなった。心境の変化というのは、こんなにも考えを変える力があるんだな。


 適度な仕事、安定した生活。順調な異世界での生活。正直、このままの生活が続けばいいと思ってしまう。不死王と呼ばれる魔王との戦いなんて不要なんじゃないか?


 そんなことを言ったら、フィリスに酷く絡まれるから言わないけれど。だから、このままネクロマンサーが見つからなければいいと思って、今日もクエストを受けて外に行く。


 ◇


「さぁ、今日も張り切ってクエストを受けに行きましょう!」


 フィリスが意気揚々と冒険者ギルドの扉を開けた。昨日、疲れすぎて明日は動けない……と弱音を吐いていたのに一日で復活するから恐ろしい。


「今日はどんなクエストがあるかしらね。また私の魔法で活躍してあげるんだから」


 こちらも元気一杯にギルドの中を歩いていく。昨日、魔力枯渇で明日は魔法を打てない……と弱音を吐いていたのに一日で復活するから根性はある。


 そんな私たちはいつものようにクエストボートのところに行くと、いつもよりも人だかりができていた。


「なんか、人が集まってますね。行ってみましょう」

「新しいクエストかしら?」


 人だかりを見て、私たちもその中に入る。そして、みんなが見ていたクエストを見た。


「えーっと……スケルトンナイト発見、ですか」

「スケルトンナイトってスケルトンの上位互換の魔物よね。確かランクはCだったわね」

「あ、そう書いてありますよ。なるほどー、スケルトンの上位互換の魔物が現れたのでその討伐を依頼するクエストのようですね」

「そんな魔物が現れたのに、これだけしか見てないってことは……そう珍しくもないことなのかもね」


 確かに、他の冒険者の注目度は低い。ということは、これは珍しいクエストではないということだ。この地方ではスケルトンナイトが出てくるのは何度も起こっていることなのだろう。


「Cランクの魔物討伐のクエストですが、Dランクの冒険者もクエストが受けれるようになってますね」

「えっ、それって大丈夫なの? 明らかにランクが足りてないんじゃない?」

「ですね。報奨金も十六万オールになっていて、Dランクが受ける金額になってます」


 ここでも、報奨金の出し渋りをしているのか。だから、低ランクの冒険者にも受けれるように許可をしていると。ここの冒険者ギルドも良い冒険者ギルドとは言えないな。


「もしかして、スケルトンが活発化していたって、このスケルトンナイトが原因だったんでしょうか?」

「それは言えるわね。上位互換の魔物が現れると、その下位互換の魔物はイキる感じよね」

「自分たちよりも強い存在が現れたら、そうなっちゃいますよね。なんかこう、イケイケー! って、なると思います」

「なんだー。スケルトンが活発化した原因がネクロマンサーだったら良かったのに、当てが外れたわね」


 どうやらスケルトンが活発化していた原因はスケルトンナイトが登場したかららしい。ネクロマンサーの登場じゃなくて本当に良かった。


「じゃあ、このクエストを受けてもネクロマンサーには当たりませんね。別のクエストでも受けますか?」

「別にこのクエストを受けてもいいと思う。上位互換との戦いはレベルアップの経験になる」

「そっか、そういう考えもできるのか。ネクロマンサーしか考えてなかったから、レベルアップの事はすっかり忘れてたわ」

「いずれ、不死王と戦う事になるのですから、レベルアップは必要です。ここでCランクの魔物と戦って、自分を鍛えるんです」

「Cランクと言っても所詮はアンデッド。浄化魔法を食らえば、一撃でやっつけられる程度だから」

「そうなの? ……いやいや、騙されないわよ。当たれば一撃だけど、当てるまでが大変じゃないの」


 アンデッドは浄化魔法がなければ大変だけど、浄化魔法があればどんな強い敵でも一発で倒れてくれる。セシルの言う、当てるまでは大変だが……当てたら勝てるのは利点だと思う。


「ユイさんは戦い慣れしてますから、簡単に攻撃を当てられますが……。私たちはまだまだ実力が足りてませんしね。攻撃を当てるだけでも、かなり苦労します」

「しかも今回は上位互換の魔物でしょ? きっと、今まで以上の動きをしてくるに違いないわ。そうなると、戦い方だって変わるし今まで通りにはいかないはずよ」

「だからこそ、レベルアップにはもってこいだと思う。正直言って二人の強さは私には足りない。もっと、強くなって貰わないと置いていくから」

「それを言われるのは弱いです。ユイさんについていくには、もっと強くならねばなりませんよね。セシルさん、ここが踏ん張り時です!」

「そうでしょうね。分かっているんだけど、ちょっとくらい弱音を吐きたくなったのよ。ユイについていくためにはもっと強くならないとね」


 いいかげん、強くなるのを諦めれば楽になれるのに……。私に執着しなくても、他の道があるというのにな。どうして、この二人は諦めないんだ。仕方がないから、レベルアップには付き合うけど……。


「今回のクエストはいつも以上に気合を入れて取り掛かりましょう。きっと、このクエストが終わる頃には私たちは一皮も二皮も剥けてますよ」

「そうだといいわね。ユイに認めてもらうためにも頑張るわ」


 二人は気合の入った表情になった。それを見て、ちょっとだけ胸がざわついた。いつもはそんなことは無いのに、どうしてだろうか?


 ◇


 スケルトンナイトの討伐のクエストを受けて、私たちは目的地を目指した。そのスケルトンナイトがいるのが、森の中にある洞窟のところらしい。また、狭いところでの戦闘になりそうだ。


 セシルのサーチ魔法を使ってその場所を特定して、目的の場所に到達した。木陰に隠れて洞窟を見ると、そこには見張りなのかスケルトンが二体立っていた。


「どうやら、あの中にいるみたいですね」

「どうして、魔物って洞窟が好きなのかしらね。その辺を歩いていればいいのに……」

「洞窟を家のように使っているんじゃないんですか? 魔物もそういう場所が好きなんですねー」

「それはそうと、誰が行く?」

「じゃあ、私は右のスケルトンを倒すから、フィリスは左をお願いね」

「はい、任されました。では、ユイさん。浄化魔法の付与をお願いします」

「剣と杖を。神よ、悪しき者を払い、迷える魂の導きの力をこの者たちにも与え給え」


 二人が持つ剣と杖に向けて、浄化魔法の付与を行う。手から光が出て、その光が剣と杖を包み込んだ。これで浄化魔法の付与は完了した。


「じゃあ、同時に出て行くわよ」

「はい」

「三、二、一!」


 合図をして二人は木陰から飛び出していった。


「漲る魔力よ、砕けぬ石にその身を変え、敵を穿つ衝撃を放て。ストーンバレット!」

「剣技『スラッシュ』!」


 セシルはすぐに詠唱をして土魔法で攻撃し、フィリスは剣技を使って一番速い攻撃を仕掛けた。二人が出した攻撃は真っすぐスケルトンに向かっていき、衝撃がスケルトンを襲う。付与した浄化魔法を食らったスケルトンはバラバラに飛び散った。


「これで、仲間を呼ぶ前に倒せたわね」

「いい感じでしたね。最初のゴブリンと戦った洞窟の時とは全然違います」


 あの頃に比べれば、戦い方は大分マシになった。と言っても、まだまだ足りないんだけどね。


「じゃあ、中にいきましょうか」


 セシルが光を魔法で出すと、暗がりの洞窟の中に入っていった。

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いつの間にか、二人の良いところを探すまで!? デレてる!!見事にデレてるよ!!
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